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行政書士の年収を上げていく方法

行政書士で多くの年収を稼いでいるのは、どんな人達でしょうか?実は行政書士は「稼いでいる人」と「稼げていない人」の差が、とても大きいです。せっかく行政書士として事業を行うのであれば稼げる行政書士を目指したいですよね。では、どのような行動(計画を立てれば)をすれば、稼げるようになるのでしょうか。

実際には、年収1億円以上を稼ぐ行政書士がいらっしゃるので、やり方や努力次第では年収を上げられる可能性があります。今回は行政書士が年収を上げる方法について解説をしていきます。

1.行政書士の年収

1.1 年商1,000万円超の行政書士

まずは行政書士の年収のデータからみていきます。日本行政書士会連合会の会員サイトでは、平成30年Webアンケートで年間売上高の調査結果が報告されています。そのデータによると行政書士の平均年収は400~450万円と推定されております。

年間売上高(年商) 割合
500万円未満 78.7%
500~1,000万円未満 11.3%
1,000~2,000万円未満 5.3%
2,000~3,000万円未満 1.8%
3,000~4,000万円未満 0.8%
4,000~5,000万円未満 0.5%
5,000~1億円未満 0.8%

データをみると残念なことに年間売上高500万円未満が約8割を占めます。売上から事務所の家賃や広告費などの経費を引いた金額が利益、つまり年収になるので、約400~450万円前後が行政書士の平均年収と考えられます。

データを考察すると、やはり大半の行政書士が稼げていません。その反面、全体の約10%は1,000万円以上稼いでいる行政書士がいらっしゃいますので、稼げている人と稼げていない人でかなりの格差があることが分かります。

ここまで聞くと、大半の行政書士よりも一般企業に勤める会社員の方が稼げるのではないかと思ってしまいますが、他のアンケート項目から行政書士像全体を見ていくと違った見方ができます。

年齢構成では61歳以上が55.5%の約半数で、70歳以上が約2割、業務履歴で20年以上が28.2%と約3割となっております。その人物像を想定すると会社員や公務員で定年後に行政書士を始められた方や、高齢で20年以上の業務経験があるベテランが多いことが分かります。70歳以上の方だと年金も受給しており、ワークライフバランスを考えて300万円程度で充分だと考えている人達が多いことが推測できます。

つまりは専業で行政書士をしている人は限定されており、全体の上位1割の年収1,000万円以上を稼いでいる行政書士は、全体の約半数を占める現役世代の行政書士と言え、十分に稼げる可能性がある資格なのです。

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1.2 行政書士業務の報酬単価

行政書士の仕事は、大きく分類すると➀官公署への許可・認可等の申請書類の作成、②権利義務に関する書類の作成とその代理・相談、③事実証明に関する書類の作成とその代理・相談とありその中に数多くの業務がありますが、業務内容によって当然ながら単価が異なります。

主な仕事である行政手続き全般の中でも申請業務数が多く、その中で高い年収を期待できる業務として、薬局を開設するために必要なさまざまな申請を代行する「薬局開設許可」があります。

他にも行政書士の高単価な業務として、「産業廃棄物処理業許可申請」「帰化許可申請」「遺留分特例に基づく合意書の作成」などもあるので、市場の状況からそもそも稼ぎやすい業務を選択していくのが1つ方向性です。どの分野も専門的な知識や申請ノウハウが必要となり、申請手続きの難易度が高いので申請書類の代行を委託したい事業者の潜在的なニーズある業務です。

このように需要が高く、報酬単価が高い分野を選択することは、稼ぐためには重要なポイントとなります。

報酬単価が高い行政書士

2.専門の行政書士サービスを構築

2.1 仕事が多くても稼げない

行政書士が開業するにあたり「各種書類申請何でもできます」とPRして、何でも仕事を受けたとしましょう。仮に仕事をたくさん受注できたとしても、単価の低い仕事が多いと忙しいのに稼げないといった負のスパイラルに陥ってしまう可能性があります。

売上は客数×客単価のため、単価が低い仕事で売上を上げるためには客数を増やしていくしかないのです。また単価が低い業務は、価格でしか判断されない傾向にあります。元々競合が多い行政書士の業界において、価格競争に巻き込まれると、単価を下げることでしか仕事を受注できなくなります。忙しいのに稼げないという状況に陥らないような対策が大事なのです。

2.2 専門分野を見つける

自分自身がどの分野の専門家になりたいのかを、明確にする必要があります。単価が高いことに加えて、やりたいこと、好きなこと、継続できることかどうかなども検討し、業務をこなしながら専門分野を決めていくことが大切です。また専門分野の選定においては、その分野のターゲットとなる顧客を絞り込む必要があります。

ターゲットとなるお客様のニーズを考慮して、専門分野を見つけましょう。需要がある分野としては、産業廃棄物業務や古物商業務、遺言相続業務などの業務があります。

また、ドローン飛行許可申請など時代の潮流に合わせた新しい分野も生まれています。例えば「産業廃棄物」専門の行政書士と、その専門分野を名乗ることで、何の専門家なのかが明確に伝わるので、お客様から選ばれやすくなります。

2.3 独自のサービスを作り込む

お客様から仕事を受注するためには、差別化された自分自身のサービスを作り込む必要があります。例えば、チラシやメニュー表となる価格表を作成して、どんな商品がいくらなのか明確にするツールを作成します。どのような業務をしているのか見えづらい行政書士の業務においては、このメニュー表の作成によってお客様が安心して業務を依頼できるようにします。

