facebook

Google広告AI Max自動移行|士業広告の点検7項目

2026年9月1日から、Google広告の一部の検索キャンペーンが「AI Max」(管理画面での表示は「AI 最大化設定」)へ順に切り替わっています。広告主が操作しなくても対象になり、Googleの告知では9月30日までに移行が終わる見込みです。自動作成アセットを使っていた事務所では、GoogleのAIが、あなたの広告の見出しと説明文を新しく書き始めます。士業にとってこれは、集客の問題である前に、広告規程と信用にかかわる問題です。

この記事では、次の4つを扱います。

  • 9月の自動移行で何が変わったのか(延期された動的検索広告の扱いも含む)
  • AIが書く広告文が、士業の広告規程に触れるリスク
  • 移行後のキャンペーンで確かめたい点検7項目
  • 広告をAIに任せる時代に、広告費を回収できる集客の組み立て方

志師塾は先生業専門のビジネススクールとして、士業・コンサルタント・講師など3,200名超の集客を支援してきました。広告については「収益の出る仕組みを先に作り、広告はその後」という順番で教えています。本記事では、この考え方に沿って、Googleの公式発表と、消費者庁・中小企業庁・日本弁護士連合会などの公表資料を整理しました。

読み終えるころには、自分の広告が移行の対象かどうか、そしてどこまでAIに任せ、どこで止めるかの線引きがはっきりしているはずです。まずは、9月に何が起きているのかを確認していきます。

点検と同じくらい大切なのが、広告をクリックした人を受け止める側の準備です。AIが広告の出る範囲や広告文を広げるほど、クリックした先のページと、相談に至るまでの流れで成果に差がつきます。広告も含めた集客の流れ(導線)の組み立て方は、志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーで、先生業の事例とともに解説しています。

広告のクリックを相談につなげる導線を学ぶ

先生業のためのWeb集客セミナーを見てみる

Table of Contents

1. Google広告のAI Max自動移行で何が変わったのか

AI Max自動移行と延期の時系列

AI Maxとは、Google広告の検索キャンペーンで、次の3つの判断をAIに広く任せる設定です(Google広告ヘルプ)。

  • どの検索語句に広告を出すか
  • どんな広告文を見せるか
  • どのページへ案内するか

AI Maxは2025年5月に発表されました。2026年に入ってからは、似た役割を持つ従来の機能をAI Maxへ統合する形で、移行が進んでいます。

1.1 2026年9月にAI Maxへ自動移行する2つの設定

今回、自動で移行するのは、次の2つを使っている検索キャンペーンです。

  • 自動作成アセット(ACA):サイトの内容などをもとに、Googleが広告文を自動で作る従来の機能
  • キャンペーン単位の部分一致:キャンペーン内のキーワードを、まとめて部分一致(=関連する語句にも広告を出す方式)として扱う従来の機能

Googleは2026年8月3日に、この2つを新しく設定できないようにしました。8月上旬には対象の広告主にメールで知らせ、9月1日から30日にかけて、該当するキャンペーンをAI Maxへ切り替えています(Google Ads Developer Blog)。

広告の設定を代理店や以前の担当者に任せたまま、中身を把握していない事務所も少なくありません。メールを見た覚えがなくても、一度は管理画面を開いてください。

1.2 動的検索広告(DSA)の自動移行は2027年2月に延期

動的検索広告(DSA)は、サイトの内容をもとに、広告を出す検索語句と広告の見出しをGoogleが決める広告です。2026年4月のGoogleの発表では、DSAも同じ流れで移行する予定でした。

その後、Googleは6月にこの方針を改め、DSAの自動移行を2027年2月へ延期しました(SEO最前線の報道)。DSAは6月から再び新しく作れるようになりましたが、2027年1月にまた作れなくなる見込みです。

