「ネイティヴスピーカーのように英語が話せたらいいな」誰しもそんな願望を抱いたことがあるのではないでしょうか。Cheer English School(チアー・イングリッシュ・スクール)代表の石川雅己さんは、自身の経験をもとに、初心者や苦手意識のある人向けの英会話指導方法を確立しました。
自身を「超簡単エンタメ英会話講師」と呼ぶ石川さん。エンターテイメント性抜群の手法で、どんな人でも最短10か月でアメリカ人のように楽しく陽気に英語コミュニケーションがとれるようになるそうです。「英語を楽しく教えることを通して、一人でも多くの人に人間らしく生きる大切さを伝えたい」そんな思いを胸に日々奔走する石川さんにお話をうかがいました。
1. 肩書は「超簡単エンタメ英会話講師」
1.1 授業はいつもエンターテイメント
都内某所にある自宅の一室、それが石川さんの職場です。室内での授業もありますが、最近はオンライン会議ツールを使ったものが主流。パソコンのモニター越しに数名の「パートナー」と基礎的な英語のやり取りを交わします。パートナーとは、石川さん流の生徒たちの呼び名。一緒に授業を作り上げる同志に対する親愛の念が込められています。
そして授業では、石川さんもパートナーたちも、大きな声と全身を使ったジェスチャーを交えて、英語を楽しみながら話すのです。これこそが石川さんの流儀。自身を「超簡単エンタメ英会話講師」と呼ぶゆえんです。
1.2 英語授業における3つの約束
石川さんのスクールでは、英語を学ぶ前提として、正しいマインドセットを持つことの重要性を教えています。そのため、生徒には授業における3つの基本行動を実践するよう約束してもらっているそうです。
それは、元気よくあいさつすること、恥ずかしさを悪と考えること、そして、分からないときは分からないと言うこと。「これらを実行することで、カタカナ英語を排除して最短で英語を正しく話すことができるようになるのですよ」そう話す石川さんの信念は、若き日の自身の経験に基づいたものなのです。
2. 原点は海外での苦い経験
2.1 偶然当たったアメリカ旅行
石川さんは1967年、静岡県藤枝市で生まれました。ひとりっ子で、小さい頃はサッカーや野球に明け暮れるスポーツ少年だったそうです。
石川さんにとって人生の転機となったのは、小学校4年生のときに起きたある幸運な出来事。テレビの野球番組の懸賞に応募したところ、思いがけず当選し、アメリカ西海岸への旅行の機会を得たのでした。父親と一緒にMLBの球場を回ったり、メジャーリーガーのサインをもらったりして、とても楽しい思い出だったそうです。
ただひとつ悔しかったのは、英語が話せずコミュニケーションがとれなかったこと。「いつかアメリカ人のように英語を話してみたいな」そんな願望を胸に抱いた旅行でもありました。
2.2 単身挑んだアメリカ留学
小学校、そして中学校を卒業し、一旦は地元の高校に進んだ石川さんですが、この時になっても英語習得への熱い思いを失うことはありませんでした。
高校2年生の夏、とうとう独断でアメリカ・テキサス州にあるMc Allen high school(マックアレン高校)への入学願書を提出します。編入許可を知らせる手紙が送られてきて初めて事態を知ったご両親は、非常に驚き、猛反対をしました。それでも最後は石川さんの強い思いに負け、快くアメリカへ送り出してくれたそうです。
2.3 恥ずかしさは悪
しかし、この留学は苦い経験で幕を開けることになります。自信があったはずの英語が、日本人特有のカタカナ発音が災いし、現地でまったく通じなかったのです。これはとてもショッキングな出来事でした。
しかし、そこで折れないのが石川さん。「恥ずかしさを捨てて前に出て行かなければ何も始まらない」周りに日本人がひとりもいないなか、そう悟った石川さんは、ことあるごとに近くのネイティヴに頼んで英語を話してもらい、発音の練習を繰り返します。
そのおかげで、たった10か月でネイティヴスピーカー並みの英語発音を身につけることができたそうです。「いつかこの経験を活かして、英語を堂々と話せる日本人をたくさん育てたいな」そんな夢を抱きつつ、石川さんは帰国の途に就いたのでした。
3. 人生の転機は突然やってくる
3.1 海外で培ったエンタメ精神
その後、石川さんは大学でも英語を学び、卒業後しばらくしてフランスを本拠地とする会員制リゾートクラブ運営会社に就職します。職場は世界中にあるリゾート施設。この会社で勤務する間に訪れた国は合計30か国近くにも及んだそうです。
もともと歌心があった石川さん、当時は通訳ガイドをする傍ら、ディナーショーのエンターテイナーとしても大活躍しました。多い時には2000人以上のお客様の前で、歌やダンスを披露したそうです。「英語でコミュニケーションがとれたおかげで、世界中に友人ができたことがなによりの財産ですね」当時を振り返りながら、そう石川さんは語ります。
3.2 大事なのは正しいマインド
海外で充実した生活を送っていた石川さんですが、日本のご両親のことはずっと心から離れることはありませんでした。「いつまでも放っておくことはできない」そう決心した石川さんは、30歳を機にリゾートクラブを退職して帰国、しばらくして東京で外資系英会話スクールの営業マンとして働き始めます。
ここでの営業成績は常にトップクラス。その理由は自身の人生観にあったと石川さんは話します。「何をするにせよ、正しいマインドを持つことが最重要です。ぶれない人間性と信念さえあれば、他人を気にして自分を抑える必要がなくなります。自分がよいと思うことをやり通したのが成績に現れたのですよ」
3.3 夢を叶えた英会話スクール
結婚をし、一女をもうけ、それなりに安定した生活を送る中、人生の転機は突然やってきます。長女が小学2年生に上がる際、学童保育の選考から漏れてしまったのです。共働きだった石川さん夫婦は、どちらかが仕事を減らす必要に迫られました。そのとき、石川さんの脳裏に浮かんだのが、英語を話せる日本人を多く輩出したいという若き日に抱いた夢。
