「売上は立っているのに、お金が残らない」。住川大介さんは、そんな経営者の悩みに伴走する利益改善コンサルタントです。広島を拠点に、父から継承した保険代理店を営むかたわら、建築業を中心とする中小企業に対し、売上拡大から資金繰り改善まで支援しています。
その原点には、自身の資金繰りでの苦い経験がありました。28歳で中古車販売会社を創業。売上は伸びるも、手元資金が追いつかず事業継続を断念。そこから保険販売に本腰を入れ、17年経ち出会ったのが決算書セミナーでした。
学ぶほどに決算書の奥深さに引き込まれ、「同じ悩みに苦しむ社長に、決算書を生かす術を届けたい」と考えるようになります。こうして財務コンサルタントとして開業し、自身の営業力を武器に、順調に5社と契約を結びました。
しかし、契約はすべて短期間で終了し、継続的な支援へつながりません。住川さんは、マーケティングの重要性を痛感し志師塾の門を叩きました。
学んだのは、“バックエンドの前にフロントエンドをつくる”という考え方。試行錯誤のうえ「売上から財務へ」「純増キャッシュ力から経営全集中」のコンセプトにたどり着きました。
本記事ではその試行錯誤の道のりを辿ります。
1.経営者に寄り添い成果を出す~現場密着型の利益改善コンサルタント
1.1 対話と数字で、現場の成果につなげる支援を
住川さんは、広島を拠点に中小企業の売上・財務の課題に伴走する利益改善コンサルタントです。その軸にあるのは、父親から継承した保険代理店業で培った“相手の状況を丁寧に聞き取り、納得感のある打ち手に落とし込む”対話の力でした。
たとえば売上に悩む経営者には、新規集客に頼る前に“すでにいるお客様”との関係を整える方法を提案します。新しい広告を打つより先に、過去に工事や修理をしたお客様へ定期的に声をかける。年に一度レターを送るなど、接点をつくり直して”次の相談が生まれる場”を育てていきます。
住川さんの持ち味は、経営者の困りごとを丁寧に聞いたうえで、現場が迷わず動ける“順番”を整え、属人化しにくい仕組みづくりまで伴走すること。地元・広島はもとより、遠くは奈良の経営者からも信頼されています。
1.2 海外修行から「黒字倒産」の危機まで。経営の苦しみを知る20年
住川さんの原点は、若き日の挑戦にあります。大学卒業後にオーストラリアへ渡り、日本食レストラン経営を学びました。帰国後は保険代理店を継承。そして28歳で銀行融資を受けて中古自動車販売会社を創業します。
創業当初から勢いがありました。仕入れた車は次々に売れ、忙しさの中に手応えも感じます。ところが状況は一変します。「売れているのに、次の仕入れができない」。売上は上がっているのに、手元に現金が残らないのです。
“お金がなくても買いやすいモデル”として自社ローンを設定し、分割払いで販売を増やしたものの、回収が追いつかない。入金を待つ間にも仕入れ資金は必要で、支払いも返済も待ってくれません。時に法的手続きが必要になるほど追い込まれ、住川さんは「黒字でも苦しい」状態を身をもって経験します。そして数年で事業継続を断念することになります。
1.3 財務コンサルティングとの運命の出会い
保険営業に邁進する中、住川さんは「なぜこんなに苦しいのか」と自問自答を繰り返しました。17年経ち転機となったのは、知り合いの紹介で参加した決算書のセミナーで学んだ“お金のブロックパズル”でした。そこで初めて、自分が苦しんだ理由がキャッシュフローへの理解不足にあったと腑に落ちます。
振り返れば、周囲にも同じ悩みを抱える経営者が少なくありませんでした。元本返済を費用と捉えていたり、資金が残らない理由を感覚でしか掴めていなかったりする。「決算書の奥深さを広めたい」。住川さんは、決算書で経営を可視化する財務コンサルタントとして活動を始めました。
知り合いの工務店社長に、粗利20%台前半から50%まで改善可能だというシミュレーションを示すと、目の色が変わったと言います。その瞬間、住川さんは財務コンサルティングを自分の“天命”だと確信しました。