春に公開された解説記事には、いまも「DSAも2026年9月に移行する」と読める内容が残っています。古い情報のまま慌ててDSAを止めると、成果の出ている広告を自分で止めることになりかねません。記事の日付を確かめてから判断しましょう。

1.3 移行後にオンになる機能は、元の設定で違う

AI Maxには、主に次の3つの機能があります。

  • 検索語句とのマッチング:登録したキーワードの範囲を超えて、関連がありそうな検索語句にも広告を出す
  • テキストのカスタマイズ:サイトの内容や検索語句をもとに、AIが見出しと説明文を新しく書く
  • 最終ページ URL の拡張:広告から案内するページを、AIがサイトの中から選ぶ

移行後にどの機能がオンになるかは、移行前に使っていた機能によって異なります。

移行前に使っていた機能 検索語句とのマッチング テキストのカスタマイズ 最終ページURLの拡張
自動作成アセット オンになる オンになる 自動ではオンにならない
キャンペーン単位の部分一致 オンになる 自動ではオンにならない 自動ではオンにならない

士業にとって影響が大きいのは、自動作成アセットを使っていた場合です。AIが広告文を書く機能まで、一緒にオンになるからです。どちらを使っていたかによって、この後の点検で重点を置く項目が変わります。

1.4 AI Maxへの移行は断れない。移行後は機能ごとに見直す

複数の解説記事によると、移行そのものを断る方法は用意されていません。移行を避けたい場合、取れる手は2つでした。期限前に従来の機能をオフにするか、自分でAI Maxに切り替えて機能を選ぶかです。広告グループの単位だけで従来の機能をオフにしても、キャンペーン単位の設定が残る、という指摘もあります。

9月半ばの今では、すでに移行が終わった事務所も多いはずです。それでも対応はできます。たとえば、テキストのカスタマイズはキャンペーンの設定から個別にオン・オフを切り替えられます(Google広告ヘルプ(英語))。「全部任せる」か「全部やめる」かの二択で考えず、機能ごとに使うかどうかを決めるのが現実的です。

2. AI Max移行で士業の広告に生まれる3つのリスク

AI Max移行で士業広告に生まれる3つのリスク

AI Maxへの移行で、士業が気をつけたいリスクは3つあります。

  1. AIが書いた広告文が、広告規程に触れる
  2. 広告が表示される範囲が広がり、広告費が無駄になる
  3. AIに任せきりになり、誰も数字を見なくなる

1つ目は信用に、2つ目と3つ目はお金にかかわるリスクです。

2.1 AIが書いた士業の広告文でも、責任は広告を出した先生にある

消費者庁は2024年9月、「No.1」表示の実態を調べた報告書を公表しました。報告書は景品表示法の考え方にもとづき、「No.1」と表示するには次の4つの点で合理的な根拠が必要だと整理しています。

  • 比べる相手を適切に選んでいるか
  • 調査の対象者を適切に選んでいるか
  • 調査の方法が公正か
  • 表示の内容が調査結果と正しく対応しているか

あわせて、調査を外部の会社に任せた場合でも、表示の責任は広告主が負うとしています(出典:消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書」、2024年9月公表)。

AIが書いた広告文の責任が誰にあるのかを、Googleや弁護士会が直接示した資料は、調べた範囲では見当たりませんでした。ただ、「外部に任せても責任は広告主に残る」という考え方に照らせば、「AIが勝手に書いた」は言い訳として通らないと考えておくのが安全です。懲戒や信用の失墜は、クリックがいくら増えても取り戻せません。

AIに任せる範囲と、人が担う範囲をどう分けるか。この考え方は、AI時代の先生業の動き方をまとめた記事でも掘り下げています。

2.2 弁護士・税理士・司法書士の広告規程と、AIが書きやすい表現

弁護士の場合、日本弁護士連合会(日弁連)の業務広告に関する規程が、次のような広告を禁じています。

  • 事実と違う広告
  • 誤解を招くおそれがある広告
  • 誇大な広告や、過度な期待を抱かせる広告
  • 過度な不安をあおる広告
  • 他の弁護士と比べる広告

