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【卒業生インタビュー】 事業承継は「終活」ではなく「事業拡大戦略」という視点 ~事業承継コンサルタント 辻 英道(つじ ひでみち)さん~

今回お話をうかがったのは、志師塾卒業生、株式会社はなぶさコンサルティングの代表取締役、辻英道さんです。

辻さんは、後継者を絶対に孤独にさせない事業承継をモットーに、中小企業の株式承継スキーム検討・実行支援を得意としています。またそれだけにとどまらず、事業承継コンサルティングをビジネスに取り入れたい法人・個人を対象とした、事業承継コンサルタント養成講座も開講しています。

2005年に大手証券会社へ新卒で入社し、2014年より事業コンサルティング会社で管理職経験を経た後、2020年に現在の会社を設立しました。

今回の取材を通じて、辻さんが歩んできたキャリアについて、また豊富なコンサルティング経験を経て培った事業承継に対する想いについておうかがいしました。

1.事業承継は事業拡大戦略である

1.1 多数のプレイヤーが参画する「事業承継ビジネス」

「面白いICレコーダーをご使用されているのですね。私もクライアントとの打合せで活用したいので製品概要を教えてください」

インタビュー冒頭から終了まで、辻さんは気づいたことを率直に質問し、メモも欠かしませんでした。相手の一挙手一投足に気を配る丁寧な姿勢がにじみ出ていました。

辻さんは、大手証券会社、そして事業承継コンサルティングの豊富な経験を経て、現在独立して中小企業経営者に向けた事業承継コンサルティングを行っています。それに加え、ご自身の培ったノウハウを基に、コンサルタントを養成する事業を行っています。

事業承継というと、相続税対策を中心に、銀行や証券会社、税理士などの士業が多数参画する競争が激しい分野といえます。また最近では後継者不足が課題となり、それに対するM&Aに個人が参画するケースも増えてきました。

1.2 事業承継を「終活」にさせない

こうした世の中の状況に対して、辻さんは「事業承継は終活ではなく、事業拡大戦略である」と繰り返し力説します。後継者不足を理由に事業を終わりにしてしまうのではなく、後継者に次世代経営者としての自覚を醸成させて、持続的な成長を図るべきだという考え方です。

このような考え方は、単に思い付きや差別化という観点で確立したものはありません。辻さんが長い間経験と苦労を重ねてきた確信に根ざしたものです。ではなぜこのような確信に至ったのでしょうか。

【成功事例】事業継承コンサルタントの辻英道さん2

2.証券会社時代に得た事業承継ビジネスへの想い

2.1 「年収の高さ」を理由に大手証券会社に就職

辻さんは埼玉県の出身で、学業の成績にはとても厳しい家庭に育ちました。学生時代は、テストの成績がよければ褒められ、成績が悪いと叱られる。そうした中で「父親よりも高い学歴に」というモチベーションで一橋大学へ入学します。

大学時代は、「父親よりも腕っぷしが強くなるように」という想いで、4年間ボクシングに明け暮れます。

そして就職の時期を迎えたとき、「社会人の腕っぷしの強さとは何か?」を考えました。そこで出した結論が、年収が高いことでした。そこで内定を得た中で、最も年収が高かった会社が、入社した大手証券会社でした。

2.2 営業成績で社内優劣が決まる世界

大手証券会社時代を今振り返ると「もともと自己肯定感が低いため、他人と比べて自分を承認していた」と辻さんは分析します。

営業成績で社内の優劣が決まってしまい、営業成績が優秀なときは得意な気分になっていても、営業成績が悪いときは縮こまって生活しているという生活を、証券会社時代はずっと続けていました。

「知識面や対人折衝能力という面で見ると鍛えられたという点は確かにあるかもしれませんが、証券会社時代の後半3年間はモチベーション維持どころか、まったくやる気がわかなかったですね」

仕事の意味や意義も見出すことを失い、キャリアアップを図るため、証券アナリストの資格も取得しました。しかし、結局は営業で卓越した成績を出さないと配置転換も無理だといわれました。

証券会社でのキャリアアップが見出せず、このまま定年まで営業で数字に追われる人生を送ることを考えると、悶々とした日々を過ごしたと辻さんは話します。

そんな時に、現在の「事業承継をコアビジネスにしていこう」と考える転機が訪れます。

2.3  事業承継をコアビジネスにする決意

それは、得意先の中小企業に、税理士に同行してもらってコンサルティングを実施したことがきっかけでした。その税理士は、相手の目をみて話さないなど、失礼ながらコミュニケーションスキルに懸念がありました。