2.お客様が離れた中、志師塾で掴んだ「フロントエンド」
2.1 契約が続かない。5社終了という危機
決算書の面白さに目覚め、周囲の経営者に話すと反応は良い。持ち前の営業力で当初は5社と契約し、月50万円の売上が立った時期もありました。ところが、ここで壁にぶつかります。
明確なサービス設計がないまま「今の課題を解決しましょう」という姿勢で入ったため、住川さんもお客様も「どこに向かうのか」が定まりません。方向性が曖昧なまま次の一手が決まらず、行動が積み上がらない。結果として成果の実感が得にくくなっていきました。
やがて契約はすべて終了。月50万円あった売上がゼロになりました。住川さんは「自分はコンサルタントに向いていないのでは」と思い詰めます。
同時に痛感したのは、知識を伝え一緒に考えるだけでは継続につながらないという現実でした。財務コンサルティングにも、商品設計や伝え方・・・つまりマーケティングが必要だったのです。この危機感が、志師塾で学ぶきっかけになりました。
2.2 志師塾で掴んだ「バックエンドの前にフロントを作る」という学び
「なぜ財務コンサルティングが売れないのか」。その答えは志師塾の講義で明確になりました。財務コンサルティングは、お客様がすぐには手を出しにくいバックエンド商品だったのです。
住川さんに欠けていたのは、“今すぐ解決したい悩み”に応えるフロントエンド(入口)商品でした。これまでは1〜2時間じっくり話せば価値が伝わると考え、最初から財務コンサルティングを提案していました。しかし初対面のお客様に資金繰りの話を受け入れてもらうのは簡単ではありません。そこで住川さんは、「別の入口を作ろう」と発想を切り替えます。
志師塾仲間と壁打ちする日々が続きました。周囲ではAIやSNSマーケティングを入口にする人も多い中で、「そこでは自分は勝負できない」と判断。住川さんは、あえて“実直な営業力”を強みとしてフロントエンドに据えました。
志師塾で強みを言語化し、勝ち筋を描けたことは大きな転機となりました。
2.3 工務店をモデルにフロント商品「集客不要の粗利50%越え仕事術」を確立
住川さんは、営業力をどうフロントエンドに落とし込むか悩んでいました。ある日、経営者に刺さるのは“資金繰り改善”よりも“売上を上げたい”という欲求だと気づきます。
そして志師塾第6講を終えた時に閃いたのが、「集客をせずに、来月から売上を上げる」というコンセプトでした。新規顧客を探す前に、既存顧客へアプローチして受注を増やす。これをフロントエンドとして整理したのが、“集客不要の粗利50%越え仕事術”です。以前から有効性は分かっており無料で助言していましたが、それが“有料級の価値”になり得ると捉え直したのです。
住川さんのお客様には、広島の工務店や建設業者が多くいます。彼らは新規顧客獲得のため多額の広告費を投じがちな一方、既存顧客の掘り起こしやフォローが手薄になっているケースも少なくありません。ここに勝機を見出し、自分の価値と得意な顧客像を定義し、戦略的に市場をつくる。志師塾でその整理が進みました。
2.4 売上の悩みから財務支援へ。導線を組み立てる
バックエンドである財務コンサルティングの設計も、当初は手探りでした。そこで住川さんは、自身が苦しみを乗り越えた経験をもとに、財務改善の3ステップを形にします。
(1)資金繰りの不安を解消する「緊急キャッシュフロー改善」
(2)未来の資金ショートを防ぐ「資金ショートゼロ計画」
(3)社外CFOとして利益率を飛躍的に高める「利益率向上プラン」
これらは、住川さん自身が“本当に欲しかった”解決策を具体化したものです。こうして「売上の悩み相談」というフロントから、「財務コンサルティング」というバックエンドへつなぐ導線が整いました。点在していた強みが、提供サービスとして一つの体系にまとまったのです。志師塾での学びがここに完結しました。

3.「社長が本当にやりたいこと」に集中できる会社へ
3.1 工務店の粗利を見える化し50%に改善する
フロントエンドである“既存のお客様から売上を生む提案”は、経営者の心に刺さりました。住川さんは困りごとを丁寧に聞き取り、現場が動きやすい“順番”を整えることも重視しています。再現できる形に落とし込むことで信頼が生まれ、次の提案へつながっていきます。
住川さんは「その段階で、お金の流れをブロックパズルで見せます。すると社長は驚かれます。そこから本質的な財務改善の話ができるようになります」と話します。工務店業界では数字の管理が後回しになりやすく、目標粗利35%を掲げていても実態は20%台前半というケースもあります。
そこで住川さんは粗利をシミュレーションし、現状を具体的に示します。「もし粗利50%の仕事が入ったら、会社はどう変わるか」。数字で可視化すると、社長の表情が変わります。その反応を何度も見てきたからこそ、住川さんは「伝え方を変えれば、意思決定も変わる」と確信しています。
3.2 「ぜひ貸させてほしい」と言われる会社を育てたい
住川さんが最終的に実現したいバックエンドは、決算書を強くし、貸し手からの評価を高める支援です。金融機関が「ぜひ貸させてほしい」と言うほど、財務基盤が強い会社を増やしたいと語ります。ここにも志師塾のフロントエンド・バックエンドの考え方を生かしました。
理想の形は、顧客企業を「毎年キャッシュが溜まる力」=「純増キャッシュ力」を持った会社にすることです。決算書から見落とされている原石(=純増キャッシュ力)を掘り起こし、キャッシュが生まれ続ける仕組みをつくることを目指しています。住川さんはこれをフロントエンドと位置づけました。
そして、自己資本比率20%から30%のBS(貸借対照表)を整え、保証協会付きではないプロパー融資を受けられる会社へと導いていきたいと考えています。そこには、かつて“黒字でも資金に追われ、眠れない夜を過ごした”辛さを、ほかの社長に味わってほしくないという強い思いがあります。
3.3 本気の経営者と「経営全集中」の会社をつくる
資金繰りに追われない状態になれば、社長は本来の意思決定や成長投資に集中できます。採用や育成、新しい挑戦、家族との時間など、“本当にやりたいこと”に力を注げるようになります。住川さんは、業績が毎年右肩上がりでキャッシュを積み重ね、できる社員が集まる会社、そして理想をすぐ形にできる体制が整った状態を「経営全集中」と名付けました。
頑張りたいのに方法が分からず悩む“本気の”経営者とタッグを組み、共に汗をかく。売上から財務まで一連の支援を通じて“純増キャッシュ力”を作り出し、企業を“経営全集中”の状態へ導く。それが住川さん流の伴走支援です。それは、自分が苦しんだときに欲しかった“頼れる伴走者”の姿でもあります。
志師塾で磨き上げた“売上から財務へ”、そして“純増キャッシュ力から経営全集中へ”。フロントエンドからバックエンドへとつながるこの導線を積み重ねることで、広島をはじめ全国で「経営全集中」の会社が増えていくことでしょう。住川大介さんの挑戦は、これからも続いていきます。

文:大井秀人(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部
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