「働くことが楽しいと思える社会を作りたい」そう語るのは、組織こうどう研究所の代表を務め、組織開発ファシリテーターとして活躍されている志師塾卒業生の平澤摩湖さん。
平澤さんは、2000年にコーチングのプロコーチとして独立し、長年にわたり企業の研修講師(専属契約講師含む)を務めてきました。さらには、広島経済大学と広島文化学園大学で非常勤講師・派遣講師として通算14年間も勤務されるなど、多彩な経歴と数多くの実績をお持ちです。
そんな平澤さんですが、常にご自身を振り返り、心の葛藤や困難を乗り越えてきたそうです。今回は、平澤摩湖さんに、現在に至るまでの歩みや、志師塾との出会いと得たもの、お仕事への想いを伺いました。
1.組織開発ファシリテーターとしての活動
1.1 成果を出しやすい職場環境とチームワークの構築のために
2000年に独立して以来、頑張って働く人たちのコミュニケーション能力強化の支援者として活動を続けてきたと語る、組織開発ファシリテーターの平澤さん。これまでの活動を振り返ると、その活動内容は、「仕事の悩みをチームワークの観点から解決する」という言葉に集約できるそうです。
平澤さんはこれまで、数々の企業に対し、「チームワークを高めるコミュニケーション」や「心理学を効果的に活用したリーダーシップコミュニケーション」を通じて、仕事をしやすい環境を整え、仕事のパフォーマンスを向上させる独自のプログラムを提供してきました。
それが、組織開発論やコミュニケーション論、人間関係論、集団力学、心理学などをベースに独自に作成した体験型・ワーク型の研修「Good Job コミュニケーションスキルプログラム」です。
これらの研修プログラムを企業に提供することで、成果を出しやすい職場環境とチームワークの構築に貢献してきました。
1.2 一貫して変わらぬ理念
組織開発ファシリテーターは、言い方を変えると、人的資源開発ファシリテーターもしくはビジネススキル・能力開発ファシリテーターだと平澤さんは言います。
単発のスポット研修講師も担当しますが、企業と契約して最低3年以上の期間で、研修講師・外部教育担当として組織開発や能力開発のトレーニングを担当することが多いそうです。仕事の悩みをチームワークの観点から解決するお手伝いをすることが、組織開発ファシリテーター・平澤さんの役割です。
平澤さんに理念を伺うと、次のような言葉が返ってきました。
「働くことが楽しいと思える、そういう社会を作りたいです。会社で嫌々働かないといけない、職場でいじめにあっても働かないといけない、そういう社会は楽しくないと思います。そういうことがない社会、働くことが楽しいなと思える社会にしたいのです。これは、昔から一貫して変わらない考えですね」
2.立ちはだかった壁と乗り越えた軌跡
2.1 自己の傲慢さとの戦い
企業の研修講師や教育担当、広島経済大学等での非常勤講師など、数多くの実績をお持ちの平澤さんですが、一方で、常に自分自身の課題とも向き合ってきました。その課題とは「自己の傲慢さとの戦い」であったと平澤さんは言います。
「講師として、実際の自分よりも自分を大きく見せようとしていた時期がありました。そのことで、私が醸し出す傲慢さが表情にも態度にも表れていたと思います。そういう自分との戦いが、ずいぶんありましたね」
これは決して、平澤さんが研修参加者から指摘を受けたものではありません。自己の内省プロセスによって、ご自身の傲慢さに気付かれたそうです。それは、平澤さんご自身が「コーチング」や「影響関係のリーダーシップ」を専門領域としていたことが大きく関係していました。
「リーダーはフォロワーを導く存在であるとお伝えする一方で、自分自身が傲慢な部分を持っていると、私自身がフォロワーでもある研修に参加される方々を、あるべき方向に導くことはできないですよね」
2.2 PDCAサイクルによる内省プロセス
では、平澤さんは「自己の傲慢さ」をどのように解消していったのでしょうか。
平澤さんは、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回すしかないと言います。PDCAサイクルによる自分自身を客観的に振り返る内省プロセスを、今もなお、繰り返し、繰り返し行っています。
2.3 内省プロセスによる成果
- 「PDCAサイクルの内省プロセスを止めたら、たぶんまた傲慢になっちゃうと思います」と平澤さんは言います」
- 「時々、振り返れないくらい疲れている時もありますよ。それでもPDCAサイクルを回し続けています」
実際に自分に起こったことを、すぐに振り返る。何が起こったのかをピックアップして、それがどういうことなのかと分析する。人間関係トレーニングの領域の「ラボラトリー方式による体験学習の循環過程」を相当トレーニングしてきた平澤さんだからこそできる内省プロセスです。
「それでも、すぐに成果や効果は出ませんでしたよ。PDCAサイクルを観覧車に例えると、以前の私は、観覧車を高速で回していました。とにかく焦って高速で回していました。その分、振り返りも粗かったですし、抜け落ちもたくさんあったと思います」
今では、成果や効果が出ない理由を分析し、PDCAサイクルを1つ1つ確認しながら焦らずに回して、さらには新しい体験に結び付けているそうです。
「少しずつですが、授業や研修での成果を実感できるようになりましたね」と笑顔で教えてくれました。
3.志師塾との出会いと得たもの
3.1 コロナ禍での講師業
2020年初めから流行した新型コロナウイルス感染症は、人材育成を担う企業内研修にも大きな影響を及ぼしました。これまで、企業内研修といえば集合研修が中心でした。しかし、コロナ禍では、受講者間の社会的距離(ソーシャルディスタンス)を考慮し、これまで同様の定員数や設備での開催が難しくなっていました。このようなコロナ禍においても、平澤さんにはそれほど大きな打撃を受けなかったと言います。