「自宅を職場にすれば、娘を外に預ける必要がなくなる。これは天啓に違いない」そう考えた石川さんは、すぐに会社を退職、自室を改装し、2016年夏、夢だった自分自身の英会話スクールを開業したのです。
4. 志師塾での学び
4.1 志師塾の門を叩く
英会話スクール開業後、しばらくはクチコミで受講者が増えていったものの、あるところから生徒数が伸び悩みます。集客を増やそうと知り合いに手伝ってもらってブログなども始めましたが、まったく効果が上がりませんでした。
そんなとき、友人のSNSを介して知ったのが志師塾の存在。2019年秋、いよいよ方向性に行き詰った石川さんは、意を決して志師塾の門を叩いたのです。
4.2 衝撃的だった自己棚卸
「志師塾で一番衝撃的だったのが自己棚卸(じこたなおろし)ですね」そう語る石川さん。クラスメートとのディスカッションの中で、自分のよいところ、悪いところをすべて見つめなおし、新たな気づきを得ることができたそうです。
実は「超簡単エンタメ英会話講師」という肩書を着想したのも、この作業の中でのこと。それまで意識してこなかった自分自身の強みに光を当てることができたのです。
4.3 言語化が重要
マーケティングについては独学である程度知識を持っていた石川さんですが、志師塾の講義を受けて初めて先生業におけるマーケティングの特殊性を理解したそうです。特に印象的だったのは、言語化の重要性でした。
「自分では他のスクールとの差別化はできていると思っていました。しかし、その良さは授業を受けて初めて分かるものなのですね。潜在顧客にこれを理解してもらうためには、適切に言語化することが必要だったのです。それが不足していたなと痛感しました」そう石川さんは振り返ります。
4.4 Web集客ノウハウ
志師塾ではWebを活用した集客術を学びます。石川さんは、特にステップメール、メルマガの活用が参考になったと言います。これらは現在文章を書きためているところ。数か月内には本格活用を始める予定だそうです。また、ホームページについても、志師塾のサポートを受けながらブラッシュアップをしていく予定です。
4.5 志を分かち合う
志師塾の先生や生徒には、さまざまな経歴を持った人々がいます。石川さんは、こうした人たちに触れることでたくさんの刺激を受けたそうです。また、苦手なIT関係についても同期の生徒の支援を受けつつ、なんとか形を整えられたのだとか。「同期の生徒たちは皆お互いに協力的でした。人のために志を分かち合うという志師塾のコンセプトのおかげだと思います」
5. コロナ禍での挑戦
5.1 オンライン講義の本格化
3か月に渡る志師塾での学びを終え、さあこれからという矢先、世間では新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化します。対面での授業を行うことが難しくなるなか、石川さんはいち早くオンライン会議ツールの本格的な活用を開始しました。「新型コロナの状況が深刻化する前からオプションとして準備していたんです。それが役に立ちました」このおかげで、2020年は生徒数が減るどころか、逆に前年比で25%ほど増えたそうです。
オンライン授業のメリットのひとつは、商圏が格段に広がること。現在、長野県から参加している生徒もいるのだとか。「これからは日本中の人々にアプローチしていきたいですね」そう石川さんは抱負を語ります。
5.2 ジョイントベンチャーの推進
コロナ禍でのもうひとつの大きな出来事は、ジョイントベンチャー立ち上げの話が決まったことでした。某上場企業、プロスポーツ団体、そして石川さんが協働し、定期的に海外でイベントを開催する事業です。
「志師塾でジョイントベンチャーの留意点を学んだことも、話をスムーズに進めることに貢献したと思います」そう石川さんは語ります。海外への渡航規制が続くなか、イベント自体はまだ開催に至っていませんが、コロナ禍が過ぎればきっと成果となって表れることでしょう。
6. エンタメ英会話の目指すもの
6.1 海外で気づきを与えたい
エンタメ英会話はまだまだ発展途上です。今、石川さんが計画しているのは、「パートナー」である生徒たちを連れて自身が高校時代に過ごしたテキサスの町を訪問すること。石川さんの旧友宅に泊めさせてもらい、現地に溶け込むことで、パートナーたちに純度100%のアメリカを肌で感じてもらうのです。
その翌年には、リゾートクラブ時代に駐在していたオーストラリア・ゴールドコーストへのツアーも企画しています。「自分がかつて海外の地で感じた気づきをパートナーたちにも感じてほしいんです」石川さんはそう語ります。
6.2 日本人の人間性を育てたい
石川さんが教えたいことは、単に英会話に留まりません。ひとりでも多くの日本人に、人間らしく心豊かに生きる大切さを伝えることが目標なのです。
「日本人の多くは自分の意見を抑えて、他人の状況を思いやりながら生きています。それはよいことだけど、同時に自分が思う通りに生きていくことを難しくしています。遠慮せず、他人のよいところを全身で賞賛できる感受性豊かな人、自分がよいと思うことを堂々とやり抜く勇気を持つ人を増やしたい。私は英会話を教えることを通じてこうしたことを伝えていきたいのです」
人々は、慣れ親しんだ社会の中で、気づかないうちに自身の可能性を制限しているのかもしれません。石川さんのエンタメ英会話は、そんな人々に新たな気づきを与えていくことでしょう。
文:保田耕三(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部
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