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コンサルタントの営業5原則|売り込まず受注する

コンサルタントの営業5原則|売り込まず受注する

コンサルタントとして独立したものの、営業の場面になると足がすくむ。名刺交換のあとに何を話せばいいのか分からない。見積もりを出した途端、「もう少し安くなりませんか」と返ってくる。コンサルタントの営業には、こうした悩みがつきものです。ただ、その原因は営業トークの巧拙ではありません。「あなたが何者で、どんな問題を解決できるのか」を相手が判断できないまま商談が進んでいることに、本当の原因があります。

この記事では、先生業(士業・コンサルタント・コーチ・講師など)の集客・営業支援を専門としてきた志師塾が、コンサルタントが売り込まずに受注するための営業を、5つの原則に整理して解説します。実績でしか信頼を証明できない構造、営業を「証明の場」へ変える考え方、選ばれる理由をつくるポジショニング、実績が乏しい時期の案件のつくり方、価格と意思決定者の扱い方まで、取り組む順番に並べました。

読み終えるころには、どの場で・何を言い・次に何を提案するのかが、手順として見えているはずです。まずは、コンサルタントの営業がなぜ難しくなりやすいのか。その構造から確認しましょう。

1. コンサルタントの営業を難しくしている4つの構造

「営業が苦手」と感じるコンサルタントは多いもの。ただ、その正体は性格ではなく、コンサルティングという商品の性質にあります。ここを理解しないまま場数だけ踏んでも、消耗するばかり。相手側から見た「頼みにくさ」を4つに分けて押さえましょう。

1.1 資格要件がないから、名乗るのは自由。相手には見分けがつかない

弁護士や司法書士のように国家資格の取得が要件となる職業なら、難関資格に合格していること自体が最低限のスキルの証明になります。ところがコンサルタントには、要件となる資格がありません。資格要件がない以上、誰でも今日から名乗れます。

裏を返せば、相手にも見分ける手がかりがないということ。だからこそ、実績を自ら生み出すことでしか、自分のスキルを証明する術がありません。「経営について助言をさせてください」と飛び込み営業をしたところで信頼を得るのが難しいのは、この構造から来ています。相手から見たあなたは、まだ「コンサルタントを名乗っている人」でしかないからです。

1.2 形がなく、成果が出るまでに時間がかかる

もうひとつの壁が、サービスに形がないことです。パソコンや機械なら、買う前に触って性能を比べられます。コンサルティングは、伴走が始まってからでないと中身が分かりません。しかも成果が表れるのは、たいてい数か月から1年先。相手は「効くかどうか分からないもの」に、先にお金を払う判断を迫られているわけです。

この不安を「熱意」で押し切ろうとすると、営業は途端に苦しくなります。必要なのは押しの強さではなく、相手が判断できる材料を先に渡すこと。何を、どの順番で、どこまでやるのか。先の見通しを描いて見せられる人が、形のない商品では選ばれます

コンサルタントの営業を難しくする構造

1.3 提案書を無料で書かされ、そのまま流れることがある

コンサルタントの営業でよく起きるのが、提案書の持ち逃げです。課題をヒアリングし、分析し、施策を組み立てて提案書に落とす。この作業自体がコンサルティングの一部なのに、「提案は無料」という慣習のもとで数日分の労力を無償で差し出してしまう。そして「社内で検討します」で止まり、後日その提案だけが実行されている、ということも起こります。

ここで大切なのは、けちけちすることではありません。無償で出すのは「診断の入口」まで、深い設計から先は有料という線を自分の中に引くことです。線がある人は、提案の場で「ここから先はご一緒するなかで詰めます」と自然に言えます。線がない人は、断れないまま消耗します。

1.4 「何ができる人か」が伝わらないと、単価が作業量で決まる

4つ目が、価格の決まり方です。専門性が伝わっていないと、相手は値付けの根拠を「稼働時間」や「訪問回数」にしか求められません。月に何回来てくれるか、何時間拘束できるか。この物差しで測られた瞬間、コンサルタントの報酬は労働の対価に化けます。

反面、「この会社の何を解決する人なのか」が明確な相手には、成果の大きさで話ができます。同じ助言でも、時給で語られるか、解決する問題の大きさで語られるか。その分かれ目は、営業の場ではなく、その前の「伝わり方の設計」でほぼ決まっています

