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FPの営業のコツ3つ|売り込まずに顧客獲得する方法

FPの営業のコツ3つ|売り込まずに顧客獲得する方法のアイキャッチ画像

「FPの営業」と聞いて、頭を下げてお願いする姿を思い浮かべていませんか? その営業スタイルこそが、ファイナンシャルプランナーの報酬を下げる一番の原因です。

先に結論をお伝えします。FPの営業は、売り込みの技術を磨いて解決するものではありません。「あなたにお願いしたい」と言われる状態を先につくること。それだけで、営業は苦しい活動ではなくなります。

これは精神論ではなく、業界の数字がそう示しています。日本FP協会の実態調査では、FP業務の依頼経路で最も多いのは「取引先・知人からの紹介」の62.8%。それに対して「自身の営業活動からの依頼」は25.0%にとどまりました。売り込みで取れている仕事は、業界全体で見れば4分の1です。

この記事では、先生業(士業・コンサルタント・コーチ・講師など)の集客・顧客獲得支援を専門としてきた志師塾が、ファイナンシャルプランナーが売り込まずに顧客を獲得するための営業のコツを3つに絞って解説します。ポジショニングのつくり方、自己紹介と紹介の仕組み、初回相談60分の組み立て方まで、取り組む順番のとおりに並べた構成です。公的な調査データと、志師塾で学んだFPの実名事例もあわせて載せています。

読み終えるころには、明日の行動から何を変えればよいかが見えているはずです。まずは、FPの営業が「売り込み」になってしまう構造から確認しましょう。

売り込まない営業は、何もしない営業ではありません。相手から相談が生まれる状態を、先に仕込んでおくということ。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーでは、その仕込みの順番を扱っています。

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1. FP(ファイナンシャルプランナー)の営業が「売り込み」になってしまう4つの理由

FPの営業とは、売り込むことではなく、相談する理由を先につくる仕事です。それがつらい作業になるのは、性格や話術の問題ではありません。売り込むしかない状態で営業を始めていることが問題です。ここから見ていくのは、その構造を分解した4つの理由です。

1.1 平身低頭の営業は、報酬まで下げてしまう

お願いして取った仕事は、価格の主導権が相手に渡ります。「安くしてくれるなら」という条件付きの依頼が増え、断れない関係が続いていく。売り込むほど、専門家としての価値は低く見積もられます。価値のないことをしていると思われれば、決して高い報酬には結びつきません。

専門家の営業は、お願いではなく「選ばれる理由づくり」で行うもの。ここを取り違えたまま行動量だけを増やすと、時間も自信もすり減っていきます。

1.2 FPには独占業務がない。だから「違い」が要る

近年では、独占業務を持つ弁護士や税理士でさえ、簡単には顧客を獲得できません。FPに至っては、その独占業務すらない領域です。誰でも名乗れるからこそ、自分でつくる必要があるのが「他のFPではなく、あなたに依頼する理由」です。

ここで見落とされやすい事情が、もうひとつあります。FP資格の保有者の、すそ野の広さです。銀行・保険会社・証券会社の社員が業務の一環として取得することも多く、相談は商品を売るための入口として無料で提供されています。つまり独立FPは、ライバルが多い市場にいるのではなく、相談そのものに対価を払う習慣がまだ育っていない市場に立っているわけです。同じ顔ぶれのサービスを同じ言葉で説明していては、商売になりません。

1.3 そもそも相手は「FPに相談できること」を知らない

売り込みたくなる理由は、こちらの側だけにあるのではありません。相手が動かないから、押すしかなくなる。では、なぜ相手は動かないのでしょうか。

日本FP協会が2024年に行ったFP相談経験者の追跡調査に、答えのひとつがあります。全国の20代から60代の男女500人(相談経験者250人・未経験者250人)に聞いたもので、相談未経験者250人のうち、「FPに相談できることを知っている」と答えたのは33.2%だけでした。「FPの存在は知っているが、相談できることは知らない」が21.2%、「存在も相談できることも知らない」が45.6%。合わせて66.8%が、相談という選択肢そのものを持っていません

もうひとつ、相手の状態を示す数字があります。金融経済教育推進機構(J-FLEC)が18歳から79歳の3万人を対象に行った金融リテラシー調査(2025年)では、金融知識を問う正誤問題25問の正答率は全体で53.8%。さらに、学校や職場で金融経済教育を受けたと認識している人は8.7%にとどまりました。お金について教わった経験のない人が、9割以上を占めている計算です。

知らない、教わっていない、判断に自信がない。この状態の相手に商品を提案すれば、警戒されるのが当たり前です。FPの営業でまず埋めるべきなのは、価格の差ではなく認識の差。ここを飛ばして提案から入るから、営業が売り込みになります。

1.4 保険・証券出身のFPほど「売る営業」を引きずりやすい

保険会社や証券会社、銀行の出身で、営業経験が豊富なFPほど、独立後に苦戦することがあります。原因は経験不足ではありません。報酬の構造が変わったことに、営業のやり方が追いついていないのです。

会社員時代の営業は、会社の商品を販売し、その手数料(コミッション)が収益になる仕組みでした。ゴールは契約です。ところが独立して相談料・顧問料(フィー)で立つなら、報酬の源泉は顧客本人に変わり、ゴールも「相手が納得して自分で決められること」に変わります。

売る技術と、整理して選んでもらう技術は別物です。ここを切り替えないまま独立すると、無料相談で人を集めて商品提案で回収する、以前と同じ型に戻ってしまう。それでは、世の中にあふれる無料相談と同じ土俵へ、自分から降りていくことになります。どの報酬モデルで立つのかを先に決めることが、これから解説する営業のコツすべての前提です。

