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【卒業生インタビュー】知的財産管理の最適なソリューションを提供 ~弁理士 山田成喜さん~

今回お話しを伺った、山田成喜(やまだまさき)さんは、弁理士事務所と企業の知財部門で活躍された経験を持つ弁理士です。「企業の強みである、知的財産、ノウハウを徹底的に保護・管理し、会社の成長や発展を支えたい」と2023年8月に独立開業した山田さんに、これまでのいきさつやこれからのこと、そして志師塾での学びについてお話を伺いました。

1.特許取得がアイデア保護のゴールとは限らない

「特許を取得すること、イコール、知的財産(ノウハウ含む)保護」と多くの方は考えますが、実際はそうではありません。特許出願書類の書き方によっては、出願内容の公開により競合他社にノウハウやアイデアのヒントを提供することになってしまうことがあります。

また、組織をしっかりと教育、管理しなければ、社員の不注意でノウハウが漏えいしてしまうこともあります。「ノウハウ漏えいは企業の競争力の減少につながります。ノウハウ漏えいを防止するには、適切な保護方法や知的財産戦略の検討と、徹底した管理が必要です」と山田さんは言います。

特許を取得したものの、忙しくて社員の教育や組織管理が十分に行えず、営業部署などが意図せずノウハウを顧客など、外部に話してしまうことがあります。また、会社から依頼を受けた弁理士がノウハウ保護の視点を持たず、ただ顧客に指示された通りに特許出願書類を作成してしまい、特許出願日から1年6か月経過後の出願内容の公開タイミングでノウハウが競合他社に知られてしまう事例が多くあることも事実です。

弁理士 山田成喜さんのセミナーイメージ

2.特許取得?ノウハウ管理?最適ソリューションを提案できる弁理士

2.1 発明に携わりたい想いから弁理士へ

山田さんのキャリアは弁理士事務所勤務から始まります。大学、大学院時代に研究に没頭した山田さんは「発明に携わる」という軸に沿って、就職先を考えます。しかし世の中は就職氷河期時代、企業の求人募集が少なく事業会社の研究職への就職が難しい環境であったため、「発明を支える」という視点から、研究職でなく、弁理士事務所へ就職しました。

弁理士事務所で多くの業種の特許出願書類作成などに携わり十分な経験を積んだのちに、複数の事業会社の知的財産部門で、知的財産の管理や戦略策定の業務を経験しています。弁理士資格は弁理士事務所に勤務する中で取得されました。

弁理士事務所勤務経験により培われた「幅広い分野の技術的知識に対する理解力」「最短3日、スピーディーに特許出願ができる能力」、事業会社勤務経験者だからこそ身につけることができる「知的財産戦略思考」、「知的財産管理の経験」を併せ持つことが、山田さんの強みと言えます。

2.2 本当に品質が良い特許は「問題を起こさない」

実は特許にも品質が存在します。品質が良くない特許は特許出願書類に本質的な記載をしてしまい、特許出願書類を読むことで競合他社にアイデアのヒントを与え、真似されてしまう可能性があるものです。また、訴訟において特許侵害を証明しにくい場合があります。

一方で一般的には、権利範囲が広く、会社の技術およびビジネスを包括し、かつ極力抜け穴のない、訴訟で勝ちやすいものが品質の良い特許だと言われています。ただし、山田さんはそれでもまだ「本当に品質が良い特許」とは言えないとのこと。

山田さんは「本当に品質が良い特許は、特許出願書類に不必要な情報を入れない。必要最低限の情報のみを記載し、権利範囲を明確にすることで『模倣がされにくい』、『問題(特許侵害の裁判)が起きない』特許」と言います。

この「本当に質の高い特許」の申請書を作成するには、その発明の本質を理解することが必要です。発明者の説明にしっかりと耳を傾け、発明の本質を正確に理解し、そのうえで競合他社が取り得る方針を加味しながら「記載すべきこと」、「記載すべきでないこと」を瞬時に判別して特許出願書類を作成する必要があります。

この判別作業は企業での知的財産戦略立案の経験が少ない弁理士には難しく、様々な分野で合計1,500件以上の特許申請関連書類を作成した山田さんのような、経験豊富な弁理士のみがもつテクニックが必要です。

2.3 最適ソリューションを提案するノウハウ漏えい防止コンサルティング

ノウハウ漏えい防止のために特許を取得することが本当に正解なのでしょうか?

