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不動産鑑定士のホームページ集客|依頼が届く4つの条件


不動産鑑定士のホームページ集客|依頼が届く4つの条件

「ホームページを作れば依頼が増えます」。制作会社の営業でそう言われて作ったのに、公開しても問い合わせが来ない。不動産鑑定士から志師塾に届く相談で、いちばん多いのがこの形。

原因はデザインではありません。依頼が来ないページに足りないのは、原稿です。誰に向けて、何を、どの順番で書くか。ここが決まっていなければ、どれだけ整った見た目でも、読んだ人は「自分のことだ」と気づけません。

この記事で扱うのは、先生業(士業・コンサルタント・コーチ・講師など)の集客・顧客獲得支援を専門としてきた志師塾が、不動産鑑定士のホームページを「依頼が届くページ」に変える手順。国土交通省の公表データで載せる中身を決めるところから、4つの条件、原稿の書き方、制作会社への発注までを順に並べ、卒業生2人の実例も入れました。

読み終えるころには、次にホームページへ手を入れるとき、どこから直せば依頼につながるのかが見えているはずです。まずは、きれいなのに依頼が来ない理由から。

目次

  1. 不動産鑑定士のホームページに依頼が来ない4つの理由
  2. 不動産鑑定士のホームページに載せる中身は、公的データから決まる
  3. 不動産鑑定士のホームページ集客の土台はポジショニング
  4. 依頼が届く不動産鑑定士のホームページ4つの条件
  5. 不動産鑑定士のホームページ原稿を、ページごとに書き分ける
  6. 不動産鑑定士のホームページを相手別に組み立てる
  7. 不動産鑑定士のホームページはスマートフォンの画面から設計する
  8. 不動産鑑定士が制作会社に発注する前に決めておくこと
  9. 不動産鑑定士のホームページを「集客の仕組み」に育てる
  10. 不動産鑑定士のホームページ集客に成功した志師塾卒業生2人の実例
  11. 不動産鑑定士のホームページ集客でよくある質問
  12. まとめ:不動産鑑定士のホームページは「誰に」から直す

ここから先は、直す順番の話が続きます。ただ、順番の前に「自分の事務所はどこで選ばれるのか」が決まっていないと、原稿は一行も書けません。では、その「選ばれる理由」はどう決めるのか。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーが扱っているのは、まさにその決め方の手順です。

Web集客セミナーを見てみる

1. 不動産鑑定士のホームページに依頼が来ない4つの理由

不動産鑑定士のホームページ集客とは、ページを入口にして、民間の依頼者や紹介元の専門家から相談を受ける仕組みをつくることです。「ホームページを作れば顧客が獲得できます」。制作会社の営業電話でこう聞いた方は多いでしょう。ただ、この言い方は「Web集客イコールホームページ」というイメージをなぞっただけ。着地点は集客なのに、途中の設計が抜けています。

1.1 制作会社が持っているのはデザイン力で、集客の設計ではない

制作会社の多くはデザインの専門家で、整ったページを作る力はあります。ただ、誰にどんな言葉を届ければ依頼が生まれるのかという設計は、制作の仕事の外側。頼み切ってしまうと、見栄えは良いのに反応がないページができあがります。

「とてもきれいなホームページを作ってくれたけれど、顧客獲得にはつながらなかった」。志師塾に届く声で、これが最も多いパターン。制作会社が悪いわけではなく、頼む側が、集客の設計は自分の仕事だと分かっていなかっただけです。

検索の実データにも、その痕跡が残っています。志師塾がこのページに届いている検索語を調べたところ(Search Console実測・2025年8月27日から2026年8月24日の12ヶ月)、表示回数の上位は「ホームページ制作 不動産鑑定士」101回、「不動産鑑定士 ホームページ原稿作成」95回、「不動産鑑定士 ホームページ 作成」53回。制作を頼む先を探す言葉と並んで、原稿作成という言葉が同じくらい打ち込まれているわけです。

1.2 目に見えないサービスは、モノと同じ売り方ができない

物販サイトなら、写真とスペックと価格を並べれば伝わります。不動産鑑定士が売っているのは、鑑定評価という目に見えないサービス。相手は完成品を見て選べないので、判断材料は「この人になら任せられそうだ」と感じられるかどうかに移ります。

ここが分かっていないと、できあがるのは業務内容の一覧を並べただけのページ。何ができるかは書いてあるけれど、なぜこの事務所に頼むのかが書かれていない。読んだ人は比較しようがなく、結局は知り合いの紹介を探しに戻ります。

1.3 顧客が「一般の方から公的機関まで」広すぎる

不動産鑑定士には、相続で悩む個人、賃料交渉を抱える法人、公共用地の評価を委託する官公庁と、性格の違う顧客がいます。求めているものも、読みたい言葉も全部違う。1ページに詰め込めば、誰にも刺さりません。

専門用語の扱いも同じです。制作会社は業界の言葉を知りませんから、こちらが渡した文章をそのまま載せます。相手が誰かで、使う言葉も見せる順番も変わる。この当たり前を設計に落とすところから、不動産鑑定士のホームページ集客は始まります。

依頼が来ない不動産鑑定士のホームページと、依頼が届くホームページの違い

1.4 相手の7割は法人。個人向けだけのページでは市場の大半に届かない

4つ目は、思い込みのズレです。「ホームページから依頼を増やす」と考えたとき、多くの方が思い浮かべるのは相続で困っている個人の顔でしょう。ところが実際の依頼先の内訳は、その想像とかなり違います。

国土交通省が毎年公表している不動産鑑定業者の事業実績によれば、令和7年の価格評価(不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価)77,420件の依頼先は、次の構成になっています。

  • 不動産関連事業法人等:34.8%(報酬ベースでは41.3%)
  • その他民間法人が20.6%
  • 地方公共団体等:18.9%
  • 金融機関:15.2%
  • 国・独立行政法人等は5.6%にとどまります
  • 個人からの直接依頼は、わずか4.9%

不動産関連事業法人等・その他民間法人・金融機関の3つを足すと70.6%。報酬で見ても、同じ3つで75.7%を占めます。件数でも金額でも、この仕事の市場は法人が中心。相続で困っている個人だけに向けたページを作り込めば、市場の9割以上には届きません。