売り込む営業と選ばれる営業の違い(FPの営業)

4つを並べましたが、根っこは1本です。相談に対価を払う市場が、まだできあがっていない。だから独占業務では差がつかず、相手は相談という選択肢を持たず、前職の売り方が残ります。打ち手も「他のFPに勝つ」ではありません。一度も有料で相談したことがない人に、相談する理由をつくること。次の章では、その打ち手を業界の数字から確かめます。

2. データで見るFPの営業|依頼の6割は紹介から生まれている

FPの依頼経路とは、顧客がFPにたどり着くまでの入口のことです。FPの営業を数字で見ると、成果の出ている経路がはっきりしています。日本FP協会が全国のCFP認定者・AFP認定者に行った2021年度 ファイナンシャル・プランナー実態調査から、営業に直結する3つの数字を見ていきましょう。

2.1 依頼の入口は「紹介」が6割。自分の営業活動は4分の1

同調査で、FP業務で売上のある476人に「どのような経路で依頼されることが多いか」を聞いた結果が次のとおりです(複数回答)。

依頼の経路 割合
取引先・知人からの紹介 62.8%
ホームページへの問い合わせ 37.6%
相談経験のある顧客からの紹介 32.8%
自身の営業活動からの依頼 25.0%
CFP認定者検索システム(日本FP協会のHPを含む) 21.4%
自主開催のセミナー参加者(オンライン開催含む) 11.8%

FP業務の依頼経路(日本FP協会の実態調査より)

上位3つは、いずれも第三者からの紹介か、向こうから来る問い合わせです。自分から動く営業活動は25.0%で、紹介の半分にも届いていません。報告書の記述も「上位の依頼経路はいずれも第三者からの紹介、問い合わせであり、『自身の営業活動からの依頼』を大きく上回る」です。

ここから読み取れることは2つあります。ひとつは、FPの仕事は「探しに行く」より「思い出してもらう」ほうが取りやすいということ。もうひとつは、ホームページが37.6%と2位に入っている点です。会えていない相手からの問い合わせが、これだけの割合を占めています。営業と発信は、別々の活動ではないのです。

2.2 「最も効果的な方法」では、紹介51%対営業13%

同じ調査は、顧客開拓のために力を入れている方法もたずねています。最多は「取引先・知人からの紹介」で65%、次いで「自身の営業活動」が44%。ここまでは、多くのFPが両方に手をかけている姿が見えます。

差が開くのは、そのなかで最も効果的だと思う方法を1つ選んでもらったときです。紹介が51%だったのに対し、自身の営業活動は13%。その差は40ポイント近くありました。力の入れ方は1.5倍しか違わないのに、手ごたえは4倍近く違うわけです。

この落差は、営業を頑張っている人ほど直視しにくいところ。動いた分だけ成果が出ている実感があるからでしょう。ただ、数字は「動く先を間違えている」と言っています。同じ時間を、紹介が生まれる関係づくりに振り向けたほうが返ってくる。営業をやめるのではなく、営業の置き場所を変える。これが業界データの示す方向です。

2.3 稼いでいるFPほど、顧客を「絞って」いる

もうひとつ、見逃せない数字があります。同調査は「顧客を開拓する際に、対象を限定していますか」とも聞いていて、全体では限定している38.0%、限定していない62.0%。6割以上のFPが、対象を絞らずに営業していることになります。

面白いのは、FP業務の年間収入で分けたときの動きです。

FP業務の年間収入 対象を限定している割合
200万円未満 33.4%
200万〜600万円未満 35.4%
600万〜1,000万円未満 53.5%
1,000万〜2,000万円未満 60.0%

FP業務の年間収入別に見た顧客開拓の対象限定の割合

報告書はこの結果を「600万円を境に、限定している層が限定していない層を上回る」と記しています。収入の低い層では3割台なのに、600万円を超えると5割から6割へ。稼いでいるFPほど、相手を絞って営業しています

もちろん、「絞ったから稼げた」のか「稼げたから絞れた」のかは、この調査だけでは分からないところです。ただ、絞ることで仕事が減っているわけではない点は読み取れます。「絞ると仕事が減るのでは」という不安は、少なくとも数字の上では裏付けられていないのです。

2.4 FPが独立でつまずく1位も「顧客開拓」

同調査では、独立を考えている1,205人に課題も聞いています。最多は「顧客開拓」で64.7%。次いで収入面が51.6%、経営スキル・開業ノウハウが47.4%、FPとしての力量が46.2%と続きました。

知識や資格ではなく、顧客をどう獲得するかが最大の壁になっている。しかも、その顧客獲得の主役は紹介と問い合わせでした。ということは、独立前後にまず設計すべきなのは営業トークではありません。紹介されるための位置づけと、見つけてもらうための発信です。ここから先の解説も、その順番どおりです。

ここまでの数字は、あくまで業界の平均にすぎません。自分がいまどの位置にいて、どこがずれているのか。それを測る物差しは、統計の側にはありません。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーでは、自分の現在地の測り方と、そこから何を先に変えるかの順番を、先生業の実例で扱っています。

3. FPの営業のコツ1:ポジショニングで「あなたに頼む理由」をつくる

ポジショニングとは、無競争状態で顧客に選ばれる独自の場所を見つけることです。ここからは、売り込まずに選ばれるための3つのコツを、取り組む順番に解説します。土台になるのがポジショニング、次にそれを伝える言葉と紹介の仕組み、最後が個別相談の設計になります。

