「日本一アットホームな教室で、不登校の高校生を笑顔に導き、高校資格を取るまで徹底サポート」
このような素敵なキャッチコピーを掲げ、日々奮闘している大森善郎(おおもりよしろう)さん。会社員時代には5年間のアメリカ・ヨーロッパ駐在という夢を果たし、次は子どもたちの夢をかなえるため、40歳で小中学生向けの学習塾を開業されました。
その後、50歳には不登校に悩む高校生の通信制高校サポート校の経営を始め、独立してから21年間で、1,000名以上の生徒さんをサポート。
「日本一アットホームという表現は定性的なものですが「日本一」は印象に残ります。これを社内のスローガンとして掲げ、教室内にも貼ることによって、自然に「日本一アットホームを目指す」という気持ちが生まれます」と笑顔で話してくれました。
今回の取材では、大森さんの教育事業と『善活』の活動内容と実績、集客方法と鹿島学園高校とのフランチャイズ、仕事に対する強い思いについてお伺いしました。
1.日本一アットホームな教室を経営
ではどのように大森さんは日本一アットホームな教室を作られてきたのでしょうか。
大森さんが実践されてきた具体的な3つの手法について詳しくお聞きしました。
1.1 複数媒体で情報発信の仕組み化を実現
現代の塾経営で大切になるのが、定期的な情報発信です。ですが、最新情報が更新されていないホームページやブログ・SNSはたくさんあります。
その中でも、大森さんは、3つの各教室において、Instagramをスタッフが月曜から金曜まで毎日必ずアップするようにしていており、5~6年かそれ以上継続しているとのこと。YouTubeは大森さんが管理して情報発信しており、TikTokでも3教室とも週1回以上アップ。アメブロも各教室週1回はアップし、Twitterはアメブロを介してリツイートされるようにしているそうです。
さらに、Clubhouseで通信制高校チャンネルと朗読チャンネルも始めています。ホームページはワイズアカデミーと、各教室のホームページが3つを合わせて4つ。さらに、中学生のフリースクールホームページも3つ作成されています。
「ホームページは業者さんに作って頂いたのですが、志師塾のWebライティング講座を受講し、独自のブログを作るためのページを志師塾テンプレートで作成しました。インスタグラムの更新は、スタッフが仕事としてやっている部分がありますので、何とか回っているという感じです。正解は一つではないと思います。特にこういう塾関係は」と笑顔で話してくれました。
1.2 フランチャイズ形式で安定集客を実現
大森さんの教室は、鹿島学園高校のサポート校として、一種のフランチャイズのような形態で安定集客を実現しています。鹿島学園高校は、全日制課程の高校ですが、15年ほど前から通信制課程も加わったとのこと。
たとえば、一般的に通信教育(ユーキャンやベネッセなど)では、指定された教室などに行く必要はありません。その代わりに、北海道や沖縄の自宅で自主学習を進めます。高校の通信教育も同じで、本来は自宅での学習で完結するはずです。しかし、実際には不登校などが原因で悩みを抱えた高校生が、自宅で一人ぼっちで勉強を続けるのは困難です。
そこで、大森さんのようなサポート校が鹿島学園高校から委託を受けて(代理店のようなイメージ)生徒の教育や進路指導、そして心のケアを行っています。
「例えば明光義塾というフランチャイズ式の個別指導塾は、仮に全国で1,000校あるとしたら、本部校がやっているのは10校くらいで、あと990校はフランチャイズ。私はセブンイレブンのお店を3つ持っているような感じです。ワイズアカデミーと言う会社ですけれど、鹿島学園高校という看板を掲げています。そして私のホームページを見た直接の問い合わせもありますが、半数以上は鹿島学園高校の通信制本部に問い合わせが入り、それを地域ごとに振り分けてくれます」
つまり、品川キャンパスや成田キャンパスなど、問い合わせ元の住所から近いキャンパスに資料請求や見学希望のフォローを依頼してくれる。それがきっかけで入塾につながることが多い、ということです。
1.3 集客拡大のために行っていること
「成田は学習塾の時代から20年やっているので、場所もいいし、成田だと東京のような大都会ではないので、アナログの広告も効果があります。駅の看板など。タウン誌なども少しやっているんです」と笑顔で話してくれた大森さん。ですが、品川では同じような効果は得られそうもないので、アナログ広告は行っていないそうです。
「東京の品川にポスターを貼っても全く意味がありません。商圏があまりにも広すぎるからです。例えば中学生の塾であれば自転車で通える範囲内、つまり半径3Kmくらいで塾を探すので、都会とか田舎とかは関係ありません。しかし、「高校生は電車に乗って移動」するのです。品川は交通の便が良すぎて、なんと電車に20分も乗れば、横浜まで着いてしまいます。商圏が成田だったら市内で10万人ですが、品川だと500万人くらいに膨れ上がります。だから紙媒体の広告の効果が期待しにくいのです。私がものすごくお金を使えば別ですけどね」
東京での自主集客は、デジタルなどホームページなどで頑張らないと厳しい日々とのこと。小学生ならあまり遠くまではいかないですが、大森さんがサポートしているのは、主に高校生。高校生は電車に乗るので、商圏が広く、集客が大変になるそうです。その中でも、ホームページや近所の評判など、日々の情報発信などをきっかけに知ってもらい「電話してもいいかな?」と思ってもらえるよう、活動されています。
2.通信制高校に通う生徒とは?
