「キャリアコンサルタント」とは、キャリアコンサルティングを行う専門家で、その内容は「労働者の職業の選択、職業生活設計または職業能力の開発および向上に関する相談に応じ、助言および指導を行うこと」と定義されています(※)。
キャリアコンサルタントは職業能力開発促進法において2016年4月に国家資格化されました。少子高齢化や働き方改革、さらには新型コロナウィルスの影響により、社会や雇用の環境も大きく変化しています。
また近年では副業制度を柔軟に取り入れる企業も増えてきており、働き方そのものや人生における価値観などにも変化が表れ始めています。このような変化の時代に、相談者に寄り添いながら専門的な支援ができるキャリアコンサルタントの重要性が高まっています。
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本記事では、これからの時代に必要とされるキャリアコンサルタントの副業と、実際に副業する上での注意点について解説します。
(※)出展:厚生労働省ホームページ キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント
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1.キャリアコンサルタントの時代
近年は少子高齢化、労働力人口の減少、国際化、IT化、AI技術の進歩、人生100年時代など、様々な要素が入り組んだ複雑な社会環境に変化しています。働き方改革が推進されているものの、大企業・中小企業を問わず労働環境はさらに厳しくなってきています。
新型コロナウィルスの影響とも重なって、心の病気による休職・退職も大きな問題であり、復職や転職に悩みを抱える方も多く、支援が必要とされています。また、人生100年時代を迎えて定年後も働き続けることが当たり前となり、高齢者へのキャリア支援も必要となります。
働き手自身がキャリアを再確認し、自分のキャリアを形成していくことが求められています。キャリアを高めるには、企業から与えられた教育制度に従うだけではなく、身につけたい能力やスキルを自ら考えて行動することが必要です。労働人口の減少によりAI化が推進されていますが、誰かに悩みを聞いてほしい、相談したいといったことへの支援ができる専門家が求められます。
職業だけでなく人生設計も含め、働き手、企業側ともに相談できる存在として、今後さらにキャリアコンサルタントの重要性が高まることが予想されます。
2.キャリアコンサルタントのニーズ
厚生労働省が、キャリアコンサルタント10万人養成計画を打ち出しています。2024年度末までにキャリアコンサルタントを10万人にする計画であり、2021年5月末時点で約6万人のキャリアコンサルタントが登録しています。また厚生労働省では、企業向けキャリアコンサルティングを積極的に展開しており、特に中小企業向けに注力しています。
厚生労働省では、キャリアコンサルティングの活用事例を示しています。
- ・企業で働いている方の例:今よりいい仕事をするためにスキルアップしたいが何から始めたら効果的かわからない。
- ・学生の例:就職活動をしているが自分がどんな仕事に向いているのかわからない、就職面接でうまく自己アピールできない。
- ・仕事を探している方の例:次の就職に向けて資格などを取得したいがどのように選んだらいいかわからない。
キャリアコンサルティングを通じて、自分の適性や能力、関心などに気づき、仕事や能力開発の機会などを通して視野を広げ、自身のキャリア形成を考えていくことが大切です。キャリアプランを明確にし、そのために必要な知識・資格の習得や仕事の選択を行うなど、自身が希望するキャリアの道筋を実現していくための手段として、キャリアコンサルティングを活用することができます(※)。
また、厚生労働省のキャリアに関する相談の有効性アンケートによれば、約9割が「キャリアに関する相談(キャリアコンサルティング)が役に立った」と回答しています。役立った内容としては、「仕事に対する意識が高まった」、「自分の目指すべきキャリアが明確になった」が上位を占めており、キャリアコンサルタントへの期待は益々高まっています(※)。
さらにキャリアに関する相談は仕事面に限らず、生活スタイルや趣味、退職後の過ごし方など多岐にわたっています。
(※)出展:厚生労働省ホームページ キャリアコンサルティングの活用・効果
3.キャリアコンサルタントの副業
それではキャリアコンサルタントの資格を活かした副業にはどのようなものがあるのでしょうか。本業との二足の草鞋を履きながらもスタートしやすいキャリアコンサルタントの副業についてご紹介いたします。
3.1 資格養成機関でのサポーター
キャリアコンサルタント資格を取得するために受講した養成機関では卒業生を対象として、実技試験の受験生支援や更新講習、養成機関受講生向けのサポートなどの仕事を募集しています。
このような養成機関では、各労働局の求職活動支援セミナーや自治体の雇用関係・キャリア形成支援の事業を受託しています。自治体や公的機関などからの委託事業が発生した場合に、随時、就職支援セミナーの講師やキャリアコンサルタントとしての業務を委託するケースもあります。
出身校であれば講師や事務局の方もよく知っていることから、副業としてスタートしやすい仕事と思われます。
3.2 個別カウンセリング
就職活動の合同説明会では、企業や就職希望者が集まって就活セミナーが行われ、個別ブースでキャリアコンサルタントが就職希望者の相談に応じるというケースがあります。無料相談所という形で、30分1本の時間枠で相談に応じるという内容です。
実際に相談者と向き合ってカウンセリングを行い、実績を作る機会にもなります。このような説明会は土曜日や日曜日に開催されることが多いことから、副業としてスタートしやすい仕事と思われます。
3.3 外部委託会社への登録
