
行政書士のホームページには、他の士業にはない事情があります。訪れるのは、たいてい「今すぐ頼みたい人」だということです。元請けから許可を求められた社長。親が亡くなって手続きに追われている方。在留期限が迫っている企業の担当者。
急いでいる人は、じっくり読みません。数分で「ここに頼めそうか」を判断して、次のサイトへ移ります。行政書士のホームページに必要なのは、美しさではなく、数分で判断できる材料です。
この記事では、先生業(士業・コンサルタント・コーチ・講師など)の集客・顧客獲得支援を専門としてきた志師塾が、行政書士のホームページを4つの視点で整理して解説します。先に全体像を示しておきましょう。
- 視点1:訪れるのは「今すぐ頼みたい人」だと考える
- 視点2:料金と「自分でやる」との比較に答える
- 視点3:専門ごとにページを分け、地域を明記する
- 視点4:問い合わせの受け皿と、公開してからの手入れ
まずは、ホームページが「作っただけ」で終わってしまう理由から確認しましょう。
1. 行政書士のホームページが「作っただけ」で終わる理由
開業のときに制作会社へ依頼して、それきり触っていない。この状態の事務所は少なくありません。原因を3つに分けて見ていきましょう。
1.1 きれいなだけのページは、判断材料にならない
見栄えのするトップ画像、落ち着いた配色、整った文字組み。デザインが整っていることは悪くありません。ただ、それだけでは選ぶ理由にならないのです。
依頼者が探しているのは、自分の困りごとを解決してくれる人です。デザインの好みで行政書士を選ぶ人はいません。見た目に予算をかける前に、書く中身を決めるほうが先だと考えてください。
1.2 全部の業務を1ページに並べている
「許認可申請、相続・遺言、契約書作成、外国人ビザ、補助金申請」。業務一覧がずらりと並んだページは、行政書士のサイトでよく見かけます。扱える範囲が広い資格なので、こうなるのは自然なことです。
ただ、読む側から見ると印象は逆になります。何でもやる事務所は、どれも専門ではないように見えてしまう。建設業許可で困っている社長は、建設業許可のことだけが書いてあるページに安心します。
1.3 誰が対応するのかが見えない
事務所名と業務内容だけが並び、顔も名前も出てこないページがあります。依頼者からすると、これは不安です。行政書士に頼む仕事は、家庭の事情や会社の内情を渡すことになるからです。
顔写真、経歴、その分野を専門にした理由。この3つがあるだけで、印象は大きく変わります。依頼者が選んでいるのは事務所ではなく、話す相手のほうです。
事務所の所在地も、同じ扱いにしてください。自宅の一室で開業していると出しにくい気持ちは分かりますが、地域が見えない行政書士には頼みにくいものです。番地まで出せない事情があるなら、せめて市区町村までは書いておきましょう。
2. 視点1:訪れるのは「今すぐ頼みたい人」
ホームページの設計は、来る人の状態から逆算します。行政書士の場合、その状態がはっきりしているのが強みです。
2.1 数分で確かめられるのは3つだけ
急いでいる人が知りたいのは、次の3つです。ここが分からないページは、それだけで候補から外れます。
- いくらかかるか:報酬と法定費用。追加になる条件も一緒に
- どれくらいで終わるか:書類集めから申請まで、申請から結果までを分けて
- この人に任せて大丈夫か:顔、専門、扱ってきた困りごとの中身
この3つを、トップページから2回以内の移動で見られるようにしてください。奥に隠しても、探してはもらえません。
もうひとつ、見るのはスマートフォンです。役所からの帰り道、現場の休憩中、夜の台所。パソコンの前に座って探す人は、思っているより少なくなっています。文字の大きさ、電話番号の押しやすさ、表の見え方。作ったあとに必ず自分のスマートフォンで開いて確かめてください。
2.2 事業者と個人で、見たいものが違う
同じ「今すぐ頼みたい人」でも、中身は分かれます。事業者は期限と条件で動き、個人は不安を抱えて動くからです。
