新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、新たに注目を浴びたものとしてZoomなどによるウェブ会議があります。そして、会議だけではなく、セミナーもZoomにより行われることも増えてきました。
これまでも、先生ビジネスにとって、セミナーは有効な顧客獲得の手段でした。Zoomを用いたオンラインセミナーで顧客獲得を行うためには、対面セミナーとの違いを踏まえる必要があります。
本稿では、対面によるセミナーと比較したZoomを用いたオンラインによるセミナーのメリットとデメリット、Zoomを用いたオンラインセミナーによる効果的な顧客獲得法についてご説明します。
1.Zoomを用いたオンラインによる打ち合わせの増加
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、仕事の進め方が大きく変わってきました。特に注目すべきなのがZoom等のウェブ会議システムを用いてオンラインでの会議が増加したことです。
移動時間を気にすることなく、Zoom等を用いることによって、全国どこでも気軽に打ち合わせができることは大きな魅力であるといえます。また、自宅から会議に参加することも可能なので、深夜の開催や、短時間でも会議が開催可能です。
Zoomをはじめとするオンラインによるウェブ会議は、単なる会議だけではなく、採用面接や裁判手続(書面による準備手続。ただし、裁判所はZoomではなく、Microsoft Teamsを採用しています。)使用者と労働組合との間で行う団体交渉などさまざまな用途に用いられています。
2.Zoomを用いたオンラインセミナーの特徴
2.1 Zoomを用いたセミナーのメリットとデメリット
Zoomを用いたオンラインセミナーを行う場合と、対面によりセミナーを行う場合とでは、さまざまなメリットやデメリットがあります。Zoomを用いたオンライでセミナーを行う際には、このメリット・デメリットを理解することが必要となってきます。
2.2 Zoomを用いたオンラインセミナーのメリット
2.2.1 セミナー実施の時間的・場所的制約が少なく参加する受講者の範囲が広いこと
Zoomを用いたオンラインセミナーの場合、対面によるセミナーのように場所を確保する必要はありません。また、受講者は、自宅や職場から参加することができ売ることから、セミナーを実施する時間帯の制約も少ないといえます。
また、対面によるセミナーと異なり、Zoomを用いたオンラインセミナーは全国から受講者を集めることができます。(このZoomを用いたオンラインによるセミナーのメリットが先生ビジネスのありかたを大きく変えうることについては、4.2で後述します。)
2.2.2 相談への誘導となるアンケートの回答率が高いこと
セミナーを行う場合アンケートは必ず行う必要があります。
アンケートは、セミナーの質の向上を図るという側面もあります。しかし、それ以上に、アンケートには重要な役割があります。それは、セミナー参加者によるアンケートへの回答を通じて個別の相談に誘導をするためです。
この点に関し、Zoomを用いたオンラインによるセミナーの場合は、グーグルフォームなどを用いることによって、受講者がセミナーのアンケートに回答することが容易にできます。アンケートの回答率が高ければ自ずと相談につながる確率も高いといえるでしょう。
2.3 Zoomを用いたオンラインによるセミナーのデメリット
2.3.1 安定したネットワーク環境が必要
Zoomを用いたオンラインセミナーで主催者が一番気を付けなくてはならないのがネットワーク環境です。
もし、主催者がオフラインになると、Zoomセミナーは強制的にクローズしてしまいます。そのため、ネットワーク環境が安定しているところで開催することが絶対条件になります。
また、参加者のネットワーク環境が悪い場合、途中で離脱されるリスクがあります。
3.セミナーで顧客獲得するメリット
3.1 ビジネスにおけるセミナーの役割
商品を売り込むための商談は1to1で行われることが通例です。
1to1の場合、「売り手と買い手」という構図が鮮明になってしまい、どうしても顧客は「売り込まれている」という感覚を持ってしまいます。つまり、どんなによいサービスを訴求しているつもりであっても、顧客は「都合のよいことだけをいっているのではないか」という受け取り方をしてしまいがちなのです。
セミナーであれば、1to多数で行われます。すると、「教える者と教えられる者(先生と生徒)」という関係になります。
先生が授業で話すことを生徒が理解しようとするように、1to多数のセミナーでは、サービスのアイデアやコンセプトが受け入れやすいというメリットがあります。
さらに、セミナーの講師をした事実は、ビジネスの実績の一つになります。「セミナー講師で有名なあの〇〇先生」というイメージを顧客が持ってくれるようになれば、それだけブランディングができ、提供するサービスの高単価化にもつながるでしょう。
3.2 セミナーと研修の違い
講座という形式で技術や情報を伝えるものに研修があります。
例えば、社会保険労務士が企業から依頼を受けて「働き方改革」についての「研修」を行う場合、受講者に「働き方改革」についての知識や考え方を伝えて技能の向上を図ることが目的です。すなわち、研修は情報提供が主たる目的なのです。
社会保険労務士が「働き方改革の」についての「セミナー」を行う場合は、受講者に「この社会保険労務士に働き方改革の対応について相談したい」と思ってもらうことが目的です。
セミナーで受講者(見込み客)との関係性を構築できれば、無理な売込みやクロージングをしなくても、サービスを契約してもらえるのです。
4.Zoomを用いたオンラインによるセミナーの可能性
Zoomを用いたオンラインセミナーには場所的制約がありません。このため、全国のセミナー受講者が顧客となる可能性があります。
では、なぜセミナー受講者が、わざわざ遠方の先生に相談してみようと思うのでしょうか。それは、その先生のセミナーを受講し、自分の住んでいる地域のほかの先生にはない高い専門性を有していると考えるからです。
したがって、先生ビジネスにおいては、今後、これまで以上に専門分野、得意分野が問われることになっていくでしょう。その意味で、Zoomを用いたオンラインセミナーが、先生ビジネスのありかたを大きく変える可能性があります。
5.まとめ
Zoomを用いたオンラインセミナーはまだまだ手探りの状態であるといえます。本稿がZoomを用いたオンラインセミナーによってこれまでには得ることのできなかった顧客獲得を目指す先生方の参考になれば幸いです。
文:武田宗久(中小企業診断士/弁護士)/編集:志師塾編集部
・オンライン化ツールを使い、集客を効率化したい
・動画やZoomなどを用い、サービス提供を半自動化したい
・コンテンツをオンライン化して販売し、自動収益を得たい
という方は、先生業オンライン化セミナー(動画)を、ご覧ください。