
司法書士がFacebookに取り組むとき、最初に決めておきたいことがあります。何を期待するのか、です。
「投稿を続ければ相続の依頼が来る」。そう思って始めると、たいてい半年で手が止まります。名義変更に困っている人が、Facebookで司法書士を探すことはまずないからです。困った人は検索窓へ行きます。
それでもFacebookをすすめる理由があります。あなたに案件を回してくれる人たちが、そこにいるからです。不動産会社の営業担当、金融機関の渉外、税理士、行政書士、地元の経営者。司法書士の案件を左右する人たちの多くが、Facebookを日常の連絡網として使っています。
この記事では、先生業(士業・コンサルタント・コーチ・講師など)の集客・顧客獲得支援を専門としてきた志師塾が、司法書士のFacebook活用を4つの手順で解説します。効きにくい使い方も正直に書きますので、取り組むかどうかの判断材料にしてください。
1. 司法書士のFacebookは「出会う場」ではない
手法の向き不向きは、最初にはっきりさせておくほうが遠回りしません。司法書士とFacebookの相性を、正直なところから見ていきましょう。
1.1 依頼者はFacebookで司法書士を探さない
相続登記が必要になった人の行動を思い浮かべてください。まず検索します。次に、身近な人に「誰か知らない?」と聞く。この2つで終わりです。
SNSのタイムラインを流し見しながら司法書士を探す人は、ほとんどいません。登記は、必要になった瞬間に目的を持って探される仕事。受け身で流れてくる情報とは、そもそも相性が違うのです。だから新規のBtoCの入口としては、Web検索のほうが圧倒的に有利になります。その設計は司法書士のWeb集客4つの手順にまとめました。
1.2 それでも効くのは、紹介元がそこにいるから
ここからが本題です。司法書士の案件は、事業者経由で動く割合が高い職種。その紹介元の担当者たちは、名刺交換のあとFacebookでつながることを習慣にしています。
つまりFacebookは、あなたにとって新規開拓の場ではなく、すでに一度会った人の記憶に、居続けるための場になります。名刺は引き出しにしまわれる。けれどタイムラインは、毎日目に入ります。この差は小さくありません。
1.3 目的は第一想起の維持と決めておく
目的が定まると、評価の物差しも変わります。追うべきは、いいねの数でもフォロワー数でもありません。案件が起きた瞬間に、担当者の頭にあなたの顔が浮かぶかどうか。
「名義に難がある物件が出た。誰に聞こう」。この一瞬に思い出される状態を、志師塾では第一想起と呼んでいます。Facebookは、その第一想起を保つための道具。そう位置づければ、投稿の中身も頻度も決まってきます。
2. 手順1・2:つながる相手を決め、名乗りをそろえる
目的が決まったら準備です。最初の2つは、投稿を始める前に固めておきます。
2.1 手順1:友達を増やす前に「誰とつながるか」を決める
数を追いかけると、タイムラインは知らない人の投稿で埋まります。そうなると、本当に届けたい相手にあなたの投稿が届きにくくなる。
先につながる相手を決めてください。司法書士の場合、優先順位はだいたいこの順になります。
- 紹介元の担当者:不動産会社、ハウスメーカー、金融機関、保険。決済や相続の現場で顔を合わせた人
- 連携する他士業:税理士、弁護士、行政書士、社会保険労務士。相続や法人設立で自然に組む相手
- 地元の経営者:商工会議所や地域の集まりで会った人。会社の登記が動くたびに思い出してもらえます
- 過去の依頼者:本人が望む場合のみ。こちらから積極的に申請はしません
最後の一点は、司法書士ならではの注意です。依頼の事実そのものが、家庭や取引の事情に触れます。依頼者との個人的なつながりは、相手から来たときだけ受けるくらいの慎重さがちょうどよいと考えてください。
2.2 手順2:プロフィールは「場面」で名乗る
