今回お話をうかがったのは、志師塾卒業生でひとり経営コンサルティングの門脇頼介さんです。
門脇さんは、2018年に税理士試験に合格され、2021年に税理士兼ひとり経営専門コンサルタントとして独立されました。現在は、スモールビジネスの経営者に対して、売上アップや資金繰り、業務効率化やプライベートの充実までを徹底サポートする活動を行っています。
29歳で税理士になった若さ溢れる門脇さん。今回の取材を通じて、門脇さんがどういった想いで活動されているのか、また税理士を目指された経緯や志師塾で得たものについてもうかがいました。
1.ひとり経営専門のコンサルタントとして
1.1 「ひとり経営専門」に込めた想い
「親が自営業者だったこともあり、税理士として独立開業したら、スモールビジネスを応援したいと考えていました」と笑顔で語ってくれたのは、1990年に兵庫県で生まれ、20代で税理士資格を取得し、現在は地元兵庫県で税理士業を営んでいる門脇頼介さんです。
自身の事務所開業からはまだ1年ほどではあるものの、大学卒業後から税理士事務所に勤務し長く下積みを行っていたため、実質的には10年近く税理士関連の業務に携わっています。
その税理士事務所勤務時代には上場企業の顧客を担当することもあったようですが、上場企業に対して税務領域の高度な仕事をするよりも、スモールビジネスに寄り添った業務を行う方が自身に合っていると感じたそうです。
「税理士といえば、職業上、会計や税務のサポートがメインになりますが、私は売上拡大や業務効率化などの経営者の悩みの解決にも携わりたい。そんなコンサルティングサービスを展開したいんです」
門脇さんはそんな想いから、「税理士」という肩書に加え、「ひとり経営専門コンサルタント」という名称で自身を名乗るようにしています。
「やはり税理士は数も多いので、自分自身の個性も知っていただくことで、差別化もできたらと考えています」と門脇さんは教えてくれました。
1.2 税理士を志した理由
「もともとは公認会計士の勉強をしていたのですが、自分のやりたいことを改めて考えて、方向転換しました」
将来は専門職に就きたいと漠然と考えていた高校時代を経て、大学では周囲の仲間たちと一緒に公認会計士の資格を勉強していたものの、なかなか上手くいかなかったそうです。
「自分は一体なぜ会計の世界を目指したいんだろうか」と改めて自問した結果、自営業をしていた家族の身近に顧問税理士がいたこと、自分がやりたいのは大企業の監査ではなく日本で多数を占め経済を支えている中小企業の支援ではないかと気づいて、税理士を目指すことに方向転換を決意したといいます。
「無職のまま大学を卒業してしまい、就職にはとても苦戦しました。何とか必死の思いで、税理士事務所に入所することができました」
1.3 下積み時代
税理士として登録するには、全科目合格のほかに2年以上の会計に関する実務経験が必要です。その経験を積むために、門脇さんは税理士事務所で所員として働くことにしました。
税理士試験に合格する前に担当できる仕事とはどんなものか聞いてみると、「税理士事務所の場合、所長税理士の管理下であれば、スタッフとして会計入力から決算・申告書作成まで、おおよそすべての業務を担当することができます」とのこと。
ただ、税理士事務所では多くの苦労をしたそう。「私はまったく戦力にならず、途方に暮れる日々でしたね。そんななかでも懸命に食らいついて業務をこなし、積極的に手をあげていった結果、徐々に仕事ができるようになりました」
1.4 晴れて税理士に
「世間的にみたら、順調に合格できた方ではあると思います」
働きながら試験勉強もこなす日々。合格までに10年以上かかる人も多く、40代以上の登録が多くを占める税理士資格にあって、門脇さんは順調に科目合格を重ねていきました。
簿記論、財務諸表論、法人税法、消費税法、固定資産税の5科目に合格し、2018年に晴れて税理士試験合格となりました。なんとその時29歳。難関資格である税理士試験では、かなり若い部類に入るようです。
「税理士の年代は20代で1%、30代で約10%になります。若さは今の私にとって特徴のひとつですかね」と門脇さんは言います。
1.5 独立したのはいいけれど
税理士試験合格後、2021年に独立開業した門脇さん。しかし、税理士事務所で働いていた時とはやるべきことがまったく違っていたため、戸惑ったそう。
「税理士事務所勤務時は、税務作業に集中していれば良かった。与えられた仕事をひたすらこなすだけでした。それゆえ、独立後はまずどう仕事を獲得すればいいのか全くわかりませんでした。自分でホームページを作ってブログも書いたりしてみましたが、すぐに結果が出るものでもなくて悩みました」
多くの起業家が経験するように、門脇さんも独立直後にサラリーマン時代との違いを感じ、未知の領域への経験不足を実感されたようです。
2.志師塾との出会い
2.1 きっかけは先輩税理士からの紹介
「うまくいかないな。でも、正しいやり方もわからないしな」
顧客からの問い合わせにつながる導線も考えられていなかったことに加え、「自分の売りや強みもわからない状態」だった門脇さん。そんなタイミングで「志師塾」と出会うことになります。
「志師塾を知ったきっかけは、同業の税理士にどうやって集客しているのかと悩みを相談したことなんです。その税理士が、志師塾を運営する五十嵐代表の書籍を持っていて、この本面白かったよとすすめてくれたんです」
この苦境を抜け出すヒントがあるのなら、と五十嵐氏の書籍を夢中で読んだ門脇さん。これなら課題が解決するかもと自分の直感を信じ、後日、志師塾のセミナーにオンライン参加しました。