日弁連が公表している指針は、表示の仕方にも触れています。客観的な裏付けがないまま「専門分野」と表示するのは、控えるのが望ましいという立場です。これに対して「得意分野」は、本人の主観だと分かるため、原則として問題ないとしています(出典:日本弁護士連合会「業務広告に関する指針」)。

第二東京弁護士会も、2025年3月に注意を呼びかけました。「国が認めた借金減額救済措置」のような広告は、誇大な広告や過度な期待を抱かせる広告にあたる可能性が高く、規程に違反すれば懲戒の対象になりうる、という内容です(出典:第二東京弁護士会の注意喚起、2025年3月公表)。

税理士・司法書士・社労士も、それぞれの連合会や都道府県の会が、虚偽や誇大な広告、他の事務所と比べる広告などを禁じるルールを設けています。細かい基準は会ごとに違います。たとえば大阪司法書士会は、広告に関する規則の運用指針を公開しています(出典:大阪司法書士会 広告に関する規則の運用指針(PDF))。まずは、自分が所属する会の規則を一度読み返してください。

AIが書きやすい表現と、それぞれが触れやすい規程の論点を、次の表にまとめました。

AIが書きやすい表現の例 触れやすい論点
「○○専門の弁護士」 専門分野の表示(日本弁護士連合会の指針)
「地域No.1」「実績1位」 No.1表示の合理的な根拠(消費者庁の報告書)
「すぐに解決」「必ず減額」 誇大な表現・過度な期待(第二東京弁護士会の注意喚起)
「放置すると取り返しがつかない」 過度に不安をあおる表現
「他の事務所より安い」 他の事務所との比較

AIは、検索した人が使った言葉や、あなたのサイトの文章を材料にして、クリックされやすい文を組み立てます。そして、クリックされやすい文ほど、表の左側のような表現に寄りがちです。点検するときは、そう想定して読むくらいでちょうどよいでしょう。

2.3 AI Maxで検索語句が広がり、相談につながらないクリックが増える

Googleは2025年5月の発表で、AI Maxをオンにした広告主の成果を次のように説明しています。

  • CPA(=成果1件あたりの広告費)やROAS(=広告費に対する売上の比率)をほぼ同じ水準に保ったまま、コンバージョン(=問い合わせや申し込みなどの成果)が平均14%増えた
  • 完全一致やフレーズ一致が中心のキャンペーンでは、27%増えた

別の見方を示す分析もあります。小売業の250を超えるキャンペーンを分析した海外の記事では、売上が13%伸びた反面、CPAが16%上がったと報告されています。小売業の数字なので、士業にそのまま当てはまるわけではありません。それでも、平均値は、あなたの事務所の数字ではないという点は押さえておきましょう。

士業の広告は、対応できる地域(商圏)が限られるうえに、相談1件の重みが大きいのが特徴です。試験勉強中の人、求人を探している人、遠方で来所できない人のクリックが増えても、問い合わせの件数が伸びるだけで、受任は増えません。判断の基準にすべきなのは、Googleの平均値ではありません。受任・契約1件あたりに、いくら広告費がかかったかです。

3. 士業広告のAI Max点検7項目|配信範囲を確かめる4項目

配信範囲を確かめる点検1〜4の手順

士業広告のAI Max点検7項目は、移行後のキャンペーンについて「どこまでAIに任せ、どこで止めるか」を決めるための確認リストです。前半の4項目では、広告が誰に表示されるかを確かめます。後半の3項目では、広告で何を伝えているか、そして広告費を回収できているかを確かめます。

