友安昌幸(ともやす まさゆき)さんは“セミビズ変革アドバイザー”として、半導体や関連分野で新規事業開拓、戦略支援、セミナー講師、デジタル技術導入支援など、幅広いサービスを展開しています。
東京エレクトロンやサムスン電子で役員を務めた実績と、38年間にわたる半導体装置開発や支援の経験を背景に、起業後2年間で50社以上の半導体メーカーや関連企業をサポート。DXや生成AIを駆使し、ユーザーとサプライヤー双方の視点から、お客様の生産性向上と具体的な業務改善を実現しています。
今回の取材では、友安さんの経歴や理念、起業のきっかけ、そして志師塾との出会いや学び、今後の挑戦をうかがいました。
1.産業の停滞と変革の必要性:国内製造業の現実
2024年日本生産性本部のデータによると、経済協力開発機構(OECD)加盟国間で、国内製造業の労働生産性は2000年で38カ国中1位でしたが、2022年には19位に低下しています。人口減少や各業界での人手不足が深刻化する中、DX(デジタルトランスフォーメーション)などのデジタル技術を活用して生産性を向上させることが急務です。また、物価上昇を上回る賃上げを実現し、持続可能な経済社会を築くためにも、生産性向上の必要性はますます高まっています。
この実態を前に、友安さんは力強く語ります。
「製造業に関して、エレクトロニクス業界は1980年代に非常に栄えていた部分があったのに、現在は厳しい状況です。だからこそ、再び強くなるために寄与したいと思っています」
【出典】(公財) 日本生産性本部「労働生産性の国際比較2024 概要」
2.革新の第一歩:半導体とビジネスの融合
半導体現場で培った豊富な経験を背景に、友安さんは合同会社アミコ・コンサルティングを設立し、“セミビズ変革アドバイザー”として新たなビジネスに挑戦しています。
「“セミ”はセミコンダクター、“ビズ”はビジネスの略です」という友安さんの言葉にあるように、先端技術と現場の課題解決を融合させ、変革につなげることが使命です。
この取り組みは、以下の三本の柱(A、B、C)に集約されます。
A. 新規事業の開拓と戦略支援
半導体や関連分野で、企業の内部改革を促進するため、ワークフロー改善、戦略立案、開発プロジェクトの運用、生産業務の改善など、根本的な課題にアプローチします。
B. 講師・セミナー活動
製造装置の基礎や技術トレンド、今後の展望などを専門セミナーや社内研修を通じて広く提供し、企業内の学びを促進させます。
C. 現場へのデジタル技術導入
半導体現場で普及が遅れているDX推進に注力し、最新のデジタル技術の導入を奨励することで、生産性向上と業務効率化を図ります。
「実際に取り組むと、リソース不足などの理由で計画が進まない企業が多いのが現実です。課題解決に向け、全力で企業支援に努める」と、強い決意があります。
また、会社名“アミコ・コンサルティング”には自身のルーツと理念が込められています。「私の“友安”という、平安時代からの伝統ある名前に由来して、エスペラント語の“友”を意味する“アミコ”を組みあわせました」
“友”と“安”の二重の意味が重なり、お客様に伴走して、共に歩む姿勢が象徴されています。
3.困難を乗り越える軌跡:過去からの学びと実践
3.1 キャリア初期の奮闘と成長の軌跡
東京大学工学部物理工学科を卒業後、「情報産業が大事になる」という信念を胸に、成長環境を求め東京エレクトロンに就職しました。
現在、半導体装置メーカーとして国内トップの同社ですが、入社時は商社からメーカーへの移行を模索する時期にありました。当初は、輸入製品を国内にて組み立てる事業を展開。その後、支援先との議論を重ねながら自社独自の装置開発を促進させ、輸入依存の脱却に成功します。
友安さんは同社で装置の開発リーダーを経て、開発企画をまとめる立場となり、オープンイノベーションの推進やグローバル展開などを先導。会社の発展に注力しました。
一方、これまで試行錯誤した経験を通じ、友安さんは「お客様の期待と実際の提供製品とのギャップがある」という課題意識を抱くようになります。
その中、サムスン電子からのヘッドハンティングの連絡を受け、転職されます。
「サムスン電子の研究所長による熱意に触れ、『ぜひそのギャップを埋める経験をしてみたい』と強く感じました」と、転機となった瞬間を語ります。
友安さんは同社韓国のR&Dセンターに移り、専務として6年間、国際的な研究開発に従事。定年に近いタイミングで契約終了後、帰国し起業を決意しました。
これらの経験が、後のコンサルティングや新規事業の展開に大きな影響を与えたのです。
3.2 起業後の自己革新:経営者として挑戦と成長を追求する
起業後、友安さんは「自由度が高く、自分のやりたいことをすればよい」と語るように、企業勤務時代とは異なる環境で自らの意思で業務を進められる点に魅力を感じています。様々な業務を自分で行う手間はありますが、学びや新たな挑戦に多くの時間を割けることがメリットです。
会社設立当初は口コミ等で徐々に実績を広げます。一方で、現場では「支援先がやりたいことはあるのに、資金や人材不足の制約で変革を生むのは容易ではない」と実感。それに対し、友安さんは、コーチングによる対話とブレイクスルー思考が重要だと述べています。
「現状よりも高い付加価値を持つ製品やサービスは絶対にあります。支援企業がブレイクスルー思考やワークデザインの手法を実践し、上位目的を明確にすることで、価値向上の道を切り開けると思います。答えはお客様自身が持っており、それを導くことも必要です」
