飯田康博(いいだやすひろ)さんは、不動産経営コンサルタントとしてオーナーであるお客様に寄り添う立場で不動産経営をサポートし、資産を増やすアドバイスをしています。
前職の不動産管理会社でマーケティング、ファイナンス、相続などの幅広い分野の知識やスキルを磨いてダントツの契約実績を獲得。コンサルタントとして自信を持って独立しますが、当初は思うように契約を獲得することができませんでした。
厳しい状況の中で入塾した志師塾で契約獲得のための「フレーム」を学び、実践期間に何度もブラッシュアップを繰り返します。その結果、新規契約を獲得できるようになり、売上も増えて徐々に安定するようになりました。
「不動産経営を通じて資産を増やし、豊かな人生を送る人を増やしたい」という飯田さん。今回の取材では、飯田さんのビジネスの方針、志師塾をどのように活用したか、今後実現したいことなどをうかがいました。
1.次世代に渡り不動産経営をサポート
1.1 ビジネスの方針は「お客様に寄り添うこと」
不動産経営コンサルタントである飯田さんの主なターゲット層は、アパートや土地などの資産規模3億円~5億円の個人オーナーや10億円~20億円の事業経営者です。ビジネスの方針は徹底してオーナーであるお客様に寄り添い、最善のアドバイスをすること。そのため、オーナーの手足となり一緒に仕事をすることで、従業員と思ってもらえるような関係の構築を心がけています。
飯田さんがビジネスの方針を「お客様に寄り添う」としている背景は、不動産オーナーが複雑な利害関係者に囲まれていることがあげられます。具体的には、以下の三者がオーナーの主な利害関係者ですが、彼らはパートナーである一方で、オーナーにとって不利になる話を持ちかけるような利益相反の関係になる相手も存在します。
(1)不動産管理を委託する「不動産管理会社」
(2)お金を借りる「銀行」
(3)税金の支払いでお世話になる「税理士」
例えば不動産管理会社は、物件の回転率を高めるために相場より安い家賃を設定したり、本来入居者が負担すべき修繕費もオーナーの負担にするなど、入居者が有利になるよう振る舞うケースがあります。また銀行にはお金を貸す代わりに、投資信託など金融商品を抱き合わせで売ろうとする商売人の側面があります。
このような状況にあるオーナーと信頼関係を築くためには、利益相反がない立場で寄り添う姿勢が非常に大切になります。
1.2 コンサルタントとしての立ち位置
不動産経営は長期的な視点が不可欠であるため、飯田さんは他の業界のコンサルタントとは立ち位置が違うと言います。「通常、他の業界のコンサルタントはプロジェクト型で、短期集中のパターンが多い。でも自分の場合は不動産経営という性質上、お客様とは短期ではなく長期的な付き合いになり、2世代に渡ることもあります。そのため、行動理念でも『契約がゴールではなくスタートである』ことを明記しています」
飯田さんの強みや同業他社との差別化ポイントは明確です。「専門的で難しい内容でもわかりやすく説明するスキルには長けていると思います。オーナーがおじいちゃんやおばあちゃんのような年配の方の場合もありますから、コンサルタントには非常に重要なスキルです。柔らかい雰囲気で相手が話しやすいと思ってもらえるポジショニングも自分の特徴ですね。現場からの叩き上げで実務経験もあり、マーケティングや経営の知識もありますから、不動産の紹介や売買のアドバイスしかできない他のコンサルタントとは立ち位置が違います」
1.3 幅広い分野の知識習得
不動産経営コンサルタントとして必要な知識は、マーケティング、建物関連の法規、相続対策など幅広い分野に渡ります。新卒の頃から不動産業界に携わっている飯田さんは、必要な知識に対応する資格の取得を通じて知識習得を積み重ねているため、業務経験だけでなく適切な理論に基づく判断ができることも強みになっています。
これまで飯田さんが取得した資格は、CPM(米国不動産経営管理士)、FP技能士、賃貸不動産経営管理士、相続対策コンサルタントなどです。特にCPMは世界基準で決められた不動産経営に関する国際資格として、マーケティング、ファイナンス、投資理論など不動産経営に必要な知識を網羅的に学ぶことができ、飯田さんにとってもっとも重要な資格だと言います。
「CPMの主催団体IREMはクライアントの資産形成を目的としているので、団体の考え方や主義主張は自分の根幹になっていますし、CPMのテキストはコンサルタントとして起点になる書籍の一つです」
2.独立して気づいた自分に足りなかったもの
2.1 前職ではダントツの実績を達成
意外にも20代前半までの飯田さんは、仕事よりも休みの充実を優先する普通のサラリーマンだったそうです。しかし当時勤務していた会社で、不動産管理契約の新規獲得という会社として新しい事業を担当したことをきっかけに、「誰よりも働いて誰よりも勉強した」と言うほど仕事にのめり込みます。
