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弁理士の営業3つのコツ|売り込まずに受注する方法

弁理士の営業3つのコツ|売り込まずに受注する方法

弁理士の営業に、物売りのような売り込みは要りません。弁理士は「先生」と呼ばれる専門職であり、平身低頭で「仕事をください」と頭を下げるほど、かえって信頼を損ねてしまうからです。勝負どころは売り込みの場面ではなく、その手前にある「選ばれる理由づくり」にあります。

この記事では、先生業(士業・コンサルタント・コーチ・講師など)の集客・営業支援を専門としてきた志師塾が、弁理士が売り込まずに仕事を受注するための営業のコツを3つに絞って解説します。弁理士の価値がなぜ依頼者に見えにくいのかという構造から、ポジショニングの決め方、口コミにつながる自己紹介の磨き方、日々の振る舞いと発信で信頼を積み上げる方法まで、取り組む順番のとおりに並べました。

読み終えるころには、「価格で比べられる弁理士」ではなく「あなたにお願いしたい」と指名される弁理士になるために、何から手を付ければよいかが見えているはずです。まずは、弁理士の営業がなぜ難しく感じられるのか。その構造から確認しましょう。

1. 弁理士の営業が「売り込み」では失敗する理由

「弁理士にも営業は必要」とよく言われます。そのとおりです。ただし、必要なのは飛び込みやテレアポのような売り込み型の営業ではありません。むしろ売り込むほど逆効果になるのが、弁理士という仕事の特性です。まずはこの構造を押さえておきましょう。

1.1 「先生業」に売り込み型の営業はなじまない

弁理士は、発明や商標という経営の根幹に関わる相談を受ける「先生業」です。依頼者から見れば、教えを請う相手でもあります。その先生が平身低頭で「サービスを受けてください」と迫ってきたら、どう感じるでしょうか。頼りたい気持ちは、むしろ冷めてしまいます

営業専任の担当者を雇い、「売る人」と「先生をする人」で役割を分ける方法も、理屈の上ではあります。ただ、個人や少人数の事務所でそれをやれば、固定費が重くのしかかり、経営を圧迫しかねません。弁理士の営業は、弁理士自身が「先生の立場のまま」できる形で設計する必要があるのです。

1.2 資格は参入障壁であって、選ばれる理由ではない

弁理士は資格によって守られた仕事です。ただ、独立して左うちわで暮らせるほど守られているわけではありません。同じ資格を持つ弁理士は他にもいて、依頼者から見て違いが分からなければ、比較の物差しは料金表だけになります。魅力が伝わらない弁理士は、魅力の伝わる弁理士に負けてしまうのです。

資格はスタートラインです。「弁理士であること」は選ばれる理由にならず、「どんな弁理士か」だけが選ばれる理由になります。ここを混同したまま営業に出ると、値引き競争に巻き込まれてしまいます。

1.3 腕の差が出る仕事ほど、依頼者からは見えない

弁理士の営業を難しくしているもうひとつの構造が、「価値の見えにくさ」です。特許出願では、審査の過程で拒絶理由通知(=このままでは特許にできない、という審査官からの通知)を受け取ることは珍しくありません。むしろ、そこからが本番です。意見書や補正書でどう反論し、権利の範囲をどこまで守り切るか。同じ発明でも、この中間処理の巧拙によって、できあがる権利の広さと強さは大きく変わります。

ただ、依頼者である経営者には、この差がほとんど見えません。見えるのは「出願してくれたかどうか」と料金表だけ。権利が広いか狭いかは、模倣品が現れたときや交渉の場面になって、はじめて効いてきます。腕の差が出る仕事ほど成果が後から現れ、目の前では比べられない。だから、実力のある弁理士ほど「なぜ料金で比べられるのか」と苦しむことになるのです。見えない価値を、会う前から見える言葉にしておく。これが、この後の3つのコツの狙いです。

1.4 紹介や下請けに頼り切ると、主導権を持てない

独立した弁理士の多くは、以前の勤務先や知人からの紹介、他事務所からの下請けで仕事を始めます。この入口自体は悪くありません。問題は、そこに頼り切ってしまうことです。紹介や下請けだけでは、仕事の量も単価も相手次第になり、自分で将来を設計できません。

だからこそ、見込み客と自分で出会い、選ばれる状態をつくる「営業の型」が要ります。型といっても、売り込みのトークではありません。この後に見ていく、ポジショニング・言葉・振る舞いの3つです。

