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コロナ禍に直面して気づいた創業時の思いを実現する~ハンドメイドビジネスアドバイザー 橘高 千里さん~

今回お話を伺ったのは、株式会社connect proのハンドメイドビジネスアドバイザー、橘高千里さんです。社名には、作家さんやクリエイターさんの気持ちに寄り添い、ものづくりや手仕事を通じて持続可能な社会の実現に貢献したいという思いが込められています。

橘高さんは2019年に会社を設立したものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、事業転換を余儀なくされました。会社の存続に関する危機に直面したとき、どのように気持ちを切り替えて、ビジネスモデルを再構築されたのでしょうか。そこには、過去のご経験の積み重ねと、志師塾での学びが大きな役割を果たしています。

1.現在のお仕事

1.1 事業の内容

橘高さんの会社、株式会社connect proでは主に2つの事業を展開しています。

ひとつは、商品開発事業です。例えば従業員10人や20人くらいの企業では、社員章を作りたいというご希望があったとしても、金型から作ると多大なコストがかかるから諦めざるを得ませんでした。そこで、金属以外の素材を使って企業の特長をデザインした社員章を提案し、手仕事で制作しています。

その他、「文化を新たに」というコンセプトのもと、着物や袴などの日本古来の文化をアレンジしたファッションの提案もしています。

また、小規模な個人商店や法人を対象としたOEMでのノベルティ制作事業も展開しています。ボールペンやクリアファイルなどに店名や会社名を入れたノベルティではなく、受け取った方が後日お店や企業のことを思い出してくれるような商品を、手仕事で制作しています。

そのため、どのようなお客さまにノベルティをお渡ししたいか、お渡しした後に自分のお店や企業を思い出してほしいのはどのような方か、丁寧にヒアリングをしたうえで、ノベルティを制作しています。

橘高千里さんのノベルティ

もうひとつは、着物の端材を使ってアップサイクルする事業です。これは、商品開発事業が新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を大きく受けたたため、ビジネスモデルを抜本的に見直して、数カ月で組み立てた事業だといいます。

生前整理などでお客さまが手放された着物をほどいて裁断し、巾着やバッグなど普段使いできる商品にアップサイクルして、お客さまにお戻ししています。着物をほどく工程や裁断する工程は社会福祉施設にお願いしており、作家さんやクリエイターさんが縫製の仕上げをしています。

社会福祉施設に通所される方々は制作工程に携わることで、作業の対価に加えてお客さまからの感想を受け取ることができるので、自分たちが誰かの役に立てている、社会に関われているという自信をもつことができます。

お客さまは、手放した着物が日常生活で使える商品に生まれ変わって戻ってくるので、着物を手放してしまったという思いを昇華させることができます。商品を購入することで、意識せず社会福祉に貢献できる仕組みになっています。

社会福祉に貢献できる仕組み

1.2 2つの事業の共通点

2つの事業はいずれも、仕事が発生したときにはすでにお客さまが決まっています。手仕事でのものづくりに共感をしてくれる方など、見込み客の紹介を受け、お会いした後に受注が決まる仕組みです。

紹介を受けた時点で、見込み客が求めているものと橘高さんの商品がある程度マッチングされているので、受注率が高くなります。

2.教え子への愛情が起業に踏み切らせた

2.1専門学校の学生が抱える問題

橘高さんの事業の根底には、手作業や人材育成があります。橘高さんは起業される前から専門学校で10年以上、雑貨やゲーム制作の講師をしています。

学生のなかには専門学校を卒業した後、すぐにフリーランスのクリエイターとして働きはじめる人がいます。クリエイターとしての収入だけで生活を成り立たせるには厳しく、しばらくは家計を支える仕事との二足の草鞋を履くことになります。

クリエイターの仕事だけで生活するため、事業として成り立たせるにはどうすればいいのか、専門学校以外の実践の場で、学生に教えることが必要だと思っていました。

加えて、専門学校に通っている学生のなかには、メンタルヘルスの問題を抱えている人がいます。学生が専門学校を卒業した後、どのように自活していくのかという問題があります。これを解決するためには、行政に頼らない組織も必要だと感じ、学生が仕事をできるようにしていきたいと思うようになりました。