No. 点検項目 見る場所 頻度の目安
1 移行の対象と、オンになった機能 キャンペーン設定 今すぐ1回
2 AI Maxによって広告が表示された検索語句 検索語句レポート 移行後1か月は週1回
3 地域と配信時間 キャンペーン設定 今すぐ1回
4 リンク先のページとURLの除外 ランディングページのレポート 月1回
5 AIが書いた見出し・説明文 広告とアセットの画面 月1回
6 テキストガイドラインと注意書き キャンペーン設定 今すぐ1回、規程が改正されたとき
7 移行前後の成果と費用 管理画面と事務所の受任記録 月1回

3.1 点検1:AI Maxへの移行対象と、オンになった機能を確かめる

まず、キャンペーン設定の「AI 最大化設定」を開きます。そして「検索語句とのマッチング」「テキストのカスタマイズ」「最終ページ URL の拡張」の3つが、それぞれオンかオフかを確かめます。1.3の表と照らし合わせれば、移行前に自動作成アセットと部分一致のどちらを使っていたのかも、おおよそ見当がつきます。

あわせて、移行した日が分かる記録を残しておきましょう。Googleからのメールや、管理画面の変更履歴が手がかりになります。点検7で移行前後の数字を比べるときは、この日付が起点です。DSAを使っている場合は、2027年2月に同じ作業が必要になることもメモしておくと、そのときに慌てずに済みます。

3.2 点検2:検索語句レポートで、AI Maxによって広告が出た語句を見る

検索語句レポートでは、AI Maxによって広告が表示された語句を、マッチタイプの欄で見分けられます。「ソース」の列を追加すると、何がきっかけで広告が表示されたのかも分かります。移行してから1か月ほどは週1回、落ち着いてからは月1回を目安に確認しましょう。

士業の広告で除外を検討したい語句には、たとえば次のような種類があります。

  • 仕事を探している人が使う語句:求人、採用、年収、転職
  • 資格の取得を目指す人が使う語句:試験、講座、独学、合格率
  • 書類を自分で作りたい人が使う語句:書式、テンプレート、書き方

AI Maxによって広告が表示された語句も、通常と同じように除外キーワードに登録できます。ただし「自分で」のような語句には注意が必要です。自分で調べているうちに、専門家に頼もうと考え直す人も含まれるため、一律に除外しないほうがよい場合があります。何を除外するかは、実際の問い合わせ内容と見比べて決めるのが確実です。

3.3 点検3:地域と配信時間を、士業事務所の商圏に合わせる

地域の設定は、初期状態では「所在地または関心」になっていることが多くあります。この設定では、事務所の商圏の外にいても、その地域に関心を示した人に広告が表示されます。来所や訪問を前提とする業務であれば、「所在地」に絞るのが基本です。

ただし例外もあります。たとえば相続の分野では、遠方に住む子どもが、親の住む地域で事務所を探すことがあります。こうした分野では、「関心」を残しておいたほうが問い合わせにつながる場合があります。AI Maxでは広告グループごとに地域を指定することもできるので、相続の広告グループだけ地域の範囲を広げる、といった使い分けが可能です。

配信時間も見直しておきましょう。問い合わせの多くが電話で来る場合、受付時間外に表示された広告からの電話には、あとで折り返す手間がかかりがちです。反対に、フォームやLINEで問い合わせを受け付けているなら、夜間も広告を出し続ける意味があります。

3.4 点検4:AI Maxが選ぶリンク先ページと、URLの除外を確かめる

最終ページURLの拡張は、今回の自動移行ではオンになりません。ただし、過去に誰かがオンにしていたり、自分でAI Maxを設定したときに選んでいたりする場合があります。オンになっている場合は、ランディングページのレポートの「選択方法」の列を見て、AIが選んだページかどうかを確かめましょう。