建設業許可のページなら、要件の一覧と日数の目安を前に出す。相続のページなら、最初に何をすればよいかの順番を前に出す。同じ事務所でも、ページごとに書き方を変えると決めておきましょう。
2.3 専門用語をそのまま置かない
「経営業務の管理責任者」「在留資格認定証明書」「遺産分割協議書」。行政書士には日常の言葉でも、読む人には初めて見る言葉です。
省く必要はありません。正確さは残したまま、短い言い換えを添えればいいのです。「経営業務の管理責任者(会社の経営を一定期間経験した人のこと)」。この一手間があるだけで、読み進めてもらえます。
問い合わせが届くホームページの中身を整理したい方に向けて、志師塾では行政書士をはじめ先生業に特化したWeb集客セミナーを開催しています。
3. 視点2:料金と「自分でやる」との比較に答える
行政書士のホームページで、いちばん差がつくのがここです。依頼者は他の事務所とだけでなく、「自分で申請する」という無料の選択肢とも比べているからです。
3.1 報酬・法定費用・追加条件を分けて書く
料金を載せない事務所は、いまも多く見かけます。事情によって変わるから書けない、という言い分もよく分かるところです。
それでも、金額が分からないページは候補から外れます。書き方は「一式いくら」でなくて構いません。基本の報酬、役所に納める法定費用、追加になる条件の3つに分けて示せば、誠実さのほうが伝わるのです。「〜から」の表記でも、目安があるだけで問い合わせは増えます。
3.2 「自分で申請できます」と正直に書く
思い切った提案に聞こえるかもしれません。ただ、多くの手続きは本人が申請できます。隠しても、調べればすぐに分かることです。
だから、先に書いてしまいましょう。「この手続きはご自身でも申請できます。ただ、書類集めに平日の日中が何日か必要です」。事実を示したうえで、任せた場合に何が変わるかを続ける。隠さない人のほうが、結果として信用されます。
書くときは、上から目線にならないよう気をつけてください。「素人には難しい」ではなく「平日の日中に動ける方なら、ご自身でも十分できます」。相手を下に置かない書き方のほうが、任せたいと思ってもらえます。
3.3 何を買っているのかを言葉にする
では、依頼者は何にお金を払うのか。ここを言葉にできると、価格の話が変わります。挙げられるのは、次の3つです。
- 時間:役所へ行く回数、書類を集める手間、待ち時間がなくなる
- 確実さ:差し戻しや不許可で余計に時間がかかる事態を避けられる
- その先:許可が下りたあとの更新や届出まで、期限を見ていてもらえる
3つ目は、行政書士ならではの価値です。取ったら終わりではなく、次の期限まで面倒を見ると書いておくと、単発の依頼が続く関係に変わります。価格を下げずに選ばれる理由は、この3つ目にあります。
書き方にも工夫の余地があるでしょう。「報酬○万円」とだけ置くより、「役所への往復2回分と、書類集めの半日を引き受けます」と添えるほうが、何を買うのかが伝わります。
問い合わせを増やすために、具体的に何を書けばよいか迷っている方は、士業・コンサルタントなどの先生業に特化した「顧客獲得型ホームページ設計書テンプレート」のとおりに作ってみてください。
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4. 視点3:専門ごとにページを分け、地域を明記する
業務範囲の広さを、ホームページの構造で受け止めます。ここを設計しておくと、検索から来た人がそのまま自分のページに着地します。
4.1 1手続き1ページにする
建設業許可、産廃、相続、在留資格。扱う手続きごとに独立したページを作ってください。1ページの中に全部を詰め込むと、どの検索にも中途半端に当たります。
ページの中身は毎回同じ形で構いません。どんな人向けか、要件、費用、日数、進め方、よくある質問、相談の入り口。型を決めておけば、専門を増やすときも同じ形で足していけます。
よくある質問の欄も、忘れずに置いてください。相談の電話で毎回聞かれることを、そのまま10個並べるだけで十分です。読んだ人の不安が減りますし、届く問い合わせの中身も具体的になります。