タイムラインで投稿を見た人が、次にどこを見るか。プロフィールです。ここが「司法書士」の4文字だけで終わっていると、せっかくの投稿が記憶に結びつきません。
肩書きは、業務名ではなく場面で書きます。「相続で名義が止まったままの実家を片づける司法書士」「創業まもない会社の登記を、税理士と一緒に伴走する司法書士」。読んだ人が、誰を紹介すればよいか思い浮かぶ書き方が正解です。
この名乗りは、名刺、ホームページ、ブログとそろえてください。接点ごとに違う名乗りをしていると、何の専門家なのかが定着しません。ばらばらの名乗りは、記憶に残らない名乗りと同じです。
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3. 手順3:守秘義務を守りながら、何を投稿するか
司法書士がSNSで手を止める最大の理由が、ここです。案件のことは書けない。では何を書くのか。
3.1 書けるのは「制度」と「考え方」と「日常」
他の先生業は、事例を語ることで力量を示します。司法書士にその道は使えません。依頼の内容は、家族の相続や会社の資本構成そのもの。ぼかしても、地域が狭ければ特定されます。
そこで、書く対象を3つに絞ります。
- 制度:相続登記の義務化で何が変わったか。相続人申告登記という簡易な方法があること。住所や氏名が変わったときの登記の扱い
- 考え方:名義をそのままにすると、次の代でどれだけ手間が増えるか。遺言と家族信託の向き不向き
- 日常:法務局へ向かう朝の景色、研修で学んだこと、地域の行事。人柄が伝わるのはここです
案件そのものを語れないことは、弱みに見えるかもしれません。ただ、依頼者の事情を軽々しく扱わない姿勢は、見ている人にきちんと伝わります。書かない理由を一度きちんと説明しておくと、その慎重さ自体が信頼に変わっていく。
3.2 配分は「相手の役に立つ話」を軸にする
投稿の中身が仕事の告知ばかりになると、読み飛ばされます。目安として、相手の役に立つ話を軸に置き、そこに人柄が見える話を混ぜ、告知は控えめに。この配分が続けやすいはずです。
紹介元に効く投稿は、その人の仕事が楽になる話です。「決済前に確認しておくと安心な3点」「相続がらみの売買で、日程が動きやすい場面」。読んだ担当者は、自分の業務メモとして受け取ります。あなたの名前は、その内容と一緒に記憶されるでしょう。
3.3 やってはいけない投稿
司法書士には、他の業種にはない線があります。投稿の前に、この4つを確認してください。
- 依頼の内容が推測できる書き方(地域・時期・物件の特徴の組み合わせで特定されます)
- 他の司法書士や事務所との比較、報酬の安さの強調
- 「必ず通ります」「絶対に大丈夫」といった断定
- 不安をあおって急がせる言い回し
日本司法書士会連合会には業務広告に関する規程があり、事実に反する表現、誇大な表現、比較広告、品位を損なう表現は避けることになっています。SNSの投稿も広告の一種です。判断に迷う表現は、所属の司法書士会に確認するのが確実でしょう。
なお、発信の前に固めておきたい名乗りと商品の設計を通してつかみたい方は、「先生業の顧客獲得を成功させる7つの能力」をまとめた無料資料をご活用ください。
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4. 手順4:投稿から、会う場へつなぐ
投稿を続けても、それだけでは案件になりません。Facebookの役割は、会う理由をつくるところまで。最後のつなぎ方を設計しましょう。
4.1 いいねより、コメントと個別の一言
関係が動くのは、一対一のやり取りが生まれた瞬間です。紹介元の担当者が投稿していたら、そこに一言添える。物件の写真なら「このあたりは古い名義が残っていることが多いですね」。あなたの専門性が、さりげなく伝わります。
ここで気をつけたいのが、営業に見せないこと。相手の投稿の下で自分の宣伝を始めると、一気に距離が開いてしまう。相手の話に興味を持つ人にだけ、人は仕事を回します。
