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【卒業生インタビュー】全国の仲間とともに外食業界を変革する!~フードリーダー育成コーチ 小山心兵(こやましんぺい)さん~

小山心兵(こやましんぺい)さんは、「地域の名物店」を目指す飲食店を支援するため、中小飲食店に経営面・人材面・販売面などをワンストップでサポートし、特に経営者の「人財育成」に注力した活動をされています。

前職の新規飲食店立ち上げなどの経験を生かして飲食店専門のコンサルタントとして2000年に独立します。その後コンサルタントとして着実に実績を積み重ね、2023年には新たに協会を立ち上げて、全国の仲間とともにコロナ禍を経てターニングポイントを迎えている外食業界を変革しようとしています。

今回の取材では、小山さんの中小飲食店に対する熱い想い、会社設立後の業績は順調であったにもかかわらず志師塾への入塾を決めた背景や受講期間中に感じたこと、今後実現したいことなどをうかがいました。

1.人財育成を軸とした「名物店」作りを支援

1.1 中小飲食店をターゲットにしたビジネス

小山さんのお客様は主に年商10億円未満、10店舗以下の中小飲食店です。大手チェーン店では、スケールメリットを生かしてフォーマット化・システム化したオペレーションを誰でもできるパッケージとして展開し、低コストで均一の店舗運営を実現します。

一方、中小飲食店ではオーナーさんの熱意がお店全体の雰囲気を作るため、オーナーさんの個性や仕事に対する向き合い方がサービスや「お店の魅力」にも大きく影響します。小山さんは「お店の魅力」を高めることに自身との相性の良さややりがいを感じ、2000年の会社設立から中小飲食店をターゲットにしたビジネスを展開しているとのこと。

小山さんのビジネスの方針は、「地域の繁盛店」のさらに先にある「地域の名物店」を増やすことです。

「一時的な『地域の繁盛店』にすることはある程度の頑張りで実現できますが、地域に根を張って長く愛され繁盛し続ける『地域の名物店』は小手先の対応では実現できません。そのため、お客様とのお付き合いは10年以上の長期に渡るケースも多いんです」

1.2 経営者をワンストップでサポート

小山さんのビジネスは中小飲食店のオーナーさんに対し、経営面だけでなく人材、接客、集客面なども含めてワンストップでサポートすることが特長です。その中で特に小山さんが力を入れているのが「人財育成」です。お店の業績を伸ばしていくためには、オーナーさんを中心とした人財育成を軸に全体でレベルアップを図ることが重要だと考えています。

そのため、小山さんは飲食店経営者向け人財育成研修を続けており、2023年には人財育成を専門にする一般社団法人日本フードリーダーズ協会(JAFLA)を設立し、さらなる強化を図っています。

1.3 人財育成に注力する理由

小山さんが人財育成を重要視する理由は、提供する商品や接客などのお店の問題はすべて現場のスタッフに行き着くためです。

「メニューや料理のレベルが低過ぎる場合は、自社のフードコーディネーターが改善を指導します。でもそのお店の料理がおいしくない根本的な原因は、現場のスタッフがその仕事を面白いと思っていないからなんです。中小飲食店ではお昼の時間帯はパートさん、夜は学生のアルバイトが主体。彼らがいかにお客様においしいものを食べてもらいたいと思って、明るく楽しく接客をしてくれるか。厨房で調理をするスタッフも同じです。その雰囲気作りを経営者、オーナーがリードできるかが中小飲食店のビジネスの肝なんです」

2.今後数年の間にターニングポイントを迎える飲食業界

2.1 飲食業界が直面している課題

小山さんによると、「現在の飲食店業界は2020年のコロナ禍の影響で飲食店は大きな影響を受けたが、2023年秋口以降お客様の意識も大きく変化して来店客数も増加し、小規模ながら忘年会の件数もかなり戻ってきている」という状況です。

