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【卒業生インタビュー】 新卒採用を支援することで、会社全体の改革を促す ~キャリアコンサルタント瀧井泰さん

即戦力を売りにする中途採用の転職サービスが乱立する中、新卒採用支援に特化した唯一無二のサービス。
キャリアコンサルタントのイメージにとどまらない活躍をされるのは、大企業で部長職も勤める瀧井泰さんです。

瀧井さんが国家資格キャリアコンサルタントを取得し、短期間で事業を軌道に載せるまでの経緯や「新卒採用」支援へのこだわり、今後の夢などについてうかがいました。

1.「やってみなはれ」精神で会社全体の変革をリード

キャリアコンサルタントの瀧井さんは、「やってみはなれ」の精神根付くサントリー株式会社に勤めるビジネスパーソン。今年で入社41年目となり役職定年を迎えたものの、専任部長として月曜から金曜日までフルタイムで働いています。食品・酒類飲料にかかわるビジネスということもあり会食も多く、忙しい日々を過ごされています。

本業の合間を縫い、コロナ禍にキャリアコンサルタントの資格を取得されました。現在は、資格を生かし起業したアップキャリア株式会社にて「やってみなはれ新卒採用」を掲げ、中小企業の新卒採用支援を行っています。

瀧井さんがこだわるのは、エージェントに頼らない自社での新卒採用。社内複数の部署からなる採用のためのタスクフォースチームを編成し、部署横断での自由闊達な議論を誘発することで、社員を採ることだけにとどまらず会社全体の変革につなげる活動を支援しています。

2.まわり道した経験が今の事業の核に

2.1 憧れた父の背中

瀧井さんの「先生業」としての原点は大阪で過ごした幼少期までさかのぼります。大学の先生をされていたお父様の職場に遊びに行き、教鞭をとる姿を学生と一緒によく見ていました。

お父様の影響から、幼少期は学校の先生になることに憧れを抱いて教育大学付属小学校へと入学し、中学・高校へと進級します。進学校としての厳しい授業にも必死に食らいつく日々。
しかしながら、進路を決断する高校時代に反抗期に差し掛かります。

ビジネスは対等な関係で行うべきで、子どもに対し教えることで対価を得る教師はビジネスではないと、いままで憧れていた職業に否定的な感情を持ってしまいます。結局、地元の教育大学ではなく東京の大学へ。自分のやりたいこととやっていることのズレを感じながら過ごした大学時代には、ホームシックにもなりました。就職活動もどこか違和感を抱えたまま、人気企業であるという理由でサントリーへ入社します。

2.2 まわり道で再発見した幼いころの夢

営業に配属された新入社員時代は自身のキャリアイメージのズレからか、早く営業から抜け出したい一心で必死に営業に取り組みます。全国トップの成果を上げることで頑張りは認められたものの、むしろ営業としてのキャリアを確立してしまい14年余り営業を担当します。

ようやくの異動先はマーケティング。そこで初めて多くの人前でプレゼンをする機会が訪れます。かくあるべきといった自身の考えを人前で披露することの喜び。高校時代に進路を変えてから約20年。先生に憧れていた幼いころの夢を思い出した瞬間でした。

2.3 赤字企業を復活させた新卒採用の力

営業からマーケティング、経営管理と多数の部署で成果を上げてきた瀧井さんの転機は突然訪れます。役員への昇進も意識し始めたころ経営方針で経営陣と対立してしまい、左遷。いまや倒産かという200億円の累積赤字企業への出向でした。そんな倒れかけの企業を9か月で黒字に転換させ、出向先生え抜きの経営者とともにファンドからの資金調達も成功させます。それから10数年たった現在でも継続する企業へと、よみがえらせたのでした。

復活のカギは『人材育成』『人材採用』に取り組んだことでした」と、瀧井さんは振り返ります。
「業績のフォローが主体の閉塞的であった会議をマネージャーに対するスキルアップのセミナーやメンバーにファシリテートさせ施策を議論するような場へと変更していきました。すると、みるみるうちに社員が元気になっていきました」

あわせて取り組んだのが「新卒採用」の実施。かつては採用活動も行っていましたが、長年の赤字体質から社員募集は凍結、採用ノウハウも失われた状態でした。

時間に余裕があった社員を中心人物に据え、秘書や営業などのメンバーでタスクフォース型のチームを作り、手探りで採用に取り組みました。チーム内で議論を重ね、出向先企業が高級飲食店であることの強みを生かしたシェフによるフレンチの賄いや遠方者への帰省費用負担など給与面だけではない待遇を売りにしたアピールを行いました。応募者がいるか不安視されたのが一転、成功裏に終わります。

タスクフォース型で取り組む新卒採用が会社復活の起爆剤になることや、自社の強みを生かした採用応募者へのアピールポイントが大切であることなど、現在の事業につながる経験となったのでした。

3.取得した資格を生かす志師塾での学び

3.1 国家資格キャリアコンサルタントの取得

役職定年後、瀧井さんは会社の先輩から社内でのキャリアカウンセリングを受けます。それまで、キャリアコンサルタントを知らなかった瀧井さんでしたが、自身をよく知る先輩から資格取得をすすめられたこともあり資格取得を決意します。

「先輩がキャリアコンサルタントをすすめてくれた理由は明確には教えてくれませんでした。おそらく、出向先で新卒採用に取り組むなど人事施策を大切にしてきたことを見てくれていたのではないでしょうか」と、当時を振り返ります。

3.2 will can mustを「自己棚卸」

資格取得後すぐに、資格の生かし方を学ぶため志師塾へ入塾しました。「受講した『先生ビジネス開発講座』では最初に行う『自己棚卸』が特に印象的でした」と、瀧井さんは語ります。