売り込む営業と選ばれる営業の違い

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2. 弁理士の営業のコツ1:ポジショニングを明確にする

ここからは、弁理士の営業のコツを取り組む順番に解説します。土台になるのがポジショニング、次にそれを伝える自己紹介の言葉、最後に日常の振る舞いと発信です。順番を入れ替えないことが、遠回りに見えて一番の近道になります。

弁理士の営業 3つのコツの順番

2.1 「弁理士の○○です」では記憶に残らない

あなたは、自分がどのような弁理士かを一言で言い表せますか? 「弁理士の○○です」という名乗りは正確ですが、相手の記憶には残りません。大勢いる弁理士の一人として処理され、名刺はファイルの中で眠ることになります。

ポジショニングとは、自分が顧客に最も評価されるポイントを見つけ出し、そこに自分を位置づけることです。ユニークな立ち位置が定まってはじめて、あなたは「ただの弁理士」ではなく「頼みたい弁理士」になります

2.2 「誰の・どんな知財の悩みを・どう解決するか」で言い切る

ポジショニングは、難しく考える必要はありません。「誰の」「どんな知財の悩みを」「どう解決する」専門家なのか。この3つを言い切れれば、あなたの輪郭は自然に浮かび上がります。たとえば「食品メーカーの商標を専門に、ブランドを守りながら育てる弁理士」という一言(あくまで例です)なら、頼みたい相手の顔が浮かぶでしょう。

「絞ると仕事が減るのでは」と不安になるかもしれません。実際は逆です。絞るからこそ思い出してもらえます。「特許も商標も意匠も、何でも対応します」は、相手の記憶の中では「何の専門家でもない」と同じ扱いになってしまいます。

2.3 目指すのは「この分野といえばあなた」という第一想起

ポジショニングのゴールは、見込み客の頭の中で「この分野の知財といえば、あの人」と最初に思い出される状態(第一想起)をつくることです。紹介も口コミも、この第一想起から生まれます。誰かが「商標のことで困っていて」と口にした瞬間に、あなたの名前が挙がるかどうか。ここが営業の分かれ目です。

志師塾では、発信やセールスの前にまずこの設計を固める「ポジショニング先行」の考え方を大切にしています。ホームページやSNSといった道具は、ポジショニングが決まってはじめて力を発揮します。

3. 弁理士の営業のコツ2:自己紹介を「口コミの原稿」に磨く

ポジショニングが決まったら、次はそれを相手に伝わる言葉へ磨き上げます。最初に手を付けるべきは、自己紹介です。自己紹介はあいさつの飾りではなく、あなたの営業を代行してくれる最小のツールです。

3.1 経歴の羅列では興味を持ってもらえない

自己紹介では、弁理士としての経歴や資格取得の経緯を語りたくなります。ただ、他人の経歴は、聞き手にとってそれほど興味のある情報ではありません。経歴の羅列は、聞き終わった瞬間に忘れられます

興味を持ってもらえるのは、「自分に関係がある」と感じた話だけです。あなたが誰のどんな悩みを解決してきたか、依頼するとどんな良いことがあるか。相手を主語にした自己紹介へ組み替えるだけで、聞かれ方は大きく変わります。

3.2 どの接点でも同じ言葉で名乗る

もうひとつの鉄則が一貫性です。ある場所ではAと名乗り、別の場所ではBと名乗り、AとBが食い違っている。そんな人は信頼されません。名刺、ホームページ、SNSのプロフィール、セミナーでの登壇。すべての接点で同じポジショニングを、同じキーワードで伝え続けてください

言葉に一貫性があると、あなたの発言はそのまま「顧客との約束」になります。約束を守り続けた積み重ねが、あなたのブランドです。逆に接点ごとに名乗りが違えば、何の専門家か覚えてもらえず、紹介も生まれません。

3.3 「高くても頼みたい」理由を言葉にする

自己紹介の仕上げは、「高くても、この人にお願いしたい」と思ってもらえる理由を言葉にしておくことです。コツは、手続きや手法ではなく「相手の変化」を語ること。「特許出願を代理します」ではなく、「御社の技術を、他社に真似されない利益の源泉に変えるお手伝いをします」。手に入る未来が具体的に見えるほど、料金は判断材料の中で小さくなっていきます。

この言い換えの土台になるのが、「知財は取って終わりではなく、事業の利益に変えてこそ意味がある」という視点です。経営者が本当に知りたいのは「登録できるか」ではなく、「その権利が自社の利益をどう守り、どう生むのか」。模倣品を退けて価格を守る。ライセンスで収益の柱をつくる。ブランドの価値を高める。金融機関や提携先との交渉材料にする。権利化は、費用で終わらせれば単なるコストですが、事業に組み込めば投資になります。「出願の代理人」ではなく「知財を利益に変える相談相手」として語れたとき、相手の中で料金の意味は変わるでしょう。

