中小企業の財務パートナーとして、お金に関するお困りごとを解決することで、経営者が本当にやりたいことができる経営環境づくり支援されている清水謙伍さん。2021年2月に清水ビジネスパートナー株式会社を設立し、独立開業1年目から年商3,000万円を達成しました。
清水さんは社会人経験や経営塾で何を学び、どのようにビジネスモデルを構築することで、大きな成果を出されたのでしょうか。
インタビューを通じて、独立開業に至った経緯、紹介の輪が自然に広がる理由、今後の事業展開について伺いました。
1.中小企業診断士の取得と独立開業を目指すきっかけ
1.1 リーマンショックによりプロジェクトチームが霧散
大学の友人が在学中に中小企業診断士の試験に合格したことをきっかけに、中小企業診断士やコンサルファームの仕事を知った清水さん。最初に新卒で入った建設機械メーカーでは当時トヨタのコンサルタントが入っていて、製造現場の抜本的な改革を全社的に行っていると聞いており、入社したらそのプロジェクトチームに入れるという約束があったそうです。
「プロジェクトチームでの仕事を楽しみに、建設メーカーに入社したんですけど、入社直前にリーマンショックが起きてしまって。そのプロジェクトがもう霧散したんです」
楽しみにしていた仕事がなくなってしまいましたが、清水さんはキャリアプランを描いて、次の目標に向かって行動します。
1.2 中小企業診断士の資格取得を決意
中小企業診断士を若いうちに取っておけば、自分のキャリアを会社に相談する際に有利に働くと考え、20代で中小企業診断士の試験に見事合格します。
そして、30歳を機に、香川県中小企業診断士協会に入会し、税理士や弁護士の先生で独立している方とお話しすることで、独立開業の道を選ぶことを決意。転職活動では、コンサルファームで3年ぐらい修行してから独立するという目標を立てたそうです。
コンサルファームに入社する前から独立開業を決めた理由は、ポジティブな理由とネガティブな理由がありました。
1.3 独立開業を目指した2つの理由
「ポジティブな理由でいうと、30歳の手前になって、都内の大学時代の友人がみんな面白そうに仕事をしていることが羨ましいと思っていました。だから、人生一度きりだし、自分のやりたいようにやるのもいいのかと考えました」
大学時代の友人との情報交換をきっかけに、「自分のやりたい仕事をしたい」という気持ちが高まったそうです。
「ネガティブな理由では、建築機械メーカーに入って8年間、自分が思っていた仕事っていうのは全くなくて。会社の方にキャリアプランを相談したんですけど、希望通りにはなりませんでした」
「独立するために転職する意思決定をして、辞めますと言ったときに、君の言うとおり希望と聞くからちょっと残ってもらえないかと言われました。意思決定する前に言って欲しかったですね」
会社は、個人の都合は受け入れにくいことは理解しつつも、3年後の独立開業を目指してコンサルファームへ転職した清水さん。この選択は、今後の人生を大きく変える転機となりました。
2.志師塾との出会い
2.1 入塾のきっかけ
「講座に参加する前は、独立前に不安な状況でした。そのため、独立後に食べていけるだけの姿勢や考え、人脈を形成したいと考えていました。志師塾の講座では、志や信念に基づくキラーコンテンツ(独自の強みや特徴を活かした商品サービス)を作ることを期待していました」
独立開業を決意して準備を進めていましたが、この時点では不安なことも多かったそうです。
2.2 講座に参加して得られたもの
「志師塾の講座に参加して、補助金を共に行う仲間を見つけることができました。また講座では相互にノウハウや知見を交換しながら進められたので視座が高まりました。第一講からの自己棚卸で自分を見つめ直す時間ができたことと、仲間に自己開示したことで自分のマインドがオープンになり、自分の理念を考え続けるきっかけとなりました」
「どの講義でも工夫があり、モチベーションや質の高い学びが維持できる仕組みになっています。特に個別相談と講義前の講師へのお悩み相談が自分の課題を深めることに繋がったのでよかったです。私は独立開業してすぐだったので、一歩先に経験している方の知見は意思決定の基準になりました。また五十嵐さんには個別にメッセンジャーをして、当時の課題を解決してくれる方をご紹介してもらい、実務での課題解決にもつながっています」