しかし、いざ本題の事業承継のプレゼンテーションになった途端、その場の空気をすべて持っていかれたような衝撃をうけました。得意先も目を輝かせて身を乗り出していて、嫉妬心のようなものさえ芽生えたと、辻さんは話します。

同時に、この提案を自分ができるようになったら、クライアントが抱える複層的な課題をワンストップで解決できるのではないかと考えました。

さらに決定打となったのは、得意先の医療法人に様々な提案を行っていたものの、辻さんは転勤になってしまい、後任が着任してすぐに大口の契約の成約が決まったこと。もしも転勤がなく自分がそのまま担当していたら成約になっていたと思うと、この会社に在籍していても転勤がつきものでクライアントと長期にわたる関係構築は困難だという結論に至りました。

3.管理職としての苦悩

3.1 プレイヤーとしての充実した日々

大手証券会社での約10年間の勤務を経て、2014年に事業承継コンサルティング会社に転職しました。そこでの仕事環境は、まさにイメージどおりと話します。やりたい仕事に就いた充実感からか、寝る間を惜しんで働いたといいます。始発で会社へ出社し、終電まで働くという毎日でした。

「場合によっては、深夜まで得意先の接待を行い会社の床で仮眠し、翌朝早朝に資料を作成して、飛行機に乗って地方出張へ行くようなこともありました。ある意味、証券会社時代よりも元気で、また激務だったかもしれません」

転勤がつきものの証券会社時代と比べると、多種多様なクライアントを全国各地に抱えることになりました。証券会社時代のクライアントはセールス攻勢を警戒してか、決算書をあまりオープンにしてくれませんでしたが、コンサルタントの立場になると、とにかくクライアントの財務諸表を診断する機会が増えました。

「週に3~4社を診断し、在職中に累計500社程度に達したのではないでしょうか。その結果、得意先の財務諸表を見て、瞬時に課題が判別できるようなレベルになりました」

3.2 管理職としてノルマに追われる日々

寝る間も惜しんで働いた結果、辻さんは中途入社してから1年半という異例の速さでマネージャー職に昇格しました。さらに中途入社から2年後にはシニアマネージャー職に抜擢されました。

しかし、そこからは証券会社時代のようなノルマに追われる日々に戻ってしまいました。辻さんは当時の苦悩をこう語ります。

「事業承継は段階があって、親族内承継にならなかったら、M&Aという選択肢になります。そしてそのM&Aの仲介料など課せられるノルマがものすごく厳しくなって、上司からは目標達成のプレッシャーが激しく、パワハラを受け続けて、休職することになってしまったのです」

やっと自分の理想となる仕事につけたはずなのに、場合によってはノルマを達成させたいがために、必ずしもよいマッチングとはいえないM&Aを提案するようなこともありました。顧客に寄り添う仕事をしたくて証券会社を退職したというのに、逆戻りして精神的なバランスがとれなくなってしまったのです。

「本来、事業承継は、相続税対策だけでなく、様々な問題が起こります。例えば、後継者育成などは最たるもので、組織人事の構築には長い時間を要し、キャッシュフローを持続的に良好にする必要があります。自分単独で対応困難な案件の場合、別部署のコンサルタントに同行を依頼するのですが、ノルマが達成できていない状況だと遊びに行っているような言われ方をされてしまうんですね」

後継者育成は時間がかかり、長いスパンで取り組むことで支援先の会社に持続的な利益をもたらすものなのに、なかなか評価してもらえない。さらに、事業承継は銀行から紹介の案件が多いのですが、フィーの配分や案件主導はどちらが握るかなど、そのような政治的な駆け引きにも悩むことが多くなってしまいました。

自分が思い描く事業承継と会社から求められることにギャップが生まれ、休職期間を経て、辻さんは独立を決意しました。

4.独立、そして志師塾との出会い

4.1 独立後の不安

2020年、ついに辻さんは独立しました。ただ、決意したのはいいものの、自分が何をやりたいかを見失ってしまっていました。特に事業承継のビジネスは、関係者が増えれば増えるほど調整作業が必要になります。当時は「自分ひとりが生活できればいいや」という、ご本人いわく低い志でした。

辻さんはこう振り返ります。

「今思うと自分の志をきちんと明文化していなかったと思っています。人を突き動かすのは何かというと、お金などの待遇よりも、『得意な分野で世の中の役に立ちたい』とか、『こういう世の中にしたい』ということが具体的であればあるほどエネルギーが出るし、突進力が出てくると思います」

「クライアントに対しても、『こういうことができます』『こういうサービスが提供できます』よりも、『自分はこういう想いで仕事をしています』『こういう風にしてお役に立ちたい』という方が、顧客の琴線に響くと思います。確かにこの想いを伝えることは、時間がかかりますし、すぐに収入に結びつくものではないけれども、やればやるほど相手に刺さって、時間を要しても最終的に自分に返ってくると考えますが、当時はそこまで考えが至っていませんでした」

