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人の本当の価値を見出し、組織を活性化することで地域社会に貢献する ~医療法人元事務局長の社会保険労務士~ 荒井紀洋さん

社会保険労務士として独立開業している荒井紀洋さん。その肩書は「医療法人元事務局長」です。他の社会保険労務士との差別化を意識して、医療機関で長年携わった「人事・労務」の課題解決をサポートすることを強みとしています。

会社・組織にとって経営の4要素である「人・モノ・カネ・情報」の中で、一番大事なものは何かと問われると、荒井さんは迷わず「人」と答えます。

「人に焦点を当て、医療機関の人事・労務をサポートすることで、医療機関の運営が安定し、ひいてはその地域住民が安心して暮らせるようにしたいと願っています」

そのような思いに至った経緯や、今後の展望について伺いました。

1.医療法人元事務局長の肩書を持つ社会保険労務士

1.1 採用を含めた組織運営が得意分野

2020年9月に社会保険労務士事務所を開業した荒井さんは、社会保険労務士でありながら、社会保険の手続きや給与計算等は苦手だといいます。

「私が得意とするのは組織運営です。特に医療機関の採用、総務、人事、労務など、理事長や院長のサポート的な役割が自分には合っていると思っています。人が集まって構成される組織がある限り、そこに私の仕事はあると思っています」

12年間勤めた医療機関では、社内広報誌の作成、未払い料金の徴収から経営会議運営に至るまで担当してきました。特に採用面では、原稿作成などの募集対応や面接などの採用試験、内定から入職までのフォローなどを担当してきました。

「本当に採用が必要なのか、現スタッフで対応できないかという採用自体の要否から、面接、内定までサポートして、最終的には定着して活躍してもらうことが大事だと思っています」

荒井さんは、単に人を採用するだけで終わらないようなサポートをしたいと常々考えています。

社労士の荒井紀洋さん2

1.2 人へのこだわり

会社・組織にとって経営の4要素である「人・モノ・カネ・情報」の中で、荒井さんは「人」を最重視しています。その理由をこう語ります。

「モノやカネはそれ自体に価値が決まっており比較的貨幣価値として見えやすいものだと思っています。カネについてはそのまま金額になりますし、モノについても査定することによって金額に換算することができます。ところが、人の価値は見えにくいですよね。年俸という形では示されるかもしれませんが、価値のある人が眠っている可能性もあります。そういった人たちが活躍して、しっかりと価値を見出せるように私の力で引き出していけたらと思っています。モノ・カネに比べてコントロールが難しいのですが、そこが面白さでもあると思っています」

1.3 人を大事にすることが地域貢献にもつながる

医療機関のスタッフや、医師・看護師は人手不足と言われ続けており、医療機関で働く人々の労働環境を良くしていくことが大事だと荒井さんは強く感じています。

「たまたま医療機関に勤務していたことがきっかけですが、過疎地域で医療崩壊してしまったら安心して住むことができなくなります。医療機関での労働環境を良くすることが、地域に住む人の安全につながる。そのためにも、医療従事者がしっかりと働ける、医療だけに専念して仕事ができる環境を作っていくことが大事だと思っています」

2.人との関わりから始まった社会人人生

2.1 小売業としてお客様に関わる

荒井さんが大学卒業後、最初に入社したのがホームセンターです。約100名の同期入社がいた中で、荒井さんはホームセンター事業に携わり、新規事業を任されます。

「カーポートや門扉を売っている事業部で、誰も担当していなかったところに新人数名が配属されました。私が責任者に任命され、誰に仕事を教わったらよいのかもわからず、取引先の営業マンに営業の仕方を教えてもらうなど模索しながら仕事をしていました。大変苦労しましたが、お客様に喜んでもらうということがいかに大事であるかを学べたと思います」

モノを売るだけではなく、お客様が本当に求めている価値を提供するということが大事であることを、ホームセンター事業を通じて理解できたといいます。

社労士の荒井紀洋さん3

2.2 公務員として地域住民に関わる

ホームセンターを退職後、荒井さんは地元の新潟県魚沼市に戻り、公務員として13年ほど勤務します。公務員の中には非常に優秀な方がおられて、大変刺激を受けたといいます。仕事にやりがいを感じ、残業もいとわず熱心に働いていました。