「25項目にわたり自分を語り、人生を言語化していきました。今まで、意識の表層になかった経験が次々に出てくることで、今までやりたかったことや成功してきたこと、できることが明らかになってきました。先生になりたかった幼少期、悶々としていた高校~大学時代、抜け出したかった営業時代、成果を上げた出向先での取り組み、それらの経験が棚卸しされていったのです」

このように自分の人生を振り返る中で、キャリアコンサルタント資格を生かすのであれば人材採用・人材育成に携わりたいという気持ちが明確になってきたのでした。

3.3 『あえて』トレンドに逆行

自己棚卸で自身のやりたいこと、できることが明らかになった瀧井さんが次に取り組んだのは、競合分析とポジショニング。
「現在の採用市場を分析すると、即戦力人材を求める企業のニーズから転職エージェントが隆盛を誇っていることがわかりました」

その転職市場から一線を画した新卒採用市場を瀧井さんは主戦場に置きます。そして、オンライン時代の中であえて対面中心のアナログで勝負を仕掛けます。

3.4 自分にあったオプション講座

瀧井さんの志師塾での学びは、「先生ビジネス開発講座」にとどまりませんでした。1期生として募集をしていた「人材採用マイスター」というオプション講座にも応募します。そこでは、人材採用のコンテンツを網羅的に学びました。

「自身のセミナーコンテンツにも一部を生かしており、今の事業に直接的に役に立っています

4.講座修了後のスタートダッシュ

4.1 人脈や採用に対する熱い思いが顧客を惹きつける

「人材採用マイスター」講座を受講された瀧井さんは、自身のコンテンツを磨き上げ採用コンセプトに関するセミナーを開講します。さっそく、昔からの付き合いのある方から申し込みを受け、受注につなげます。その後も、起業のための融資依頼を行った銀行からも声をかけられ、セミナーを実施するなどトントン拍子に受注につなげていきます。長年、食品業界で人と人とをつなげていくような仕事をされてきた瀧井さんならではの人脈を生かした結果でした。

また、「新卒採用」に特化していることもクライアントの興味を引くポイントになりました。中小企業の新卒採用が抱える問題を話すことで、全く別案件でやりとりをしていた企業がクライアントになる例もあったそうです。

4.2 新卒採用が抱える問題の解決の一助に

「新卒採用の現状には大きな問題があります」と、瀧井さんは言います。即戦力重視の風潮の中、多くの中小企業は新卒採用から撤退。自社に採用担当者がいなくなり新卒採用のノウハウが失われています。その結果、紋切り型の面接しかできず、会社にきたい人が来ないというミスマッチが生じています。

また、エージェント頼みになることで、採用数に比例し採用コストが増加することになります。業績が悪い時に採用数を抑えてきたことで世代ごとの人材の穴も生じてしまいます。

かたや、大手企業では新卒採用といったイベントに対してタスクフォースを組み、社員一丸となって取り組むことで人材交流が活発になり組織が活性化しています。
中小企業はリソースに制約があるから取り組むのは難しい、と思われるかもしれません。しかし出向時代に新卒採用を成功させ企業再生に至った経験を持つ瀧井さんは、工夫とノウハウ次第でできると、確信しています。

4.3 ノウハウ提供者ではなく「話し相手」に

瀧井さんが提供するのは表向き新卒採用支援ですが、実はそれだけではありません。
国家資格ながら弁護士や税理士などの士業とは異なり、キャリアコンサルタントには法律によって規定された独占業務は存在しません。また、単なるノウハウ提供者でもありません。

一言でいえば「話し相手」であること。もともとは話し上手の聞き下手と言われることもあった瀧井さんでしたが、キャリアコンサルタント資格習得にあたり話を聞く姿勢が磨かれたと、言います。それが「人材採用」「人材育成」にとどまらない瀧井さんの活躍の場を広げています。

今ではビジネス経験の抱負さと話を聞く姿勢が経営者の目に留まり、キャリアコンサルタントとしてではなく、経営者や従業員のための「相談役」として迎える企業もあるほどです。月2回ほど会社に訪問して様々な話をするといったいわゆる経営コンサルタントの「顧問」契約ですが、名は体を表すと「相談役」という役職名にこだわっています。

5.社会の津々浦々に自己肯定感が浸透する社会へ

自身の今までを振り返り、次の夢が見えたという瀧井さん。
「資格を取得し、志師塾でビジネス構築と人材採用に関するコンテンツを学び、フロントのセミナーとバックエンドの受注を得て、今は新しい夢ができました。先生になりたかった自分が先生になり、その先の姿も見えて本当にワクワクしているのです」

自身のビジネスを軌道に乗せつつある瀧井さんが、次に見据えるのは「全国どこででも、誰でもキャリア相談を受けられるしくみを作る」こと。キャリアの悩みは生きる悩みであると瀧井さんは語ります。

つまるところ、自分の人生と社会的に求められる役割の不一致がキャリアの悩み。仕事を持っている人・探している人だけではなく、専業主婦/夫やリタイアされた方も同じような悩みを同様に持っているのだと言います。

「キリスト教世界では、教会の懺悔室が悩みに対する相談の場となっている一方で、日本にはそのような場がありません」と、瀧井さんは憂えます。
「裏を返せば、国家施策として量産されたキャリアコンサルタントが活躍するカウンセリングの場がないとも言え、多くのキャリアコンサルタントが資格取得後の更新に二の足を踏むような状況でもあるのです」

「両者をマッチングし、キャリア(=生き方)相談を一般化させることで、社会の津々浦々に自己肯定感が広く浸透する世界を作りたい」
と、瀧井さんは力強くおっしゃいます。明るい顔をし、生き生きと働く人たちであふれる日本社会の未来が、その目にはありありと映っているようでした。

文:三田元気(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部

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