3.1 ユニークなだけでは選ばれない

他のFPと違う存在になろうとするとき、注意したいことがあります。ユニークであることと、顧客が欲しいものであることは別ものだということです。

たとえば、他社の3倍の吸引力を持つサイクロン掃除機がここにあるとしましょう。確かにユニークです。ただ、重くて扱いにくければ、掃除はしにくそうですよね。尖り方は、顧客にとって意味のある方向でなければ価値になりません。志師塾が差別化ではなくポジショニングという言葉を使うのも、違いを追いすぎて顧客のいない場所へ迷い込むのを避けるためです。

3.2 「誰の・どんなお金の悩みを・どう解決するか」で位置づける

ポジショニングとは、自分が顧客に最も評価されるポイントを見つけ出し、位置づけること。「誰の」「どんなお金の悩みを」「どう解決する」FPなのかを言い切れれば、それがそのまま「あなたに頼む理由」になります。

共働き世帯の教育費に強いのか、住宅購入前の資金計画に強いのか、経営者の法人と個人のお金に強いのか。粒度は、相手が「自分のことだ」と気づくところまで下ろしてください。「ライフプラン全般」では、誰の頭にも残りません。

ここで、志師塾が繰り返しお伝えしていることをひとつ。実際にやる業務まで絞る必要はありません。絞るのは、お客様に認知してほしい場所だけです。教育費を入口に信頼を得たあとで、保険の見直しや資産運用の相談を受けるのは自然な流れ。入口を一点に決めることと、仕事の幅を狭めることは、まったく別の話です。

入口を1つに決められない方には、2軸の掛け算という考え方が効きます。100人に1人のものを2つ掛け合わせれば、1万人に1人。「中学受験を控えた共働き世帯」と「教育費と住宅ローンの両立」、「創業5年以内の一人社長」と「役員報酬と個人資産の切り分け」。どちらの軸も単独では珍しくなくても、重なれば競合はほとんどいなくなります。軸は2つが基本。4つも5つも並べると、相手が覚えられません。

3.3 強みは「3つの質問」で棚卸しする

とはいえ、いきなり「自分の強みは何か」と考えても手は止まります。志師塾では、次の3つを紙に書き出すところから始めます。

  • これまで誰のお金の相談に乗ってきたか:年代、家族構成、職業、勤め先の規模まで書き出す。前職で向き合ってきた顧客も、そのまま材料になります
  • その人が「お金を払ってでも解決したい」と言った悩みは何か:軽い興味ではなく、夜中に気になって眠れない類のこと
  • 同じ悩みを掲げているFPは、検索するとどれくらい出てくるか:混んでいる場所を避け、需要はあるのに手薄な場所を探しましょう

3つが重なるところに、あなたの位置があります。強みの棚卸しと、顧客の強い悩みの発掘。この2つがそろわないかぎり、ポジショニングは机上の言葉のままです。

棚卸しは、思い出せる範囲でざっと済ませないほうがよいところです。志師塾の講座では、自分の人生を3万字で振り返る課題を最初に出します。書く量を求めるのは、都合よく編集された記憶ではなく、感情が大きく動いた経験まで掘り下げてもらうため。うまくいかなかった時期こそ、同じ悩みを抱える相談者の心をつかむ材料になります。

3.4 目指すのは「この悩みならあなた」という第一想起

第一想起とは、見込み客がある悩みを口にした瞬間に、最初に思い出される状態のことです。ポジショニングのゴールは、ここにあります。誰かがお金の悩みをこぼした瞬間に、あなたの名前が挙がる。そうなれば、こちらから売り込む必要はなくなります。

ここで、FPならではの考え方をひとつ。お金の相談は、思い立って生まれるものではありません。節目で生まれます。家を買う、子どもが生まれる、転職する、退職する、親が亡くなる。ということは、第一想起を取りたい相手は本人だけではないわけです。

住宅の営業担当、税理士、保険の担当者、企業の人事。この人たちは、あなたより先に節目を知る立場にいます。前章のデータで依頼経路の1位だった「取引先・知人からの紹介」は、まさにこの層から生まれるもの。需要が生まれる瞬間が読めるのは、FPという仕事の強みです。誰の頭の中を取りに行くかを、そこから逆算してみてください。

第一想起は、一度の出会いではつくれません。志師塾では、ブランディングをポジショニングと時間の掛け算と考えます。名刺の肩書、プロフィール文、ブログやSNSの発信、セミナーでの自己紹介。すべての接点で同じ一文を繰り返すうちに、少しずつ相手の頭の中に居場所ができていく。接点ごとに名乗りが変われば、第一想起は育ちません

FPのポジショニング3ステップ

4. FPの営業のコツ2:価値が伝わる言葉と紹介される仕組みをつくる

ポジショニングが決まったら、次はそれを相手に伝わる言葉へ磨き上げます。コミュニケーションの基本は言葉です。どれほど良い位置づけも、伝わらなければ存在しないのと同じ。FPの営業で最初に手をつけるのは、自己紹介です。

4.1 資格と経歴の羅列では読まれない

自己紹介というと、保有資格、学歴、職歴、経験を並べたくなります。情報としては必要です。ただ、他人の履歴書は、一般的には全く面白くありません。読んでもらえなければ、せっかくの独自のポジションも泡のように消えてしまいます。

「何を持っているか」の羅列ではなく、「相手の何がどう変わるか」を語る。ここが自己紹介の分かれ目です。

肩書きも同じ考え方で組み立てます。志師塾では、肩書きを「あなたの価値を1秒で伝える言葉」と定義し、13文字を目安に「専門領域+一般名称」で作ります。「ファイナンシャルプランナー」だけでは、専門領域が空っぽの状態。「教育費と住宅ローンの両立コンサルタント」「一人社長のお金の設計士」のように、軸を1つか2つ足してみてください。

