笠原唯男(かさはらただお)さんは、「太陽光発電専門のコンサルタント」として、太陽光発電関連企業のコンサルティングをされています。
かつては太陽電池モジュールの製造販売に携わり、日本の太陽光発電の発展に貢献されました。現在も、「太陽光発電をさらに普及させたい」という強い思いを抱き、企業の支援に尽力されています。
今回、笠原さんが志師塾に入ろうと思ったきっかけ、そこで学んだこと、今後のビジョンについて、お話をうかがいました。
1.「太陽光発電企業の伴走支援」笠原さんのお仕事
1.1 太陽光発電にかける人生
笠原さんは、1979年に大学を卒業後、45年間にわたり、太陽光発電の上流工程であるシリコン原料の精製から、半導体デバイスのモジュール化・製品化に至るまで、製造、開発、販売など多岐にわたる業務に従事してきました。
現在は、その豊富な業務ノウハウと人脈を活かして、太陽光発電関連の企業の顧問として、コンサルティング業務に携わっています。
具体的には、太陽光発電の販売やアプリケーション開発に関するアドバイスを提供するほか、経営者と共に経営戦略を立案する業務に従事されています。
1.2 太陽光発電への想い
「太陽光発電は、化石燃料に代わるエネルギー源として普及していかなければならない」が、笠原さんの志です。現在、日本の主要なエネルギー源は石炭、石油、天然ガスといった化石燃料に依存しており、その多くを海外からの輸入に頼っています。これらの燃料を燃焼させることで二酸化炭素(CO2)が排出され、気候変動による地球温暖化が加速しているのです。
「太陽光などの非化石エネルギーを活用しなければ、人類は生き残れないのではないだろうか」と強く感じています。また、エネルギー供給を海外に依存している現状を危惧し、自国で持続可能なエネルギーの確保が必要だと考えているとのこと。
太陽光発電というと固定価格買取制度のイメージが強く、発電した電力を一定期間、電力会社が買い取ることから、多くの家庭や企業が太陽光パネルを設置する動機付けとなりました。笠原さん自身はこの制度について、「太陽光を普及する」という意味では少し違和感を感じていたようです。
1.3 太陽光発電への挑戦の軌跡
笠原さんは、太陽光エネルギーの分野で幾度も挑戦を重ねてきました。1980年代、オイルショックを契機に日本政府は、石油依存を減らすために「サンシャイン計画」などの新エネルギー開発プロジェクトに着手していました。
しかし、笠原さんは「日本は研究を得意とするが、実用化や量産化の面では遅れをとっている」。日本のエネルギー産業に「ガラパゴス化」を感じていたといいます。
当時、京セラや三菱電機など大手企業が太陽電池市場を主導していましたが、笠原さんは中小企業としてこの分野に参入することを決意します。その目標は、太陽電池を住宅に取り入れられる製品へと進化させることでした。
太陽電池の製造には高額な設備投資が必要でした。その投資を回収するために、笠原さんは海外市場への進出を図ります。アメリカやヨーロッパの市場に目を向け、特にアメリカの先進的なエネルギー技術に感銘を受けました。
そして、アメリカオイルメジャーの一社アモコ石油(現在のBPブリティッシュ・ペトロリアム)の子会社であるソーラーレックスと販売代理店契約を締結。これにより、笠原さんは海外の太陽電池を日本市場に導入する最初のビジネスを成功させました。
「日本のガラパゴス化を打ち破るきっかけとなったのは事実です」と笠原さんは振り返ります。
2006年には、経営難に直面しましたが、笠原さんの会社の技術力に興味を持った中国のサンテックパワー社とのM&Aを成功させ、中国製の太陽電池セルやパネルを日本に導入した第一人者となりました。
2. 志師塾での出会い、そして学び
2.1 ビジネスの基本を学び直すべく入塾
「太陽光発電をもっと展開したい」という想いで、現在は、個人事業主として太陽光発電に関するコンサルティングを手がけている笠原さん。太陽光発電企業の顧問として活動する中で、実践を通じて身に付けてきた知識や経験だけでは限界があることに気づき、「ビジネスの基礎」が不足していると感じました。
大学卒業後、父親から事業を引き継ぎ、間もなく社長に就任。その後は会長としても活動しましたが、そもそもサラリーマンとしての経験がありませんでした。国際会議で発表したことはあるものの、人にものを教えるセミナー講師としての経験はありませんでした。
そのため、「ビジネスの基本をもう一度勉強し直した方がいいのではないか」と考え、ビジネススクールをいくつか検討します。さまざまな選択肢の中で目に留まったのは「志師塾」でした。
Facebookでみかけた広告をきっかけに、無料セミナーに参加し、数々の講師の話に耳を傾けます。その中でも特に印象に残ったのは、志師塾塾長の五十嵐さんのセミナーだったといいます。
五十嵐さんは、かつてNECでキャリアを積み、起業後には多額の借金をかかえるという挫折を経験しました。しかし、現在では多くの塾生たちに影響を与える存在です。
成功と失敗の両方を知り、現場での苦労と挑戦を実体験として語る五十嵐さんの言葉は、笠原さん自身が会社を経営していた頃に人材獲得や資金調達で苦労した経験、M&Aなどへの挑戦の体験と重なり、心に深く響いたといいます。