「上司が非常に厳しく、かつ丁寧に仕事を教えてくださる方だったので、その時に自分の仕事に対する姿勢が身についたと思います。周囲にも気を配り、長期視点をもち仕事をすることが必要であることを学びました。よく『段取り8割』といわれますが、臨機応変はノープランと同じ。事前の準備をしっかりすることの大切さを学びました」

公務員として仕事をする際、地域の住民にどうやって公務サービスを理解してもらうかを常に意識していたといいます。

「民間企業とは異なり、地域の住民は自分たちで住む場所やサービスを選べない。それが公務サービス。だからこそ、この地域の住民に満足してもらうことが大事なのです」

当時、市町村合併があり、他の市町村の職員と一緒に仕事をすることになりました。会社でいえばM&Aに該当しますが、お互いの意見をすり合わせて、落としどころを探り、調整しながら皆で合意していくことがいかに大事であるかに気付かされたとのことです。

「我を通すことは難しいが、かといって自分が主張すべきところは主張しなければいけない。自分の後ろにいる住民のことを考えて、自分が譲歩することで住民に不便があってはいけない。お互い引くに引けないという事態に直面しました」と荒井さんは当時を振り返ります。

2.3 社会保険労務士として活動を開始

学生の頃からコンサルタント志望だった荒井さんは、2008年に社会保険労務士の資格を取得します。ただし、社会保険労務士資格の勉強をしたかったわけではなく、人間はどうしたら一生懸命働くのか、働いてもらえるのか、組織はどうやったらうまくまわるのか、役職や階層といったものをどうしたらよいのかなどを勉強したかったといいます。

資格取得後、東京で社会保険労務士事務所のスタッフになりましたが、「所長でなければ資格者として意味がない」と感じて半年後に退職し、自分の事務所を立ち上げます。ところが運営がうまくいきません。営業力はない、コネもない、まったく新しい土地で何をどうしたらよいかわからないまま、貯金がどんどん減っていくことに恐れを感じ、事務所を閉じることになりました。

2.4 医療機関にて医療スタッフに関わる

社会保険労務士事務所を閉じて間もなく、都内の病院で人事関連の募集があり応募しました。幸いにも採用され、これを機に医療機関に携わることになります。実はこの募集に約200名の応募があり、荒井さんひとりが採用されました。

荒井さんにとって、今後士業としての強みとなる「人事・労務」に関して、この病院勤務で厳しく鍛えられたといいます。

「自分の決定により会社や組織がつぶれることもありうる。言葉の伝え方、文章の書き方なども習得しながら毎日残業して、厳しく鍛えられました」

その後、実家の祖母の介護もあって地元新潟の医療法人に転職しました。事務局次長という役職で入社し、すぐに事務局長に任命されました。外部から入った自分が事務局長という立場になり、医療法人で働く医師や看護師、スタッフをどうやって束ねたらよいのか悩みながらも前向きに取り組んだといいます。

「これまでの人事・労務の経験や知識が役に立ちました。対患者の暴力対策や、労務関係、看護師の勤務体制、行政の手続き関係など、医療機関の組織運営に幅広く携わるようになりました」

社労士の荒井紀洋さん4

3.志師塾との出会いについて

3.1 2度目の開業

医療法人の事務局長を経験したことで、さらに医療機関の組織運営に磨きをかけた荒井さんは、2度目の事務所開業を決心します。

「医療機関の先生方は毎日残業続きで時間が足りない。理事長や院長が人事や労務に困っている場面を多く見ました。医療機関の経営者の手助けになれれば、これは十分商売としてやっていけるのではないかと思ったのが起業したきっかけですね」

さらに、コロナウイルスの影響からZoomで会議ができることに気づいた荒井さんは、「近隣の事業所だけではなく、Zoomを活用することで事業領域は全国に広げられる」と確信したといいます。