注意点がひとつ。一般名称は、相手が身構えない言葉を選びます。「コンサルタント」という響きに構えてしまう相談者もいますから、その場合は「アドバイザー」「パートナー」に替えましょう。資格名を前面に出してよいのは、弁護士や税理士のように広く知られた資格だけです。前章で見たとおり、FPは名前が知られている割に中身が知られていない資格。資格名だけを掲げると、「何を相談できるのか分からない」という問題がそのまま起きます。

4.2 自己紹介は「口コミの原稿」になる

自己紹介で伝えた言葉は、その場限りのものではありません。相手があなたを誰かに紹介するとき、そのまま「口コミの原稿」として使われます。

「○○の悩みに強いFPさんがいてね」と語り継がれるのか、「FPさんがいてね」で終わるのか。第三者へ流通していくのは、あなたが最初に渡した言葉です。依頼経路の6割が紹介だったことを思い出してください。紹介の質は、あなたが渡した一文の質で決まります。用意しておきたいのは、覚えやすく、言い換えやすい短い一言です。

4.3 自己紹介は4つのブロックで組む

興味を持って読んでもらえる自己紹介には、共通の型があります。次の4つを、この順番で並べてください。志師塾では、交流会などで使う1分の自己紹介を、全体で300字から350字を目安に組み立てます。

  • 興味喚起(10秒):問いかけか、キャッチコピーから入る。「共働きのご家庭で、教育費と住宅ローンが同じ年に重なるのをご存じですか?」
  • 誰の何を解決する人か(10秒):「共働きで教育費に不安のあるご家庭に、貯め方より先に使い方の順番を整えるFPです」と一行で
  • 選ばれる理由(35秒):前職の経験や、自分自身が困った出来事。実績を語るメリット型と、目指す世界を語るビジョン型を、相手に応じて使い分けます
  • 行動要請(5秒):名刺交換、紹介、SNSでのつながり。相手に期待する行動を、最後にはっきり伝えましょう

ポイントは、資格を最初に置かないこと。1つ目と2つ目のブロックで相手が「自分のことだ」と感じてはじめて、その先が聞かれます。最後の行動要請を省く方も多いのですが、ここが抜けると、良い印象を残しただけで終わってしまう。顧客獲得につながる自己紹介のつくり方は、自己紹介の4つのポイントを解説した記事で詳しく説明しています。

4.4 紹介は「お願い」ではなく感情から生まれる

依頼の6割が紹介から生まれるなら、紹介そのものを設計しない手はありません。ここで押さえておきたい原則があります。紹介は感情で生まれるということ。「紹介してください」とお願いして出てくるものではないのです。

志師塾では、紹介が生まれる感情を5つに整理しています。FPの場合に何をするかを添えて並べます。

感情 FPの場合、何をするか
自慢 「うちのFPは商品を売らない」など、人に話したくなる尖りを1つ持つ
感謝 紹介してもらったら、その後どうなったかまで必ず伝え返す
面白さ 「家計を触らずに手取りを増やす」など、話したくなる切り口を用意する
感動 相談の場以外での気配り。制度改正の連絡、節目のお祝い
三方良しの設計 紹介者にも相談者にも得がある形にする。金銭以外の返し方も考える

FPの営業で紹介が生まれる5つの感情

ここで、多くのFPが取りこぼしていることをひとつ。既存の顧客や知人に「どんな人を紹介してほしいか」を具体的に伝えていますか。「お金で困っている人がいたら紹介してください」では、相手は動きようがありません。「中学受験を控えたお子さんがいて、教育費が心配なご家庭がいたら教えてください」まで具体化すると、該当する顔が浮かぶはずです。

もうひとつ、忙しそうに見えると、相手は「今は紹介しないほうがいいかな」と遠慮します。手が空いていること、どんな相談を受けたいかを、日ごろから伝えておきましょう。薄い100人より、濃い10人。紹介の入口は、数ではなく関係の深さで決まります。

ここまでは、FPという業種に寄せた話でした。その手前にある「先生業に共通する土台」を先に押さえておきたい方は、無料の書籍「先生業の顧客獲得を成功させる7つの能力」(一部ダウンロード)をご活用ください。セミナーはまだ早いという方の、最初の一歩としてどうぞ。

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5. FPの営業のコツ3:個別相談を「確認の場」に変える

個別相談とは、契約を迫る場ではなく、会う前に伝えた価値を相手が確かめる場です。FPの営業の山場は、この個別相談にあります。ここを「売り込みの場」にするか「確認の場」にするかで、成約率も、その後の関係も大きく変わります。

5.1 会う前に、価値が伝わっている状態をつくる

成約は、実は会う前にほぼ決まっています。ブログやセミナー、日々の発信を通じて、会う前にあなたの専門性と考え方が伝わっていれば、個別相談は「検討の場」ではなく「確認の場」になります。逆に、何も伝わっていない相手との相談は、ゼロからの説得になってしまう。Web集客と営業は別物ではなく、ひとつながりの設計です。

ここでも先ほどの調査が参考になります。日本FP協会の追跡調査で、実際に相談した250人にきっかけを聞いたところ、最多は「インターネット記事・インターネット広告を見て(検索して)、興味関心を持ったから」で24.4%でした。次いで「漠然とした不安を抱えていたから」が23.6%、「家族・友人・知人の紹介を受けて」が20.4%、SNSが16.4%、「ライフイベント(結婚、リタイアなど)に合わせて」が14.4%。YouTube動画・広告も11.6%あります。