2. 原則1:コンサルタントの営業は「売り込む」から「証明する」へ

4つの構造を裏返すと、コンサルタントの営業が向かうべき方向が見えます。売り込みを上手にするのではなく、営業そのものを能力の証明の場に変えること。志師塾が営業のメソッドで最初に伝えるのが、この転換です。

2.1 営業=プレゼン。伝達力を示す場と考える

コンサルタントには、プレゼンテーションのスキルが求められます。顧客企業の経営課題を解きほぐし、解決策を分かるように説明する。それ自体がプレゼンだからです。仕事の中身がプレゼンそのものである以上、営業の段階でその力を見せられれば、そのままスキルの証明になります

志師塾では、この「伝える力」を伝達力と呼んでいます。どれだけ優れた分析ができても、相手の腹に落ちる言葉にできなければ、コンサルティングは動きません。営業を「頭を下げてお願いする場」ではなく「伝達力を試す場」と捉え直してみてください。営業へのアレルギーは、それだけでかなり軽くなります。

2.2 初回の面談で、相手の課題を相手より整理して返す

では、証明はどの瞬間に起きるのか。初回の面談です。経営者は自社の問題を、断片のまま抱えています。人が辞める、値引きが止まらない、幹部が育たない。それらがバラバラに語られたあと、あなたが「お話をうかがうと、3つの話は同じ原因から出ているように見えます」と構造にして返せた瞬間に、空気が変わります。

この瞬間、実績が少なくても信頼が生まれます。相手が自分より自社を整理してくれた、という体験そのものが、コンサルティングの試食になるからです。だから初回面談の準備は、自己紹介の練習ではありません。相手の業界を調べ、聞くべき質問を用意し、その場で構造化して返す練習です。面談での聞き方・返し方は、口下手でも成約率が上がる対話術で詳しく解説しています。

2.3 「売る人」ではなく「先に役に立つ人」として現れる

飛び込みやテレアポが効きにくいのは、最初の接点で「売る人」として現れてしまうからです。逆に、セミナーや勉強会、経営者の集まり、ブログといった場に「先に役に立つ人」として現れれば、相手は警戒を解いて話を聞きます。同じ内容でも、届き方がまるで違う。

とくにセミナーは、伝達力をそのまま見てもらえる場です。90分の講義は、そのままプレゼン審査。内容に納得した人だけが個別相談に進むので、営業らしい営業をしないまま商談が始まります。この流れはコンサルタントのセミナー集客で解説しています。

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3. 原則2:コンサルタントのポジション獲得が営業の土台になる

証明の場としての営業を成り立たせるには、その前に「何を証明する人なのか」が決まっていなければなりません。志師塾の営業メソッドで最重要とされるポイントの1つ目が、コンサルタントとしてのポジションの獲得です。

3.1 「財務に強い」「ITができる」だけでは選ばれない

あなたの得意分野は何でしょうか。世の中には、財務に強い人、ITのスキルを持つ人、新規事業の立ち上げを得意とする人と、さまざまなコンサルタントがいます。人事、生産管理、事業承継。強みにできる分野は、それだけにとどまりません。だからこそ、自分がどのようなコンサルタントなのかを明確にし、ポジションを獲得する必要があります。

ここで注意したいのが、「財務に強い」「ITができる」は強みの説明であって、選ばれる理由にはなっていないことです。経営者は「財務に強い人」ではなく、「資金繰りが毎月ぎりぎりで眠れない」という自分の問題を解いてくれる人を探しています。強みは、相手の困りごとの言葉に翻訳されてはじめて機能します。

3.2 誰の・どんな経営課題を・どう解決するかで言い切る

ポジショニングは、3つの要素を言い切るだけで輪郭が出ます。誰の、どんな経営課題を、どう解決するコンサルタントなのか。「コンサルタントの●●です」と言われるより、「○○を専門とし、△△△でお悩みの企業経営者のパートナーです」と言われたほうが、相手の頭に像が結ばれます。前者は職業の説明、後者は相手にとっての意味の説明です。