2.2 教え子に背中を見せる実践的な授業

橘高さんが専門学校の講義のなかで、学生に繰り返し伝えていることがあります。それは、失敗を怖がってスタートラインに立たないのはもったいないということです。失敗してもいいから挑戦し続けることで、大きな壁が来たときに乗り越えられるようになります。

「自身が失敗しつづけながらも挑戦する姿を学生さんや卒業生に見せること、仕事の仕方や営業の仕方を間接的に見てもらうことで、自分もこういうふうに進んでいけばいいんだと思ってもらいたい」と橘高さんは話します。

教え子のクリエイターさんに仕事の仕方を教えること、病気により毎日定時で働くことが難しい人にもできる仕事を作り出すこと、この2つの課題に取り組むため、橘高さんは志師塾の門をたたきました。

3.起業後に直面した2つの問題

3.1 予定どおりにいかなかった資金調達

橘高さんは2018年12月に志師塾の講座を受講し、2019年4月に株式会社connect proを設立しました。設立時の主な事業は、デコハカマⓇ(デコレーション袴)をはじめ、日本古来の文化や伝統をアレンジした商品を作り、全国の百貨店の催事などで販売すること。

材料となる着物の仕入れ先が出資してくれるとのことで、背中を押されて法人化することを決意しました。しかし、いざ法人化したところ、仕入れ先の社内で稟議が通らなかったとのことで、現物の支援になってしまいました。

橘高千里さんのデコハカマ

3.2 会社設立1年未満でコロナ禍に見舞われる

自己資金のみで会社を設立した2019年。アクセサリーやデコハカマⓇなどの商品を、福岡をはじめ全国の百貨店催事や期間限定ショップに出店していました。

ところが、年が明けて2020年、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて緊急事態宣言が発令。催事や期間限定ショップは軒並み中止になり、商品を展示・販売する場所がなくなりました。商品があっても売る先がありません。

銀行との面談、セーフティネット保証制度の活用など、新型コロナウイルス感染症に対応する経済対策としての融資や支援が受けられたことにより、ようやく資金繰りに目途がたちました。

創業当初の事業内容を続けていてはコロナ禍を乗り越えられないと認識し、ビジネスモデルの転換を迫られました。

4.人と人とのご縁が繋がって見えた光明

4.1 手芸メーカーから相談を受ける

古くからのお付き合いがある手芸メーカーもコロナ禍の悩みを抱えていました。以前はお取引先の手芸店で先生を呼んで手芸教室を開催していたものの、「三密(密集・密接・密閉)」を避けなければいけないから開講できませんでした。

どうにか教室を開講することができないか、相談を受けた橘高さんは、解決策を提案しました。「手芸教室をオンラインで開講するのはいかがでしょうか。手芸の先生たちがオンラインシステムを導入して、手芸メーカーが各先生の講座を紹介すれば、これまで教室に通っていたお客さまを繋ぎとめられることに加えて、新規のお客さまを獲得できる可能性もあります。システムの使い方を、手芸メーカーや先生たちに教えます」

橘高千里さんの手芸教室

4.2 口コミの威力に気づく

こうして手芸メーカーや手芸教室の先生たちを対象に、教室をオンライン化するための講座を始めたところ、徐々に口コミが広がり、リアルでの教室開講ができなくて悩んでいる他のメーカーからも問い合わせが入るようになりました。

自分の会社の商品を買いたいといってくれるお客さまを口コミで引き寄せる、売り先ありきのビジネスモデルに転換することを決意しました。

4.3 チャンスを掴むことで繋がった紹介制

自分の商品を買ってくれるお客さまを紹介してもらうためには、どこで誰に会えばいいのでしょうか。会社経営者が数多く入会している団体には、ひとつも入会していませんでした。

そんなとき、橘高さんはオンラインでの新しいビジネス交流会に誘われます。その機会をくれたのは、新型コロナウイルス感染症が感染拡大する前に志師塾の講師から紹介された勉強会で知り合った女性経営者でした。