ただし、内訳をもう一段割ると景色が変わります。都道府県知事登録の業者(=1つの都道府県内に事務所を置く、地場や個人の事務所が多い層)に限れば、個人からの依頼は8.6%、地方公共団体等が33.8%。大臣登録業者では個人が1.1%で、不動産関連事業法人等が58.7%。同じ「不動産鑑定士」でも、登録区分によってホームページに来る相手はまるで違うのです。

だから、他の事務所のホームページを真似ても合いません。次の章では、載せるべき中身をこの公表データから決めます。

2. 不動産鑑定士のホームページに載せる中身は、公的データから決まる

ホームページに載せる中身とは、事務所の案内文ではなく、実際に依頼が来ている場面の説明です。何を書くか迷ったら、想像ではなく統計を見てください。どの目的の依頼が多いかは、国土交通省の事業実績に毎年出ています。依頼の多い順にページを作る。それだけで、当てずっぽうの原稿から抜け出せます。

2.1 地場の事務所なら、いちばん多い依頼は「売買」

令和7年の価格評価(鑑定評価基準に則った鑑定評価)を依頼目的別に見ると、知事登録業者と大臣登録業者で構成がはっきり分かれます。

不動産鑑定士の依頼目的別の件数構成比(知事登録業者と大臣登録業者・国土交通省 令和7年)

依頼目的 知事登録業者 大臣登録業者
売買 45.7% 11.1%
資産評価 16.0% 9.4%
補償 15.9% 1.2%
担保 9.0% 17.9%
証券化 5.7% 49.2%
財務諸表 3.9% 10.1%

出典:国土交通省「不動産鑑定業者の事業実績」令和7年 表2 依頼目的別 件数及び報酬(価格評価・不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価)の件数構成比。知事登録業者39,290件、大臣登録業者38,130件。

知事登録の事務所では、売買が45.7%と半分近く。相続で分けるための評価、同族間の売買価格、遊休地の処分。日々の相談は、この売買まわりに集まっているわけです。ところが多くの事務所は、業務一覧の先頭に地価公示や固定資産税評価を置いています。実績としては正しくても、探しに来た人が最初に読む場所としては合っていない

証券化が半分を占める大臣登録の事務所なら、話は逆。個人向けの相続ページを厚くするより、投資家や運用会社に向けた実績と体制を前に出したほうが届きます。

2.2 賃料は「賃貸借」と「争訟」の2本立てで書く

賃料評価も見ておきます。同じ資料の賃料評価(鑑定評価基準に則った鑑定評価、合計3,136件)は、依頼目的が賃貸借69.3%、争訟24.9%。この2つで9割を超えます。

つまり、賃料の相談には入口が2つ。まだ揉めていない段階で改定の根拠がほしい人と、すでに争いになっていて裁判や調停で使える意見がほしい人です。状況が違うので、同じページで両方を受けると、どちらの人も自分の話だと思えません

賃料のページを1枚だけ作るなら、「値上げを申し入れたい」「値上げを求められた」という当事者向けの言葉で書く。争訟向けは、弁護士が読む前提で別に立てます。

2.3 扱う不動産の価格帯が違えば、料金の説明も変わる

もうひとつ、料金ページの書き方に直結するデータが、1件あたりの鑑定評価額の分布です。

不動産鑑定士の1件当たりの鑑定評価額別の件数構成比(知事登録業者と大臣登録業者・国土交通省 令和7年)

知事登録業者では、1,000万円以下が26.7%、1,000万円から3,000万円が17.3%。4割超が3,000万円以下の案件です。大臣登録業者は5億円から25億円が35.1%、25億円超が30.8%で、6割以上が5億円超。

ここで効いてくるのが、料金ページの見せ方です。3,000万円以下の案件が多い事務所なら、読み手は「数十万円もかかるのでは」と身構えています。目安の下限と、金額が動く条件を先に書くほうが問い合わせは増える。大型案件が中心なら、金額より体制と納期の確かさを示すほうが効きます。同じ「料金ページ」でも、書くべきことは事務所によって違うのです。

2.4 公的評価に寄りかかった収益構造も、データに出ている

そもそも、なぜ民間の入口をわざわざ作るのでしょうか。国土交通省と公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会がまとめた「業務領域の拡大等を通じた不動産鑑定士の担い手確保に向けて(論点整理)」(令和7年3月)に、その答えが出ています。

報酬額全体に占める公的土地評価(地価公示・都道府県地価調査・相続税評価・固定資産税評価・裁判鑑定)の割合は、都市部の事務所で約1割強、地方部の事務所では約4割。3年に一度の固定資産税の標準宅地評価がある年(直近は令和5年)は、都市部27.7%に対して地方部が69.5%に達します。

同じ資料によれば、不動産鑑定業者に所属する不動産鑑定士等は令和6年で4,496名。平成23年の5,057名から約11%減っています。報告書はその一因として、地方部では報酬に占める公的土地評価の割合が高く「専門性をいかして報酬を得る手段が限られている」ことを挙げました。

裏を返せば、公的評価以外の入口を自分で作れた事務所には、競争相手の少ない場所が残るということ。ここから先は、その入口をどう組み立てるかの話に入ります。

3. 不動産鑑定士のホームページ集客の土台はポジショニング

ポジショニングとは、無競争状態で顧客に選ばれる独自の場所を決めることです。ページを直す前に、ここを決めます。キャッチコピーも構成も、立ち位置が固まっていなければ書けません。打ち合わせが「デザインの好み」の話に流れるのも、たいていはここが空白だからです。

3.1 「不動産鑑定士の○○事務所です」では選ばれない

あなたは、自分がどのような不動産鑑定士かを一言で言えますか。事務所名と資格名だけの名乗り。正確ではあっても、読み手の記憶には残らない。違いが伝わらなければ、比べる物差しは料金だけになります。

選ばれる鑑定士とは、人柄・得意な案件・専門知識の組み合わせが独特で、それが相手に伝わっている人。志師塾が肩書きの型として教えているのは「専門領域+一般名称」という組み立てです。「借地権・底地の整理に強い不動産鑑定士」「賃料交渉の根拠づくり専門の不動産鑑定士」。前に付く一言が、記憶に残るかどうかを決めます

3.2 案件・相手・地域の3軸から2つを掛け合わせる

絞り方は3つの軸で考えます。志師塾が使うのは「100人に1人のものを2つ掛け合わせれば、1万人に1人になる」という考え方。1つの軸で一番になろうとすると苦しくなりますが、2つ重ねれば競争相手は一気に減ります。