絞る軸は、業種、企業の規模、成長のステージ、テーマとさまざま。「製造業の二代目社長の事業承継を支える」「小売チェーンの店長育成を立て直す」といった一言(あくまで例です)なら、相談したい相手の顔が浮かぶはず。「絞ると仕事が減るのでは」という不安は自然ですが、実際は逆です。絞るからこそ思い出してもらえます。まずは自分の得意分野を把握して「自分の強み」を明確にすること。それがポジション獲得の第一歩です。

売り込まずに受注するまでの流れ

3.3 目指すのは「その課題なら、あの人」という第一想起

ポジショニングのゴールは、見込み客の頭の中で「その課題なら、あの人」と最初に思い出される状態(第一想起)をつくることです。コンサルタントの仕事に多い紹介も、この第一想起から生まれます。経営者仲間の会話で「工場の生産性が上がらなくてね」という話が出た瞬間に、あなたの名前が挙がるかどうか。営業の勝負は、その場にいない時間帯にも進んでいます。

だから自己紹介は、経歴の羅列ではなく紹介する人がそのまま使える「口コミの原稿」に磨き込みます。誰の、どんな悩みを、どう解決してきたか。名刺でもホームページでもセミナーでも、同じキーワードで語り続けること。接点ごとに名乗りが変わる人は、何の専門家なのか覚えてもらえません。専門性と人となりを日々伝える発信のつくり方は、コンサルタントのブログ集客にまとめています。

なお、その自己紹介づくりを含めて顧客獲得に必要な力を知りたい方は、「先生業の顧客獲得を成功させる7つの能力」をまとめた無料資料をご活用ください。

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4. 原則3:実績が少ないコンサルタントが営業の材料をつくる方法

「そもそも実績がないから困っている」と感じた方もいるでしょう。駆け出しの時期に実績をどう作るか。低価格スパイラルに落ちずに材料を集める道筋を、3つに整理します。

4.1 小さく受けて、事例に育てる

低価格で受注し、それを実績づくりに生かす方法は確かにあります。問題は、その受け方。値段を下げるだけで範囲を決めずに受けると、安いうえに終わりのない仕事になり、事例としても語れません。そうならないために、範囲・期間・到達点を小さく区切って受けます。「3か月で、この1つの指標を動かす」と決めて受ければ、終わったときに語れる話が残ります。

そして受注の時点で、成果を事例として紹介させてもらえるか確認しておくこと。終わってから頼むより、はるかに話が通ります。匿名でも構いません。営業の景色を変えるのは、「業種・規模・状況・打ち手・変化」が語れる3つの事例です。事例の語られ方はコンサルタントの成功事例インタビューが参考になります。

4.2 前職の経験を、顧客の言葉に翻訳する

独立したばかりでも、あなたには前職での経験があります。ここを「まだ実績ではない」と切り捨てるのはもったいない。翻訳の仕方が分かっていないだけです。社内で当たり前にやっていた業務改善、部門の立て直し、新規顧客の開拓。社内用語のまま語ると伝わりませんが、相手の困りごとの言葉に置き換えれば、そのまま実績として機能します

「基幹システムの刷新プロジェクトを担当」ではなく「バラバラだった各部門の数字を、社長が翌日に見られる形にまとめた」。翻訳のコツは、やったことではなく相手の会社に起きた変化で語ることです。前職の実績は、そのまま持ち出しても伝わりません。相手の会社に置き換えて初めて、証明として働きます。

4.3 無料で丸ごと出さず、診断・現状整理を有料の入口にする

3つ目が、入口商品の設計です。実績がない時期ほど「まずは無料で」と全部を差し出したくなります。ただ、丸ごと無料で提供すると、相手はあなたの仕事に値段が付くことを学ばないまま関係が始まる。次に有料の話を出したとき、「これまで無料だったのに」という空気が生まれます。

そこで、コンサルティングの一部を切り出して有料の入口にします。現状分析、業務の棚卸し、課題の構造化と優先順位づけ。ここまでを短期の「診断」としてまとめ、本契約とは別に値付けする形です。診断を有料にすると、相手の本気度も測れます。しかも診断そのものが「証明」の場になり、実績としても積み上がる。低価格で消耗せずに材料を作る、現実的な道筋です。

