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【卒業生インタビュー】中小零細企業を知財で支援〜至誠国際特許事務所 弁理士 木村高明さん

今回お話をうかがったのは、志師塾卒業生の至誠国際特許事務所 弁理士 木村高明(きむらたかあき)さんです。

木村さんは、中小企業知財の調査から登録、紛争解決、外国登録、外国紛争解決まで一貫対応をキャッチコピーに、「マーケット独占プロデューサー」として中小企業知財の特殊性に基づくマーケット独占可能な知財権の創出及び、紛争事件の勝訴的解決を通じて、中小企業の経営発展を支援しています。

取材を通して、ご自身の原体験とそれまでのキャリアがどのように弁理士としての独立に繋がったのか、そして志師塾との出会いでビジネスがどのように広がっていったのかを紐解いていきました。

1.国際派弁理士として活躍

1.1 弁理士を目指す

30歳から現在まで40年以上弁理士として活躍されている木村さん。製造業の人事部で工場での労務管理として2年半働いた後、脱サラをしてみたいと思ったこと、法学部出身であること、工場勤務で技術開発に興味を持ったことが弁理士を目指したきっかけです。

小規模な弁理士事務所に転職し、弁理士資格を取得するため働きながら3年間勉強されました。その事務所は大手自動車メーカーからの案件が多く、弁理士として毎日、自動車の技術と向き合い、約200件の特許に関わりました。そこで弁理士としてのノウハウを身に付けます。

しかし、所長の方針と自分の考えが異なってきたこと、海外案件に携わりたい希望が高まったこと、国際部門を統括する人材を探していた事務所の所長から誘いがあったことから、大手の弁理士事務所に移籍しました。

1.2 海外知財への興味

いちばん弁理士の仕事を自分の視点で楽しむことができたのは、海外での仕事でした」という木村さん。この事務所での最初の仕事は、以前に在籍した事務所とは別の大手自動車メーカーでの特許業務でした。

木村さんは自動車の特許技術に関する知識や海外への取得手続きに関する知識があったため、所長とともに営業活動に参加、仕事を受注します。

しかし印象に残ったのはこの企業ではなく、とある中小企業との出会いでした。

その中小企業は、業界の8割以上の世界シェアが取れる非常に画期的な特許を、世界11か国で取得しました。画期的な特許であれば、真似するものがでてくるため、海外で特許紛争に巻き込まれ、木村さんはその対応に当たることになりました。

木村高明弁理士と特許紛争

1.3 特許紛争

木村さんは特許紛争の解決にドイツに10回、中国に5回程度訪問しました。ドイツでは弁護士、弁理士、大学教授と、中国でも北京で弁護士と弁理士とチームを作り、紛争事件に当たります。

紛争事件は最後までいかないと勝ち負けわからない、欧州では全面勝利であったが、中国では政治的な問題もあって良好に解決させることができなかった。解決できなかったこと、苦労したことが大変勉強になった」

木村さんはここでの活動がドラマチックあったと語り、弁理士としてのやりがいを見つけました。

ドイツの弁理士との議論は、英語が得意ではなかった木村さんにとってはハードルの高いものでしたが、仕事の中で英会話を身に付け、コミュニケーションを取れるようになりました。ドイツで何度も徹底的に議論し、時には合宿を行ったりもして、相手からの異議申し立てに対する反論を半年かけて検討。十分な準備をした結果、欧州特許庁での結審で全面勝利します。

また特許紛争での経験から、国際的知的財産制度の整備の面からの要請に応えたいという思いから、日本弁理士会国際活動センター副センター長や国際活動委員会副委員長を歴任されました。

2.独立

2.1 事業承継と組織改革

事務所に5年在籍し、経営を考えながら仕事をするパートナーという役職についていた木村さん。 しかし他の先輩パートナーの方とやりたいことが乖離してきたこと、組織改編の話もあり、退職しました。

「中小零細企業を助けたい。大手企業からみる弁理士事務所は下請け企業のような立場にあり、こちらから企業に提案する事態はない。もっと積極的に企業に関わりたい、という思いも強くなりました」

独立するという方向性はなかった木村さんでしたが、同じ職場の方とも考え方が合わなくなり、退職せざるを得ない状況でした。そこに偶然、弁理士事務所の後継者として誘いがあり、至誠国際特許事務所の前身の事務所の所長として特許事務所の事業を承継します。

所長となった特許事務所は中小企業の仕事が多く、大企業を中心に関わってきた木村さんは、仕事のスタイルに大きなギャップを感じました。顧客利益を最大化するために顧客のヒアリングを重視するといった顧客志向の考え方を浸透させるため、前事務所長の考え方で仕事をしていたスタッフの教育や、仕組みの作り直しから始めました。

スタッフからの反発や抵抗もありましたが、10年かけて組織改革し、平成14年名称を現在の「至誠国際特許事務所」に変更し、本当のスタートを切ります。

2.2 中小企業の特許を守る

「特許はどうあるべきか。ビジネスに役立たないと意味がない。ただ特許をとっても意味がない」顧客のための特許とは何かを、木村さんは考えています。

「多くの弁理士事務所は安定した収益のため、大企業との取引を望みます。しかし、大企業との仕事の中では特許紛争を経験することはまずありません」

木村さんは特許紛争を経験したことで、必然的に紛争になってもちゃんと顧客を守れる特許とは何かを常に考えており、そこが他の弁理士事務所との差別化になっています。

また、海外での特許取得を考えている中小企業は多く、経験豊富な外国出願の実績も強みです。

「中小企業は取得した特許を徹底的に使いたいという意向がある」特許紛争で培った今までの経験が、中小企業の要望に生かされています。

木村さんはただ権利を取得するだけではなく、今後のビジネスに沿うような特許取得を提案され、特許紛争対策も支援しています。写真のカバンも木村さんが特許取得に尽力されました。