その一方で、飲食店は大きく2つ課題に直面しているとのこと。

1つ目はコストの高騰です。飲食店の主要コストである食材費と人件費の両方が高騰し、お店側の努力で吸収できる限界を超えている状況。2つ目は採用です。お金を出してもスタッフが簡単に採用できないケースは珍しくありません」

今後、インバウンド需要の拡大はプラスの材料ですが、国内の飲食需要は高齢化がさらに進む影響で客数が減少し客単価も簡単に上げられない状況が見込まれます。このような状況の中で、小山さんはコスト高騰や採用の問題を解決できないお店は生き残れなくなるため、業界がターニングポイントを迎えているという強い危機感を持っています。

2.2 今後生き残るお店とは

直面する課題を解決し生き残れるお店の条件は何か。小山さんは、「地元に根付いていること」「自分で値段を決められること」の2つの条件をあげています。

「地元に根付くことでスタッフの採用面が容易になります。勤めているパートさんが知り合いの方をパートやアルバイトとして連れてきてくれるからです。また適正な値上げであればそのお店のファンであるお客様は納得して受け入れてくれます。周りの他店がいくらだろうと関係なく、自分で値段を決めて適正価格で提供できるお客様との関係性を構築できていることがこれまで以上に重要になっています」

3.前職経験を生かして飲食店コンサルタントとして独立

3.1 入社のきっかけ

小山さんはお父様の影響もあり、学生時代から将来コンサルタントになりたいという想いがあったそうです。中小企業診断士の資格をとればコンサルタントになれると信じ、同学年の学生が就職活動をしている時期に診断士の試験勉強に専念していたというユニークな学生でした。

どの会社も内定者研修が始まっていた時期に就職活動を開始した小山さん。大手ディスプレイデザイン会社に「コンサルタントを希望する面白そうな学生」と評価され就職が決まります。

3.2 飲食店初出店プロジェクトを担当

小山さんの入社した会社の新人は、通常、主力事業である店舗や各種施設空間を作る現場部門に配属されますが、小山さんは同期とは異なる形で採用されたため、直接希望するマーケティングや企画部門に配属されます。そこで6年間様々なプロジェクトを担当した後、会社として飲食店を初出店する機会に恵まれます。

「お客様に事業パートナーとして位置づけていただくため、社内で直営の飲食店を初めて出店するプロジェクトが立ち上がったんです。周囲は片道切符になってしまうことを恐れて参加を躊躇していましたが、若かった自分は積極的に手を挙げて参加しました」

小山さんが手掛けた飲食店の1号店は、店内で醸造するオリジナルビールとそのビールにあう料理にもこだわったビアレストランでした。社内に飲食店立ち上げの経験がないため外部の専門家と一緒に仕事をする機会も多く、その中で店舗運営など未経験分野の知識やノウハウを学ぶことができ、独立後に生かせる貴重な経験を得られました。

3.3 計画通りの独立

入社当時から「30歳で独立する」ことを決めていた小山さんは、飲食店出店プロジェクトを2年間経験した後で、飲食店向けコンサルティング会社であるエイム・トゥを設立し独立します。

「父親が自分で商売をしていて外部のコンサルタントとも付き合いがあったので、コンサルタントという仕事のイメージは持っていました。その影響もあり、自分も前職の飲食店出店などの経験を生かして独立したんです」

飲食店のコンサルテーションは小山さんにとって天職だと言います。

「飲食業は製造販売業ですが製造と販売の時差はわずか10分以内。しかも人海戦術の要素が大きい中で一定品質の料理を提供する必要があります。SPA最大手のユニクロさんと比較しても製造と販売の時差は圧倒的に短く作業条件は常に不安定です。これをお手伝いできる力がつけばどんな商いでも支援できるはず。幼少期の外食は家族で車に乗って週末ご飯を食べに行くレジャー体験だったので特別な思い出もあり、自分はこの仕事を天職だと思っています」