日本は少子化の進行により、閉校する高校が相次いでいる中、通信制高校の生徒数は増加しています。
その理由と、通信制高校に通う生徒の特性、情報発信の注意点について、3つのポイントをお聞きしました。
2.1 通信制高校生が増加している理由
「通信制高校の全国の生徒数が、3年前までは18万人、これが5年くらい続いていましたが、2年前に21万人になりまして、1年前は22万人になりました。高校生は減っていますが通信制高校に進学する人は増え続けています。通信制高校に通うのは、20人に1人から15人に1人に増えました」
通信制高校は、1988年に4年制から3年制になり、全日制高校と同じ「18才の春」に卒業できるようになり、その魅力が増しました。通信制高校の数は1990年には100校もなかったですが、2020年5月には257校にまで増えています。
なお、かつて大検と呼ばれていた高認(高校卒業程度認定試験)に合格すると大学や専門学校の受験資格が得られます。しかし高認に合格しただけでは(大学や専門学校に入学・卒業しなければ)学歴は中卒のままですので、注意が必要です。
「プロテニス選手の錦織圭(にしこりけい)さんやフィギュアスケート選手の紀平梨花(きひらりか)さんなど、通信を選んだスポーツ選手も多く、アイドルは特に通信が多いとも言われますし、プロボクサーのライセンスを取られた方、高校生でIT系の会社を興した方がいます」通信制高校の市場は、発展し続けています。
「私の運営する教室では、毎月自由参加のイベントとしてボウリングやスポッチャ、ディズニーランドに行くこともあります。ディズニーランドに行くときは事前に一緒に回りたい人のアンケートを取ります。学校では班が決められ、班のメンバーと仲良くしなさいと言われますが、同じことを繰り返してはいけません」
このように、参加する全員が楽しい時間を過ごすことができるよう、大森さんは、一般常識に囚われず、臨機応変にルールを決めているそうです。
2.2 通信制高校は駆け込み寺?
このように、通信制高校の認知は広まり、活発な市場になっています。しかし塾や予備校のように数字で進学実績などを競うわけではありません。不安だった生徒がいかに救われるか、というのが大切なことなのです。
「私のビジネスの本質が、駆け込み寺です。たとえば救急病院や歯医者さんをイメージしてください。歯医者さんに行きたくて行くのではなく、歯が痛くなったから行きますね。同じように心を病んで全日制を辞めざるを得なくなった生徒が来るケースが多いのです」
このような性質があるため、成果の声や実績を伝える一般的なマーケティング手法は使いにくいといいます。その中でも、生徒の気持ちを最大限尊重しながら、ホームページやSNSで適切な情報発信をすることで、魅力を多くの人に伝えているそうです。
2.3 ビジネス交流会では紹介につながらない理由
8年ほど前、紹介を中心としたビジネスの交流会に1年くらい参加されましたが、交流会経由で大森さんの通信制サポート校に通うことになった方は、ほとんどいなかったそうです。その原因について、大森さんは次のように話してくれました。
「うちの子は「東京大学に行ったのよ!」と自慢することはあっても、「うちの子は不登校になりまして…」なんて言いふらさないですね。だからビジネス交流会に参加する人が、近所の不登校事情など知る由もないのです」
こんな中、通信制学校の魅力を伝えるため、プロの方に撮影・編集してもらった紹介動画があるとのこと。1分間の動画の中に、ワイズアカデミーの魅力がぎゅっと凝縮されていました。
3.思いやりの心を育てる温かい教室
不登校のお子様が将来に向けて楽しく過ごして学べる環境を作っている大森さん。「日本一アットホームな教室」をスローガンにし、保健室の先生のように「耳を傾けてくれる」やさしいスタッフさんが学生をサポートしています。
そんな素敵な教室は、どのような思いで運営されているのか。大森さんの仕事のやりがいや生徒さんとのエピソード、幸せの輪を広げる『善活』について詳しくお聞きしました。
3.1 仕事の1番のやりがい
「人生真っ暗な状態で入ってきた子が、明るく卒業していく。「どん底から抜け出すサポート」に一番力を入れています。私の教室は、母子家庭もしくは父子家庭の子が4から5割くらい。経済的困難な家庭の子は6から7割くらいです」