木村高明弁理士の特許のカバン

3.志師塾で得たもの

3.1 弁理士のマーケティング

今期は売り上げ6,000万円以上を達成した木村さん。独立当初はマーケティングについての経験は全くありませんでした。また弁理士スキルで新規顧客はすぐに獲得できると考えていましたが、経営を勉強しなかったため、中小企業からの案件受注がうまくいきませんでした。

新規顧客に営業するにはどうすればいいか。大企業の場合はアポイントを取得して担当者と会い、提案された特許の権利取得までの期間や費用を説明すればよかったのですが、中小企業ではそうはいきません。

ほとんどの中小企業は特許取得を必要しないこと、特許の取得と維持には高額な費用がかかること、中小企業では特許に関する意識が低く、特許取得の必要性を理解させる必要があるからです。特にコロナの時期は、中小企業は特許取得を考える余裕もありませんでした。

木村さん自身が経営者としての資質について悩んでいた時、志師塾に出会いました。HP、LPとリスティング広告でウェブマーケティングは行っていましたが、期待された効果ではありませんでした。もっと効果的なマーケティングをしたいというのが入塾のきっかけです。

3.2 ビジネスモデルの確立

志師塾に入塾して一番変化があったのは、私の内面です。どのような顧客をターゲットにして、他の特許事務所との差別化を図るために、どうすればよいか、自身のビジネスモデルを構築する前に、なぜ中小企業を支援したいのか、知的財産権を活用して何ができるのか等、特許事務所を維持、運営するためにはどうすればよいか、原点に立ち返って自分の弁理士活動の意義をもう一度見つめ直しました」

中小企業に特許取得の意義の説明から、取得した特許をどのように経営に生かしていくか、また特許侵害や紛争が起こった時にどのように対処し、中小企業の利益を守るか。自分の弁理士活動を振り返って見つめ直しつつ、志師塾で与えられた課題を達成していくことで、自分自身の強みを再認識します。

他社との差別化の観点を通して、顧客へのアプローチから権利取得まで、知的財産権に関する一気通貫型の自分自身の仕組み、ビジネススタイルを構築することができました。

「弁理士は、先生業の中でも誰かにものを教えたり、何か技術を身に付けさせたりするものではないため、他の先生業とは違う特殊性を感じました。弁理士が他の先生業との違いを感じたことで、より弁理士としての事業の意義を再認識し、さらに活動していきたいという想いが強くなりました」

また木村さんは志師塾で弁理士としての仕事を振り返り、改めて弁理士業でやってきてよかったことを実感します。木村さんにとってSビズ101期の志師塾入塾は、中小企業診断士や弁護士をはじめとした先生業の方々と出会えたことも貴重な経験でした。

「今までは他の弁理士の方としか関りがなかったので、志師塾のコミュニティでの意見交換が参考になり、営業もうまくいくようになりました

「多くの先生業の方々と交流した結果、中小企業診断士は経営に関するノウハウや顧客を獲得する手法を持っておられること、弁護士が実施している営業スタイルを参考にすれば、弁理士にも生かせることは参考になりました」

3.3 メルマガの活用

「メルマガは既存顧客だけでなく、名刺交換した方全員に送っています。メルマガの読者に、こんなものが特許になるのかという、知財意識の向上になるような内容にして、潜在化しているヒントを顕在化したアイデアにさせ、相談件数を増やすことを心がけています」

「一例として、ある企業で、当たり前に実施していることが、実は知財につながることがあります等、企業のモチベーションがあがるようなメルマガを配信しています。こんな些細なものが国際的な特許になった事例もあると伝えることで、特許相談に対するハードルを下げ、意識の底上げを図っています

「実際に『こんなアイデア、特許になるのですか』という相談から、海外ビジネスに繋がる特許になったこともありました。それが中小企業の発展につながると考えています」

4.後輩へのメッセージ

ゼロから起業される方、また起業して1,2年経過したが計画通りに進捗していない場合には、志師塾は有用な情報に溢れており、非常に有効だと思います。志師塾での学びが発展につながります」

「私のように事業経験があっても、事業をもう一度見つめ直し、フレームワークを使って分析するきっかけにもなります。志師塾で学んだことを実践すれば事業の発展につながり、必ず成功すると考えています」

木村さんにとっても、志師塾での学びは大きな転機となっています。

5.まとめ

木村さんは、弁理士として中小零細企業を助けたいという強い想いを持ち、至誠国際特許事務所を経営されています。

知的財産権を取得するだけでなく、それを生かした経営を浸透させていきたい。しかし顧客獲得がうまくいかず、志師塾の門をたたかれました。志師塾ではご自身の想いや、やりたいことを見直され、また様々な先生方との出会いから刺激を受け、売上が飛躍的に向上しました。

特許取得だけを支援する特許事務所は多数ありますが、特許取得後どのようにビジネスにつなげていくか、特許紛争になった場合、どのようにすればよいか、特許に関し一貫してサポートするのが、至誠国際特許事務所の役割と考えられています。

中小企業のちょっとしたアイデアが世界に通用する特許になる」という木村さん。

今後の活躍に期待しています。

文:上杉嘉邦(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部

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