「スポット型の研修がなくなり売上は落ちました。それでも、もともとスポット型の研修が主業務ではなかったので、急激な売上減には至りませんでした。それは、複数の企業で、研修講師としての顧問的な形態で年次契約を更新していたからです」
3.2 パラダイムシフト
それにも関わらず、平澤さんは、昨年の2020年11月頃に、複数社あった顧問先企業の外部教育担当の契約を自ら終了させる決断をしました。
コロナをきっかけに、企業内研修だけでなく世の中すべてが大きく変わりました。オンライン化も一気に加速しました。時代のドラスティックな変化、パラダイムシフトを目の当たりにし、「私も変わらなきゃ」と思ったそうです。
平澤さんはその理由を次のように話します。
「顧問契約で企業の教育を担当することは、やり甲斐はあります。私も精一杯、支援させていただきました。一方で、忙殺される日々の流れの中で『今、自分は本当に楽しんで仕事ができているかな?』と疑問が生じるようになったのです。仕事を楽しくやろうと思っているのに、膨大な作業量に対する負荷を感じ、ストレスが増していくようになっていたのです」
平澤さんは、顧問先との調整を済ませたうえで、顧問先企業の外部教育担当という仕事に自ら幕を下ろしました。
3.3 市場調査力ゼロ問題
自由になり、「さあ、これからだ」と思った平澤さんですが、新たな問題に突き当たります。それが、市場調査力ゼロ問題でした。
「市場調査力もなかったですし、マーケティングの概念もマーケティング手法も知らない、わからないという、ナイナイ尽くしでした」
「これまで、マーケティングをしっかり学んだこともなく、どうしていいかさっぱりわからなくて困っていた時に、志師塾のSNS広告を見つけました。それが志師塾との出会いです」と話す平澤さん。
神にもすがる思いで、志師塾の体験セミナーに申し込み、すぐに入塾を決意しました。
3.4 志師塾でのインプット
志師塾では、マーケティングや営業ノウハウはもちろんのこと、自己の棚卸やミッションの明確化、誰に・何を・どのように提供するかの尖った事業コンセプトの立案など、講師業に必要なたくさんのことを学んだそうです。
その中でも、弱い部分だったマーケティングの最新情報を得られたことは、平澤さんにとって大きな意味がありました。
「志師塾から得られるマーケット情報・マーケティング情報は、常に最新でした。塾長の五十嵐さんは最新の情報を仕入れてアウトプットしてくれます。それによって私たちも常にアップデートされていました」
コロナ禍で激変したと言っても過言ではない人材育成・研修市場において、Zoom会議の活用などのオンライン化の流れに乗ることができたことは、「志師塾のおかげです」と平澤さんは言います。
3.5 志師塾で得たもの
志師塾で得たものの中で、平澤さんにもっとも大きな影響を与えたものをあえて一つだけ挙げるとすれば、それは「人脈」だそうです。
「同期との人脈ももちろんありますが、私にとっては同期以外の卒業生との人脈の存在が大きいですね。志師塾を卒業した後も、志師塾が主催する交流会に参加する機会が多くあります。その交流会を通じて、入塾期が異なる卒業生の方々と多くのご縁がありました。そういう方々と毎月、交流を深めていく中で、『一緒に仕事しましょう』といった話になることも多いです」
3.6 志師塾のおすすめポイント
そんな平澤さんに、講師業のお知り合いや友人、これから志師塾への入塾を検討されている方に対する「志師塾のおすすめポイント」について、改めて伺うと、次のように答えてくれました。
- 1つ目は、マーケティングの最新情報、常に最先端の情報を得られること。
- 2つ目は、「知恵の場オフィス」を効果的に活用できること。
- 3つ目は、自分が入塾した年の同期以外の卒業生も含め、たくさんの講師業の方との出会いがあること。
4.仕事への想いと展望
4.1 コミュニケーションの可能性
平澤さんはこれまでも一貫して「働くことが楽しいと思える社会を作る」というビジョンを達成するために、組織開発ファシリテーターとして活動してこられました。そして今後も引き続き、そのビジョンの達成に向けて尽力していきたいと言います。その中で、「働くことが楽しいと思える世の中の実現」に向けた、コミュニケーションの可能性について、次のように語ります。
「心理学を効果的に活用したコミュニケーションをもっとビジネスの場で使ってほしいです、そして私にはそれを伝える役割があると思っています」
コミュニケーションは誰もが知っている言葉でありながら、算数や数学のように科目として体系立てて学ぶ人は少ないでしょう。それゆえに、実際の職場でうまく活用できずに仕事の成果が上がらないとか、人間関係が上手くいかないとか、そういったことが起こっているのだと考えられます。
平澤さんは、働くことが楽しいと思える社会を実現するための手段として、コミュニケーションを素直に学ぶ必要があると教えてくれました。そして、平澤さん自身がそのことを正しく伝える役割を果たしていきたいと考えています。
4.2 もっと多くの人に影響を与えたい
最後に、平澤さんに今後の展望についても伺いました。
「やはり、みんなが仕事を楽しいと思える社会を実現していきたいです。そのためにも、組織こうどう研究所を法人化することも考えています」
組織を法人化して、もっと多くの人に影響を与えたいと語る平澤さん。
「働くことが楽しいと思える社会を作りたい」平澤さんの思い描く理想の社会の実現に向けて、平澤さんの挑戦は続きます。
文:須々田智昭(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部
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