不動産鑑定士のポジショニングを決める3つの軸(案件・相手・地域)

  • 案件の軸:相続で分ける土地/同族間の売買価格/賃料の改定と継続賃料/立退き・借地権・底地/担保と時価/事業承継に伴う評価
  • 相手の軸:依頼者本人/税理士経由/弁護士経由/金融機関/不動産会社/地方公共団体
  • 地域の軸。その土地でしか分からない相場観や取引慣行。地場の事務所ほど強い場所です

掛け合わせの例です。「賃料の改定 × 不動産オーナー本人」「同族間の売買 × 税理士経由」「借地権と底地 × 弁護士経由」。どれも一言で、誰に向けたものか分かります。

軸を選ぶときは、同業が集まっている場所を避けてください。論点整理の「今後有望と考えるコンサル業務」は、1位が不動産の利活用に関する相談で22.0%、2位が相続に関する相談で21.3%。同業がいま最も狙いを定めている2領域が、まさにこの2つです。相続を選ぶなら、相手の軸か地域の軸を必ず重ねてください。

3.3 絞るのは「認知してほしい場所」であって、受ける業務ではない

「絞ると依頼が減るのでは」という不安はもっともです。ただ、ポジショニングで絞るのは認知してほしい場所であって、実際に受ける業務ではありません。相続の評価で名前を覚えてもらい、その関係のなかで賃料改定や担保評価の相談を受ける。入口を1つに絞り、受注後に全面展開する。この順番なら、絞っても仕事は減りません。

ホームページで言えば、絞るのはトップの一行と、いちばん上に置く業務ページ。その下に他の業務を並べるのは構いません。「どんな鑑定でも承ります」は、相手の記憶の中では「何の専門家でもない」と同じ扱いになるからです。

3.4 目指すのは「相続の鑑定なら、あの先生」という第一想起

ポジショニングのゴールは、依頼者や紹介者の頭の中で「この件なら、あの鑑定士」と最初に思い出される状態(第一想起)をつくることです。不動産鑑定士の仕事は、税理士や弁護士、金融機関からの紹介が大きな入口。紹介する側が一言で説明できる立ち位置を持っているかどうかが、そのまま案件の量に効いてきます。

ただ、第一想起は一度の発信ではつくれません。ホームページ、ブログ、名刺の肩書き、士業仲間への自己紹介。すべての接点で同じ位置づけを伝え続けて、少しずつ相手の記憶に定着していきます。

とはいえ、自分の立ち位置を自分で決めるのは、実際にやってみると難しい作業です。過去の案件を並べても、そこから何を選び取ればよいのかは自分では見えません。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーでは、経歴の棚卸しから一行の名乗りをつくるまでの手順を扱っています。

4. 依頼が届く不動産鑑定士のホームページ4つの条件

依頼が届くホームページとは、読んだ人が「自分のことだ」と気づき、次の一歩を踏み出せるページのことです。立ち位置が決まったら、中身に入ります。志師塾のメソッドから、不動産鑑定士のホームページで特に効く4つの条件を挙げます。順番にも意味があるので、上から直してください。

4.1 3秒で「自分向けだ」と分かるキャッチコピー

訪問者は、そのページが役に立つかどうかを約3秒で判断します。志師塾で言う「3秒の壁」です。ほんの一瞬ですから、事務所名や理念を最初に置いても届きません。

使うのはキャッチコピーです。「誰の、どんな場面の鑑定を、どう引き受けるのか」を短い言葉に凝縮する。志師塾が教えている型は25文字前後で、入れる要素は3つ。

  • メリット:手法ではなく、相手に起きる変化。「鑑定評価書を作成します」ではなく「話し合いが前に進む根拠をつくります」
  • 具体性:件数、年数、対応エリア。事実の範囲で数字を入れて輪郭を出す
  • 相手を名指しする一言。「相続で」「賃料でもめている」など、読み手が自分を当てはめられる属性を置きます

たとえば「相続でもめる前に。分割協議のための鑑定評価」といった一言なら、当てはまる人はその場で自分ごとにするはずです。3秒を突破できたページだけが、続きを読んでもらえます

実例を1つ。志師塾の卒業生である坂田一郎さんの事務所のホームページに掲げられているのは、「あなたの『夢』や『目標』の実現を応援するパートナーです」という一文。鑑定評価という言葉を使わず、依頼者が手にする状態を先に置いた形です。

4.2 料金と進め方が書かれている

鑑定評価を初めて依頼する人が最も不安に思うのは、いくらかかるのか、どれくらいで終わるのか、何を用意すればよいのか。書かれていなければ、問い合わせる手前で離脱します。

案件ごとに幅があって金額を出しにくいのも事実。それでも「基本料金の目安」「見積りまでの流れ」「納品までの期間」を示すだけで、不安はかなり消えます。問い合わせないと何も分からないページは、問い合わせてもらえません

金額を書きにくいなら、何で変わるかを書けばいい。対象の種類と件数、評価の目的、調査の深さ、納期、鑑定評価書として出すのか簡易な価格調査で足りるのか。この5つを並べておけば、読み手は自分の案件がどのあたりかを見当づけられます。

もうひとつ書いておきたいのが「無料でお答えできる範囲」と「有料になる範囲」の線です。先ほどの論点整理には、不動産鑑定士へのアンケート結果(221業者・386件の業務)が載っています。コンサル業務のうち報酬を得ているのは288件で74.6%、残る98件、全体の25.4%は報酬ゼロ。しかも理由の上位は「あくまで無償サービスとして行いたいから」(24件・19.7%)、「コンサル業務から報酬を得ること自体検討したことがなかったから」(23件・18.9%)、「コンサル業務に係る報酬の見積り方法がわからないから」(21件・17.2%)。値切られた結果ではなく、こちら側が値段を付けていないだけだと分かります。

出典:国土交通省・公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会「業務領域の拡大等を通じた不動産鑑定士の担い手確保に向けて(論点整理)」(令和7年3月)。選択式・複数回答可、理由の合計122件。

ページに線を書いておけば、読んだ時点で期待値がそろい、電話口で気まずくなる場面も減ります。

4.3 実績と人柄が見える

目に見えないサービスだからこそ、判断材料は人です。案件の傾向、経歴、顔写真、考え方。守秘義務で個別案件を出せないなら、種類と件数の傾向だけでも手がかりになります。