コロナ禍で苦しい状況でその交流会に参加するには、時間や費用などの問題がありました。しかし、人と人との交流が制限されているなか、この機会を逃したら人と出会うことはさらに難しくなります。チャンスだと思って交流会に参加したところ、そこからお客さまや取引先を紹介していただけるようになりました。既存のご縁を大事にした結果、仕事に結びつく紹介が生まれたのです。

5.短期間でビジネスモデルを再構築できた秘訣

5.1 これまでの経歴で培われたコーチング力

人との出会いからビジネスに繋げるには、相手の話を聞きながら、相手の悩みの本質を突き止める力も必要です。橘高さんは、これまでの経験のなかで自然とコーチングを身につけました。

橘高さんは短大を卒業した後、キャラクターメーカーに就職しました。仕事で営業の機会を得たとき、企画した商品のコンセプトや特徴がお客さまにまで伝わっていないように感じたときがありました。伝え方を工夫するだけで売上に変化があります。

伝え方の大切さに気づいた橘高さん。メーカーを退職し、数年後に専門学校の講師として学生と向き合うことになります。

伝え方、教え方、聞き方を試行錯誤しながら磨きあげました。この経験の積み重ねによって、コロナ禍で手芸メーカーから相談を受けたときも相手の悩みをヒアリングして問題を解決することができました。

5.2 背水の陣を敷くことで本気になれる

自分の商品を欲しいと思ってくれるお客さま、自分が繋がりたいと思うお客さまを人に紹介してもらうためには、限られた時間のなかで相手に自分を印象づける必要があります。そのための伝え方や商品・サービスの構築方法などを、橘高さんは志師塾で学びながら実践し、日々ブラッシュアップすることで、自分の財産にしました。

その結果、交流会の限られた時間のなかで、自分が実現したいことや出会いたい人を端的に伝えることができ、紹介による人脈が生まれて、アップサイクル事業のパートナーと出会えました。

紹介してもらうからには、ビジネスモデルを早急に組み立てないといけません。コロナ禍で既存の事業が成り立たなくなってしまったという危機感が、橘高さんを突き動かしました。

橘高さんも学んだ「共感を生み出すプロフィール作成法」を知りたい方はこちら

橘高千里さんの商品

6.売り先ありきのものづくり

6.1 デジタルとアナログを複合したものづくり

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により普及しつつあるデジタル社会。オンライン会議システムをはじめ、さまざまな技術やサービスが導入されつつありますが、それらを使いこなせる人は限られています。

デジタル・リテラシーを育てつつも手仕事の良さを残すことで、デジタルとアナログを複合したものづくりを目指していきたいと、橘高さんは話します。

大量に生産して薄利で多売する形式ではなく、手仕事で心を込めて作った商品を、デジタルツールを活用して、誰もが届けたい人に届けられるようになることを目指しています。

6.2 プロダクト・インテグリティのものづくり

創業当時の橘高さんの事業は、商品を作った後、イベントに出展して売れるのを待つ、プロダクトアウトの形式でした。一方、お客さまが欲しい商品を作って売るマーケットインにすると、どうしても価格重視のものづくりになってしまい、作家やクリエイターが商品に思いを込めることが難しくなります。

目指しているのは、プロダクト・インテグリティ。お客さまが心から望んでいることや求めているものをヒアリングしたうえで、お客さまの思いを具現化した商品を作る形式です。

ヒアリングやコーチングからはじまる売り先ありきのものづくり。

自分たちのものづくりの姿勢に共感してくれるお客さまを紹介してもらって、そのお客さまに対して商品を売ります。商品の背景には、障がい者の活躍や循環するものづくりなどSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献する仕組みがあります。

この仕組みづくりに協力してくれる、社会福祉施設に通所する方々とビジネスモデルを作り上げて、賛同してくれるお客さまを広げて事業を拡大することで、思うように仕事ができなくて困っている教え子たちを迎えにいきたいと願っています。

「コロナ禍があったからこそ、自分の原点、事業を通じて実現したいことは何かを考える時間ができました。起業当初に抱いていた課題の解決に取りかかる覚悟を持たせてもらいました」と語る橘高さんの目は、学生やクリエイターへの愛情に満ち溢れていました。

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文:黒澤優(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部

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