AIにリンク先として選ばれると困るページは、あらかじめ「URLの除外」(キャンペーン単位で設定)に登録しておきます。たとえば次のようなページです。

  • 採用情報のページ
  • 事務所からのお知らせ、休業のご案内
  • 料金を改定する前の、古い料金ページ
  • 法改正より前に書いた、古いコラム

セミナーや個別相談のLP(=広告から案内する専用ページ)へ確実に案内したい場合は、最終ページURLの拡張をオフのままにしておくのが無難です。志師塾では、広告のように見込み客と新たに出会う場(新規接点)と、LPやセミナーのように問い合わせを受け止める場(受け皿)を、セットで設計するよう伝えています。AIが受け皿を通さずに、古いページへ案内してしまう状態は避けてください。

4. 士業広告のAI Max点検7項目|広告文と成果を確かめる3項目

点検5で探す、士業広告の危ない表現5つ

後半の3項目では、AIが書いた広告文を広告規程に照らして整え、そのうえで広告費を回収できているかを確かめます。テキストのカスタマイズがオンになった事務所は、ここを重点的に確認してください。

4.1 点検5:AIが書いた見出し・説明文を、士業の広告規程に照らして読む

管理画面で、AIが作成した見出しと説明文を一つずつ読みます。確認するポイントは、2.2の表で挙げた次の5つです。

  • 「専門」と言い切っていないか(弁護士は特に注意)
  • 「No.1」「1位」など、根拠を示せない順位を表示していないか
  • 「必ず」「すぐに」など、結果を約束する表現がないか
  • 読む人の不安を必要以上にあおっていないか
  • 他の事務所と比べる表現がないか

問題のある文が見つかったら、その文が表示されないように止めます。似た文が何度も出てくる場合は、テキストのカスタマイズそのものをオフにすることも検討しましょう。

見落としやすいのが、AIが広告文の材料にする、サイト側の文章です。サイトやブログに「地域一番」「どんな案件も解決」といった言い回しが残っていると、AIがそれを拾って広告文に使うおそれがあります。広告を点検するときは、サイトの表現も同じ基準で見直しておきましょう。AIが作った文章を最後に人が読んで整える手順は、生成AIでブログ記事を書く5つのステップで紹介している進め方と同じです。

4.2 点検6:テキストガイドラインと免責事項で、AI Maxが書ける表現を制限する

テキストガイドラインは、AIが広告文を書く前に「使ってほしくない言葉」と「守ってほしい方針」を指定しておける機能です(Google広告ヘルプ)。テキストのカスタマイズがオンになっているキャンペーンで使えます。2026年9月時点では、ベータ版(=正式公開前の試験提供版)として提供されています。

設定 登録できる上限 士業での登録例
語句の除外 キャンペーンごとに25個 専門、No.1、ナンバーワン、1位、日本一、必ず、確実
メッセージの制限 キャンペーンごとに40個 「他の事務所と比べる表現を使わない」「解決や結果を約束しない」「不安をあおる言い回しを使わない」

語句の除外は完全一致で判定され、言語ごとに登録する必要があります。たとえば「No.1」を登録しても、「ナンバーワン」という表記までは防げない可能性があります。表記の違いは一つずつ登録し、25個の枠は優先順位をつけて使いましょう。登録する語句は、2.2で挙げた消費者庁の報告書や、所属する会の広告規程に照らして選ぶと迷いません。

もう一つの機能が、テキストの免責事項です。2026年8月にヘルプページが公開されました。キャンペーンごとに最大90文字の注意書きを設定でき、説明文の欄に表示されます。たとえば「ご相談の内容によってはお受けできない場合があります。結果を保証するものではありません。」といった一文です。

ただし、免責事項は、ピン留め(=表示位置の固定)した説明文1より優先して表示されます。説明文1に大事な訴求をピン留めしている場合は、広告がどう表示されるかを確認してください。なお、管理画面にこの項目が見当たらない場合は、日本語の広告ではまだ提供されていない可能性があります。

4.3 点検7:AI Max移行前後の数字を、士業事務所の基準で比べる

最後に確かめるのは数字です。志師塾では、広告を改善するうえで見逃してはいけない指標として、クリック率、コンバージョン率、顧客獲得単価の3つを挙げています。管理画面で、移行前と移行後から同じ長さの期間を選び、並べて比べましょう。