また、AI、DX、ウェブ集客など、多様な分野も精力的に学び、新たなビジネスの獲得に取り組んでいます。
4.志師塾での挑戦と学びの融合
4.1 志師塾入会のきっかけ:封書が開いた新たな扉
起業後も、数々な変革に挑み続けた友安さんですが、ある日、一通の封書が届きます。それは、面識のない志師塾代表の五十嵐さんからでした。その封書の中身は、“ウェブ集客に関連したフロントセミナーの案内”でした。
「ウェブでの集客はあまり取り組めていなかったため、好奇心を持って参加しました」と話します。
それを機に、起業後の更なる成長を目指すためにも、志師塾への入会を決意されました。
4.2 志師塾での実践学習とブランド強化
友安さんは、志師塾に入会してから、これまでの経営経験を再確認するとともに、実践的な“強み”やお客様の本当のニーズを学ぶ機会を得ました。
「お客様が何を求め、どう伝えるべきかが明確になりました」と振り返ります。さらに、自身のブランディングにも変革をもたらし、新たな肩書き“セミビズ変革アドバイザー”を創出しました。
「『セミビズ変革アドバイザーの友安です』と自己紹介すると、多くの方が『セミビズって何?』と驚くのですが、その反応が会話のきっかけとなり、アイスブレイクとしても大変効果的でした」
また、名刺、チラシ、ホームページのデザインなど、細部の表現方法を見直すことで、伝えたいメッセージをより明確にする重要性も学ばれます。
4.3 仲間との交流:ネットワークが生む相乗効果
志師塾におけるもうひとつの大きな魅力は、同じ志を持つ仲間との出会いと交流です。「志師塾の交流会に参加するまでは、他業種との横のつながりが希薄で、これほど多様なバックグラウンドを持つ方たちと話す機会はなかったです」と友安さんは語ります。
実際、参加する交流会の中では、コンサルやコーチングのアプローチを交えた“損をさせない1to1”を実施。その中で、相手の現状をじっくりうかがいながら「これをやってみては?」という、より具体的な提案が可能になりました。
月次の勉強会や異業種との意見交換では、自然な形でネットワーク構築をうながし、日々の業務改善や新たなビジネス挑戦の重要な支えとなっていると実感しています。
4.4 新たな挑戦:DX支援プロジェクトの展開
志師塾で培った学びと仲間とのネットワークが、新たな挑戦の原動力となっています。現在、友安さんはDX支援を推進し、新たな協業の場を生み出すため、製造業関係者向けの交流会を立ち上げています。
現代の製造業では、デジタル化が避けられないテーマとなり、技術革新だけでなく、企業と顧客間の情報ギャップ解消が求められています。
友安さんは、「私自身はDX支援につなげる意図で、参加者の方にはそれぞれ、ビジネス拡大のきっかけとなる目的で、製造業関係者の交流会を計画しました。現時点で13名が参加しています。準備も順調に進んでいることから、近日中に本格稼働を始める予定です」とプロジェクトへの意気込みを語ります。
志師塾で得た学びと、実務に直結するノウハウを自身のビジネスに反映させることで、DX推進における新たな価値をつくるなど、柔軟な取り組みを実践中です。
4.5 志師塾に入会される方へ
これから志師塾に入会し、新たな挑戦に踏み出そうとする方たちに、友安さんは熱いメッセージを送ります。
「ビジネスで必要な知識やノウハウは、志師塾でしっかりと教えていただけるので、特別な準備は不要です。まずは与えられた宿題を真面目にこなすことが、成功への第一歩だと考えています」
また、企業内ではなかなか得られなかったような外部の方たちとの出会いは、視野を大きく広げ、新しいビジネスチャンスを生む絶好の機会となると語ります。
「受講していれば自然に身につくという甘い話はありません。ネットワークを広げる起点として積極的に同じ期の人たちとのコミュニケーションを図りながら、行動してアウトプットする。途中で諦めずゴールまで到達する。これが成功へのマインドセットです」
5.製造業に強い日本の輝きを再び
5.1 未来の自己像と挑戦の軌跡
友安さんは、セミビズ変革アドバイザーとして未来の自己実現を目指しています。
「生きている間にどこまで成長できるかはわかりません。個人の力には限界があると認めつつも、体系的な知見と伝えるべきメッセージを数多くの企業に届けることが私のライフワークです」
これからの時代、単なる理想論に終始せずに、実体のある成果を追求する挑戦が、友安さんの未来像の根幹を成すのです。
5.2 製造業・半導体業界の活性化と国際競争への挑戦
「中国、アメリカ、東南アジアなど急成長国との競争の中で、製造業がしっかりしていなければ、観光業などのインフラも失われます」友安さんは、製造業こそが日本経済の根幹であると語ります。
「例えば、IoTや先端技術を活用したデモンストレーションの場を構築し、『ウォシュレットだけでなく、日本はこれもすごい』という実績を世界に発信しながら、日本製品の優位性を確立したいと考えています」
さらに、従来の枠にとらわれずパートナーシップを拡大し、国際競争の激しい市場においても、日本の技術と製品が輝く未来を実現しようとしています。
あの頃の強い半導体業界や製造業を日本に取り戻す!
熱い信念を胸に、友安さんは不屈の精神で挑戦を続けています。
文:野原悟(中小企業診断士)/編集:志師塾編集部
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