並べてみると、見えてくることがあります。相談に来る人の多くは、会う前にどこかであなたの発信に触れているか、誰かから話を聞いているということ。相談の場は、その積み重ねを確かめる場にすぎません。会う前の準備が薄いまま個別相談に臨めば、60分をゼロからの説明に使うことになります。

5.2 初回相談60分の組み立て方

個別相談は、行き当たりばったりで進めるとサービス説明会になってしまいます。初回を60分とするなら、次の配分が目安です。

  • 最初の5分:今日のゴールと進め方を共有する。「今日は答えを出す場ではなく、状況を整理して、次に何をすべきかをはっきりさせる時間です」と先に伝えておきます
  • 次の30分:聴く時間。収入と支出、家族の予定、これまでに試したこと、うまくいかなかった理由。ここでは提案を出さない
  • 次の15分:聴いた内容を、その場で整理して返す。「うかがっていると、問題は金額よりも『いつ決めるか』のようですね」と、本人が言葉にできていない論点を言い当てる
  • 最後の10分:解決までの道筋と、自分にできること・できないことを示したうえで、判断は相手に委ねましょう

効いてくるのは、最初の5分です。ゴールを先に共有しておくと、相手は身構えずに話してくれます。逆にここを飛ばすと、「売り込まれるのでは」という警戒が最後まで残ってしまう。順番ひとつで、同じ60分の中身がまるで変わります。

5.3 志師塾が教える個別相談の6ステップ

時間配分の中身を、もう一段細かく見ておきましょう。志師塾では、個別相談を「解決策を教える場ではなく、問題点を明らかにして、解決したいという意欲を高める場」と位置づけ、6つのステップで進めます。

ステップ やること
1. 関係性の想起 「セミナーはいかがでしたか?」と、教える・教わるの関係を思い出してもらう
2. 個人的な関係構築 現在から過去へ、そして未来へと話をたどる。原体験まで遡ると心の殻が薄くなる
3. 目的の合意 「今日は問題点を明確にするところをゴールにしますが、よろしいですか?」と先に確認する
4. 問題の深掘り 「なぜ?」の縦掘りと「他にありませんか?」の横展開。同じ話に戻り始めたら最深部
5. 本気度の確認 「それが本当に問題だとご自身で思いますか?」「解決したいと本気で思っていますか?」
6. 選択肢の提示 提案ではなく選択肢。「ご自身で進めていく方法もありますし、一緒に進めていく方法もあります」

この型でいちばん外しやすいのが、4番の途中で解決策を求められる場面です。「で、どうすればいいんですか」と聞かれると、つい答えたくなる。ところが、ここで良い話をしてしまうと、最後に「ありがとうございます、一度自分でやってみます」と言われて終わります。答えを渡すのではなく、診断を続ける必要性を伝えて深掘りに戻るのが正解です。

保険や証券の出身の方ほど、悩みを聞いた瞬間に提案書を出したくなるものですが、その癖は一度脇に置きましょう。口下手を自覚している方は、口下手でも成約率が上がる対話術の記事も参考になります。

5.4 断られる理由を、先回りして潰しておく

それでも相談が決まらないとき、理由はだいたい3つに分類できます。志師塾では、断られる理由を「なぜ買うのか」「なぜあなたなのか」「なぜ今なのか」の3つに分けて洗い出し、セミナーや相談の台本へ先回りで埋め込むのが基本です。

  • なぜ買うのか:無料相談で済むのでは、自分で調べればよいのでは。ここには、有料の相談で何が変わるのかを具体的に示す
  • なぜあなたなのか:他のFPとの違いが分からない。ここはポジショニングと、報酬の出どころの開示で答えます
  • なぜ今なのか:もう少し落ち着いてから。先送りすると、いつ・何が・いくら変わるのか。時期と金額で見せてください

3つのうち、FPが特に落としやすいのが「なぜ今なのか」です。お金の悩みは、緊急ではないのに重要という性質を持っています。放っておいても今日は困らない。だからこそ、「今動かないと、いつ、何が、どれだけ変わるのか」を数字で見せる必要があります。「大学入学と住宅ローンの繰上返済が同じ年に重なります」のように、時期と金額で示すのが効きます。

5.5 その場で売り込まず、次の一歩を示す

相談の締めくくりは、契約を迫ることではありません。相手の悩みを整理して見せたうえで、解決までの道筋と、そのために自分ができることを示す。判断は相手に委ねます。急かさないからこそ、「この人にお願いしたい」という言葉が相手から出てくるのです。

ここで思い出したいのが、1章で見た数字。相談未経験者の66.8%は、FPに相談できること自体を知りませんでした。目の前に座っている相手も、多くはこれが初めての有料相談になります。初めての人に、その場での即決を求めない。持ち帰って考える時間を認めるほうが、結果として決まります。

個別相談を「確認の場」に変える流れ

6. FPの営業を単発で終わらせない仕組みづくり

FPの営業の仕組み化とは、単発の顧客獲得を繰り返さずに済む形を、先に設計しておくことです。3つのコツを押さえたら、最後は単発の営業を「仕組み」に変えていきます。毎回ゼロから見込み客を探す営業から、向こうから相談が来る状態へ。ここまで来ると、営業のつらさはほぼなくなります。

