今回お話を伺ったのは志師塾卒業生で、後継者育成パートナーとして活躍する山本恵司さんです。
現在は貿易商社およびサプリメント通販会社の代表を務めながら、次世代の中小企業リーダーを育てるための研修・講演活動に力を注いでいます。
700回以上の登壇経験と累計9社の経営実績に裏付けられた実践型の研修は、企業の将来を担う人材に新たな視点をもたらし、高い評価を受けています。
今回の取材では、志師塾での学びを起点に体系化された独自プログラムの裏側や、山本さんが描く中小企業支援の未来像についてお話を伺いました。
1.後継者育成パートナーとして活躍中
1.1 現在の事業
「肩書きが一つに絞れないんです」と語る山本さんは、現在、貿易商社と健康食品会社の2社を経営しながら、研修講師や後継者育成パートナーとしても活躍されています。
2012年に立ち上げた貿易商社“オリエンタルトレーディング㈱”は、アジア圏を中心に事業を展開しており、さらに2022年には“㈱高麗人参ウェルネス”というサプリメント通販会社を譲渡により引き継がれました。現在は両社がある程度自走できる体制となっており、山本さんご自身は主に戦略立案や新規事業の開拓、資金調達等を担っています。
また、オリエンタルトレーディング㈱の起業当初から取り組まれている企業研修の講師業は、これまでに700回以上登壇されており、今では書籍出版や講演活動など、その幅をさらに広げています。
1.2 後継者育成パートナー
講師業の中でも特に力を入れているのが“後継者育成”の分野です。中堅・中小企業のオーナー経営者から依頼を受け、次世代を担う後継候補者に対して、視点を高める研修を行っています。
山本さんは、これまで9社の経営に関わり、企業再生や新規事業立ち上げなど、多様な経験を積んでこられました。その実体験をもとに、組織マネジメントや人材育成、財務・会計、経営戦略などを体系化し、現場に即した内容で研修を提供されています。
「経営者とそれ以外の立場では、見えている景色がまったく違います」経営人材育成研修では冒頭に「今日からあなたがこの会社の社長になったらどうしますか?」と問いかけるそうです。多くの受講者は、最初は戸惑いながらも、次第に経営者の視点に気づきを得ていくとのことです。
「リーダーを育てることが、会社の未来をつくります」そう語る山本さんは、これからも自らの経験と実践を活かし、次世代育成に力を注いでいかれるとのことです。
2.経営者としての転機と挑戦の歴史
2.1 三井物産からのキャリアスタート
「実は子どもの頃から、ずっと“社長になりたい”と思っていたんです」と山本さんは語ります。
大学時代に海外への憧れが強まったこともあり、総合商社・三井物産に入社。入社後は製鉄所向けの機械設備を担当し、台湾駐在も経験されました。
しかし、帰国後に転機が訪れます。テレビに映った学生時代の友人が、若手起業家として活躍している姿に刺激を受け、「自分もやはり社長になりたい」という想いが再燃したのです。
ちょうど社内で新たに導入された“ブリテンボード制度(社員が自ら希望する部署に異動申請できる制度)”を活用し、希望していた情報産業本部へ異動しました。ITバブルの波に乗り、米国のソフトウェアを輸入・日本展開する社内ベンチャーを立ち上げました。
2人で始めた事業は数年で十数人の規模に成長。起業家としての手応えを感じた一方で、急成長の後に待ち受けていたのは、売上減と経営の難しさでした。売上を上げるか、コストを下げるかしか選択肢がなくなり、結果的にリストラを行うことになりました。
そのとき、リストラ対象の社員から「山本さんは物産に戻れるからいいですよね」と言われたことが一番辛かったそうです。結果的に、山本さんも三井物産を退職する選択をすることになりました。
2.2 社長クビという挫折を経験
その後、複数の企業再生プロジェクトに携わりながら、外部招聘された企業の社長や経営幹部として数社の経営に関与しました。中でも転機となったのが、通販会社の経営者としての経験です。株式を100%取得したファンドから「山本さんは通販のプロではない」と告げられ、事実上の社長クビを経験されました。
「突然の退任通告に、ショックというよりも”ここで終わってたまるか”という気持ちが強くなりました」と当時を振り返ります。この出来事が、雇われ社長ではなく”自分で責任を持つ事業をやる”という決意につながりました。
現在では複数の事業を経営する立場ですが、「社長クビという挫折がなければ、今の私はなかったかもしれません」と静かに語るまなざしの奥には、失敗を乗り越えてきた強さと、未来への確かなビジョンが宿っていました。
2.3 商社・サプリメント通販事業の立ち上げと成長
通販会社の社長を解任され、自らの道を歩む決意を固めた山本さんは、2012年に貿易商社「オリエンタルトレーディング㈱」を立ち上げます。スタート時は取引先も収入もゼロという厳しい状況でしたが、「悩んでいる暇があれば動こう」と腹をくくり、東南アジアを中心に地道な営業活動を積み重ねてこられました。
その後、事業は徐々に拡大し、2022年には“㈱高麗人参ウェルネス”というサプリメント会社を譲り受ける形で新たに経営を開始。既存事業の知見を活かしながら、商品力の向上や販路開拓を進め、こちらも順調に成長を遂げています。
現在では、両社ともある程度自走できる組織に育ち、次なる挑戦として、後継者育成や講師業にも本格的に取り組んでいる山本さん。現場の実務経験に裏打ちされた視点は、次世代経営者の育成において大きな価値を発揮しています。
3.志師塾での学び