4.2 独立後の転機その1~倫理法人会への参加

独立後、大きな転機が訪れます。ひとつは倫理法人会への参加でした。

倫理法人会は「倫理経営」の学習と実践を通じて、企業と社会の健全な繁栄をめざす団体で、経営者のモーニングセミナー等が開催されています。そこで活動を通じて、自己の棚卸をして、「自分って何だろう」と自分自身との向き合い方を学び、自己肯定感を高めることができました。

ただ、当時はその自己肯定感をうまく言語化できていませんでした。今であれば、それを言語化して、明文化することができていますが、独立当初はそういう確固たる言葉がまったくない状態で、「これからどうしよう」という不安や恐怖ばかりが先立つ状態が続き、創業時に一番苦労した点はこの不安や恐怖心だったと辻さんは話します。

4.3 独立後の転機その2~志師塾への入塾

そうした中、交流会の繋がりで志師塾のセミナーに参加したところ、自身のキラーコンテンツの作成やコンテンツ販売のノウハウを習得したいと考え、志師塾へ入塾しました。「志師塾で学んだことで、散らかっていた思考がうまく整理できた実感をもつことができた」と辻さんは話します。

「志師塾で一番良かった点は、自分が誰のために、どのように役に立っているのかを明文化できたことです。具体的には、60秒間で自己紹介をするトレーニングを毎週同期と披露しあいます。独立して交流会を行う場合、ビジネスで取り組んでいることを短時間でプレゼンする機会が多く、その訓練を数多く重ねました」

同期は士業や飲食業など業種がバラエティに富んでいました。そういう方々にプレゼンする場合、普段常識的に使用している専門用語は、意味が伝わりません。同期に指摘されるごとに再発見があり、ブラッシュアップを重ねたことで、自分自身をわかりやすくプレゼンするスキルが向上したと辻さんは語ります。

また提供するコンテンツづくりやサービスの見せ方、集客方法にも学びが多かったといいます。例えば「事業承継」そのものは辻さんのコアなサービスですが、一方で、「事業承継をビジネスにしたいけれどもどこから手を付けたらいいのかがわからない」という方も一定数います。そうした方々に向けたコンサルティングもメニューに加えました。

そうして、今までの経験で培った中小企業の株式承継スキーム検討・実行支援ノウハウを、事業承継コンサルティングをビジネスに取り入れたい法人・個人を対象とした、「事業承継コンサルタント養成講座」を開講するに至りました。

「自分のあり方をきっちりと明文化できたことがすごくよかったと考えています。他人と比較しない、自分のあるべき姿に向き合うようになりましたので、ぶれなくてラクになると思います。ただ自分のあり方を考える機会がない、もしくは考えたいけれどもやり方がわからない、こういう方は真剣に取り組めば、得られるものがあると思います。また自分のあり方さえ決まれば、何が起きても大丈夫という自信がつきますし、ぶれない軸ができると思います」

【成功事例】事業継承コンサルタントの辻英道さん3

5.辻さんが思い描く将来像

5.1 「事業拡大戦略」への想い

インタビュー中に辻さんが繰り返し強調されていたことが、事業承継は、終活ではなく事業拡大戦略というご自身の経験に根ざした考え方でした。

「一般的なイメージとして、事業継承=相続対策というイメージが強いですが、私は違うと思っています。事業承継は成長戦略なんですよ。会社の将来像を早いうちから考えて、会社の足りない部分を考えて、早めに対策することで、会社は絶対に成長すると考えています。例えば、業績がよい会社の社長は自分の時間を確保して、現場にあまり口を挟まない、もっというとヒマに見える方が多いのですね。日常業務よりも戦略的な部分に時間を使っている社長が多いと思います。そうすることで家族関係にも時間が使えて、ご家族の幸福や後継者育成にもじっくり取り組めます」

「相続対策をメインにしてしまうと、『株価算定して、相続税シミュレーションをして、対策をしましょう』という短期的なアプローチになりがちです。企業が持続的に成長するにはある程度時間が必要だと思います。そうした理念にたって、クライアントのために時間をかけて取り組まれているコンサルタントの育成に携わり、また協業したいと考えています」

辻さんが学生時代から取り組まれている趣味のボクシングは、現在でも週に3、4回トレーニングを重ねているとのこと。また今では早寝早起きが健康の秘訣と話します。

事業承継という天職を生き生きと語る姿がとても印象的でした。

文:小川浩司(中小企業診断士)/ 編集:志師塾編集部

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