今回お話しを伺った、田尻勲(たじりいさお)さんは、スタートアップ・ベンチャー企業に、助成金を活用した人事労務課題の解決を提案することで、企業の成長をサポートしている社会保険労務士です。
「若くて元気のある会社を増やして、日本を元気に盛り上げていきたい」と大きな志を持つ田尻さんに、これまでの経緯とこれからのこと、そして志師塾での学びについて、たっぷりとお話を伺いました。
1.助成金コンサルティングの課題
助成金とは、申請や審査に基づき国や地方公共団体から支給されるお金のことです。採用や雇用の維持、キャリアアップなど雇用に係る様々な助成金が存在し、上手に活用すれば事業の維持発展に非常に有効なものですが、実際に助成金申請に携わる社会保険労務士は少数派だと田尻さんは言います。
社内の労務管理体制がしっかり整っている会社でないと審査に通りにくくなっていることに加え、顧問先を抱える社会保険労務士は給与計算業務等で忙しく、助成金の相談にまで手が回らないというのが現状です。
2.ビジネスモデルを作り上げるまで
2.1 スタートアップ・ベンチャー企業の現実
方で、多くのスタートアップ・ベンチャー企業は資金不足と相まって、採用・教育研修など様々な場面で困難を抱え支援を必要としていますが、社会保険労務士など外部専門家を活用して社内体制を整備しようとする会社は少数派。多くは課題を抱えながら、相談相手も少なく走り続けているのが実態です。
「スタートアップ期の会社こそ、最初から管理体制をしっかりと作り上げておくことが重要です。助成金の申請もスムーズになり、採用や育成が順調に進み、事業を順調に伸ばしていくことにつながります」
こう語る田尻さんは、スタートアップ・ベンチャー企業向けに、助成金活用を含めた人事全体のコンサルティングを行う独自のビジネスモデルを作り上げました。しかし、そこに至るまでには多くの紆余曲折がありました。
2.2 一見回り道に見えるキャリア
田尻さんのキャリアは大手百貨店からスタートします。そこでは色々な業務を経験しましたが、総務・人事セクションに異動した際に、知識も経験もない中で社員から様々な質問を受けたことをきっかけとして、社会保険労務士の資格を目指すことになります。
入社して10年を越えた頃、会社で大規模な事業再編があったことをきっかけに玩具メーカーに転職。小売業の経験を生かして新規事業の立ち上げで活躍しますが、会社統合により、わずか1年で担当していた事業は見直し対象となります。
ちょうど転職した年に資格を取得していたこともあり、短い期間で2回の事業再編を経験したことをきっかけとして、「サラリーマンとして会社に頼るのではなく自分自身の力で頑張っていこう、社会保険労務士として独立しよう」と決意します。そして、その修行のためにベンチャー企業に転職をしました。
そこで、人事管理部門の管理職として、助成金を駆使しながら、スタートアップの会社を従業員100人ぐらいの組織に成長させることに成功します。
「資金力のないスタートアップ・ベンチャーの会社こそ、組織体制を整えて発展するために助成金を活用するべきであると実感しました」。助成金の活用と、スタートアップ企業が成長する各ステージを経験したことが、大きな転機となります。
2.3 独自のビジネスモデルを確立
その後、会社の体制が落ち着いたこともあり、転職してから約10年後に独立。スタートアップ企業を中心に、助成金の活用支援や、人事制度のコンサルティングを始めました。
「社員数が少ないスタートアップ企業の支援をしている社労士は結構少ないと思います。また、助成金申請のサポートを行っている社会保険労務士も少数派なので、そこを掛け合わせると、競争相手が少ない独自のポジショニングとなります」
2.4 契約形態の工夫
最初はスポットで助成金の申請支援も請け負っていた田尻さんですが、次第に困難を感じるようになります。まず、スポット契約で初めて会う方との信頼関係構築に、ストレスを感じるようになったことです。
「スポット契約は、助成金だけもらえればいいという方が多い気がします。一方で長期的な課題を解決するために助成金を活用しましょうというのが私の主張なのです、その食い違いが目立つようになりました」
次に、助成金申請のハードルが上がったことです。当然ながら、出勤簿や賃金台帳がすべて就業規則と連動してないとまず申請が通りませんが、会社の内容を十分に把握していないと辻褄が合わなくなることがあり、スポット契約では対応できないことも多くありました。
思い切って顧問契約のみに切り替えることで、会社全体の組織管理体制を把握することが可能となり、助成金に限らない人事労務全体のコンサルティングが提案できるようになりました。
3.志師塾での学びと仲間との出会い
3.1 入塾の動機
志師塾に入った動機は、ホームページやSNSを活用した集客を勉強しようと考えたこと。また、独立開業してから7年が経過したところで、今までやってきたことを整理し、強み・弱みを把握したうえで、自分のビジネスモデルのポジショニングをもう一回見つめ直したいという思いでした。
3.2 自分のビジネスをわかりやすく説明する