3.4 必要な知識は独学で習得

小山さんは、飲食店の人財育成を支援するために必要な知識は、さまざまな講義や講演会に参加するなどして学んだそうです。

特に組織風土の改革や心理的安全性の分野で権威のある先生の講義内容に共感し、自身が先生の教えを学ぶだけでなく、現在は自社が主催するセミナーに先生を講師として参加してもらい、より多くの方にその教えを学んでもらおうとしています。

また、仕事の「やり方」よりも人としてどうあるべきかの「在り方」を大切にしたいという想いから稲盛和夫さんを尊敬し、稲盛さんの著書からも「在り方」について多くの学びを得ているそうです。

3.5 ビジネスの拡大が課題に

独立後もお仕事を紹介していただける機会に恵まれ、会社の業績は順調でした。しかし、その中で新たな課題に気付かされたと言います。「仕事が属人化してしまい、会社として自分のキャパシティー以上の仕事を受けることができなくなっていました」

メニュー開発、顧客管理、セールスツール企画制作など自分以外のスタッフが分担する体制を構築していきますが、人財育成などのコア業務を他のスタッフに任せることは実現できず、属人化の解消は、小山さんにとって10年近い間課題となっていました。

4.志師塾が新たなビジネス展開のきっかけに

4.1 入塾の背景

小山さんにとって、コロナ禍を経た2023年は課題解決の先延ばしができない状況になっていました。理由は飲食店業界がターニングポイントを迎えているため、ビジネスの方針を決断し実行に移す必要があったからです。

さまざまな講義や講演会に参加した中で、志師塾塾長である五十嵐さんの話や「家元制度」を参考にしたと思われる志師塾の教育内容がビジネスのヒントになる可能性を感じ、2022年に志師塾への入塾を決断。この時、小山さんには飲食店業界の状況を何としても改善したいという想いがありました。

「今の厳しい環境を乗り換えて飲食店をやっていきたいと思っている経営者に対し、コストや人材などの課題を乗り越えて幸せになることをお手伝いしたい。地域の方々を幸せにしているお店がなくなり、チェーン店ばかりになったら本当につまらなくなってしまいます。そのためには今の法人の枠を超えて、業界全体の底上げをする仕組み作り、具体的には要である人財育成の業界インフラ整備が必要だと感じていました。この仕組み作りを考えるために志師塾に入ったんです」

4.2 志師塾での学び

志師塾ではさまざまな業種や立場から参加している受講生との豊富な1on1ミーティングの機会を通じて、自身のビジネスの仕組み作りにつながるヒントや色々な気づきを得られました。

「志師塾の実践期間に入るまで、地元の団体を含めて外部の方との交流会に参加した経験がなく、それまでは自分の専門分野に関する勉強と実際に仕事という括りの中でやってきました。お客様は基本的に紹介して頂けることが前提でしたので、色々な方と繋がりによってビジネスを広げていく志向を持つことによって、自分の考えていたビジネスを広げていく仕組み作りにつながる可能性を感じました」

「まだ形になっていませんが、色々な方との関わりをもつことが世の中を変えていく可能性というか、ダイナミズムみたいなものを感触としてわかり始めているんです」

4.3 協会の立ち上げ

小山さんは志師塾の学びを生かし、新たなビジネスの仕組み作りを実践します。具体的には、志師塾の実践期間である2023年3月に人財育成を専門に行う組織として日本フードリーダーズ協会を立ち上げます。

「中小飲食店は大手とは異なり付加価値をしっかりと高める商いをするしか生き残る道はないんです。業界がターニングポイントを迎えているという待ったなしの状況で、人財育成に本気で取り組んでいただける皆さんと業界を盛り上げていきたいという想いでこの協会を作りました

小山さんの立ち上げた協会は主に2つの取り組みをしています。

(1) 協会認定資格「フードリーダーシップマスター養成講座」の主催

(2) 人財経営実践会「フードリーダーズサミット」)の運営

特に(1)協会認定資格の講座には小山さんの強い想い入れがあります。この資格を飲食業界のマネジメント能力を証明する資格としてブランディングすることで業界内のキャリア形成を容易にし、夢を持って集まる人が増える業界に変えていくことを目指しています。