新型コロナウィルスにおける社会環境の変化から、コーチングやキャリアコンサルティングを外部委託する形で取りまとめている企業が増えつつあります。ある企業では、キャリアだけにとどまらず幅広くサポーターを募集していて、個人や企業などがサポートを利用したい場合にサポーターと結びつけるようなプラットフォームを提供しています。人材登録制でキャリアコンサルタントも募集しており、副業の方も登録することが可能です。
仕事や転職、キャリア開発などに悩みがある人とコンサルタントを結びつけるというビジネスで、こういった場所にもキャリアコンサルタントの副業機会があります。
3.4 外部セミナー講師
ハローワークでは求職者への就職支援セミナーを開催しており、こうしたセミナーの外部講師をキャリアコンサルタントに依頼することが多いです。セミナー内容としては、自己分析や求職活動の方法、応募書類の書き方、面接の受け方などになります。
このようなセミナー講師はスポットでの採用や短時間勤務も選択できることから、キャリアコンサルタントの副業の一つとして考えてみてもよいと思います。なお、セミナーは頻繁に行われているため、募集については日頃からハローワークのホームページなどをチェックしておくことをお勧めします。
3.5 オンラインカウンセリング
新型コロナウィルスの影響もあり、最近ではオンライン上での副業も盛んに行われるようになってきています。個人でSNSやホームページを活用してカウンセリングを募集するケースも増えており、Zoomを活用したオンライン上でのカウンセリングなど、対面で行うカウンセリングとも遜色ない内容となりつつあります。また、オンライン上であれば地域を限定することなく日本全国の相談者をサポートすることが可能となります。
SNSやホームページを公開しているのであれば、これらを通じてオンラインコンサルティングの依頼をもらえるよう、自身のキャリアコンサルタント活動をアピールしましょう。こういった場所にもキャリアコンサルタントの副業機会があります。
3.6 今後副業として広がる可能性のある支援業務
3.6.1 セルフキャリアドック
セルフキャリアドックは、企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取り組みです。(※)
セルフキャリアドックは企業外のキャリアコンサルタントも行います。外部の人間であるため社内とのしがらみもなく、第三者の立場での面談やキャリア相談が行えることから社員にとっても話がしやすいというメリットがあります。
(※)出展:厚生労働省ホームページ 企業に対するキャリア形成施策の紹介
3.6.2 メンター支援
メンター支援は企業内の社員(メンティー)に対して、公私ともに相談できるメンターが支援や助言を行う制度です。メンターは企業内の上司や先輩社員だけでなく、企業外キャリアコンサルタントも行います。セルフキャリアドックと同様に第三者の立場で相談が行えることから、上司に言いにくい仕事上の悩みや不安の解消につながるメリットがあります。
これらの支援については企業内キャリアコンサルタントで対応することが多いのが現状ですが、今後の国や政府による取り組み強化や社会環境の変化によって、企業外のキャリアコンサルタントにも副業として間口が広がる可能性があります。
このように、キャリアコンサルタントは専門性が高く社会的ニーズもありますが、個人事業主として顧客獲得するためにはライバルに勝つ「選ばれる理由」を明確にすることが大切です。
選ばれる理由の作り方について詳しく知りたい方は、こちらの動画をご覧ください。
タイトル:【選ばれる理由:差別化戦略】ライバルに負けない集客!
4.副業する上での注意点
4.1 プロとしての責任を持つ
副業とはいえ対価を得ることになりますので、プロフェッショナルであるという意識を強く持つことが重要です。キャリアコンサルタントに関わらず、求められる品質のものを決められた納期までに提供することが副業を行う上での大前提となります。副業であっても全力で取り組むことにより顧客からの信用が得られ、その信用が次の仕事にもつながります。
4.2 スキルアップを忘れない
副業であれ、本業であれ、自分自身の能力向上に向けた学習は必須です。キャリアコンサルタント資格の更新研修だけにとどまらず、勉強会への参加やキャリアコンサルタント同士の交流も積極的に行うことが重要です。お互いに意見交換しながら人脈をつくり、自分の得意とする分野を明確にして周りにもアピールしましょう。このような交流から仕事の機会を得られることも期待できます。
4.3 本業と副業のバランスに注意
仕事を引き受ける以上、途中から、「本業が忙しいのでできません、間に合いません」という言い訳はしてはいけません。本業での稼働状況・負荷状況を踏まえて、副業の仕事量や副業を行うタイミング、その仕事を受けるかどうかなどを判断する必要があります。日頃から本業・副業ともに仕事のスケジュールや仕事量の管理をきっちりと行う癖をつけましょう。
5.まとめ
キャリアコンサルティングとは、相談者にとって望ましい職業の選択やキャリア開発の相談に応じるだけではなく、より幸せな人生を送るための支援でもあります。
社会の変化とともに働き手の環境が大きく変わり、働き方の多様性が認められる時代において、ますますニーズが上がるキャリアコンサルタント。新型コロナウィルスの影響によって個々人がキャリアを見直す局面にあり、国や政府もキャリアコンサルタントのニーズが高まると考えています。
副業解禁の流れが進む中、キャリアコンサルタントとしての活動の幅を拡げ、経験と実績を積み重ねるチャンスでもあります。本業に近い仕事に携わっている相談者であれば、その業種独特の悩みも理解した上で支援ができます。さらには、キャリアコンサルタント本人も副業を通じて本業の専門性を高めることができます。
キャリアコンサルタント資格が活かせる場として、副業も選択肢に取り入れてみてはいかがでしょうか。
文:吉川和明(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部