志師塾の講座で課題に取り組む事により、自身の理念を考えることができ、人脈の紹介も得られ、実務の課題も解決していきます。
2.3 講座卒業1年後に感じたメリット
「志師塾の講義の内容とかコンテンツは、1回学んだだけでは理解が浅くて、2回3回と学び直すことがキラーコンテンツ作りに役立っています。あとは、受講生を見ていると、1年前の自分を投影することになるので、そのときと比べて自分は良くなってるなとか、ここはまだまだだなとか。受講生の中ですごい成果を残されてる方を見ると、僕もこの点はもっと頑張らないといけないなという気づきにもなります」
「あとは、補助金コンサルタント養成講座に参加させていただいたときに、交流会に参加して、繋がれる人を見つけられたので、僕自身の人脈形成にも役立っています。特にある銀行のOBの方には、私のお客様の融資相談を助言してもらったり、補助金の情報を共有しているので、自分の仕事がより進めやすくなってますね」
受講生を見て気づくこと、新たな学びを経て人脈とビジネスを広げることに、志師塾は役立っているそうです。
3.新規顧客はほとんどが紹介
3.1 自然に紹介の輪が広がる理由
「志師塾受講中は、補助金をサポートしたお客さんからの紹介で広がっていきました。それで実績が何件かできたときに、香川県の中小企業診断士協会からセミナーをやってもらえないかと誘われました。僕に声がかかったのは、地元の税理士の先生から、誰か補助金に詳しい方で実績も伴っている方を紹介してほしいという依頼があり、当時、協会の事務局の方と仲良くしていたら、その税理士の先生を紹介してくれました」
補助金のサポートからセミナー登壇が決まった清水さん。ここから、紹介の輪が一気に広まります。
「税理士の先生とセミナーについて話をしているときに、自分の会計事務所の会員の方々に、セミナーをやってほしいというオーダーがあり、こちらにも登壇しました。そして、その税理士の先生のお客さんの方からも紹介をしていただき、それを通じて他の税理士の先生からのご紹介もいただきました」
「あとは地元の金融機関ですね。第一地銀の担当者の案件を一件、対応させて頂いたところ、そこの担当者の方が僕を評価していただき、追加で4件もご紹介をいただきました。また、独立前から関わりがあった愛媛県のITベンダー、主に地元の広告代理店をされている会社の社長には、とても良くしていただき、愛媛県のお客様の事業再構築補助金案件を4社もご紹介をいただきました。あとは地元の香川県で販促支援をしてるコンサル会社からは、徳島県の案件を2社、ご紹介いただきました」
このように、最初はお客様で、その後は紹介窓口になるような税理士の先生や金融機関の方と関係を構築することで、紹介の輪を広げられています。
3.2 自己投資による能力アップと人脈の拡大
清水さんは、補助金のサポートを中心に紹介での新規顧客開拓に成功していましたが、現状には満足していなかったとのこと。
「今後、補助金サポートだけでは、なかなか厳しいと思っていますので、現在は色々な塾に通っています。大体3ヶ月間とか6ヶ月間のものが多いです。その際に気を付けているのはリクルート的な位置づけで塾を開いている先生の講座を受けるようにしていることです」
「なぜなら、リクルート的な位置づけで塾を開いている先生は基本、超多忙で猫の手も借りたいくらいだけど、ちゃんとした人に仕事を依頼したいという思いがあるので、その意図を理解して、塾に通っているときは意図的に先生とコミュニケーションを取ったりして、その先生のノウハウを学んだら、下請けとして仕事をお手伝いさせて頂き、即実践して、自分の使えるスキルにするようにしています」
清水さんにとっては、新たな学びはもちろん、講師の方のお手伝いをすることで関係を構築し、紹介してもらえるようになったそうです。このような研修費には400万円ほど投資しており、営業活動も兼ねているとのこと。
「講座で学んだ仕事は、頭でインプットしても実践できるかどうかは別なので、報酬がなくても実践することが大事だと思っています。ある程度自分で知識とノウハウを体系化したら、自分のお客さんに展開しています」
「また最近では、ベンチャー業界の仕事も経験することができました。なぜなら、僕は普段、地方の中小企業に対して経営コンサルをしているので、ベンチャー界隈の話が全然分かりませんでした。しかし、パートナーCFOの講座を受けた時に、ベンチャーの仕事にも挑戦することができ、そのおかげで今後、ベンチャー界隈で仕事を受注したり成果を残していくにはどのような経験が必要か明確になりました」
