長年ヘルスケア業界を歩んできた前村さん。抗がん剤などの製薬や遺伝子検査の領域で、マーケティング、そして日本市場の事業開発といったキャリアを積み上げてきました。
決して一筋縄ではなかったその道のりの中には、さまざまな出来事があり、多くの学びもありました。いつしか、前村さんの人柄に惹かれた人々からさまざまな相談を受けるように。そしてそれはビジネスコーチングの事業へとつながっていきました。
モットーは「貢献」。様々な顔を持つ前村さんに、ご自身のこれまでとこれからのビジネスのこと、そして志師塾での学びについて、たっぷりとお話をうかがいました。
1. 貢献が人生のテーマ
1.1 ヘルスケア領域のビジネスパーソンとして
「関わらせていただいた人に、少しでもプラスアルファのお役に立ちたい。貢献が私のキーワードです」
確固たる信念を柔和な表情で包み込んだその話しぶりは、相手に安心感を与えます。
前村さんは長年ヘルスケア業界に身を置いてきました。キャリアのスタートは、外資系製薬会社のMRと呼ばれる営業職。医療現場で新薬の普及に尽力していました。
「貢献」を強く意識するようになったのは、前村さんが26歳の時。父親に進行したがんが見つかったことがきっかけでした。主治医の先生から「もうどう治療していいか、正直わからない」と言われたのです。
父親の病状は大きなショックでしたが、がんの治療の手立てがなく思い悩むドクターがいることにも衝撃を覚えます。
製薬会社で抗がん剤の担当になれば、がん治療に関わる方々に貢献できるのではと考えます。程なくして外資系の抗がん剤の製薬会社に転職。以降、がん治療薬の最前線に身を置き、最新情報をドクターに届けてきました。
2010年、当時最先端だった遺伝子検査で効果予測できるがん治療薬を開発する外資系製薬企業へ転職し、国内マーケティング責任者として、新たながん治療法の普及に尽力しました。
2019年からは、日本市場へ参入するアメリカのがん遺伝子検査会社で、日本法人が未設立の段階から、国内事業開発責任者やカントリーマネージャーとして複数社の立ち上げに関わるなど、一貫してがん患者や医療者への貢献を続けてきました。
気づけばその道のりは、がんと遺伝子検査の領域で、外資系企業の日本事業開発やマーケティングを担うプロフェッショナルという、前村さんにしかないユニークなキャリアとなっていました。
1.2 ビジネスコーチとして
華々しい経歴を持つ前村さんでしたが、20代の頃は壁に突き当たったこともあったといいます。
「上手くいかないことの原因を自分ではなく、すべて環境に求めていたのです。そのため、何をやっても状況が改善しない時期がありました」
そんな中、「コーチング」に出会い、思考の整理や自己成長を実感します。さらに、自身を変えるために脳科学や実践心理学の「NLP(神経言語プログラミング)」に興味を持ち、傾倒していきます。
「コーチングを受け、特にNLPを学び実践したことで、物事の捉え方が根本的に変わりました。限界だと感じていたものが崩れ去り、自分の意識が変わり、コミュニケーションがより円滑になりました」
その結果、マーケティングの戦略を柔軟に出せるようになり、見違えるほどエネルギッシュなチームを作り上げることができるようになっていきました。実際、激務が続く時期でも仕事が楽しくて仕方なく、ポジティブなエネルギーにあふれるようになります。
そんな姿を見てか、相談を持ち掛けられることもしばしば。30代の頃には、飲み会の場などでも相談を受けることが増え、コーチング的な対話を行うようになっていました。しかしある時、こんな考えが浮かびます。
「私との対話で、人の選択や行動が変わるということは、その人生を変えていることになる。この責任を自覚してしっかりと向き合わなければならない。そう考えたのです」
そして、「日本人向けのコーチング」と、ヒューマン(人間)を最高の状態にチューニング(調律)する「ヒューニング」という手法を正式に学び、遺伝子検査の事業開発責任者の傍ら、2021年ビジネスコーチ事業をスタートします。
主な顧客は企業経営者、営業・事業開発系管理職、NPO法人代表、個人事業主、医師など。目標達成に悩む方に寄り添い、1対1の対話を通じて本当の自己や人生の目的を明確にします。さらに、無意識のブレーキを解き、目標への道筋を共に探ります。
「人は経験や教育から脳内プログラムを形成しますが、その歪みが物事の進行を妨げることがあります。目標達成に適したプログラムへの調律で、自己や現状をより客観的に認識でき、自己変容への障害が低くなり、目標実現が加速するのです」
2. 志師塾での学び、そして出会い
2.1 志師塾へ入ったきっかけ
前村さんのビジネスコーチ業は好評でした。そのため、副業での時間制限から一人一人と相対していく方法では、すべてのご要望に応えるのが難しくなりました。そこで、自身の考えやスキルを継承するコーチを育成することでより多くの他者支援を行おうと、コーチの養成資格を取得します。
その直後、志師塾の門を叩きます。最大の理由は、コーチ養成講座を効率的に作るためでした。一人で作るよりも、志師塾の体系立てられたノウハウを学んだほうが早いと思ったからだといいます。
「志師塾のカリキュラムは合理的で、それに沿って進めることでスムーズに講座を完成させることができました。時間が限られる中、講座づくりのノウハウを調べる手間が省け、私には最適なカリキュラムでした」