6.1 相談料は「単発・プラン作成・継続顧問」の三段で設計する

フィー型で立つと決めたら、相談料のモデルを設計します。おすすめは、階段状の三段設計です。

  • 1段目:単発相談。初回の悩み整理。ここは入口なので、金額よりも「持ち帰れる発見が1つある」ことを設計する
  • 2段目:プラン作成。ライフプランやキャッシュフロー表づくりといった、成果物のある仕事
  • 3段目:継続顧問。定期面談と見直しに伴走する年間契約。関係が深まるほど、報酬も信頼も安定します

FPの相談料を三段で設計する(単発相談・プラン作成・継続顧問)

1段目の値付けで迷う方は多いところです。日本FP協会の2021年度実態調査によると、1時間あたりの相談料の平均は8,100円。料金帯は「5,000円から6,000円未満」が37%、「1万円から2万円未満」が34%で、この2つに7割が集まっていました。しかも雇用形態別に見ると、事務所経営者では「1万〜2万円未満」が45%と特に多く、全体の割合を押し上げているのが実態です。

この分布から読み取れるのは、FPの相談料には、はっきり2つの山があるということ。5,000円台の山は「まず会ってもらうための価格」、1万円台の山は「専門性への対価」です。どちらの山に立つかを決めずに、なんとなく相場に合わせると、低いほうの山に流されていきます。

金額を決める前に、「何への対価か」を言葉にしてください。相談料は、拘束時間の対価ではありません。お金の判断の質が変わることへの対価です。「1時間いくら」で考えている限り、無料相談には構造的に勝てません。時間を売っている以上、同じ物差しで比べられるからです。抜け出す道は、時間ではなく渡すものを単位にすること。「初回2時間で、現状の把握と向こう10年の資金の流れをお渡しします」とパッケージにしてしまえば、比較の土俵が変わるのです。

3段目の継続顧問には、実務上の必然もあります。ライフプランは、収入・家族・制度の変化によって、作った瞬間から古び始めるからです。定期的な見直しは営業の都合ではなく、プロとして当然のフォロー。単発の相談料で終わらせず、長く伴走する形を最初から用意しておきましょう。継続顧客が増えるほど収入は安定し、新規の営業に追われない体質へ変わっていく。法人・経営者への広げ方はFP集客の勝ち筋7選(法人導線)の記事で解説しています。

6.2 見込み客と出会う入口は、2つに絞る

ここまでの話は、会えた相手に効くものです。では、そもそもどこで出会うのか。ファイナンシャルプランナーのマーケティングを考えるとき、入口の候補はいくつも挙がります。紹介、セミナー、ブログや検索、SNS、士業や不動産会社との連携、地域の勉強会。

気をつけたいのは、全部に手を出さないことです。最初は2つに絞ってください。1つは「深く関係をつくる入口」(セミナーや士業連携など、会って話せるもの)。もう1つは「見つけてもらう入口」(ブログや検索など、寝ている間も働くもの)。この2種類を組み合わせると、出会いの量と質のバランスが取れます。

実態調査で依頼経路の2位が「ホームページへの問い合わせ」(37.6%)だったことは、後者の入口が実際に効いている証拠でもあります。紹介だけに頼ると、人脈が尽きた時点で止まってしまう。紹介という強い経路を持ちながら、見つけてもらう経路も並走させるのが、崩れにくい形です。

どちらを選ぶにしても、届ける言葉はポジショニングで決めたものと同じにしてください。入口ごとに名乗りが変われば、第一想起は育ちません。

6.3 AIに任せる作業と、人にしかできない営業を分ける

FPの営業を語るうえで、避けて通れない変化があります。AIの話を「作業が速くなる」で終わらせると、足元をすくわれるところです。効率化より先に来るのは、成果物そのものが無料になるという変化だからです。

キャッシュフロー表、ライフプラン表、保険の比較、積立の試算。これまで対価をいただいてきた成果物は、無料ツールとAIで誰でも出せる側へ移りつつあります。1章で見た無料相談は「人が販売目的で無料にする」力でしたが、AIは「計算だけを無料で配る」力。有料相談は、この2つに上下から挟まれています。

ですから、線を引き直しましょう。志師塾が「人とAIの分業」と呼んでいる考え方です。

  • AI側へ落ちるもの:数字を出す作業。試算、比較表、提案書のたたき台、記事の下書き、相談メモの整理
  • 人に残るもの:相談者が言葉にできていない不安を引き出すこと。ご夫婦で意見が割れたとき、両方の言い分を受け止めながら着地を探ること
  • 人にしか担えないもの:決めたことを続けさせること。計画は作った日が一番きれいで、実行されないまま眠るのが普通です。半年後に確認し、ずれたら直す。ここに伴走者が要ります

FPの営業でAIに任せる作業と人に残る仕事の分け方

言い換えれば、「プランを売る」モデルは終わり、「意思決定に伴走する」モデルが残るということ。営業の言葉も、これに合わせて変わります。「作ります」ではなく「一緒に決めて、続けます」。この見極めができているFPほど、顧問という形が長く続く。業務別の使い方は、FPのAI活用術7選|提案書作成50%削減と集客の実践ガイドにまとめています。

6.4 Web集客とセットで「お願いされる営業」に

Webで見込み客と出会い、発信で信頼を育て、個別相談では最後の背中を押すだけ。この流れがつながると、営業は「探して売り込む活動」から「選ばれて確認する活動」に変わります。

これから独立する方は、開業してから営業を考えるのではなく、独立前からポジショニングと発信の準備を始めてください。会社員を続けながら小さく試すのも同じです。名乗りを決め、発信を1本出し、知人1人に紹介の依頼を伝える。この3つなら、独立前でも今日から動けるはずです。