その結果、この時期に取得したCPMなどの資格で得た知識も生かし、獲得した契約数は2位に5倍以上の大差を付けるほどのダントツ1位の実績を達成するようになります。しかし、当時の会社の方針と自分の目指す方向性との間でギャップを感じ始めたことやこの分野のコンサルタントとして誰に負けない自信もあったため、30歳を過ぎて独立を決断します。
2.2 独立後は厳しい状況に直面
いざ独立すると、前職とは契約を獲得するためのアプローチが変わります。不動産オーナーと直接交渉するのではなく、オーナーを紹介してくれる仲介者にアプローチする必要がありました。そのため、前職の実績や培った人脈などを生かすことができず、契約を獲得できない状況が続くことになります。
「前職の実績は、独立後の不動産管理の契約獲得にはまったく役に立たなかったんです。仲介者に対し、オーナーを紹介したいと思ってもらえるプレゼンテーション能力が自分にはないことに気付かされました」
3.志師塾での学びを生かして新規契約を獲得
3.1 五十嵐さんの著書が入塾の決め手に
不動産経営コンサルタントとして憧れていた方が志師塾に入っていたこともあり、飯田さんは2022年8月に入塾します。飯田さんが志師塾で特に素晴らしいと思ったのは、塾長である五十嵐さんの著書「先生ビジネス“マーケティング”の教科書」が理論的で非常にわかりやすかったことでした。
「五十嵐さんの著書は、無形商材を商品として提供するためのノウハウが体系立てて整理されていたので、まさに目からウロコでした。非常にわかりやすくて、すっと入ってくる感じでしたね。他のコンサルタントの方が話していた内容や話し方なども納得できるようになりました。すごくよかったので、入塾する前提でセミナーに参加しました」
3.2 魅力は学んだことを実践できる環境
飯田さんにとって志師塾の魅力は、前半の講義で学んだことを後半の期間に実践できる環境を提供してくれることでした。自身のポジショニングやペルソナの設定の仕方、自己紹介や無形商材である自分の商品をわかりやすく相手に説明するための考え方などの概念である「フレーム」を講義で学び、実践期間の活動に生かすことで、学んだことを実際に使えるまで落とし込めたことは非常に大きかったと言います。
「自分の仕事のフレームへの落とし込みは大変でしたが、それを使って異業種異業態の志師塾受講者にプレゼンすることはさらに大変でした。フレームのブラッシュアップを何度も繰り返すことで理解を深め、自分のものとして使えるようになったことが実際の契約獲得につながりました。入塾前は試行錯誤だった自己紹介は、『国際資格を持った不動産管理のコンサルタントがオーナーの悩みを無料診断する』といったシンプルな内容をベースに、相手に紹介してもらえるための工夫をしています」
志師塾では目に見えずプロモーションが難しい無形商材の特徴を捉えて、ペルソナをより密度の濃い「小人」と呼び、顧客層ではなく特定の顧客像まで落とし込みをします。「小人」を明確にしたうえでマーケティングの内容を徹底して検討し、施策の有効性を高めることで顧客獲得率を向上させる考え方は、志師塾の特徴と言えそうです。
志師塾での学びを実践する活動を通じて、飯田さんは受講期間中に8件もの新規契約受注を達成します。この結果には飯田さんもかなりの手応えを感じることができたそうです。
「ツテを使わずまったくゼロから獲得した受注ですし、法人のお客様も数社受注できたので今後の単価アップも期待できます。独立してやっていける手応えを感じましたし、自信も取り戻し始めました。自分としては上出来だと思っています」
3.3 仲間がいたから困難を乗り越えられた
志師塾のカリキュラムを生かしながら新規の契約獲得を実現した飯田さんですが、入塾から契約を獲得するまでの数ヶ月の間に、預貯金が底をつきそうな状況に追い込まれたことがありました。一番少ない時の預貯金の額は法人と個人を合わせてわずか6万円。3人のお子さんがいる飯田さんにとってかなり厳しい状況です。
「当時、支出は月40万円以上あるのに収入は対応中の案件1件のみで16万円しかなかった。本当に首の皮一枚の状態でした。その時期は会社員に戻ることも考えて、転職エージェントにも登録していました。もし、一人でビジネス書を読んで勉強した内容を実践するようなことをしていたら、当時の困難を乗り越えることはできなかったと思います。志師塾という場にいて、仲間や先生の励ましがあったからこそ乗り越えられたんです」