「先生業の集客方法が学べる、というテーマでした。最初は本当にできるのかなと半信半疑でしたが、セミナーを聞き終わると、これは自分でもできそうだと思いましたね」
門脇さんは早速1月から始まる講座に申し込み、月に1回大阪淀屋橋の講義会場まで通うことに決めたのです。
2.2 自らの棚卸と事業コンセプト作り
「私が申し込んだのは、“先生ビジネス開発講座”という講座です。1年間のプログラムで、前半6ヶ月は“開発期”といってインプットが中心で、後半6ヶ月は“強化期”といって学びを実践する期間にわかれています」
「独立したばかりの私にとっては、勇気のいる出費ではありましたが、これで自分の人生が変わるのであれば充分元が取れるだろうと、講座参加を決断しました」
志師塾が提供する「先生ビジネス開発講座」は、士業・コンサル・講師・コーチなどの先生業を行う事業者に向けた高単価で安定・継続的に顧客獲得するしくみをつくり、感謝と報酬を得られる先生業になるための講座です。
「最初に行ったのは自分の棚卸です。自分の過去を見つめ直して、やりたいこととやりたくなかったことを明確化させていきます。そこから自分自身の考えや方針が明確になっていくなかで、事業コンセプトを見つけていく作業を行いました」
自分の売りや強みもわからない状態だった門脇さんにとって、この作業は重要な役割を果たしたようです。そして自身の棚卸を基に、事業コンセプト作りを行います。
「事業内容が顧客にわかりやすく伝わるキーワードやプロフィールを作る講座もあるんです。そこで私は“ひとり経営専門”というキーワードに辿り着きました。棚卸をした結果、スモールビジネスに寄り添うことが自分にとって幸せなことなんだと明確になったからです」
2.3 異業種こそ貴重な仲間
仲間と一緒に刺激し合いながら、自らのビジネスを売れる商品に育てて、羽ばたかせることがこの講座のコンセプトです。門脇さんは4人チームを組み議論を交わし、それぞれの棚卸や事業コンセプト作成を進めたようです。
「私が参加した大阪での講座には、15人弱が参加していました。同じ“先生”といえど業種はバラバラで、税理士は2名、その他に社労士3名をはじめとしてさまざまな先生が参加していました」
税理士業のことを詳しく知らない異業種の方々との議論で事業コンセプトの開発は進むのか、と門脇さんに疑問をぶつけてみたところ、「むしろその分野のことを全然知らないからこそ、客観的で顧客視点の意見が出てきたり、新たな気づきをもらったりしていましたね。反対に同業者だと同じ目線になってしまうんだなとも思いましたね」と教えてくれました。
「志師塾に通ったことで、人のつながりがまったくなかったなか、同じ志の同期生と知り合えたことはとてもありがたいものでした。お互いに顧客を紹介しあえるような関係を作ることができました」
多様な先生たちとの出会いは、自身に新たな気づきを与えるとともに、これから先の事業展開においても貴重な人脈形成になったようです。
2.4 強化期の現在
「今は前半の開発期が終わって、後半の強化期の位置づけなんです。同期生と月に1回集まって、進捗状況や悩みの共有をしています」
講座では1分間で最適な自己紹介を行うトレーニングも実施するよう。門脇さんは自身で開発した「ひとり経営専門」というキーワードを軸に、自己紹介するようになった結果、その響きやすいキーワードにひかれて商談が始まった顧客も出てきたそうです。「紹介チラシを作成し、ターゲット顧客と近い知人に当たってみることで、事業コンセプトの反応を見たりもしました。今のところ反応は悪くないですね」
門脇さんは講座への参加を通じて、自身の変化を感じていました。
3.将来に向かって
3.1 税理士+ひとり経営専門コンサルタント
最後に門脇さんに将来の展望についてうかがったところ、「税理士業を頑張りながら、それと並行してコンサルディング業も受注して広げていきたいですね」と語ってくれました。
税理士のよくある仕事獲得ルートは、
- ・所属していた事務所ののれんわけ
- ・紹介会社経由
- ・税理士会の無料記帳指導からの発展
- ・顧客の紹介
などがあるようですが、税理士はその数も多く、顧問料の単価は下落傾向なのだそう。明確な特徴がないと価格競争に巻き込まれてしまうのは、税理士も一般的なビジネスと同じだといいます。
門脇さんの差別化ポイントは「ひとり経営専門」だということです。会計・税務だけにとどまらず、経営者の人生をサポートする。加えて、30代前半という若さゆえ、長期にわたり継続してお客様の発展に貢献することが可能であることです。
「認知をしてもらう点はまだ努力が足りないなと思う日々です。YouTube投稿もできていないし、ブログの更新頻度も高めないといけない。リアルな交流ももっと参加していきたいですね」
そう語る門脇さんには、独立直後のあの不安はもうありません。すすむべき道、やるべきことが明確になったから。
「コンサルティングについては、これから実績を作っていくという段階ではありますが、売上や利益の確保といった支援でお客様に喜んでいただきたいので、志師塾での学びを実行していきます。頑張りますよ!」
高校時代に思い描いていた税理士の姿を現実にした門脇さんは今、税理士の「先」を見据えた活動を着実に進めていました。
文:小野慎介(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部
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