7. FPの営業で成果を出した志師塾卒業生3人の実例

ここまでの内容が、実際にどう形になるのか。志師塾の先生ビジネス開発講座を受けたファイナンシャルプランナー3人の歩みを紹介します。いずれも公開済みのインタビュー記事から引いています。

7.1 磯山裕樹さん|発信を続けたら「失注が確実に減った」

旅行会社で中四国ナンバーワンの営業成績を収めたあと、外資系保険会社を経て独立された磯山裕樹さん。肩書きは「お金専門のパーソナルトレーナー」で、特定の金融機関に所属しないフリーな立場から、家計全体の最適化を提案しています。

営業の考え方が固まったのは、旅行会社時代だといいます。家庭の時間を守るために早く帰ると決め、そのために売上を上げる。行き着いたのが、失注を減らして営業効率を上げるという発想でした。「世の中にないもの、かつお客さんが求めているものを提案できれば、どんなに高いものでも必ず買ってもらえるんです」。価格競争に陥らないポジションを取り、短時間で好成績を収める。そこでできあがったのが、いまに続く型です。

独立後、志師塾で情報発信の重要性を学び、ブログとYouTubeを週1回、半年以上続けました。結果はどうだったか。

「自分が何をしているのかを事前に確認してもらうことで、方向性がまったく違うお客さんが来ることがなくなり、そのため失注が確実に減っているんです」

会う前に価値を伝えておくと、相談の場が確認の場に変わる。5章で述べたことが、そのまま実践されている例です。商品は「たった2か月で年間30万円手取りが増える5ステップ」という形にまとめられていて、最後の継続フォローは選択制の有償にもかかわらず、継続を希望する方が9割にのぼるとのこと。開業わずか2年で、目標としていた継続サポート100世帯の約4割に到達しています(受講された方の実例です。同様の成果を保証するものではありません)。詳しくは磯山裕樹さんのインタビュー記事をご覧ください。

7.2 山邉徳厳さん|紹介頼みの営業から、5つ以上の経路へ

生命保険会社に約15年勤め、その後は営業スタッフ向けの研修会社を経て、2019年にFPとして独立された山邉徳厳さん。横浜市を拠点に、個人向けの資産運用アドバイスと、中小企業向けの確定拠出年金の導入コンサルティングという2本柱で活動しています。

コンセプトの「資産倍増アドバイザー」は、志師塾の課題である3万字の棚卸しから生まれました。小学生のときに生徒会副会長へ立候補し、全校生徒の前で演説してワクワクした記憶。そこから「やっぱり私は人前で話すことが好きなんだ、セミナー営業はやりたいことなんだ、と気づけたんです」と振り返っています。

営業面ではっきり変わったのが、顧客開拓の経路の数でした。独立当初は、口コミと紹介しかありません。いまはセミナー、広告出稿、生命保険会社の営業担当との連携、オンライン勉強会、経営者交流会と、5つ以上の経路を並行して回しています。「志師塾では、やるなら3つやれ、と教わるんですね。その教えを忠実に守っています」(受講された方の実例です。同様の成果を保証するものではありません)。入口を1本から複数へ組み替えた、という話です。

もうひとつ、営業設計として見事なのが法人向けの進め方です。確定拠出年金の導入を検討する企業には、従業員向けの説明会を必ずリクエストするといいます。制度を入れても従業員が理解していなければ効果が出ないから、という理由です。「従業員アンケートを取ると、従業員のほとんどが制度を理解したうえで、導入してほしい、と回答してくれます。なので、とてもスムーズに導入へと進められるんです」。決裁者だけを説得しに行かず、社内の合意そのものを設計しているわけです。経路が増えていった過程は、山邉徳厳さんのインタビュー記事に詳しく残っています。

7.3 志田伸子さん|「売れている人は、売っている感じがしない」

法人コンサルタントとしてのキャリアを持ち、金融教育事業で起業された志田伸子さん。掲げる肩書きは「自立型資産形成マイスター」。子どもから大人、企業までを対象にした「お金の義務教育」というコースが、その柱です。

志田さんが志師塾でいちばん大きかったと挙げるのも、やはり3万字の棚卸しでした。「元々普通に言っていたことだったんですけど、見込み客に伝わる言葉に変えると、なるほどねって納得してもらえることがわかりました」。中身を変えたのではなく、伝わる言葉に変えた。4章で述べた自己紹介の話と重なります。

営業について、こんな言葉も。

「多くの人は、自分に対していろんなところでメンタルブロックがかかっています。そのブロックを外すのが、自己棚卸です。営業でもみんなそう。周りで最高に売れている営業マンは一切『売っている』感じがしない。当然のように提案しているだけなんです」

売り込まない営業とは、遠慮することではありません。自分が渡せるものを確信しているから、当然のこととして差し出せる。その確信の源が棚卸しだった、という話です。創業2期目ながら、口コミで各所から講演依頼が届く状態になっているそうです(受講された方の実例です。同様の成果を保証するものではありません)。志田伸子さんのインタビュー記事もあわせてどうぞ。

7.4 3人に共通していたこと

経歴も、扱うテーマも、顧客層もばらばらです。それでも共通点がありました。

  • 「ファイナンシャルプランナー」と名乗るのをやめた:3人とも、相談者が想像できる言葉に置き換えています
  • 営業トークではなく、その手前を変えた:発信、コンセプト、社内の合意形成。話し方の改善から入った人が1人もいない
  • 自分の過去を掘り直してから言葉を決めた。思いつきではなく棚卸しから出てきた言葉だから、接点が変わってもぶれません