ただし、管理画面に表示されるコンバージョンは、問い合わせの件数にすぎません。事務所の記録から相談件数と受任・契約件数を拾い出し、受任・契約1件あたりの広告費まで計算して、はじめて移行がプラスだったかどうかが分かります。AIが学習するには時間がかかるため、数日で判断するのは早すぎます。少なくとも数週間分の数字で判断してください。

数字が悪くなっていた場合は、機能を1つずつオフに戻して、原因を探ります。広告の運用を代理店に任せている事務所も、これらの数字だけは毎月自分の目で確認してください。志師塾では、広告費の規模が大きくなってきたら運用の外部委託も選択肢になると伝えています(費用の目安は運用額の2〜3割程度)。ただし、判断の主導権まで手放してはいけません。

5. AI Max時代の士業広告は、収益の出る集客導線から逆算する

広告費を回収する集客導線の逆算4ステップ

AIが広告運用の手間を引き受けてくれるほど、成果の差は広告以外の部分で生まれます。つまり、広告がクリックされてから受任に至るまでの流れ(集客導線)です。ここからは、志師塾が先生業の集客について伝えている考え方に沿って整理します。

5.1 士業の広告は「集客の仕組みステップアップ」の最後の段階

志師塾では、先生業の集客を7つの段階で捉える「集客の仕組みステップアップ」という考え方を使っています。

  1. 未集客
  2. 身近集客(紹介・交流会など)
  3. 価値Web化(ホームページ・LP)
  4. Push型ツール(ステップメール・LINE)
  5. 動画活用
  6. コンテンツ量産(ブログなどによるSEO)
  7. お金集客(広告)

広告は、この7段階目にあたります。すべての段階を順番どおりに進める必要はありません。ただ、受け皿になるLPや、メール・LINEによるフォローの流れがないまま広告を出すと、広告費だけが出ていきます

志師塾では、先生ビジネスで成果を出すための力を「受注力7つの能力」(独自力・商品力・伝達力・集客力・決定力・高額力・仲間力)として整理しています。この中で、広告は集客力のうち「新規接点」を増やす手段にあたります。検索広告は、すでに悩みを自覚している人(顕在層)に届きます。そのぶん、広告を出す事務所が多い分野では、入札単価の競争になりがちです。こうした特性を踏まえて、どこで広告を使うかを決めましょう。

5.2 士業が広告費を回収できるかは、商品の構成で決まる

志師塾では、広告を使う前提として、「見込み客に働きかける費用より、得られる収益のほうが大きい構成になっているか」を確かめるよう伝えています。その構成は、次の3段階で表せます。

  • 無料オファー:見込み客の連絡先(リスト)を集める
  • フロントエンド:セミナーなど、申し込みやすい集客用の商品
  • バックエンド:本質的な価値を届ける主力商品

志師塾の教材で使っている計算例を紹介します。

段階 人数 前の段階からの移り方
メルマガ登録 150名 広告費30万円、1人あたり2千円で獲得
セミナー参加 15名 登録者の10%が申し込む
個別相談 6名 参加者の40%が進む
成約(単価50万円) 3名 相談者の50%が成約する
リピート(単価30万円) 2名 成約者の66%が継続する

売上は、50万円×3名と30万円×2名を合わせた210万円です。30万円の広告費に対して、7倍の売上になる計算です。数字は仕組みを説明するための例で、成果を約束するものではありません。

同じ教材では、「広告の費用対効果は、必ず悪化する」とも伝えています。AI Maxへの移行でCPAが上がる可能性があるなら、なおさらです。広告費が3倍に上がっても収益が出る構成になっているかを、先に確かめておきましょう。