実際に仲間や先輩から、「経営している会社が厳しい状況を乗り越えた時の話や、事業がうまく行かず自己破産した後に別の会社を立ち上げた方の体験談」など直接現場の話が聞けたことで、他の方も同じような苦労をされていることを知って勇気づけられ、自分もこの困難を乗り越えられるはずと思えるようになったと言います。
志師塾では、他の受講生の方と3万字におよぶ自己棚卸を共有するそうですが、厳しい時期に応援してくれた「同じ釜の飯を食べた仲間」との強い絆は、飯田さんにとって他では得られない貴重な財産になりました。
3.4 志師塾を活用するための条件
志師塾の受講生のみなさんは、受講料や費やす時間も考慮し覚悟をもって入塾を決断されていますが、飯田さんが考える「志師塾を有効活用し成果を出すための条件」は、大きく2つあります。
一つは事業や自分自身の課題が明確であること。例えば、独立直後で事業環境や対応すべき課題がまだ見えていない状況で入塾すると、講義で素晴らしい理論を学んでも実践できずに終わってしまうリスクが高まります。適切なタイミングで入塾することも志師塾で成果を出すための重要な条件だと言えそうです。
もう一つは前半の講義期間中からペルソナである「小人」を明確にしてテストマーケティングを行い、その結果でバックエンドの商品を磨き上げていく活動を始めることです。後半の実践期間に入ってから活動を始めても、6ヶ月という短期間では成果が出せないリスクが高まります。
志師塾は自分の事業をどうしたらよいか教えてくれる場ではなく、学んだ理論などを使い自分のビジネス業態を自ら作る場であることをしっかり認識したうえで、受講を決める必要がありそうです。
3.5 志師塾には自分を磨くために来てほしい
飯田さんから志師塾への入塾を検討されている方に対して、「自分のビジネスを実践して試す場で、何度も失敗できる環境がある。興味がある方は自分を磨くために来てほしい。志師塾独自のフレームを習得することで、その概念を使って自分のビジネスを発展させることができるはずです」というメッセージをいただきました。
講義期間中に出される大量の宿題をこなすことは、飯田さんでも相当苦労されたようです。その中でも自身の課題に対して真剣に向き合うことができれば、「受講生との人脈形成ができた」という感情的なものだけでなく、新規契約獲得など具体的な事業の成果をあげられるはずです。
4.今後目標にしていること
4.1 まずは安定した年収の獲得
飯田さんの今後2~3年の目標は、安定して一定の年収を取れるようになること。そのためには客数を増やすことよりも、効率よく売上拡大が見込める既存顧客の単価アップに注力し、現在の年収約1,000万円を3年間で3,000万円程度まで増やすことを目標にしています。
修繕計画立案や相続対策など、飯田さんの幅広い業務への対応力を生かしたスポット案件を獲得することで、かなりの単価アップが見込めそうです。さらに、今後無料オンラインセミナーを開催し、参加者に対して個別の有料講座やコンサルテーションを提供することで、顧客数を増やすことも計画しています。
もう一つ飯田さんが直近で実現したいことは、都内に事務所を構えること。仕事は都内になることが多く、現在の拠点である埼玉からの移動が大変であることが主な理由ですが、「都内に自分のお城を持ちたい」という我欲に近い想いもあるそうです。
4.2 不動産リテラシーの向上に貢献したい
「不動産経営を通じて豊かな人生を送ってほしい」という想いから、不動産リテラシーを高める活動をしていくことが飯田さんの中長期の目標です。そのためには自分一人でなく、同じ意志をもつ仲間といっしょに全国を対象にした情報発信のしくみ作りを目指しています。その背景には、不動産業界は村社会の傾向が強く有益な情報に触れる機会が少ないという業界特性もあるようです。
「リテラシーが低いと騙されて、結局お金がなくなってしまう現状を知ってもらいたい。オーナーが豊かな人生を送るためには、リテラシーを高めることは絶対に必要です。お金を貯めるためにモノに働いてもらう概念をしっかり持つこと。そのうえで金融リテラシーを高めつつ、不動産リテラシーも高めてお金を貯める方法を学んでほしい」
飯田さんが自ら主催するビジネス書を題材とした意見交換会は、経営やマーケティングの知識を深めるだけでなく、参加者である他の士業の方の考え方を学ぶ目的もあるようです。今後飯田さんには、他の士業の仲間など様々な領域の専門家と連携してビジネスを拡大し、全国の不動産オーナーの人生を豊かにするだけでなく、地域経済の活性化にもつながるようなスケールの大きい取り組みが期待できそうです。
文:古野誠治(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部
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