ここで効くのが、専門用語を使わずに書くこと。相手は鑑定の専門家ではありません。「継続賃料の改定に関する鑑定評価」ではなく「値上げを求められた家賃が妥当かどうかを判断する」。相手の困りごとの言葉に翻訳できているかどうかが、そのまま信頼に変わります。

実績の見せ方には、もう一段いい形があります。案件を並べるのではなく、「こういう状況の人が、こう変わった」という筋書きで書くやり方です。志師塾の卒業生である入村匡哉さんは、10年まとまらなかった遺産分割が鑑定で決着した例、路線価の一律評価では市場価格より高く評価される土地を適正に証明して相続税の負担を軽くした例、担保評価が低く出がちな不動産の価値を証明して融資につなげた例を語っています。守秘義務を守りながらでも、この粒度なら書けます。

4.4 次の行動がひとつに絞られている

ページのゴールは、依頼そのものではなく次の行動を取ってもらうことです。問い合わせ、無料の簡易相談、資料請求。どれを選んでも構いませんが、1ページに置くゴールはひとつに絞るのが原則。選択肢が3つ並べば、人はどれも選ばない。

ゴールを決めてから逆算すると、載せる情報も決まります。問い合わせがゴールなら、その手前で消しておくべき不安は何か。資料請求なら、何が書いてあると受け取りたくなるか。作る前に、ここを決めてください。

あわせて、入口は軽くしておく。いきなり正式な鑑定評価書の依頼を求めず、簡易な価格調査や30分の相談を先に置けば、迷っている人も1歩目を踏み出せます。

依頼が届く不動産鑑定士のホームページ4つの条件

5. 不動産鑑定士のホームページ原稿を、ページごとに書き分ける

ホームページの原稿とは、事務所を説明する文章ではなく、依頼するかどうかを決める材料をそろえた文章のことです。ここからは、どのページに何を書くかに入ります。制作会社に頼めない部分であり、いちばん時間がかかるところ。

不動産鑑定士のホームページ原稿を構成する5つのページと書く順番

5.1 トップページは3行で書き切る

トップページで書くのは3行です。1行目が誰に向けたページか、2行目がどんな場面を扱うか、3行目がどうなるか。ここに沿革や理念を置くと、読み手は自分に関係があるかを判断できないまま画面を閉じます。

並べる順番にも決まりがあるのです。まず3.2で選んだ2軸を1行目に置きます。次に、その軸で実際に来ている相談を2つか3つ。3行目が、依頼したあとに手に入る状態です。ここで長い説明を足さないのがコツ。詳しい話は業務ページに送れば足ります。

5.2 業務ページは「業務名」ではなく「困っている場面」で立てる

ここが原稿づくりの中心。多くの事務所では、業務ページの見出しが「継続賃料の鑑定評価」「同族間売買の適正価格の算定」といった業務名です。正確ですが、依頼者はその言葉を知りません。

依頼者が打ち込むのは、いま自分が困っていることのほうです。「相続 土地 分け方 揉める」「地代 値上げ 言われた」「同族 会社 土地 売買 価格」「立退料 相場 根拠」。資格名や業務名で検索するのは、すでに鑑定士に頼むと決めた人だけ。その手前にいる大多数は、症状の言葉で探しています。

だから業務ページは、2.1で見た依頼の多い順に、場面の言葉で1枚ずつ立てていく。1枚のページに書く中身は次の5つでそろいます。

  • どんな状況の人が読むページか:「相続人の間で土地の分け方がまとまらない」など、具体的な場面を冒頭に
  • そのとき何が起きているか:放置するとどうなるか、なぜ当事者だけでは決まらないのか
  • 鑑定士が入ると何が変わるか:成果物と、それが使える場面(税務署への説明、遺産分割協議、調停や訴訟)
  • 費用と期間の目安:金額の幅と、何で変わるか
  • この場面で、あなたに頼む理由。経験した件数、連携できる専門家、地域の事情への理解を書きます

専門用語を1つ使うたびに、そのページを開ける人は減っていく。外せない用語は、初出だけ短い言い換えを添えれば足ります。

5.3 事務所紹介は、経歴の羅列にしない

事務所紹介で多いのが、生年・出身校・資格取得年・所属団体を時系列で並べた形。読んでも、任せていい相手かどうかは分かりません。志師塾が教えているプロフィールの組み立ては、伝えたいメッセージを先に2つ決め、それを裏づける出来事だけを選ぶ順番です。「現場を見てきた経験が評価の判断に活きている」なら、前職での年数と、そこで何を見てきたかを書く。資格取得までの回り道も、メッセージに合えば強みです。

坂田一郎さんの例が分かりやすい。地元のゼネコンで営業を中心に30年、地盤改良会社の現場で12年。土と建物を見続けてきた経験を鑑定眼に変えようと、50歳を過ぎてから勉強を始め、8年かけて資格を取り、60歳で独立されました。単なる年表ではなく、「なぜこの人の判断を信じられるのか」の説明になっています。

顔写真も入れてください。入村匡哉さんは顔を出して話す効果について、「『すごそうな会社や資格を持っているが、ちゃんと話を聞いてくれるのかな?』という不安がある人が、動画を見てもらうことで、安心して問い合わせしてくれます」と語ります。写真1枚でも、同じ働きをします。

5.4 問い合わせページで、書いてほしい4項目を先に示す

最後の1枚は見落とされがちですが、効き目が大きい部分。「お気軽にお問い合わせください」だけでは、何を書けばいいか分からず手が止まります。

逆に、聞きたい項目を先に示しておけばどうでしょうか。所在地・不動産の種別・評価の目的・希望時期。この4つの欄を置くだけで、最初のメールで見積もりの前提がそろい、やり取りが1往復減ります。

フォームには、受けない相談を書いておくのも有効です。この工夫を実際に試した卒業生の話は、10.2で詳しく紹介します。

6. 不動産鑑定士のホームページを相手別に組み立てる

相手別の組み立てとは、依頼者本人・紹介元の専門家・公的機関で入口ページを分けることです。1.4で見たとおり、依頼先の構成は法人が7割、個人が5%弱。同じページで全部を受け止めようとしないことが、結果的に近道になります。

