今回お話をうかがったのは志師塾卒業生で、国際NGOでCMOとして活躍されている小泉美礼さんです。
これまで、外資系企業でブランド統括やNBAジャパンの立ち上げなど幅広いフィールドで活躍されてきました。
ご自身が苦労されてきた女性管理職の経験を活かして女性が活躍できる社会を実現するために女性管理職や経営層の育成ビジネスを目指し志師塾に参加します。
これまでの経緯とこれからのこと、志師塾で得られたもの、学び方のコツなども含めてお話をうかがいました。
1.国際NGOからNBAジャパン誘致まで多彩なキャリア
小泉さんは現在、女性の未来を支援する国際NGO「プラン・インターナショナル」で、CMO(Chief Marketing Officer)を務めています。小泉さんはマーケティング、セールス、広報、PR全般を統括しており、主なミッションはファンドレイジングとブランド認知の向上です。
個人や企業からの寄付を増やすために、イベント企画と実施、PR・広告展開をしています。小泉さんのキャリアは主に外資系企業でのブランドマーケティングが中心ですが、特に目立つ経歴として、NBAジャパンの立ち上げに関わった経験があります。
NBAとはNational Basketball Associationの略で、北米のバスケットボールのプロリーグのことです。当時、タバコのブランドマネージャーをしていた彼女は、ヘッドハントされてこのプロジェクトに参加しました。
バスケットボールについては詳しくなかったものの、新規事業立ち上げの魅力に惹かれ、この挑戦を受け入れます。当時は、現在ほど日本におけるNBAの認知度は高くありませんでした。
「最初に、スラムダンクの単行本を全部渡され、これを読みなさいとボスに言われました」
そこから小泉さんはバスケットボール(バスケ)に深く関わることになります。バスケに詳しくなかったため、先入観を持たず、王道のアプローチを試みました。
まず、NBAの価値をもっとも理解できる人を探すことから始めます。最初に考えたのはバスケ部員。その後、引退した選手や、観戦が好きな人たちへと対象を広げていきました。
2.育休明けは過酷な試練が待ち受けていた
「女性第1号部長」「女性第1号事業部長」といった、初めてになることが多かったという小泉さん。事業部長時代には、会社で初めて産休を取得しました。しかし、産休後に復職すると、以前の部下たちはいなくなり、小泉さん1人だけの部署になっていました。
それでも目標売上高は変わらず、さすがに1人では達成が難しいため、人事に交渉して部下を3人つけてもらいました。しかし、その3人は会社が辞めさせたいトップ3人でした。
最初はこの3人の対応に苦慮しました。まず時間通りに会社に来ません。報告も上がってこない、勝手に物事を始めるといった具合でした。
欠点はかなりあるものの、そこは目をつぶって、チームとして凸凹をならしていけばよいという方針で進めることにしました。その3人と毎日コミュニケーションをとり対話を重ねることで、変化が見られるようになります。
本人たちが徐々にやる気に満ちてくるようになってきたタイミングで、思い切って仕事を任せてみました。すると、しっかりと成果を上げるようになりました。
今までは、上がちゃんと見てあげなかっただけで本人たちを信じてあげられなかったのです。その点を小泉さんがフォローすることで彼らが本来の力を発揮できるようになりました。
さらに、小泉さんはターゲット市場を大きく変更します。当初は外資系企業をターゲットにしていましたが、海外展開を目指す日本企業やデジタル企業、携帯電話会社に焦点を絞りました。結果として、競合がいなかったため、市場を独占することができました。
1年後には泉さんのチームは一番稼ぐチームに変貌していたのです。そして、メンバー全員が賞を取るようになりました。初期メンバーの3名は現在では各方面で活躍されています。後にこの部署は42名の大所帯になるまで成長しました。
この時に学んだことは、立派な戦略があってもそれを実行するのは結局人であることです。まず組織作りが最初で、次に戦略。その考えは今でも続いています。
3.志師塾で得られたものは
3.1 志師塾に入ったきっかけ
小泉さんはこれまで、多くの事業を立ち上げたり、事業を回復させたりと、数々の実績を積み重ねてきました。特に、人や組織に焦点を当て、人々のモチベーションを高めながら戦略を推進してきました。
その結果、人々が生き生きと輝く姿を多く目にしてきたのです。こうした素晴らしい仕事を自分の生業にしたいという思いから、独立を考えるようになりました。
その思いを実現できる場として出会ったのが志師塾です。経営を体系的に学び、独立の準備を進めるために、志師塾に参加しました。
3.2 何ものにも代えがたい志師塾のコミュニティ
「志師塾の良さは同期とのコミュニティがしっかりしていることです」と小泉さんは語ります。
「志師塾では今まで出会ったことのないような方に多く出会えます。これまでは広告代理店や製造メーカのいわゆるBtoBの人脈が中心でしたが、志師塾の参加者には、個人事業主の方や士業の方といったこれまで接点のなかった方もいます。課題の準備や提出はとても大変ですが、同じ困難を乗り越えた同士としての絆も生まれます。この絆は一生続く財産です」
4.志師塾の効果的な使い方は?