3.2 志師塾への入塾

2020年9月に開業した荒井さんですが、なかなか顧客から声がかからず、DM(ダイレクトメール)を送っても、ホームページを作っても反応がない状況が続きました。

解決の糸口を模索している中、Facebookで志師塾の広告が目に留まりました。「私も先生業でしたし、広告をみて面白そうだったから」と、2020年12月に志師塾の門をたたきます。

年収目標など、志師塾の講師とはフランクに会話ができて気持ちも明るくなったと荒井さんはいいます。マーケティング力を鍛えるようアドバイスを受け、典型的な顧客像であるペルソナをしっかり設定することが重要であることを学びました。そして、時に人の痛みに訴求し、自分の商品が必要であることを伝える必要性も学んだとのことです。

「マーケティングはこれまで勉強していなかったし、体系立てて実施したこともなかった。抵抗はありながらも、そこまで深掘りして売り込まないと開業してもうまくいかないのだなと気づかされました」

3.3 志師塾で得られた人脈とマーケティング力

「志師塾に入塾して一番良かったことは、人脈が広がったことです。志師塾のOBよりお声がけいただき私のお客様になっていただきましたし、さまざまな人とのつながりから勉強会や打合せ、セミナーに参加することができました」

卒業後もOBや同期生とのつながりがあることが自分の励みにもなり、今後仕事が広がるきっかけにもなると、荒井さんは志師塾入塾のメリットを語ってくれました。

さらに、マーケティングについて学べたことにも満足しているとのこと。セミナーや名刺の作り方から、キャッチフレーズ・肩書まで、これまで開業した際に意識していなかったことが、事業を続けていくためにいかに大切かを学べたといいます。

「肩書が大事だと思いました。ただ単に社会保険労務士というのではなく、医療法人元事務局長の社会保険労務士と名乗ることで、誰を対象に何が得意なのかが顧客に伝わる。そこがポイントだと気づきました」

3.4 志師塾受講後の活動について

現在は、税理士や社会保険労務士と連携した事業を考えている荒井さん。志師塾OBにも税理士や社会保険労務士がたくさんおられるので、アプローチして協業したいとのことです。

「例えば、社会保険労務士で医療機関は苦手、採用が苦手という方とは協業できると思っています。私は社会保険の手続きや給与計算を行わないので、『皆さんが苦手に思う分野、採用だけでも任せてもらえませんか』という話ができると。うまく棲み分けながら協業していければ、お互いWin-Winになれると考えています」

OBを含めたくさんの仲間に色々な相談ができることを実感した荒井さんは、志師塾に入塾して本当によかったと熱く語りました。

社労士の荒井紀洋さん5

4.今後の展望について

ホームセンター、公務員、医療機関において、人と関わる仕事に携わってこられた荒井さんですが、人との関わりについて苦手意識はなかったのか、あらためて尋ねてみました。

「これまで経験した業務は他の人が嫌がる「調整役」を仕方なくやっていたのが本音ですね。性格など人によってさまざまですが、交渉する場において、引き返せないほど対立してしまっては意味がないですし、かといって自分が望むことはある程度認めてもらわないといけない。押したり引いたりという駆け引きも含めて、時には楽しみながら、時には苦しみながら、相手が何を考えているのかということを推測するのが大事だと思っています。その辺が私の得意なところなのかな」

荒井さんは、早期に自分の事務所で事業をしっかり立ち上げて、地元の人材採用も視野に入れて10~20人の態勢をつくりたいと考えています。将来的には、東京や大阪での事務所開設や、完全なバーチャルオフィスで社員全員がリモートワークという形態をとるなどの構想も持っています。

また、2022年4月11日に医療機関での人材採用を対象とした電子書籍を出版しました。荒井さん自身の実体験をもとに、人材採用に関する課題をどう解決したらよいかをマニュアル化しています。

「自分が提供するサービスで医療機関を助けることによって、地域に住む人が安心して住むことができれば、それが一番のやりがいにつながる」という荒井さんの思いは、ますます強くなっています。

文:吉川和明(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部

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