「いいえ、それは対象企業と競合他社の関係により回答が異なってきます。特許を取得するのか否かを判断するために重要なことが、知的財産戦略の策定です。業界のポジショニングマップを作成し、その自社の知的財産、ノウハウが競合他社と比較してどこに位置するのかを知る必要があります。もし競合他社と近いエリアに位置するノウハウでしたら特許を取得して保護することが必要となりますが、全く競合他社が存在していないエリアのノウハウの場合、特許を申請せずにノウハウとして社内で管理をする選択肢が出てきます。特許を取得するとそのノウハウの存在が世の中に出てしまうので、あえて特許を取得しないという手段も時には必要になります」

知的財産戦略をしっかりと策定し、その戦略を意識しながらビジネスを行っていない企業は中小企業を中心に多くあります。現在山田さんはそのような企業に対し、知的財産戦略の策定から特許取得、ノウハウ管理等の環境を整備するノウハウ漏えい防止コンサルティングサービスを展開しています。

弁理士 山田成喜さんの面談

3.志師塾での学び

3.1 入塾の動機

山田さんが志師塾に入った動機は、Webを活用した集客を勉強しようと考えたことでした。

「SNSを使用していた際に志師塾の広告を見つけ、そのまま説明会に参加したところ、『自身が期待している内容の講義が受講できること』、『同期の他士業の方と交流し、幅広い人脈形成ができそうなこと』など、独立後の将来を考えた際に多くのメリットをもたらしてくれると感じたため入塾を決心しました」

3.2 仲間に共有することで自分の目標やビジネスモデルをブラッシュアップ

志師塾では、自分の目標やビジネスを文字に起こし、人に共有することを何度も行います。

「1分間の自己紹介や交流会など、自分のことを共有する場が数多くあります。その中で、同期の仲間に自分の目標やビジネスを話し、意見やフィードバックをもらうことができます。フィードバックを通して、自分では気づかなかった強みや新しい視点を知り、自分の目標・ビジネスモデルをさらにブラッシュアップすることができました

また、山田さんは2023年6月に志師塾を受講してから現在までに250回以上の1to1(1回あたりの所要時間は約1時間)を実施。自分のことを話し、志師塾同期などの話を聞いたり意見交換を行うことで、新しいアイデアのヒントや刺激を得ることができるため、1to1がコスト(時間)以上のリターンがあるとても有意義な時間だと言います。

3.3 志師塾のネットワークを活かして、仕事を獲得

2023年8月に独立開業した山田さんは、志師塾関係者や他セミナー参加者なども含め、これまでに約1300枚の名刺交換をしており、この新しくできた人脈、ネットワークが徐々に自身の仕事の獲得につながる手ごたえを感じていると言います。

「今後、志師塾関係のネットワークから、知的財産関係のコンサルティングの仕事を受注できる見込みです。そのほか、志師塾を通してブラッシュアップした自分のビジネスを、昔の知り合いにアピールすることで大手企業などから自分のビジネスに興味を持ってもらうことができています」

「また、仕事で困っているビジネスパーソンに志師塾で知り合った専門家を紹介することで、先方の悩み事を解決するようなできごともありました。専門家を紹介する際に紹介先のビジネスで自分が活躍できそうな業務も一緒に伝えることで、今後、仕事を依頼するような約束をしてもらったりしています。本当に依頼があるかはわかりませんが、人助けを行い、ネットワークを広げながら今後の仕事の種まきを行うことが次の仕事につながると思っていますので、今後も志師塾で出会った専門家の紹介は続けていこうと思います。志師塾では交流会がよく開催されており、これからもネットワークはどんどん広がっていくと思いますので、仲間同士の絆をさらに築き上げながら、自身のビジネスも拡大していきたいですね」

4.仲間と作る新しいビジネス

4.1 強みを掛け合わせて作る新しいビジネス

山田さんはこれまでに志師塾を通して築いた人脈、ネットワークを活かした新しいビジネスを考えています。

「知的財産戦略を構築するには知的財産の『見える化』、『管理』、『教育』の3つが組織内でうまく実施される必要があります。『管理』は自分がノウハウを持っていますので自分が担当し、『見える化』は技術者や弁理士など、『教育』は社労士や弁護士などの得意分野ですので彼らにお任せする。そうやってお互いの強みを活かしながらチームで1つの顧客企業の知的財産やノウハウを上手く守っていけるような仕組みを作るビジネスが展開できるといいなと思っています

これは、幅広い人脈、ネットワークを有し、知的財産、ノウハウの保護の観点から企業の競争力を生み出したいと考えている山田さんならではの新しいビジネスです。

弁理士 山田成喜さんの腕組み

4.2 独立し、成功を目指す皆さんへ

誰にも負けない、自分の強みを見つけよう」「AIに奪われない仕事を意識しよう」一足先に独立した山田さんから、今後独立を検討している方々へのメッセージです。

先に挙げた2つのことを一人で行うことは困難かもしれません。この困難を乗り越えるための手段として志師塾への入塾を検討することも一つの選択肢といえます。

「志師塾の万全のコンテンツを通して学ぶ知識の活用や志師塾関係者に自分のビジネスを話し、フィードバックをもらうことで、『誰にも負けない自分の強み』を知ることができます。また、一人で行うことができる仕事は今後AIに奪われてしまう可能性が大いにありますが、志師塾のネットワークを活かして、違うバックグラウンドを持つ複数人の強みを活かしたビジネスが展開できた場合、AIには作れない価値を生み出す仕事ができます。自分自身のことをもっと知るために、大きな人脈、ネットワークを作るため、また将来新しい価値を生み出すビジネスを行うためにも、志師塾入塾を検討してみてもよいと思います」

山田さんのホームページはこちら

文:原田英明(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部

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