4.1 教材はあとから見返したら新たな発見がある
小泉さんは、先生ビジネス開発講座の講師になるためにテキストや動画を見返した際、改めて講座がよく体系立てられていると感じたそうです。
「講師になるためには、講座をしっかり勉強して試験を受ける必要があったので、一字一句覚えるくらい真剣に動画を観ました」
生徒だった頃には見逃していた部分も、動画を5回ほど繰り返し観ることで新たな発見があったと言います。思い描いていたビジネスが計画どおりにいかなかったときにこの動画を見返すと、「こうすればよかったんだ」とか、「だからあの時うまくいかなかったんだ」といった気づきがあります。
「Webなどは時代と共にトレンドが変化しますが、変わらないコンセプトの部分は非常に良い内容だと思います。志師塾を卒業してからも、もう一度動画を観ると必ず新たな発見があるので、おすすめします」
4.2 周りを見て焦らずに自分のペースで
志師塾に参加するメンバーは、独立を目指していて現在仕事を持っている人も多くいます。様々な環境のメンバーがいるため、気をつけておきたいことがあります。
「副業で参加している人と、本業として取り組んでいる人では、明らかに課題にかけられる時間が違います。副業の方は課題に費やせる時間が少ないので、きついと感じることもあります。本業の方は、しっかりしたアウトプットを出してきますが、それを見て焦らないでください。本業の方とはスピード感が明らかに異なるからです」
志師塾に参加する方々の目的や意欲、リソースは人それぞれ異なります。他人と比較せず、自分のペースで進めることが重要です。
5.女性が活躍できる社会を目指して
「私自身、管理職として多くの苦労を経験してきました。しかし、これから日本の人口が減少する中で、女性の労働力はますます重要になります。日本の国力を高めるためにも、もっと女性が活躍できる社会を作りたいです」と小泉さんは語ります。
最近では女性管理職が増え、日本の女性の労働環境は少しずつ改善されているように見えますが、都市部と地方、大企業と中小企業の間には依然として男女格差があります。
特に、女性は結婚や出産といったライフイベントを経験するため、出産後に職場に戻る際には、正社員ではなくパートとして復帰する方が多いのが現実です。これでは十分な待遇とは言えず、女性管理職もまだまだ少ないのが現状です。
「そもそも、男性だから、女性だからといった議論が不要な社会を目指すべきです。ジェンダーギャップを乗り越えられる社会にしたいと思います」
性別による議論が不要になることが理想です。小泉さんのセミナーは主に女性リーダーシップを育てる内容で、参加者は意識が高いものの、その意識を表に出せない方が多いといいます。
「ビジネスで上のポジションを目指したいという方が多いですが、自己肯定感が低い方が非常に多いです。特に、上司との関係で悩んでいる方が多いのが原因です」
依然として管理職は男性が中心で、ルールも男性向けに作られることが多いです。企画を提案しても、男性とは違い周囲の協力を得にくいことが多く、その結果「自分にはできない」と誤解してしまう方が多いとのこと。実際はそうではないはずです。
「そうした経験から、スキルでカバーしようとビジネススクールに通う方が多いですが、本当はそこが問題の根本ではないと思います」
小泉さんの女性リーダーシップを育てるセミナーを受講した女性たちは、自己肯定感を取り戻し、どんどん成長していきます。
「みんながどんどん出世していきました。現在は個別セミナーとして実施していますが、今後は講座として提供したいと考えています」
「戦略の前に、組織と人づくり」その信念を持って、女性がいきいきと働ける社会の実現を目指して、今後も取り組んでいかれます。
小泉さんのホームページはこちら。
TOP – ビジネス2倍プロデューサコーチ | 経営者・女性管理職の課題解決 (vchargecoach.net)
文:野村英樹(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部
年商1,000万円以上を目指したい士業・コンサル・講師・コーチ・セラピストなどの先生業の方は、小泉さんも学んだWebを活用し、高単価で安定的に顧客獲得するためのノウハウを、学んでみてください。