5.3 AI Maxに任せるほど、受け皿になるLPの出来が成果を左右する

AIが広告文や検索語句の範囲を広げても、クリックした人が最初に目にするのはLPです。志師塾では、LPで申し込んでもらうセミナーや無料オファーについて、次の「人が反応する必須5要件」を満たすよう伝えています。

  • 顕在性:悩みに気づいているか
  • 重要性:その悩みの優先度が高いか
  • 緊急性:今すぐ必要か
  • 簡易性:簡単にできそうに見えるか
  • 独自性:他で見たことがないか

もう一つ大切なのが、「そもそも何に集客するのか」を決めておくことです。LPで登録や申し込みをしてもらう先(無料オファーやセミナー)がはっきりしていれば、AIがどんな検索語句から人を連れてきても、次の一歩を示せます。サイトの文章が事実にもとづいて具体的になるほど、AIが広告文の材料にする言葉の質も上がります。

広告文を考える時間が浮いたら、その分をLPや集客導線づくりに回しましょう。浮いた時間の使い方は、生成AIで先生業の仕事時間を半分にする方法も参考になります。

5.4 士業の広告成果を見える化する3つの解析ツール

広告の管理画面だけでは、クリックした人がその後どう動いたかまでは分かりません。志師塾では、次の3つを「3大解析ツール」と呼び、目的に応じて使い分けるよう伝えています。

ツール 分かること
Googleサーチコンソール サイトに来る前の動き(どんな検索語句で表示され、クリックされたか)
Googleアナリティクス サイトに来た後の動き(滞在時間、どのページで離脱したか など)
ヒートマップ(ミエルカなど) ページ内の動き(どこまで読まれ、どこがクリックされたか)

AI Maxの広告から来た人が、LPのどこで離脱しているかが分かれば、直すべきなのが広告なのかLPなのかを判断できます。

6. 志師塾卒業生の事例|AIと集客導線で道を開いた士業・先生業

ここでは、AIの活用や集客の仕組みづくりに取り組んできた志師塾の卒業生を3人紹介します。いずれも、公開済みのインタビュー記事から紹介しています。

6.1 西田明さん|士業専門AI活用コンサルタント、AI研修の登壇は1年で50回以上

株式会社ツナグミチ代表取締役の西田明さんは、東京と福岡を拠点に活動する士業専門のAI活用コンサルタントです。税理士や中小企業診断士などの士業を支援しています。金融・人事・キャリアコンサルタントという経歴を持ち、法人向けAI研修のプロデューサーも務めています。AI研修やセミナーへの登壇は、この1年で50回以上にのぼります。

西田さんは、自身の役割を「AIそのものの操作方法を教えることではなく、『先生の業務やビジネスをどう変革できるか』を共に考えること」と語っています。AI Maxも同じです。設定の操作を覚えることより、AIに任せて浮いた手間を、事務所のどの仕事に振り向けるかを決めるほうが、成果に直結します(西田明さんのインタビュー)。

6.2 坂田一郎さん|不動産鑑定士、Web集客で売上200万円増

合同会社坂田不動産鑑定の代表・坂田一郎さんは、新潟県を拠点に活動する不動産鑑定士です。建設関連の業界で40年以上の経験を積み、60歳で独立しました。官公庁の案件を中心に実績を重ねながら、地域では手がける鑑定士が少ない民間案件の開拓にも取り組んでいます。

坂田さんは、全国に約8,000人いる不動産鑑定士のうち、ドローンの実務に精通した45人のひとりでもあります。志師塾では3万字にわたる自己分析で自分の核を掘り下げました。そのうえで「小人」に寄り添うWeb集客に取り組み、売上を200万円伸ばしています(坂田一郎さんのインタビュー)。

「約8,000人のうち45人」のように、裏付けのある事実は、それだけで他の鑑定士との違いを伝えます。「地域No.1」のような、根拠が必要な表現に頼らずに済みます。士業が広告文を考えるときにも、そのまま使える発想です。