「そして、数多くの塾に通うことで、自分が未経験の分野をどうやって学べばいいのか、もしくはどうやって新しいサービスにできるのかという組み立て方も相談できる方ができたことは、すごく大きかったなと思いますね」
4.香川県・東京都を拠点とする財務パートナーコンサルタント
4.1 清水さんの強みとサービス内容
「今は、お客様のビジネスパートナーのような立ち位置で財務面のサポートをしていることが多く、それを通じて、お客様が本当にやりたい事業に注力できるような環境作りを整えています」と話してくれた清水さん。
清水さんのホームページには、貢献(クライアントの立場で考え、誠実であること)・絶対(成果が出るまでとことん支援すること)・明確(考えを正確かつ正直に伝えること)の3つを経営理念として、伴走型の支援をすることで、目に見える成果に繋げることを重視していると記載されています。
また、清水さんの強みは、香川県と東京都の2拠点で活動していることで、都内の最新情報を素早くキャッチして、独自のネットワークも形成しながら地方のお客様の支援を行うこと。そして、コンサルファームでの経験と様々な講座での学びを即実践して経験を積むことで、地方の中小企業の経営課題に対応したコンサルティングサービスを幅広く提供できることです。
4.2 伸びしろを感じる瞬間
「僕のコンサル自体の経験は、前職のコンサルファームからカウントすると5年目なので、まだまだコンサルタントとして伸びしろを感じています。なので、何か新しいサービスが提供できたときやお客様の成果に間違いなく繋がる提案が通ったときにはすごいワクワクしていますね」
新たな学びを通じてサービスの幅の拡大し、お客さんの大きな成果に繋げたいという思いの強さを感じました。
4.3 2年で76件の補助金申請に携わってわかったこと
「独立前も含めて2年間の補助金サポートで採択できた案件数が76件以上ぐらいあります。いろんな業種の方と仕事ができましたし、いろんな経営者や会社を見れました。最近思うのは、僕自身は業種を絞ってサポートするなら、製造業が面白いと思っています。なので、志師塾でお世話になったコンサルの方と一緒に、地方で頑張っている製造業の経営者向けのサービスを構築していきたいです」
数ある業種のサポートを行う中で、製造業に魅力を感じた清水さん。その理由をお伺いました。
4.4 製造業の社長に魅力を感じた理由
「まず製造業の社長は人柄がいいんですよね。真面目で誠実な方が多くて。製造業は物を作っているので、嘘はつけないじゃないですか。ごまかせない。そういうふうに仕事をしていると、社長もお客さんの期待にはちゃんと時間をかけて答えないといけないっていうマインドになっているので、補助金申請をサポートしていても、やりやすいですし、この社長のためにどうやったらいいかを考えたくなります」
製造業の社長の「真面目で誠実な人柄」に心を打たれたそうです。
「あと、地方の製造業の社長は、その道のプロではありますが、経営に関わる勉強にまで手が回っていない方が結構多いです。例えば、この製品を作って利益を残していくにはどのくらいの原価と販売価格を設定すればよいかみたいなところまで計算に手が回ってないんですよね。だから、そういったところの計算やシミュレーションは、僕がやっています。それにこれをきちんとやると利益が残りやすくなりますので、最近は地方の製造業向けにこのサービスをパッケージ化していこうとしています」
経営周りの数字の管理と改善方法をお伝えすることで、Win-Winの関係を構築されています。
4.5 製造業のコンサルティングで成果を上げる方法
「まずはそのお客さんの各月の成績表(月次試算表)の計画値と実績値を並べて、毎月の売上高で計画と目標値をふり返り、ヒアリングして進捗管理をします。「管理すべきポイントは粗利ですよ。経費でいうと残業時間ですよ。1個の製品を作るのにどれぐらいの費用がかかっています」というポイントを僕がまとめて、改善点をお伝えします。そして、どの部分に注力して改善すれば粗利が増えて、今の借入金が返せるようになるのかを明確にしていきます」
製造業の社長には、会社にお金が残らない原因を説明し、理解してもらった上で管理すべきポイントを絞り、その改善策を社員の方々に実行してもらうためには、どのようにフォローしたらよいかまでを伝えることで成果につなげています。また、製造業において人を追加で雇用する際は、次のようなアドバイスもすることがあるとのこと。