普段、自分のビジネスを言葉で話す機会は多くはありませんが、志師塾では1分間自己紹介や交流会など、そういった場が数多くあります。
1分間自己紹介では、自分の強みや、ポジショニングを説明し、同期の仲間から自分では気づかないフィードバックをもらうことで、自分のビジネスモデルを明確に説明することができるようになったのです。それを交流会での自己紹介で実践して、さらにブラッシュアップしていきます。
「表現方法を含めてどう言ったら相手に伝わるかというのは、訓練していかないとわからないものだということを、志師塾に入って学びました。初めて会った人にも、自分のビジネスをわかりやすく説明できるようになりましたので、成約率が大きく上がりました」
3.3 営業方法を学んで成約率を大幅に上げる
また、新しい契約の取り方についても学びが多かったと言います。例えば以前は助成金の活用セミナーを無料で開催し、そこから契約につなげようとしていましたが、実際には話だけ聞いて帰ってしまう方ばかりでした。無料のセミナーだと、情報をもらうことだけが目的の人が多く、具体的な話まで進展しなかったのです。
志師塾には、営業手法・セールストークなど第一線で活躍している講師の方からの「リアル営業講座」があります。そこでは特にB2Bの営業セオリーや鉄則を学ぶことが可能です。相手の心理を考えながらの切り返しのテクニックを始め、提案に先立つ準備からアフターフォローの仕方まで手取り足取りの指導があります。
「的外れなことはいくらやってもなかなか成約につながりません。自分でストーリーを作って成約に持ち込む色々な手法があることがよくわかりました」
営業手法を学んだことで、自分の新規のお客様へのアプローチ方法を見直しました。具体的には、今まで行ってきた無料セミナーをやめ、税理士や他の士業、他の会社の社長などの知り合いから紹介を受ける方法に変更しました。紹介をいただいた方たちに対して、個社ごとにカスタマイズした無料診断を実施し、会社が抱える課題とその解決提案まで行う営業手法に切り替えました。
「御社の課題はこれで、この助成金を活用すると、このように解決できます、こういう事例もありますという話ができるようになったので、契約率が非常に高まりました。こういう気づきを得られたのは、志師塾で学んだからだと思っています」
また、志師塾のはじめてのホームページ自主制作講座プレセミナーを受講して自分のホームページを作りあげ、志師塾のスタッフに作成してもらった動画と連動させました。面談前に予め視聴いただくことで、その後の商談がスムーズに流れるようになったと言います。これも志師塾活用の大きな効果となりました。
3.4 大切な仲間
田尻さんは、志師塾に参加した最大の効用は同期の仲間ができたことだと言います。
「半年間講座がたくさんあり、課題もありなかなか大変なんですが、お互いに咤激励しながら乗り切っていくことですごくいい仲間ができました。皆さん士業や経営者の方で、普段誰とも相談できない悩みを、仲間同士で共有することで強い絆ができました」
志師塾は交流会がよく開催されており、同期だけではなく様々な年次の方々と交流する機会が数多くあります。そこでは、他士業の方と知り合い、その方が持っているネットワークを活用して仕事を紹介することも日常的に行われています。
「そういった、仕事を紹介してくださるキーマンと数多く知り合うことができました。そこは本当に志師塾に入った財産ですね」
4.日本を元気にしたい
4.1 独立を目指すみなさんへ
田尻さんは開業してから7年目で志師塾に入りましたが、もっと早くからマーケティングなどの理論をしっかりと学んでいた方が成功の近道であったと感じています。これから独立を目指す方へのメリットを伺いました。
「志師塾のコンテンツは万全なので、いち早くビジネスを軌道に乗せるために、先行投資と思って活用されることをおすすめします。それに加えて、志師塾には卒業生が何千人もいて交流を続けています。こうしたネットワークを持てることも入塾をおすすめする理由です」
4.2 スタートアップ企業と一緒に成長したい
そんな田尻さんは、さらなるスキルアップを考えています。
「お客様にはITベンチャー企業が多いんですよ。そうした企業は、ステージがどんどん変わってきます。創業のころと比べて社員数が大きく増え、ゆくゆくはIPOを考えていらっしゃる会社さんもあります。そのため今後はIPO支援もやってみたいと考えてます。もちろん全部一人で行うのではなく、志師塾で築いたネットワークを使って支援していきたいと思っています」
一見回り道に見えるキャリアをすべて自分の糧として独自のビジネスモデルを作り上げた田尻さん。『若くて元気のある会社を増やして、日本を元気に盛り上げていきたい』と大きな志を胸に、顧問先の成長に合わせて自身もスキルアップし続けている姿はとてもポジティブで、まっすぐに前を見つめていました。
文:佐藤宗一(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部
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