4.2 グループと勉強会を組み合わせる
地域の経営者や士業のグループには、参加する価値があります。ただし、投稿を読むだけでは何も起きません。使い方はひとつ。そこで顔を知った相手に、実務の勉強会を持ちかけることです。
不動産会社や金融機関の担当者に向けて、決済や相続の実務を30分で話す。オンラインなら相手も参加しやすい。Facebookでつながり、勉強会で会い、案件で組む。この流れが司法書士にはいちばん自然です。組み立て方は司法書士のセミナー集客でくわしく解説しました。
4.3 Facebookで完結させない
SNSの仕様は変わります。表示のされ方も、届く相手も、こちらの都合とは無関係に動く。だから、積み上げるものは自分の側に置いてください。
投稿で反応があった話題は、ブログの記事にして自分のサイトに残す。勉強会で使った資料は、次の登壇でも使える形に整える。借りている場に資産を置かない。この一点を守るだけで、続けるほど手元に残るものが増えていきます。
5. 司法書士がFacebookで消耗しないために
ここまで読んで、負担が重いと感じた方もいるでしょう。続けるための現実的な線を引いておきます。
5.1 毎日投稿は要らない。頻度より一貫性
目的が第一想起の維持なら、毎日である必要はありません。週に1、2回、同じ方向の話が流れてくるほうが、何の専門家かは伝わります。
反対にいちばんもったいないのが、思い出したように月1回だけ、しかも毎回違うテーマで投稿する形。それでは記憶の像が結びません。決めた曜日に、決めた方向の話を置く。地味ですが、これが効きます。
5.2 向いていないと感じたら、無理に続けない
Facebookは、司法書士にとって必須の手法ではありません。紹介元との関係が対面と電話で十分に回っているなら、そちらに時間を使ったほうが成果は出ます。
判断の目安を挙げておきましょう。あなたの紹介元がFacebookを使っているか。使っていないなら、無理に取り組む理由はありません。手法は、相手のいる場所で選ぶものです。
5.3 下書きはAIに寄せ、確認は自分でする
制度改正の要点整理、投稿文のたたき台、勉強会の構成案。こうした下ごしらえはAIで短くできます。浮いた時間は、コメントの一言と、会いに行く時間へ回しましょう。司法書士ならではの取り入れ方は司法書士のAI活用術で紹介しています。
ただし、投稿する前の確認だけは自分の目で行ってください。特定につながる情報が混ざっていないか。断定になっていないか。ここは人が引き受ける仕事です。
6. まとめ:司法書士のFacebookは「思い出される」ための道具
司法書士のFacebook活用で押さえる手順を、4つに整理しました。
- 手順1:友達を増やす前に、紹介元と連携士業を軸につながる相手を決める
- 手順2:プロフィールを「場面」で名乗り、名刺やサイトと言葉をそろえる
- 手順3:制度・考え方・日常の3つを書く。案件は書かず、比較や断定も避ける
- 手順4:コメントと勉強会で会う場へつなぎ、資産は自分のサイトに残す
依頼者はFacebookで司法書士を探しません。それでも、あなたに案件を回す人たちはそこにいます。新規開拓の道具としてではなく、第一想起を保つ道具として使う。この割り切りができれば、無理なく続けられるはずです。
他の手法との組み合わせ方は、司法書士の集客方法6選で全体像を確かめてください。
今日から手をつけるなら、この3つから始めてみてください。
- 直近1年で案件を回してくれた担当者の名前を書き出し、つながっているか確認する
- プロフィールの肩書きを「誰の・どんな場面を・どう解決するか」に書き換える
- 紹介元の仕事が楽になる話を1本、今週のうちに投稿してみる
紹介に頼りきらず、自分で顧客獲得の道をつくりたい。そう考えているなら、志師塾の無料セミナーで最初の一歩を確かめてみてください。