単価が上がれば、一件一件に丁寧に向き合えるようになり、成果もさらに出やすくなります。単価と収入の考え方は、弁理士の年収の記事も参考にしてください。

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4. 弁理士の営業のコツ3:日常の振る舞いと発信で信頼を積み上げる

3つ目のコツは、日常そのものを営業に変えることです。弁理士の営業で大切なのは、商談の席での駆け引きではありません。普段の振る舞いの中で、専門家としての知識のバックボーンと信頼感が伝わっているか。ここで勝負は決まっています。

4.1 ちょっとしたアドバイスが信頼の入口になる

経営者との雑談で出た「これって商標を取ったほうがいいのかな」という何気ない一言。そこに専門家として的確な一言を返せたとき、相手の中であなたは「知財のことを相談できる人」になります。売り込みは一切していないのに、営業は確実に前へ進んでいます。

たとえば、経営者が新しい商品名を口にしたら、「その名前、商標は確認しましたか」と声をかけて、J-PlatPat(=無料で特許や商標を検索できる公的なデータベース「特許情報プラットフォーム」)でその場で一緒に調べてみる。似た商標が見つかれば、それだけで相手はトラブルをひとつ回避できたことになります。見つからなければ、「出願を考える価値がありますね」という次の会話が自然に生まれます。売り込みゼロのまま、あなたは「知財のかかりつけ」に一歩近づいているわけです。

この小さな信頼の積み重ねが、後の依頼や紹介につながります。専門家の営業とは、知識を売り込むことではなく、信頼を積み立てることです。目の前の相手に貢献する場面を、日常の中でどれだけつくれるか。そこを意識してください。

4.2 発信で「会う前に信頼される」状態をつくる

日常の振る舞いをオンラインに広げたものが、ブログやSNS、セミナーでの発信です。専門分野の記事を書きため、小さな勉強会を開き、考え方を発信し続ける。すると、初対面の商談が「検討の場」ではなく「確認の場」に変わります。会う前に、あなたの専門性と人柄が伝わっているからです。

Web集客とリアルの営業は、対立するものではなくセットで設計するものです。志師塾の卒業生にも、この流れで顧客獲得を安定させた先生業の方が数多くいます。実際の取り組みは弁理士の成功事例インタビューで読めます。

4.3 単発の出願で終わらせず、「外部の知財部」として伴走する

受注後の設計も営業の一部です。出願や登録を単発で請け負って終わりにせず、知財の相談役として長く伴走する形を最初から描いておきましょう。

中小企業のほとんどには、知財の専任部署がありません。そこで力を発揮するのが、「外部の知財部」として月々伴走する知財顧問という形です。出願のない月にも、やるべきことは意外なほどあります。新製品のネーミングの商標チェック、開発着手前の先行技術調査、取引契約書の知財条項の確認、社内に眠る発明やノウハウの掘り起こし。事業の中身に入り込むほど、あなたは他の弁理士に置き換えにくい存在になり、次の出願も自然にあなたへ集まります

顧問のような継続の関係が増えるほど収益は安定し、新規の営業に追われない体質になっていきます。高く受注し、長く付き合う。この2つがそろうと、営業はぐっと楽になります。

4.4 弁理士はAIも営業の武器にできる

提案書のたたき台づくり、面談メモの整理、発信用の文章づくり。営業まわりの作業は、AIを使えば大幅に時短できます。浮いた時間を顧客との対話に回せば、営業の質そのものも上がるはずです。弁理士ならではの取り入れ方は弁理士のAI活用の記事で詳しく解説しています。

弁理士の営業を仕組みにする4つの打ち手

5. まとめ:弁理士の営業は「選ばれる理由づくり」から

弁理士の営業のコツを、3つに絞ってお伝えしました。

  • コツ1:ポジショニングを明確にする(誰の・どんな知財の悩みを・どう解決するか)
  • コツ2:自己紹介を「口コミの原稿」に磨く(どの接点でも同じ言葉で)
  • コツ3:日常の振る舞いと発信で信頼を積み上げる

売り込まない営業は、何もしない営業ではありません。中間処理の腕のような「見えにくい価値」を言葉にし、選ばれる理由を設計し、会う前から信頼が届く状態をつくる。この順番で取り組めば、価格で比べられる立場から抜け出し、「あなたにお願いしたい」という依頼が増えていきます。

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