4.4 志師塾のメリット

小山さんにとって志師塾のメリットは、大きく3点ありました。

1点目は、受講生とのミーティングを通じてビジネスのヒントやたくさんの刺激を得られたこと、幅広い人脈形成が出来たこと、さらに先輩から成功事例が聞けたことも非常に大きなメリットだったと言います。

「自分と全く同じ事例はありませんでしたが、先輩の成功事例から何がどう駄目たったのか、どうしたらうまくいくようになったか、などを本人から直接聞けたのは大きかった。人脈もさらに広がりました

2点目は、講義での学んだことを頭で理解しただけ終わりにならないよう、自身のビジネスで実践できる環境が提供されることです。小山さんの場合は、実践期間中に協会の立ち上げを計画して実行に移し、志師塾の学びをご自身の課題解決のために活用されています。

3点目は、受講生とのミーティングを通じて、今後のビジネスパートナーの候補が見つかったことです。

「立ち上げた協会は全国に拠点を展開し、各拠点はパートナーの方に活動を任せていくことを考えています。志師塾の活動を通じて、この人に九州のこのエリアをパートナーとして担当してもらいたいと思う方との出会いがあり、大きな収穫でした。これは志師塾のさまざまな方との交流ができる仕組みのおかげです」

4.5 入塾を検討されている方へのメッセージ

志師塾への入塾を検討されている方に対する小山さんからのメッセージは、

「何かの課題に取り組むのは早いに越したことはないと思います。もし自分が10年前に志師塾に出っていたら状況は大きく変わっていたかも知れません。志師塾で学ぶことで少しでもビジネスのヒントが得られるかも知れないと感じたら、思い切って入塾されることをおすすめします。異業種の方との交流から得られる刺激、アイデア、人脈形成などのメリットは、想像以上に大きいはずです」

5.今後は飲食店経営のインフラ整備に貢献したい

5.1 最優先は認定資格受講者を増やすこと

今後、小山さんは「飲食店経営のインフラ整備」を加速するため、これまで以上に協会認定資格と人財経営実践会の整備・拡大を積極的に進めていく方針です。

認定資格については、協会認定資格のブランディングだけでなく、年間200名以上の資格取得者を増やしていき、最終的には国内飲食店70万店の20%である14万店の経営者リーダーに取得してもらうことを目指しています。

また、現在1種類のコースしかありませんが、今後は上級コースを設置して受講者レベルや状況に応じたカリキュラムを提供できるよう検討しています。小山さんはこの認定資格の取得者を増やす取組みが業界変革の一歩になると言います。

コミュニティーに関しては、志師塾で異業種交流による業界変革の可能性を感じた小山さんならではの取組みを計画しています。その内容は飲食店事業者や支援する士業の方、食品メーカーや問屋などの飲食系異業種が交流できる「食ビジネス交流会」を立ち上げ、異業種も含めた仲間を全国規模で増やしていくことです。

2024年1月に小山さんの活動拠点がある埼玉県に最初の拠点を設立し、2030年までに全国主要エリアを対象に10支部12拠点の展開を目指しています。

5.2 よい仕事を続けるために

最後に、小山さんが仕事以外で関心を持たれていることについてうかがいました。何でも仕事に結びつけて考えてしまうそうですが、常に意識しているのは「自分の内面磨き」だと言います。

「自分の内面が曇ってしまうと自分が出す空気も悪くなってしまうので、ジョギングなど体を動かし体調維持に気を配る事。日々様々な形で人として、経営者としての「あり方」も学びも続けています。これは『心技体』の『心と体』を磨くことになりますし、仕事に直結する『技』とあわせて磨くことがよい仕事につながると考えています」

小山さんが進める「飲食店経営のインフラ整備」の取組みが、お客様に「特別な体験」を提供できる「地域の名物店」を着実に増やし、新たな外食文化を作っていく可能性を強く感じました。

文:古野誠治(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部

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