「今までに500名ほどの卒業生を見送っています。人間関係や部活動の関係で毎日学校に通うのが難しい子や、色々な理由で高校を一度やめることになってしまった子が「高校を卒業したい!」「学校に行きたい!」と思ったとき、私の教室が生徒さんにとっての居場所になることを心がけています」
「先生は温かくて優しい人を採用しております。目の前にいる生徒さんが一番大切です。ただ勉強を教えるだけではなく、思いやりの心も育てます」と笑顔で話してくれました。
これは、鹿島学園高校の卒業式での写真です。明るく卒業していく生徒の姿は、大森さんの教室の温かさを物語っています。
3.2 世界で活躍する若者を育てる「ワイズアカデミー杯」
「昔、日本は囲碁が強かったので、世界中から日本に多くの人が学びに来ていました。ですが今は、世界戦で中国や韓国に連敗しています。もう一度、囲碁で世界の国々に勝てるようになってほしい。そのためには、若者の成長が不可欠です。そこで「ワイズアカデミー杯」という、若手プロに小学生が挑戦する機会を作っています」
ワイズアカデミー杯を契機に、参加選手が世界大会で優勝を競い合う未来を夢見ているとのこと。
ワイズアカデミー杯は「世界で活躍する若者を育てる」という日本棋院と共有する理念のもと、第1回開催を実現。2021年にも8月13日~15日の3日間、プロアマ選抜各5名によるリーグ戦「第3回ワイズアカデミー杯」を開催されました。
3.3 特に印象に残っている生徒さんは?
「たくさんの生徒さんをサポートしてきたので、1人には絞れません。通信制高校は、中学卒業後すぐに入学する生徒さんよりも、全日制の高校を退学後に入学する生徒さんが多いです。勉強ができる子で中学受験で燃え尽きた、クラスが学級崩壊していた、先生と合わなかったなど、それぞれの理由はまさに千差万別です。肌が黒い、目が青いなどの理由でいじめられた子や、不良グループに入らないとその地区では生きていけないという理由で私の運営する教室に来る子もいました」
「また、全日制高校の多くは通信制高校のような単位制ではなく学年制であるため、同じ学年をやり直す留年があり得ます。そして学年を上がる進級の判定には、成績よりも出席を重視しています。単位を落として1つ下の学年と同じになること(留年)が原因で退学し、私の教室に来る生徒さんもいます。朝に弱い、暑さに弱い、病気で心臓が弱いといった体質の生徒さんは、遅刻や欠席が重なることで単位を落とし、留年してしまうのです」大森さんは、静かな口調で話してくれました。
「家庭問題では、両親からのDVや過干渉が原因で、家での居場所がない子もいます。家が貧しいため、高校生活を送りながらも長時間のアルバイトをする必要があり、やりたいことができずに苦しんでいる子もいました」
サッカーが得意で、頭も性格も良い素晴らしい青年が、スポーツ推薦でサッカーの名門校(部員が150名ほどの学校)に入学し、1年生でレギュラーになる。すると、上級生としては面白くないから、色々とされることもあるとのこと。スポーツ推薦で入学した場合、部活をやめると学校にいられないので、やむを得ずやめてしまいます。柔道部にも同じような子がいたそうです。
「タワーマンションの高層階に住んでいる一人っ子でも、不幸のどん底にいることがあります。優等生の中学生が、プロゴルファーになる夢をかなえるために、通信制高校に通うこともあります」誰かを特別扱いすることなく、一人一人に真摯に向き合う大森さん。辛い思いをされた生徒さんのお話をしている時の表情が印象に残りました。
3.4 義務教育の誤解
「日本の義務教育は、親が子どもを学校に行かせなければいけないのではなく、子どもの『学ぶ権利』を保障するものです。昔の貧しい家庭では、児童労働や貧困が原因で教育の機会を与えられない子どもが多数いました。そのような悲劇を防ぎ、子どもが教育の機会を得るようにする「保護者の義務」が定められたのです。決して子どもが「恐怖を感じるのに学校に行かなければならない、という子どもの義務ではない」のです」
通信制高校の本質は通信教育ですので、通学の必要性はありません。しかし、逆にいえば孤独で、友達を作る機会もありません。そんな中「行き場がない」「友達が欲しい」そんな学生を救うのが、大森さんのようなサポート校という存在です。友達がいて、青春もできて、明るい未来に向かっていく。世間の通信制高校のイメージは変わり、通信制高校を選ぶ人は増え続けています。