5. 原則4:コンサルタントの営業で価格をどう決めるか

ここからは、受注の直前で多くの人がつまずく場所です。駆け出しであればあるほど、価格で勝負をしがち。その勝負に乗ると何が起きるのかを、先に知っておいてください。

5.1 値引きで取った案件は、次も値引きでしか取れない

いつまでも低価格で営業を続けるわけにはいきません。価格競争に巻き込まれれば、際限のない低価格スパイラルに陥ります。厄介なのは、値引きが実績として相手に記憶されること。一度下げた価格は、次の契約更新の出発点になります。紹介で広がるときも、「あの人は安くやってくれる」という評判ごと広がっていく。

値引きを求められたときの答えは、値段を下げることでも、突っぱねることでもありません。範囲を減らして値段を合わせることです。予算に合わせるなら、対象部門を絞る、期間を短くする、実行支援を助言だけに変える。価格と提供内容をセットで動かす習慣が付くと、価格競争から静かに降りられます。

値引きで取る案件と価値で取る案件

5.2 値段ではなく「解決する問題の大きさ」で決める

価格で営業をするのではなく、自分の「価値」で勝負をして、相応の報酬に納得してもらう。これが志師塾の考える営業の基本です。では、その価値をどう伝えるのか。目安になるのが、解決する問題の大きさです。

離職が止まらない会社なら、採用と教育のやり直しにかかる費用がある。値引きが常態化した会社なら、失っている利益がある。その痛みの大きさに照らして報酬を語れば、金額は作業量から切り離されます。コンサルタントの報酬を決めるのは、かけた時間ではなく、動かした問題の大きさです。高単価で受注し続けるコンサルタントに共通する力は、コンサル年商5000万を支える5つのスキルでも取り上げています。

6. 原則5:意思決定者を見極め、単発を継続の関係へ育てる

提案の相手が誰かを見極めること。そして、受注したあとの関係をどう続けるか。最後の原則は、この2つでできています。

6.1 相手が社長か部門長かで、必要な言葉が変わる

もう1つ、見落とされやすいのが意思決定者の違いです。同じ会社への提案でも、目の前にいるのが社長なのか、部門長なのかで、響く言葉は変わります。社長が気にするのは、会社全体の成長、資金、人の問題、そして数年先の姿。部門長が気にするのは、自部門の数字と、上司への説明のしやすさです。

部門長が窓口の案件では、その人が社内で通しやすい材料を渡すことが受注を左右します。稟議に貼れる一枚、費用対効果の説明、想定される反対意見への答え。提案書は、その人が社内でプレゼンするための道具です。反面、社長が相手なら、細部より方向性と覚悟を語るほうが届く。誰の意思決定を助けているのかを見極めることが、提案の設計そのものです

6.2 単発のプロジェクトを、継続の顧問契約へ育てる

受注できたら、そこが関係の終点ではありません。コンサルタントの経営を安定させるのは、単発のプロジェクトではなく継続の関係です。プロジェクトが終わるたびにゼロから営業をやり直す働き方は、成果が出ていても消耗します。

顧問契約へ育てる鍵は、プロジェクトの途中で「その先」を一緒に見ておくこと。今回の施策で動くのはここまで、次に手を付けるならこの領域、と道筋を共有しておけば、終了時の会話は自然と続きの相談になります。顧問料は作業の対価ではなく、いつでも相談できる安心と、問題が起きる前に手を打てる価値に対して支払われるもの。この関係が増えるほど、新規の営業に追われない体質になります。

7. まとめ:コンサルタントの営業は証明の場である

コンサルタントの営業5原則を、あらためて振り返ります。

  • 原則1:営業は売り込みの場ではなく、伝達力とプレゼンの力を示す証明の場
  • 原則2:土台はポジショニング。誰の・どんな経営課題を・どう解決するかで言い切る
  • 原則3:実績は範囲・期間・到達点を区切って受け、診断を有料の入口にする
  • 原則4:価格は作業量ではなく、解決する問題の大きさで決める。値引きは範囲で調整
  • 原則5:社長か部門長かで言葉を変え、単発の案件を継続の関係へ育てる

飛び込みで頭を下げるのではなく、相手の課題を相手より整理して返す。強みを相手の困りごとの言葉に翻訳し、診断を入口に実績を積み、単発を継続の関係へ育てる。この順番で取り組めば、価格で比べられる立場から抜け出せます。営業を成功させることは、コンサルタントとしての能力そのもの。そう考えられたとき、営業は苦手なものではなくなります。

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