不動産鑑定士のホームページの入口を相手別に分ける3つの型

6.1 個人向けと法人向けは、入口のページを分ける

相続で悩む個人が知りたいのは、揉めずに分けるための道筋です。賃料交渉を抱える法人が知りたいのは、交渉や訴訟で使える根拠になるかどうか。求めているものが違う以上、入口は分けたほうが伝わります。更新の手間は増えますが、「自分のための説明が書いてある」と感じてもらえるページが1枚あるほうが、総花的なページ10枚より依頼につながります。

2.1で見た売買45.7%の中身も同じ。個人が関わる相続や資産の処分と、法人どうしの取引の両方が入っています。同じ「売買の評価」でも、読む人が変われば書く言葉は別物。1枚に詰め込まず、2枚に割ってください。

6.2 紹介元の士業が読むページも用意する

不動産鑑定士の案件は、税理士や弁護士、金融機関からの紹介が大きな割合を占めます。ということは、読んでいるのは依頼者本人だけではない。「この鑑定士に渡して大丈夫か」を確かめる紹介元も見ています。

彼らが検索するのは、依頼者とはまったく別の言葉です。「路線価 時価 乖離 鑑定」「継続賃料 鑑定評価 依頼」「遺産分割 不動産鑑定 費用 誰が払う」。求めているのは、自分の顧客に説明できるだけの根拠。だからこのページで書くのは事務所の紹介ではなく、どの場面で鑑定士を入れると顧客の利益になるのか、費用の目安、期間、そして先生の立場をどう守るか。この4つです。

専門家向けページは、成果が出るまでが短めです。すでに必要性を理解している相手が読むので判断が速い。個人向けページを10本書く前に、まず1本どうぞ。営業の場面でどう伝えるかは、不動産鑑定士の集客3つのポイントの記事で詳しく解説しています。

6.3 公的機関向けは、判断材料をそろえるページにする

3つ目の入口が公的機関です。2.1で見たとおり、知事登録の事務所では補償が15.9%、依頼先で見ても地方公共団体等が33.8%。地場の事務所にとっては大きな柱です。ここで求められるのは、心を動かす言葉ではありません。受託実績、体制、対応エリア、期日を守る根拠。安心して任せられる材料を、確認しやすい形で並べる。表にすると読みやすい部分です。

論点整理には、地方公共団体へのヒアリングとして「不動産鑑定士にどのような業務を依頼できるのか、地方公共団体に十分に認識されていない」「不動産鑑定士に相談をする場合のルールや報酬基準が明確になっていると、依頼をしやすい」という声が載っています。発注する側も、何をどう頼めばいいのか分かっていない。依頼できることの一覧と、相談から発注までのルールを書いておくだけで、このページは働きはじめます。

6.4 高くても選ばれる理由を、先に言葉にしておく

鑑定評価は、報酬基準に沿った目安が知られている分、価格で比べられやすい仕事です。だからこそ、「高くてもこの人に頼みたい」と思ってもらえる理由を、先に言葉で用意しておくことが効きます。コツは、資格や手法ではなく相手の変化を語ること。「不動産鑑定評価書を作成します」ではなく「相続人の間で納得できる分け方の根拠をつくります」。手に入る未来が具体的に見えるほど、価格は判断材料の中で小さくなるものです。

入村匡哉さんが顧客から選ばれる最大の理由は「安心サポート」だといいます。相談を受けたとき、一律いくらといった費用の話からは始めない。予算やトータルで何をサポートできるのかを、最初のヒアリングで時間をかけて確かめます。さらに、鑑定評価して終わりにせず、状況に合った税理士や弁護士、土壌汚染調査の専門家まで紹介できるネットワークを持つ。この「何を頼めるか」の広さを、ホームページに書いておく。それが価格以外の判断材料になります。

7. 不動産鑑定士のホームページはスマートフォンの画面から設計する

スマートフォンから設計するとは、手のひらの狭い画面を基準に原稿と導線を決めることです。ここを外すと、整えた中身が読まれないまま終わります。

7.1 相談者は、パソコンよりスマートフォンで見ている

総務省の令和7年通信利用動向調査(令和8年5月29日公表)によれば、個人の端末別インターネット利用状況はスマートフォンが74.3%、パソコンが45.6%。スマートフォンがパソコンを28.7ポイント上回ります

端末別インターネットの利用状況(総務省 令和7年通信利用動向調査)

制作会社との打ち合わせは、たいていパソコンの大きな画面で行われます。そこで「きれいにできた」と思っても、実際に見られている画面はまるで違う。確認するときは、必ず自分のスマートフォンで開いてください

7.2 相続の相談者層でも、8割がスマートフォンで見ている

年齢階層で見ると、もっとはっきりします。スマートフォンでインターネットを利用する割合は50歳代が89.2%、60歳代が80.9%、70歳代が55.1%。対してパソコンは、60歳代が50.7%、70歳代は31.5%。

相続や賃料の相談者は、この60代から70代が中心。この世代でも、パソコンよりスマートフォンで探している人のほうが多いのです。「年配の依頼者だからパソコンで見るだろう」という前提は、データと合いません。文字の大きさも同じ理由で見直しを。小さな文字で詰め込んだページは、そもそも読まれません。

7.3 最初に見えるのは3行だけ

スマートフォンの画面に最初に入るのは、見出しと本文の2行から3行ほど。4.1で書いたキャッチコピーが効くのは、まさにこの範囲です。ここに事務所名のロゴを大きく置いたり、風景写真を全面に敷いたりすると、肝心の一行が画面の外に押し出されます。写真は美しくても、読み手の「自分向けか」という問いには答えてくれない。最初の1枚で伝えるのは、誰の何を扱うページかという1点だけにしてください。

7.4 電話をかけるボタンを、目立つ位置に置く

スマートフォンで見ているということは、その場で電話をかけられるということ。志師塾の卒業生である入村匡哉さんのホームページは、インタビュー当時、携帯からのアクセスが多く、開くと「タップで発信」の表示が出る形でした。画面をタップすれば、そのまま電話がかかる仕組み。

入村さんは、その理由をこう語ります。「電話で話すと相手の雰囲気が伝わるので、そこから情報をキャッチするのが大事」。文章では伝わらない温度が、声だと一度で伝わる。フォームだけを置いて電話番号を小さく載せている事務所は、ここを取りこぼしています。