3.5 善活のすすめ
大森さんが強い思いを持って行う活動の一つに『善活』があります。
善活は、大森さんが作った言葉で「慈善活動」を略したもの。慈善活動というと、敷居が高いと感じてしまいがちです。そして「人のために」と口に出すことも、なんだか照れくさいもの。ですが「自分の生きがいのため」という理由であれば、ためらいなく実行できるのでは?との思いで、この言葉を広められています。
ちなみに善活という言葉は商標登録をとられているそうです。しかし、それは商業目的の悪用を防ぐ目的だけで、慈善活動を広げたい方には無料で使用していただいているそうです。
「善活」の実践の場として、アメリカ大統領のスピーチを解説する「ビジネス英語道場」を開催。「教室」ではなく「道場」という言葉を使う理由は、大森さんの経験・ノウハウを引き継ぐ「お弟子さん」となる方を募集しているからとのこと。
「レッスンを受けた後には『日本盲導犬協会』へ直接寄付を行っていただきます。寄付をせずにいなくなっても、追いかけません。私は信じ合える人たちと生きていきたいのです。私の弟子となり「チャリティーレッスンに参加したい!」そう思ってくださる方をお待ちしています」大森さんの善活への熱い思いが伝わってきます。大森さんは、より多くの方に善活を広めるために『善活のすすめ』という本を出版したそうです。
ビジネス英語道場の開催場所は、KG高等学院の品川キャンパス内でしたが、現在はオンライン(Zoom)で実施しているとのこと。オバマ大統領のスピーチを題材にしている理由は、世界の政治・経済・文化・安全保障は、アメリカが中心に回っているためです。アメリカ大統領が関心を持つことは、世界の時事問題そのもの。アメリカ大統領の一言一言が世界に大きな影響を及ぼすからとのことです。
4.志師塾の前後で1番変わったことは?
「先生ビジネス開発講座では、私のビジネスの魅力を言語化できました。キャッチコピーと1分自己紹介は、特に役立っています。志師塾に参加したことで、TPOに応じて話す内容を適切に使い分けられるようになりました。また、講座の度に自己紹介やワークのシェアを行うことで、プレゼンの能力が向上しました」と笑顔で話してくれました。
「また、先生ビジネス開発講座の後に受講したWebライティング講座はとても楽しいです。Web関係や人のサポートをすることが好きなので、土曜日と日曜日にZoomで自主勉協会を開いています」
Webライティング講座では、同期の仲間を丁寧にサポートすることで「大森さんが同期にいてよかった」と慕われているとのこと。ブログは約20年、通信の世界では30年の経験がある大森さん。講座で学んだ内容を活かして、こんなにステキなホームページを運営されています。
参考:中高一貫のフリースクール「ワイズアカデミー」の魅力が詰まったホームページはこちら
5.取材を終えて
教育と道場を通じて、たくさんの中高生とその親御さんに「明るい未来」をプレゼントし続ける大森さん。ホームページやYouTube動画、SNSなどの集客や売上に直結するものだけでなく、『善活』を通じて幸せの輪を広げる活動にも力を入れています。
たくさんの方を幸せにする活動を行うことで、大森さんの周りに温かい人が集まり、ビジネスが発展していく。そんな温かい関係を広げられていると感じました。
「日本一アットホームな教室で、不登校の中学・高校生を笑顔に導き、高校資格を取るまで徹底サポート」を徹底的に貫いている大森さんは、これからもたくさんの方を幸せにするでしょう。
参考:大森さんも参加した、志師塾の「ホームページ作成セミナー」はこちら
文:川口翔平(Web集客コンサルタント)/編集:志師塾編集部
Web集客コンサルタント 川口翔平
志師塾のコピーライティングとWebマーケティングを担当する傍らで、受講生のWebサポートを行っている。
年間6,000名超を集める志師塾のWebマーケティングの一翼を担い、特にWebライティングやSEO(検索エンジン対策)、メルマガ集客の主担当を務める。
年商1,000万円以上を目指したい士業・コンサル・講師・コーチ・セラピストなどの先生業の方は、大森さんも学んだWebを活用し、高単価で安定的に顧客獲得するためのノウハウを、学んでみてくださいね。