「このタイミングで人を雇ったらこれぐらいコストが上がるので、毎月の売上をあと〇〇円くらい上積みできる状態にしてくださいね。なので、売上計画から見直して再度、シミュレーションしていきましょう」
4.6 金融機関や税理士さんとの仲介としても活躍
製造業の社長は、税理士の先生や金融機関とのやり取りを苦手としていることが多いそうです。
「税理士の先生は優秀な方が多くて、社長にわかるように対応してくださっている方もいるんですけど、顧問料が月に3万円ぐらいしかいただけてないので、限界があります。それに本来の税務業務からも大きくそれることになるので、経営コンサルの領域までは注力しづらいところがあります。なので僕は、税理士の先生とバッティングしないところを見定めて、一緒にお客さんを良くしていこうというスタンスを取るようにしています。なので、製造業の社長から顧問税理士の先生をご紹介いただき、顧問税理士の先生の対応業務を確認しながら僕がサポートする内容を調整しています」
「具体的には税理士の先生に対して決算書の表記や借入金の条件追記など、細かいけれども社長が会社を経営していくには必要な数値情報の表記もお願いすることがあります。また、減価償却費の優遇制度など、節税対策においても顧問税理士の先生だけでは手が回らないところを顧問税理士の先生にも意見をもらいながらフォローすることもあります」
清水さんは税理士の先生との補完関係を第一に考えてサポートすることで、三方よしの関係を構築しているそうです。他にも、銀行に納得してもらえるようなデータを整理して、社長がいつでも銀行に資料として提出できるようフォローもしているとのこと。
「金融機関の担当者は融資の際に社内向けの稟議書を書きますが、社長の会社の情報が少なければまともな稟議書を書くことも難しくなります。そこで、その稟議書を書く際に必要な情報を前もって整理して社長にデータを渡しておくことで、金融機関から求められた際にすぐに社長が対応できるようにもしています」
このように『何かあったときには、清水さんに確認すれば必要な情報を提供してくれるから安心』という状態をつくることで、税理士の先生や金融機関とも良い関係性を築くことができています。
5.現在の成果と今後の取り組み
5.1 独立1年目で年商3,000万円を達成
独立開業1年目では、概算で年商3,000万円を達成されました。
「補助金の報酬は採択されてから手元に入金されるまで1年かかることがほとんどですので、決算書の数値は3,000万円にはなっていません。ただ、補助金が採択されると、入金額がある程度決まってくるので、この基準でみると、初年度は年商3,000万円を少し超えていました。できれば、来年も年商3,000万円は突破していきたいです」
清水さんは補助金の採択までではなく、1年近くかかる実績報告までトータルでサポートされていますので、お客様とは長期的で良好な関係を築くことができ、口コミでの紹介にも繋がっているそうです。
5.2 今後の事業展開
清水さんは、組織を大きくするよりも、ビジネスパートナーとして協力し合える仲間を増やすことに魅力を感じています。
「補助金については、今後、僕の案件を手伝ってもらえる人を増やしていきたいと思っていますが、経営コンサルの方は知識と経験がないとできないので、あまり広げようとは思っていません。向こう2、3年は、自分1人でできるところを磨き上げることでベースを作り、+2年の5年以内に、若手の中小企業診断士向けの講座を作ろうと思っています。そこで、私と組めそうな方をリクルートしたいと思っています」
「あとは、僕の会社のブランド構築も行っていきたいと思っていて、志師塾で知り合った方でデザイン会社を経営されている方がいますので、僕の会社のブランド構築の支援をお願いしたいと思っています。あとは、志師塾の営業コンサルの方と一緒にキラーコンテンツ作りや販路開拓、顧客獲得動線の整備も行いたいと思っています」
製造業に特化した新サービスを開発して、ビジネスパートナーの輪を広げ、さらに事業を拡大させていく清水さんの今後が、とても楽しみです。
年商1,000万円以上を目指したい士業・コンサル・講師・コーチ・セラピストなどの先生業の方は、清水さんも学んだ「高単価で顧客を獲得して先生ビジネスを軌道に乗せる7ステップ」を、学んでみてくださいね。