また見積においては項目ごとに細かく作り込んでいきます。たとえば、申請書作成一式という表記の見積もりではなく、項目ごとに単価をつけて、見積もりを細分化することで、付加価値を付けて単価を上げていきます。

お客様にとっても見積もり内容が明確なことで依頼しやすくなりますし、あれもこれもやってほしいと後々ならないように、業務内容を明確にした見積書の作成は重要となります。

受注を獲得した行政書士

3.行政書士が集客力を高めて仕事を受注

ターゲットが明確になり、自信のあるサービスができました。といっても、これだけでは稼ぐことはできません。大事なのは、その商品を購入して頂くための「集客」と「受注率」です。ここからは効果的な集客方法と受注率向上について解説します。

3.1 ホームページを活用する

集客のためには、広告宣伝が必要になります。その中でも最も有効なのは、ずばりホームページです。このホームページは、ただ作ればいいということではないんです。

当然ながらある程度見栄えがよくて、信頼できる行政書士の先生と思ってもらう必要があります。サービスメニューやデザイン性、先生の顔写真があるプロフィールや専門分野が明確であることが重要になります。サービスメニューごとのランディングページに誘導して、サービスごとのメニューを分かりやすく説明することも有効です。

またホームページの中にはブログを掲載することが有効です。ブログではターゲットとなるお客さんに向けて、法改正の情報、申請書類のルールやノウハウ、世の中の動きに合わせたトレンドワードに関連した記事など、検索されやすいキーワードを意識して独自性のある情報を日々発信する必要があります。お困りごとを解決するような情報を継続的に受け取ってもらうことで、関係性を構築でき、ファンを獲得することができます。ブログでは更新頻度と質の両方を高められることが大切です。

3.2 セミナーを開催する

もう一つ有効な集客方法がセミナーです。まずセミナーの開催準備にあたり、資料を作り込みます。独自性、アイデア、企画力、柔軟な発想とご自身の経験やノウハウを棚卸して、独自のコンテンツを作れば、お客様に高い満足感を与えることができます。

セミナーの形式は会場での集合式のものや、オンラインでのセミナーと幅広くあります。それぞれにやり方が違うので、試行錯誤すると共に常に顧客目線に立って日々改善することが大切です。加えてパンフレット・チラシなどの販促ツールもある程度しっかりしたものを作り込みアピールしていきましょう。

また集客においてはSNSの活用は必須です。Twitterでは拡散を狙って新規顧客の開拓、Facebookでは既存顧客への継続的なフォローとして使い分けて活用します。

セミナー終了後にはすぐにお礼の連絡を入れフォロー(関係性の維持)することで、成約率を上げることができます。

行政書士のセミナー講演

3.3 ストーリー性と選ばれる理由を発信する

ホームページでの情報発信やセミナーなどで集客したお客様に対して接点をもつことができました。そして一番肝心なのが、この場面で受注につなげられるかどうかです。お客様はサービス内容だけでなく人間性を見ています。

ご自身が作り上げたホームページやセミナーなどの媒体でストーリー性を提示することで、お客様の感情を揺れ動かし、選ばれる人物像を作り上げましょう。そして、お客様の困りごとを常に考えて情報発信を続けて、仕事を受注していくのです。

4. 行政書士の年収を上げる

4.1 仕事の幅を広げて、単価を上げる

行政書士の多くは、書類申請の業務をスポットで受注する「書類作成の代行屋」になってしまうという悩みを抱えています。

より稼いでいくためにはスポット業務から、定期的な業務につなげるようなビジネスモデルの仕組み作りが必要なのです。そのためには、書類申請のヒアリングの段階で、自分が出来ることをメニュー化して提案をしていく必要があります。

行政書士と見込み顧客の商談

たとえば、会社設立や許認可の段階でお客様との設定がある行政書士は、事業をしていくお客様に融資、事業計画書、売上アップやWeb集客など、1歩踏み込んだお手伝いをするチャンスがあります。そして、その提案が採用されて信頼を得られれば、コンサルティング業務や顧問契約を獲得することができ、単価も上がり安定した収入を得ることができます。

そのためには、世の中の動きに敏感になり、常に新しい情報をキャッチし向上心をもって勉強していき、貪欲にビジネスチャンスを探求していく姿勢が、年収アップの秘訣となります。

4.2 他士業との協業でネットワークを作る

コンサルティングの業務を行っていくと行政書士だけでは扱えない分野の仕事のニーズが出てきて、他士業の先生と協業してパートナーシップを組んでいくことが必要になります。

例えば、登記であれば司法書士、税務は税理士、人事労務は社会保険労務士、不動産の鑑定は土地家屋調査士など、それぞれの士業の独占業務については共同で業務を行い業務の領域を広げていくことで、お客様に付加価値を与えることができます。

このように行政書士の年収を上げるにためには、常に世の中の動きに敏感になり、新しい情報を得て向上心を持って勉強すること。貪欲にビジネスチャンスを探求していく姿勢がとても重要になります。

笑顔の行政書士

5.まとめ:行政書士が年収を上げる方法

行政書士の年収について解説させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。多種多様な書類を扱う行政書士。登録者数も多く競争が激しい世界において稼ぎ続けていくには、お客様のニーズを捉えて常に変化に対応していく柔軟性や、新しいものを取り入れていく探求心を持ち、コミュニケーション力や営業力によって高単価な受注を獲得していくことが必要となります。

自分が好きなことや得意な分野を独自の分野として開拓していく必要があります。行政書士の核組みにとらわれるのではなく、自ら仕事を作り出していく発想が重要であり、他士業とも協業して、質の高いサービスを提供することで顧客満足度が高まり、年収がアップしていくのです。

文:山口晋(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部

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