6.3 馬醫光明さん|税理士、顧客の反応を見て訴求を切り替える

税理士の馬醫光明さんは、オンラインを活用して、高知県だけでなく全国にお客様を持っています。大企業の海外現地法人で役員を務めた経験や、中小企業の取締役としての経験を活かし、税理士事務所と並行する新しい事業として、CFO(最高財務責任者)の立場での企業支援を模索してきました。

馬醫さんは当初、IPO(株式の新規上場)の準備に必要なスキルを「7つの刀」として打ち出しました。しかし、お客様からは「刀は7つも必要ない」という反応が返ってきます。馬醫さんはすぐに方向を修正し、ニーズが高まっている事業承継へ軸を移しました。志師塾で学んだことを活かして、集客導線の構築にも取り組んでいます(馬醫光明さんのインタビュー)。

事業承継のニーズは、公的なデータにも表れています。中小企業庁の2025年版中小企業白書では、事業者が自力で対応するのが難しい経営課題として事業承継を挙げる企業が、企業の規模を問わず1割を超えています(出典:中小企業庁「中小企業白書」2025年版)。士業の広告でも、こうした公的データで裏付けられた課題を入口にすれば、誇張に頼らず、根拠のある言葉で相談のきっかけをつくれます

発信した言葉への反応を見て、訴求を直す。この姿勢は、AIが書いた広告文を点検するときにも活かせます。

3人に共通しているのは、道具や肩書きより先に「誰に、何を、どう届けるか」を決め、反応を見ながら修正している点です。あなたも、AI Maxの点検をきっかけに、広告の先にあるLPや、相談に至るまでの流れを見直してみませんか。広告を含めた集客導線の組み立て方は、志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーで、先生業の事例とあわせて解説しています。

7. まとめ|AI Max移行後も、士業の広告は先生が主導権を握る

AI Maxに任せる範囲の3段階

2026年9月、自動作成アセットとキャンペーン単位の部分一致を使っていた検索キャンペーンが、AI Maxへ自動で移行しています。動的検索広告の移行は、2027年2月に延期されました。移行後に確かめたい7つの項目を振り返ります。

  1. 移行の対象と、オンになった機能を確かめる
  2. 検索語句レポートで、AI Maxによって広告が出た語句を確認し、必要な除外を追加する
  3. 地域と配信時間を、事務所の商圏に合わせる
  4. リンク先のページと、URLの除外を確かめる
  5. AIが書いた見出し・説明文を、広告規程に照らして読む
  6. テキストガイドラインと免責事項で、AIが書ける表現を制限する
  7. 移行前後の数字を、受任・契約1件あたりの広告費で比べる

AIは、広告づくりの手間を大きく減らしてくれます。それでも、広告で何を約束するか、どのページへ案内するか、広告費をいくらまでかけられるかを決めるのは、あなた自身です。志を持って選んだ専門分野だからこそ、その伝え方は自分の手で守りましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

点検で広告の入口が整ったら、次に手を入れたいのはクリックの先です。LPからセミナー、個別相談、受任へと続く流れができていれば、AIが連れてきた人を成果に結びつけられます。

広告をAIに任せても、受任までの導線は自分で設計したい士業の方へ

点検7項目で広告の入口を整えたら、次はクリックの先にあるLP・セミナー・個別相談の流れを整える番です。先生業のためのWeb集客セミナーでは、広告費を回収できる集客の仕組みの作り方を、先生業の事例とともに解説しています。参加費は無料です。

先生業のためのWeb集客セミナーの詳細を見てみる

関連記事

この記事について

この記事は、先生業専門のビジネススクール「志師塾」が執筆・監修しています。志師塾は、士業・コンサルタント・講師・コーチなど3,200名超(2026年8月時点)の先生業を支援してきました。卒業生の実名インタビューも多数公開しています。

PAGE TOP
MENU
体験セミナー

TEL:03-5937-2346

カスタマーサポート(9:00 - 18:00 土日祝日除く)