4.2 地域は管轄の単位で書く
行政書士の仕事には管轄があります。どの窓口に出すのかで、必要な書類も運用も変わってくる。依頼者はそこまで分かっていませんが、自分の住所や本店の場所で探しています。
だから、対応できる地域は必ず書いておきましょう。「東京都・神奈川県の建設業許可」のように、地域と手続きを組み合わせた見出しにすると、検索する人の言葉と重なります。オンラインで全国に対応できる分野でも、拠点の地域は書いておいたほうが安心してもらえるでしょう。狙う言葉の考え方は行政書士のWeb集客で詳しく扱っています。
4.3 実績は件数より中身
「累計○○件」と書きたくなる場面もあるはずです。ただ、数を競うと大手の事務所には勝てませんし、誇張した表現は士業としての品位にも関わります。
効くのは、扱ってきた困りごとの中身のほうです。「決算変更届を数年出していない状態からの更新」「取締役の経歴が途切れている場合の証明」。守秘義務があるので固有名詞は書けませんが、どんな場面を通ってきたかであれば書けます。読んだ人は「うちと似ている」と感じてくれるでしょう。
5. 視点4:問い合わせの受け皿と、公開してからの手入れ
ホームページは、公開してからが本番です。最後に、受け皿と手入れの話をしておきましょう。
5.1 連絡手段は2つ以上そろえる
期限に追われている社長は、その場で電話をかけてきます。番号がすぐ目に入る位置にあるかどうかで、取りこぼしの量が変わってくる。スマートフォンで押せば発信できる形にしておきましょう。
一方、相続や在留資格の相談は、事情を文章で伝えたい方が多くいます。フォームの項目は名前と連絡先と困りごとの3つで十分です。入力欄が多いほど、途中でやめられます。無料相談をどこまで受けるかも、先に書いておくと聞くほうが遠慮しません。
5.2 返信の速さが、そのまま受注率になる
今すぐ頼みたい人は、たいてい何件か同時に問い合わせているものです。返事が遅ければ、先に返ってきた事務所に決まります。ここは腕前ではなく段取りの問題でしょう。
よくある質問への返信文をあらかじめ用意しておき、当日中に一次返信を返す形にしておきましょう。内容は短くて構いません。受け取ったこと、次にいつ詳しく連絡するか、確認したいことがひとつ。これだけで相手は安心します。
5.3 更新が止まると、信用が落ちる
最後の更新が数年前のページは、訪れた人に「今も営業しているのだろうか」と思わせます。行政書士は個人で開業している方が多いので、この不安は思った以上に大きいものです。
毎週書く必要はありません。制度が変わったときの短い案内、対応できる手続きの追加、年に一度の料金の見直し。これだけでも動いている事務所に見えます。記事を積み上げていきたい方は行政書士のブログ集客を、全体の順番を確かめたい方は行政書士の集客方法8選をどうぞ。独立直後の準備は行政書士として独立開業するにはにまとまっています。
制作を外に頼んでいる場合も、自分で直せる形にしておいてください。料金の変更や案内の追加のたびに見積もりが必要だと、そのうち手が止まります。
6. まとめ:行政書士のホームページは「数分で判断できる材料」
行政書士のホームページを、4つの視点でお伝えしました。
- 視点1:訪れるのは今すぐ頼みたい人。料金・日数・人となりを前に出す
- 視点2:「自分で申請できます」と正直に書き、任せると何が変わるかを続ける
- 視点3:1手続き1ページ。地域は管轄の単位で明記する
- 視点4:連絡手段は2つ以上。当日中に一次返信を返す
行政書士のホームページは、作り込みの競争ではありません。困っている人が数分で判断できる材料を、順番に置いていくだけです。判断できるページには、判断した人から連絡が来ます。
明日から手をつけるなら、この3つからどうぞ。
- 自分のホームページを開き、料金と日数が何回の移動で見つかるか数える
- いちばん受けたい手続きについて、専用のページを1つ作る
- よくある問い合わせへの一次返信の文面を、1つ用意しておく