もちろん、電話が苦手な依頼者もいます。だからフォームと電話を両方置く。ただし4.4のとおり、主にするのはどちらか一方。見た目の大きさで差をつけてください。

ここまでが、ホームページの中身と見せ方の話。ただ、5章のページを1枚ずつ書き起こすとなると、どの順番でどこまで書くかで手が止まります。そこを埋めるために、志師塾では先生業に特化した「顧客獲得型ホームページ設計書テンプレート」を用意しています。セミナーの前に、まず自分のページを紙の上で組み立ててみたい方の最初の一歩としてどうぞ。

集客型ホームページに変えて問い合わせを3倍にする

先生業のための顧客獲得型ホームページ
設計書テンプレート

  • ・先生業のホームページに必要な「デザイン・必要情報」が分かる
  • 非公開のサンプルサイト(3種類)を確認しながらサクサク作成できる

8. 不動産鑑定士が制作会社に発注する前に決めておくこと

発注前に決めておくこととは、原稿の担当・ページ構成・費用の前提・頼み先・公開後の更新体制です。ここを決めずに相見積もりを取ると、比べる基準が金額しかなくなる。安く作れたのに反応がない、という結果はこうして生まれます。

8.1 原稿は自分で書く。デザインと実装は任せる

判断の軸は4つで足ります。原稿を誰が書くか、公開後に自分で直せるか、何ページ作るか、更新の役割分担をどうするか。このうち最初の1つが、いちばん大事。

気をつけたいのは、原稿まで丸ごと任せてしまうことです。制作会社が書ける範囲は、どうしても一般的な業務案内にとどまります。あなたの位置づけと現場の言葉は、あなたの中にしかない。だから3章と5章を先に済ませる順番になります。取材して書いてくれる会社に頼む場合も、5.2の5項目を箇条書きで用意しておけば、取材の質は大きく変わります。

8.2 発注前に用意する「1枚のメモ」

ここまでの内容を、A4の紙1枚にまとめてから制作会社に会いにいってください。書くのは5項目。

  • 誰の、どんな案件を、どう解決する鑑定士か(一行で)
  • 主な入口(依頼者本人・専門家経由・公的機関)と、それぞれに来てほしい相手
  • 訪問者に取ってほしい行動をひとつだけ(問い合わせ、見積依頼、資料請求など)
  • 作る業務ページの一覧と並び順。2.1の構成比を根拠に決める
  • 公開後、誰が何をどの頻度で更新するか

このメモがあると、打ち合わせは「デザインの好み」ではなく「誰に何を届けるか」から始まります。同じ制作費でも、出来上がるものは変わります。

8.3 費用・頼み先・納品の形は、金額より先に分担で決める

相見積もりを取る前に、桁を知っておいてください。Web幹事が自社経由の発注データをまとめた士業のホームページ制作費用の調査では、平均が76.9万円、中央値が40.0万円。発注額の半分以上が50万円以下に収まっています。公的統計ではなく1社が持つ発注データなので、ぴったりの相場ではなく幅として読むもの。それでも桁を外さない目安にはなります。

金額を動かすのは、ページ数、原稿を誰が書くか、デザインをどこまで作り込むか、公開後の保守を含めるかの4つ。このうち事務所側で決められるのは前の2つで、8.2の1枚のメモがあれば必要なページ数はもう決まっています。つまり見積りの前提を、こちら側で固定できる。前提がそろっていない相見積もりは、安いほうが仕様も薄いだけです。

頼み先は3つ。同じ調査による目安は、ノーコード(=コードを書かずにWebページを作れるサービスのこと)を使った自作が数千円から100万円程度、フリーランスが3万円から30万円程度、制作会社が50万円から200万円。ただ、選ぶ基準は金額ではありません。

  • ノーコードで自作:初期費用は最小で、直したいときにその日で直せる。反面、問い合わせの導線まで自己流になりやすい
  • フリーランスに依頼:小回りが利き、費用も抑えめ。ただし窓口が1人なので、別案件と重なると進みません
  • 制作会社に依頼:分担がはっきりし、公開後の保守も契約に入る形。原稿を丸投げすれば8.1の失敗に戻る点だけ注意

不動産鑑定士の場合、5.2のとおり業務ページを場面ごとに足していく前提になります。だから見るべきは初期費用ではなく、1枚追加するのにいくらかかるか。ここで1枚10万円の先を選ぶと、育てる段で手が止まります。

納品の形も、契約前に3点だけ確かめてください。文言や写真を自分で差し替えられるか。ページを1枚追加するのにいくらかかるか。そしてドメインとサーバーの契約が自分の名義になっているか。3つ目を確かめずに進めると、制作会社を変えたいときにサイトごと動かせなくなります金額より先に分担をそろえる。これが、発注で失敗しないための一番の近道です。

9. 不動産鑑定士のホームページを「集客の仕組み」に育てる

集客の仕組みとは、人を運ぶ導線と、依頼を続きに変える設計の2つがそろった状態です。ホームページは、置いておくだけでは読まれません。

不動産鑑定士のホームページを集客の仕組みに育てる流れ

9.1 ホームページ単体では、人は来ない

ホームページは、来た人を依頼に変える受け皿。人を連れてくる役割は別に要ります。専門分野の記事を書きためて検索から入ってもらう、士業のネットワークで名前を覚えてもらう、小さな勉強会を開く。どれも地味ですが、立ち位置と言葉が固まっていれば、同じ方向に評判を積み上げてくれます。

記事を足すときのコツは、5.2で書いた場面の言葉をそのまま使うこと。「地代の値上げを求められたときに確かめる3つのこと」のような書き方なら、検索から来た人がそのまま業務ページへ進めます。記事は業務ページの入口として作る。増やした分だけ導線が太くなります。

ホームページ以外も含めた全体像は、不動産鑑定士のWeb集客5つのポイントの記事で整理しています。独立の準備段階から整えたい方は、不動産鑑定士が独立開業に成功する事前準備もどうぞ。

9.2 単発の鑑定で終わらせず、続きの関係にする

鑑定評価は案件ごとの単発になりやすい仕事です。それでも、相続後の資産組み替えの相談、賃料改定の見直し、企業の保有資産の点検など、続きの関係にできる場面はあります。納品して終わりにせず、次に困りそうなことを一言添えて渡す。それだけで、次の相談は戻ってきます。