「僕よりも全然年が若いのに、すごく上手くやっていらっしゃる」
また、笠原さんは、顧問斡旋会社に登録し、そこで顧客の紹介を受けていました。しかし、仕事量に対して中間マージンが大きく、「仕事を頑張っても、思ったほどの収入が得られない」と語ります。この状況に加え、自分のリソースが尽きると、契約を切られてしまうという不安も抱えていました。
「直接、お客さんとつながりたい」という思いが、志師塾で学ぶ動機の一つでもありました。
笠原さんは、意を決して、志師塾の門戸をたたきます。そして、笠原さんが志師塾で得たものは、じつに多岐に渡りました。
2.2 受講生仲間との交流
一つ目は「受講生仲間との交流」です。笠原さんは、こう語ります。「『ビジネスを今一度学び直したい』その想いを共有できた仲間たちと共に学べたことは、大きな収穫でした」
志師塾には、企業や組織の大小に関わらず、主体的に物事に取り組もうとする受講生仲間がいました。彼らはかつて公務員や企業でキャリアを積んでおり、現在「ニッチインリッチ」といった、特定の需要や顧客層に焦点を当てたビジネスに挑戦しています。彼らの姿勢や情熱には非常に刺激を受けたといいます。
「受講生仲間の様々な業界での経験、苦労話は、顧問として企業の経営者に助言する立場にある私にとって、おおいに参考になりました」
2.3 提供されるツールから得た気づき
二つ目の収穫は、志師塾から提供される、非常に質の高いツール類です。授業では、ツール類を活かして、先生ビジネスを効果的に展開する方法を学びます。
「もう一度、復習しないといけませんね」と苦笑いする笠原さん。ご自身の顧問業と志師塾が教える先生業には少しギャップがあると感じたそうですが、いずれは先生の立場で取り組んでみたいことを構想されているようです。
「太陽光発電業界では、ウェブなどを通じて情報を発信し想いを伝えるといった土台が、まだ日本では整っていないと感じています。私は今、その土台作りに取り組んでいます。より多くの人に太陽光発電を理解し、利用してもらえるようになることを目指し、先生の様な立場で情報を伝えることにも挑戦したいです」
2.4 顧客から直接受注を得る
現在は、これまで築いた太陽光発電関連の人脈で得た顧客から、直接受注をされています。中には、笠原さんが経営していた会社で新卒として入社した社員が現在部長となられ、顧客として取引を行っているケースもあるそうです。
3.「PV(太陽光発電)for free」を目指して
「PV(Photovoltaic) for free」。太陽光を無料で使ってもらえる時代の到来という意味です。笠原さんが掲げているキャッチフレーズであり、人生の集大成として実現したいことです。
「太陽光発電は、そもそも一度設置してしまえばずっと発電し続けます。そのため、初期投資をいかに安く抑え、最終的には無料にすることを常に考えています。ハード面、ソフト面、制度面においても、絶対に可能だと自信を持っています」と語ります。
東京都の小池知事が環境大臣の時に掲げていた「HTT」。「電力を減らす(Herasu)、創る(Tsukuru)、蓄める(Tameru)」について、笠原さんは「省エネの実現」、「再生可能エネルギーを太陽光で創る」、「蓄電池」と一つ一つ取り組んでいます。
これらの取り組みをツールとして役立てることができるのではないかと考えています。
「太陽光発電というと、森林伐採で環境に悪いというイメージや、太陽熱温水器の訪問販売、そして補助金によって太陽光発電システムが安く導入できるという話があります。しかし、私の取り組みは、そういったレベルの話ではありません」
「太陽光発電の価値をさらに高めたいと考えています。たとえば、太陽光パネルを簡単に取り付けられるようにしたり、素材を軽量化して屋根だけでなく壁面にも設置できるようにすることです。また、停電や災害時のBCP対策として活用できるよう、使い勝手の向上を目指しています」と力強く語ります。
ここ最近は、ビジョン「PV for free」に賛同する可能性のある会社との取引を進めているとのことです。
笠原さんの太陽光発電の普及、そして無償化への挑戦はこれからも続きます。
4.志師塾への入塾を検討されている方へ
最後に、志師塾への入塾を検討されている方へのメッセージをいただきました。
「五十嵐さんとの面談を通じて感じたのは、いわゆる昔ながらの先生にみられるような威厳を持ち出さず、カジュアルで親しみやすい雰囲気があるということです」
「この塾での学びは、単に知識を得るだけでなく、多様な視点からのアドバイスやフィードバックを通じて、自分の考えを広げ、成長させてくれるものです。期待されているものにもよりますが、ぜひ入塾をおすすめします」
文:植村裕加(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部
年商1,000万円以上を目指したい士業・コンサル・講師・コーチ・セラピストなどの先生業の方は、笠原さんも学んだWebを活用し、高単価で安定的に顧客獲得するためのノウハウを、学んでみてください。