講座完成後、開講に向け集客のためのフロントセミナー設計に着手します。しかし前村さんにとってはフロントセミナーの集客は初体験。ここでも志師塾のノウハウが、大きな助けとなりました。また、本業に忙殺され準備が滞るときも、志師塾のメンターと二人三脚で乗り越えました。
「単なる叱咤激励ではなく、効率的に動けるよう仕向けていただけたのが非常にありがたかったです」
その結果、初となるフロントセミナーは、リアル開催にもかかわらず、満席の24名が参加。内13名が個別相談を受け、8名が講座受講を決定しました。当初定員10名の0期講座は、最終的に満席でスタートさせることができました。
そして2024年の1月からは志師塾アドバンスコースの第1期生となりました。
「初級コースで成果を上げている精鋭の集まりで、豊富なビジネスサイエンス構築カリキュラムを通して、受講者からも多くの刺激をいただき、ビジネス拡大に大きく役立っています」
2.2 新たな一歩を踏み出す
志師塾では同期生との横のつながりが持てることも大きなメリットです。前村さんも、講座同期の交流や1on1などを通じて、仲間たちとの対話を積み重ねていきました。
「志師塾の魅力の一つは、多様な背景を持つ仲間との出会いです。新しい知識を得たり、同業者と情報交換したり、協業の機会を得ることもできます。同じ志を持つ人々とのネットワークは、自身のビジネスを強化するうえで非常に有益です。互いに刺激を与え合う環境が、成長を促進します」
そんな前村さんは、2024年10月より志師塾で講座を持つことに。先生業にとって有益な、営業活動に活かせるコーチングスキル等で、単価アップや長期契約を続けていく方法などを伝えていくといいます。
「志師塾でお話をさせていただいた人の中にも、ビジネスの拡大に課題を感じている方がいらっしゃいます。しかし、コーチング&ヒューニングの技術で改善が可能です。特に“瞬間的に信頼構築する技術”や“本音を引き出す質問メソッド”などは、先生業の大きな武器になります。また、上手くいかない理由を観察すると、その原因は本人にはなく、目標達成に適さない思考プロセスが無意識のうちに働いていることにあるのです。その結果行動にブレーキがかかり、前進できないのです」
「今回の“先生ビジネスコーチング講座”ではそのような状態の方に、ビジネスで即座に活用できる実践的なコーチング&ヒューニングのスキルの習得、さらに無意識の思考プロセスを認識でき、目標達成への障壁を取り除く機会を提供します。また、顧問先への新サービスや研修コンテンツとして講座の内容を取り扱うことで、単価の向上にもつながります」
前村さんの志師塾との関係はこれからも続きます。
3. さらなる貢献を目指して
3.1 遺伝子検査×コーチングで新たな価値を
前村さんの今後の目標は何でしょうか。
「次のチャレンジは、遺伝子検査にコーチングを掛け合わせた新しいサービスを作り上げることです」
多くの人が、遺伝子レベルの体質情報をベースに、より健康にビジネスパフォーマンスを向上できている世界をつくりたい、そんなビジョンを描いているといいます。
「巷にある遺伝子検査は、知的好奇心を満たすだけで、自己成長につながりにくいと指摘されています。ところが、遺伝子検査×コーチングは、科学的根拠に基づいた自己理解とそれを踏まえた自己変容が可能です。このアプローチは、個々の潜在能力を最大化するために今後ますます重要になると確信しています」
たとえば、睡眠の質。
「体内時計の狂いが日中のパフォーマンスに影響を与えることがあります。体内時計や睡眠の質に関する遺伝体質を把握することで、適する生活サイクルや睡眠などの検討・改善策の実践が可能です。その他、ストレスや集中力、運動、老化などの項目でも、遺伝体質を踏まえたコーチングで、経験や思い込みに頼らない自己変容が可能です」
前村さんはこのサービスを「ゲノムコーチング」として展開する予定です。認定資格を設け、認定コーチが遺伝子検査を扱えるビジネスモデルを構築します。
2024年内のサービス開始を目指し、10月からモニターやPRを開始するなど、準備に余念がありません。
3.2 あらゆる業界にも遺伝子検査のメリットを
前村さんのビジョンは「ゲノムコーチング」にとどまりません。もう一つ、遺伝子検査のビジネスプロデューサーとして、さまざまなビジネスでの導入をサポートしていくといいます。
「遺伝子検査ビジネスは、多くの業界に革新をもたらす可能性を秘めています。美容、フィットネス、ライフスタイル関連などでは既に導入が始まっていますが、一見無関係な業種にも機会があります。遺伝子検査を活用した新サービスで、差別化と顧客満足度向上が期待できます」
長年、遺伝子検査の普及に尽力してきた前村さん。それに自身のライフワークであるコーチングをミックスしてどんなサービスをプロデュースしていくのでしょうか。
思い描く未来像にワクワクが止まりません。
前村さんのホームページはこちら
コーチングの限界をヒューニングで突破する―株式会社Grow With
文:湯山聡(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部
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