ここでも、相手のほうが先に求めているというのが実情です。論点整理の地方公共団体ヒアリングには「不動産鑑定業務についても、顧問弁護士のように年間を通じて相談できる体制があることが望ましい」という声が載っています。他士業へのヒアリングでは、公認会計士・税理士について「特に企業には報酬を払うものという意識が根付いており、報酬を得られないことはあまりない」という指摘も。差は市場ではなく、契約の形と段取りにあるということです。

ホームページ側でできるのは、受け取り方を増やして書いておくこと。同じ資料には、報酬を得ている実例として「コンサル業務についてタイムチャージで報酬を得ている事例」「民間事業者と顧問契約を結び報酬を得ている事例」も挙がっています。単発の鑑定評価しか料金ページに載っていない事務所なら、この2つを足すだけで見え方が変わる。

9.3 直すときに見る数字は、3つで足りる

公開後は、感覚ではなく数字で直します。見るのは3つだけ。

  • どの言葉で来ているか:検索キーワードが想定と違えば、見出しを寄せる
  • どのページで帰っているか:離脱が多いのは、たいてい料金か問い合わせの手前です
  • 問い合わせの中身。件数より、来た相談が受けたい相談かどうかを見ます

3つ目がいちばん大事。相見積もりの1社目としての問い合わせばかりなら、件数が増えても時間を吸い取られて終わりです。入村さんも「一番いけないのは、問い合わせの件数で一喜一憂すること」と語っていました。数を追わず、中身を見る

9.4 AIで時間をつくり、対話に回す

原稿づくりは時間のかかる作業ですが、ここはAIで短くできます。過去の案件メモから場面ごとの下書きを起こす、専門用語を依頼者の言葉に言い換える、返信文のたたき台を作る。この下ごしらえは任せてよい部分です。

ただし線引きは要ります。誰に向けて何を選ぶかは人が決め、書き起こしと整えをAIに渡す。伝え分けまで任せると、どこかで見た一般的な文章に戻ります。士業がAIをどの段階から取り入れるとよいかは、士業のAI活用レベルと収益化の型を解説した記事が参考になります。

10. 不動産鑑定士のホームページ集客に成功した志師塾卒業生2人の実例

志師塾とは、先生業に特化して集客と顧客獲得を教えるビジネススクールです。ここで紹介する2人は、そこで学んだ不動産鑑定士。公開済みのインタビュー記事から引いて見ていきます。

10.1 坂田一郎さん|「待つホームページ」をやめ、売上200万円増

新潟県を拠点に、合同会社坂田不動産鑑定を営む坂田一郎さん。地元の大手ゼネコンで営業を中心に30年、地盤改良会社の現場で12年。土と建物を見続けてきた経験を鑑定眼に変えようと、50歳を過ぎてから勉強を始め、8年かけて資格を取得し、60歳で独立されました。

独立後は官公庁の案件が中心。転機は、ベテラン鑑定士との共同鑑定で力量の差を痛感したことでした。「不動産鑑定士として上達するには、とにかく案件の数をこなして知見やノウハウを蓄積するしかありません。そのためには、官公庁の案件だけでは限界があるので、民間案件の獲得が必要と考えました」。ところが新潟は民間案件が少なく、多くの鑑定士が営業を断念している地域。2.4で見た「地方部は報酬の約4割が公的土地評価」という構造を、そのまま体験されたわけです。

志師塾で最初に取り組んだのは、自分の人生を3万字で書き出す課題。「自分のことは、意外と自分では分かっていないものです。書くことによって、自分がどのような人間で、何を大切にしてきたのかが見えてきました。鑑定の判断に長年の現場経験が活きていると再認識でき、独自のポジショニングの土台になったのです」。5.3で書いた「経歴の羅列にしない」の中身は、この作業から生まれます。

そこから定めた顧客像が「賃料の据え置きに悩む不動産オーナー」。借主との関係や交渉の難しさから賃料を上げられずにいるオーナーに、鑑定士として論理的な根拠を渡し、交渉のパートナーになる。3.2でいえば「案件の軸(賃料の改定)」と「相手の軸(オーナー本人)」の掛け合わせです。オーナー向けの雑誌『家主と地主』でニーズを分析し、Facebookでは漫画形式で賃料改定の重要性を発信されました。

結果は、200万円以上の売上増加。インタビューでは、それまでのホームページを作って待つだけの営業から、顧客の要望から逆算して自身の強みを提示する形へ切り替えたことが転換点だったと語られています。いまは売上高1,500万円を2倍にすることを中期目標に掲げ、ドローンを使った鑑定にも取り組まれているそうです。詳しくは坂田一郎さんのインタビュー記事をご覧ください。

10.2 入村匡哉さん|フォームに「受けない条件」を書き、問い合わせの中身を変えた

「全国の不動産価値の裁判官的役割を果たす不動産鑑定士」として活動する入村匡哉さん。以下は2021年のインタビュー時点の話です。平成21年に入村不動産鑑定を設立し、平成26年に三鷹の事務所を吉祥寺へ移して、当時は吉祥寺と神田の2拠点で事業を展開されていました。不動産鑑定の実績は800件超。業務の柱は3つで、土地建物の相続・贈与・財産分与、家賃地代の交渉、士業や法人向けの不動産評価サポート。

ホームページに直接効いたのが、問い合わせフォームの工夫でした。「相見積もりの問い合わせは受付していません」「営業目的の電話はお断りしています」と記載したところ、欲しくない問い合わせがなくなったといいます。

「入れたら問い合わせなくなっちゃうかなと思ったんですけど、大丈夫でした。条件を明確にすることにより、あやふやな人を排除できる。大切な顧客を落としている可能性もあるんですけど、総合的にはこちらのほうがいいですね」。5.4で触れた「受けない相談を書く」の元は、この実例です。

7.4の「タップで発信」も、当時の入村さんのページに入っていたものです。さらに、ホームページの記事にYouTube動画を埋め込み、その下に文章を置く形も取っていました。「時間もかかりませんし、ホームページのSEOも上がるのでおすすめです」。動画は合宿形式で3日間に100本を撮影し、30本を超えたあたりから問い合わせが入り始めたといいます。

取材時点では多い時で月に30件弱の相談依頼。動画・SNS・ホームページ経由の問い合わせが4割を占めていたそうです。当時は、次に弁護士・税理士へのアプローチを強め、士業向けの顧問プランも提案していきたいと語っていました。6.2で書いた「専門家に見つけてもらう入口」を、次の柱に据えようとしていたわけです。詳しくは入村匡哉さんのインタビュー記事(2021年10月公開)で読めます。