3.1 志師塾に参加したきっかけと得られたもの
経営者として複数の事業を軌道に乗せた山本さんですが、次なる挑戦として取り組もうと考えたのが“講師業”の事業化でした。すでに企業研修の現場には数多く登壇されており、その数は14年で700回以上にのぼります。
これまで積み重ねてきた講師経験を体系的に整理し、自らのビジネスとして確立するための後押しが欲しいという思いから、志師塾への参加を決めたそうです。
実際に参加してみて、大きな学びとなったのは、自身の中にあった曖昧な経営観を”構造化・言語化”できたこと。たとえば、研修で使用する“経営のカリキュラム図”は、志師塾の学びをもとに設計されたものです。
これまでの経験を体系的に整理し、単発のセミナーではなく複数回に分けて実施するプログラムとしてパッケージ化したことで、企業研修の受注にもつながりました。
「それまでは、自分の伝えたいことを感覚的に組み立てていました。しかし、志師塾での学びを通じて、“どの順序で、どの深さで伝えれば相手に届くのか”という設計の考え方を身につけられたのが大きかったです」と語ります。
また、単なる座学ではなく、チラシやプロフィールシートの作成、セミナー設計など、実際の事業活動に直結するアウトプットの機会が豊富にあったことも印象的だったといいます。
「もし独学で進めていたら、おそらく作ることのなかった資料も多かったと思います。アウトプットがあるからこそ、自分の頭の中が整理され、かたちになる。そこが志師塾の特徴の一つだと思います」
さらに、参加者同士でフィードバックをし合える環境も、実践力を高める大きな要素となりました。
「ワークや発表の機会が多く、講師や同期からの率直な意見をもらえたことは、自分を客観的に見直すきっかけになりました」
3.2 志師塾のおすすめポイント
山本さんが志師塾を人に薦める理由としてまず挙げたのは、“参加者の本気度の高さ”でした。
「経営者や独立志向のある方、専門性を活かして事業を立ち上げたいと考えている方など、真剣に取り組んでいる人ばかりが集まっていました。だからこそ、受け取れる刺激が非常に大きかったです。年齢も背景も異なる仲間と出会い、実践を共有できたことは大きな財産です」
また、志師塾では自分の“強み”と“市場ニーズ”との接点を明確にする作業にも時間をかけます。山本さんにとって、それは“経営経験に基づいた実践的な指導ができること”でした。
「私は9社の経営に関わり、さまざまな企業再生や新規事業の立ち上げに携わってきました。それらの経験を単なるエピソードではなく、体系的な“価値”として再構築できたのは、志師塾の中で明確な軸をつくれたからだと思います」と語ります。
さらに、講師やサポートスタッフの熱意と伴走力も魅力のひとつです。
「塾生一人ひとりにしっかり向き合い、時には厳しく、時には親身になって背中を押してくれる。そうした支援があったからこそ、途中でブレることなく走りきれました」
今後、志師塾の学びをどう活かしていきたいかを伺うと、「これまでの事業に加えて、次世代リーダー育成や後継者育成といった分野で、より多くの企業に貢献していきたいです。そのためにも、“伝える力”をさらに磨いていきたい」と語ってくださいました。
志師塾は、単なる知識習得の場ではありません。実践に根ざしたアウトプットと仲間との相互支援の中で、自分のビジネスを磨き、確かな形にしていく場。その環境を最大限に活かし、自らの次なるステージを築いている山本さんの姿は、多くの学び手にとって強い刺激となることでしょう。
4.おわりに
4.1 現在の課題と新規開拓への意欲
山本さんは現在、貿易商社とサプリメント通販会社という2つの事業を経営されています。いずれも体制が整い、社員によって日々の業務が安定的に運営されるようになった今、あらためてご自身の力を注いでいるのが“後継者育成”や“経営研修”といった講師業や講演の事業化です。
ただし、既存の2事業とは異なり、研修分野はまだまだ新規開拓が必要な段階にあるといいます。
「現在の課題は、講師業としての販路や案件を継続的に獲得する仕組みがまだできていないことです。これまでの研修依頼は、知り合いや紹介が中心でした。今後は、自らの専門性をさらに明確に打ち出し、より多くの企業や経営者に価値を届けていきたいと考えています」と、山本さんは語ります。
志師塾で得た研修設計のノウハウや発信の土台をもとに、新たな顧客層へのアプローチを本格化させようとしている今が、まさに次のステージへのスタート地点だといえます。
4.2 将来のビジョン
山本さんが今後描いているビジョンは、単なる講師業にとどまらず、経営の現場を知る実践的な伴走者として、企業の成長を支える存在になることです。
「理論だけではなく、現場の泥臭さを理解したうえで、経営者や次世代リーダーに寄り添いたい」と語ります。
また、組織や事業の成果だけでなく、“社員一人ひとりの物心両面の幸せ”を何よりも重視されています。
「最近は“ミッション”や“バリュー”といった言葉がよく使われますが、うちのような規模の会社では、“物心両面の幸せ”という表現の方がしっくりきます」と語る姿には、経営者としての温かい視点と覚悟がにじみます。
将来的には、後継者育成事業を独立させ、多くの企業と関わりながら、持続的な成長を支援していく構想も視野に入れておられます。
文:野村英樹(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部
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