3人が最初にやったのは、新しい手法を試すことではありませんでした。自分は誰の何に強いのかを、言葉にし直すこと。順番がここから始まっている点で、3人は同じです。

3人が通った順番は同じでも、当てはめる材料はあなたの業歴のなかにしかありません。前職で向き合った顧客、扱ってきた商品、うまくいかなかった案件。そのどれを拾えば選ばれる理由になるのか、自分の履歴を眺めているだけでは判断がつきにくいもの。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーでは、この順番を自分の経歴に当てはめる手順を、業種の違う先生業の例を並べて解説しています。

8. FPの営業でよくある質問

8.1 FPの営業は、何から始めればよいですか?

ポジショニングの言語化からです。誰の・どんなお金の悩みに強いFPなのかを一文で決めてから、伝え方と場をつくります。順番を逆にすると、行動量だけが増えて反応が返ってこない状態になります。日本FP協会の実態調査でも、依頼経路の最多は取引先・知人からの紹介(62.8%)で、自身の営業活動は25.0%。思い出してもらう状態をつくるほうが先です。

8.2 営業が苦手でも、FPとして独立できますか?

できます。営業が苦手という自覚は、多くの場合「売り込みが苦手」という意味だからです。FPの依頼は、紹介と問い合わせで6割以上が生まれています。売り込む力ではなく、思い出してもらう位置づけと、見つけてもらう発信を先に整えてください。話し方の改善から入る必要はありません。

8.3 顧客を絞ると、仕事が減りませんか?

減るとは限りません。日本FP協会の実態調査では、顧客開拓の対象を限定しているFPは全体で38.0%ですが、FP業務の年間収入が600万円から1,000万円未満の層では53.5%、1,000万円から2,000万円未満の層では60.0%まで上がります。報告書の記述も「600万円を境に、限定している層が限定していない層を上回る」です。絞っているFPのほうが、収入が高い側に多く分布しているのが実態です。

8.4 FPの相談料は、いくらに設定すればよいですか?

相場に合わせて決めると、いつまでも相場のままになります。日本FP協会の2021年度実態調査では1時間あたりの平均は8,100円で、5,000円から6,000円未満(37%)と1万円から2万円未満(34%)の2つの山に分かれていました。決め方の順番は、まず自分の時間単価を出すこと。次に、その相談で相談者に生まれる金額の変化を見積もること。大事なのは金額そのものより、何が含まれて何が含まれないのかを先に明示することです。

8.5 無料相談と比べられたとき、どう答えればよいですか?

報酬の出どころを、先に開示してください。「いただくのは相談料だけです。保険や投資信託の販売手数料は受け取っていません。ですから、契約しないほうがよい場面では、そうお伝えします」。金融商品の販売も手がけているなら、隠さずに開示するほうが信頼されるはずです。先に開示する姿勢そのものが、無料相談との違いになります。

8.6 個別相談で、その場で決めてもらえません。どうすればよいですか?

即決を求めない設計に変えるのが先です。日本FP協会の追跡調査では、相談未経験者の66.8%が「FPに相談できること」を知りませんでした。目の前の相手にとっては、有料相談そのものが初めての体験、ということが少なくありません。相談の締めくくりでは、解決までの道筋と、自分にできること・できないことを示したうえで、判断を委ねてください。持ち帰って考える時間を認めるほうが、結果として決まります。

9. まとめ:FPの営業は「選ばれる理由の設計」で決まる

FPの営業のコツを3つに絞ってお伝えしました。あわせて並べておくのは、業界データが示していたことです。

  • 依頼経路の6割は紹介。自分から動く営業活動は25.0%(日本FP協会・2021年度実態調査)
  • コツ1:ポジショニングで「あなたに頼む理由」をつくる。目指すのは第一想起
  • コツ2:価値が伝わる言葉と、紹介が生まれる5つの感情を設計する
  • コツ3:個別相談は売り込まず「確認の場」に。6ステップで問題を深掘りする
  • 相談料は単発・プラン作成・継続顧問の三段。AIに任せる作業と人に残る仕事は線を引いておきましょう

売り込む営業は、続けるほど消耗します。どの報酬モデルで立つのかを決め、選ばれる理由を設計し、伝わる言葉にして、会う前から価値を届けておく。この順番で取り組めば、「お願いします」と頭を下げる営業から、「お願いしたい」と言われる営業に変わっていきます。

最後に、明日からできる3つを挙げておきます。

  1. 直近で受けた相談を3件思い出し、相手が最初に口にした言葉をそのまま書き出す
  2. 自己紹介の4ブロックを書き、声に出して1分で言えるまで削る
  3. 紹介してほしい相手を一文で具体化し、既存の顧客か知人に1人、実際に伝えてみましょう

あわせて読みたい記事です。

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まとめの最後に挙げた3つは、どれも一人で始められます。難しいのは、その先です。書き出した一文が合っているのか、伝え方がずれていないのか。確かめる相手がいないまま続けると、2週間ほどで自然に止まってしまう。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーでは、この3つを含む一連の流れを、最初から最後まで通しで確認できます。

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この記事について

監修:志師塾(株式会社エクスウィルパートナーズ)。士業・コンサルタント・コーチ・講師といった「先生業」に特化した集客・顧客獲得支援を行い、これまでに3,200名を超える先生業の方を支援してきました。本記事は、ファイナンシャルプランナーの受講生・卒業生への支援で得た知見と、日本FP協会・金融経済教育推進機構(J-FLEC)の公表資料をもとに構成しています(公的データの確認日:2026年8月26日/支援人数の原本確認日:2026年8月16日)。

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