10.3 2人に共通していたこと

拠点も年齢も得意分野もばらばら。それでも重なる点が3つありました。

  • デザインより先に、名乗りを変えた:坂田さんは3万字の棚卸しから、入村さんは「裁判官的役割」という一言から
  • 受ける相手を選んだ:オーナーに絞る、相見積もりを断る。間口を狭めた結果、届く相談の中身が変わりました
  • ページを作って終わりにしていない。文言も中身も、反応を見ながら手を入れ続けています

※上記は志師塾を受講された方の実例です。同様の成果を保証するものではありません。

2人が受ける相手を選んだとき、周りからは「そんなに狭めて仕事が減らないのか」と見えたはずです。実際に減らなかったのは、絞ったのが受ける業務ではなく名乗りのほうだったから。ただ、この線引きを自分の事務所に当てはめる段では、必ず迷います。どこまで絞るのか、絞った先で何を受けるのか。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーは、その線の引き方を扱う場です。

11. 不動産鑑定士のホームページ集客でよくある質問

不動産鑑定士のホームページ集客でよくある質問とは、原稿を誰が書くか・料金の書き方・成果が出るまでの時間の3つ。志師塾に届く相談から6つを選んで答えます。

11.1 不動産鑑定士のホームページの原稿は、自分で書くべきですか?

原稿は自分で書き、デザインと実装は外注する。この分担が基本です。制作会社が書ける範囲は一般的な業務案内にとどまり、あなたの位置づけと現場の言葉までは書けません。取材して書いてくれる会社に頼む場合も、素材を用意するのはこちら側です。分担の決め方と、頼み先ごとの費用の目安は制作会社に発注する前に決めておくことにまとめました。

11.2 不動産鑑定士のホームページに料金を載せると、安い相手と比べられませんか?

比べられるのは、金額しか書いていない場合です。載せるのは金額そのものより「何で変わるか」。対象と目的、調査の深さ、納期、成果物の種類。この4点で動くと書いておけば、単純比較にはなりません。むしろ書かないほうが不利で、問い合わせる手前で離脱されます。無料でお答えできる範囲と有料になる範囲の線も、あわせて書いておいてください。項目ごとの書き方は依頼が届くホームページ4つの条件の条件2をご覧ください。

11.3 不動産鑑定士のホームページは、何ページ作ればよいですか?

最小構成は5枚です。トップ、業務ページ(依頼の多い場面から2枚か3枚)、料金と流れ、事務所紹介、問い合わせ。ページ数を増やすより、業務ページを場面の言葉で立てるほうが効きます。どの場面から作るかは、ホームページに載せる中身は公的データから決まるで見た依頼目的の構成比で決めてください。

11.4 守秘義務があって実績を載せられません。どうすればよいですか?

書くのは個別案件ではなく、状況と変化の筋書きです。「相続人の間で10年まとまらなかった土地の分け方が、評価書を出したことで決着した」といった粒度なら、物件も依頼者も特定されません。案件の種類と件数の傾向、対応してきた地域、連携できる専門家。この3つを並べるだけでも、読み手には十分な手がかりになります。

11.5 高齢の依頼者が多いので、スマートフォン対応は後回しでよいですか?

後回しにできません。相続や賃料の相談者層にあたる60代・70代でも、パソコンよりスマートフォンで探している人のほうが多いからです。総務省の調査による端末別の実数はスマートフォンの画面から設計するに載せました。画面の最初に見えるのは3行程度なので、そこに「誰の何を扱うページか」を置いてください。

11.6 不動産鑑定士のホームページは、成果が出るまでどのくらいかかりますか?

入口ごとに違います。税理士・弁護士など専門家向けのページは、必要性を理解している相手が読むので数週間で反応が出ることもあり、検索から個人の相談が入ってくるまでは半年から1年見ておくのが現実的です。早く効くものと時間のかかるものを同時に走らせます。目先は既存の依頼元や紹介元への案内で作り、その裏でページを育てる。この二本立てが、いちばん続けやすい進め方です。

12. まとめ:不動産鑑定士のホームページは「誰に」から直す

押さえるところを整理します。

  • 依頼が来ないのはデザインではなく、原稿の設計の問題
  • 載せる中身は公的データから決める。知事登録の事務所なら売買が45.7%で最多
  • 土台はポジショニング。案件・相手・地域の3軸から2つを掛け合わせる
  • 条件は4つ。3秒で伝わるコピー、料金と進め方、実績と人柄、ひとつのゴール
  • 業務ページは業務名ではなく「困っている場面」で立てる
  • スマートフォンの画面を基準に設計する。60歳代の80.9%がスマートフォンで見ている
  • 発注前に決めるのは、原稿の担当・ページ構成・更新体制の3つ

直す順番を間違えないでください。デザインを変えても、誰に向けたページかが決まっていなければ結果は同じ「誰に」から直せば、載せる言葉も、消すべき情報も、次の行動も自然に決まります。

明日からの一歩として、この3つを試してみてください。

  1. 直近3件の依頼を思い出し、依頼者が最初に使った言葉を書き出してください
  2. 自分のホームページをスマートフォンで開いてみましょう。最初の画面に何が見えていますか
  3. 案件・相手・地域の3軸から2つを掛け合わせた、一行の自己紹介文

あわせて読みたい記事です。

ホームページの出来を決めるのは制作費でもデザインでもなく、いちばん上に置く一行。その一行を自分で決められれば、あとのページは順番に埋まっていきます。では、その一行はどうやってつくるのか。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーで時間をかけて扱うのが、この部分です。

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ページを作り込む前に決まっているのは、誰に見つけてほしいかです。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーで、その決め方をご覧ください。参加費は無料です。

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この記事について

監修:志師塾(株式会社エクスウィルパートナーズ)。士業・コンサルタント・コーチ・講師といった「先生業」に特化した集客・顧客獲得支援を行い、これまでに3,200名を超える先生業の方を支援してきました。本記事は、不動産鑑定士の受講生・卒業生への支援で得た知見と、国土交通省・公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会・総務省の公表資料をもとに構成しています(公的データの確認日:2026年8月26日/支援人数の原本確認日:2026年8月16日)。

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