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10年後に人数が減る士業ランキングTOP10|数字で検証

土地家屋調査士の会員数は、2010年の17,617人から2023年の15,650人へ。13年間で約1,970人、率にして11%減りました。年間の新規合格者は489人(令和7年度)。会員1万5千人に対して、この供給量です。

この記事では、「10年後に人数が減る士業」を、印象論ではなく登録者数と年齢構成のデータから検証します。ランキング形式でTOP10を提示しますが、あわせて「減る=悪い」という思い込みそのものを一度疑ってみます

志師塾は、先生業(士業・コンサルタント・コーチ・講師)専門のビジネススクールとして、これまで3,200名を超える先生業の方の顧客獲得を支援してきました(2026年8月確認)。その中で見えてきたのは、人数が減る領域でも食えない人はいるし、人数が増える領域でも顧問先が絶えない人はいる、という現実です。

読み終えるころには、あなたの士業が「減る側」か「増える側」かが分かるだけでなく、どちらであっても10年後に選ばれ続けるために、いま何を準備すべきかが見えているはずです。まずは、そもそも「減る」とは何を指すのかを整理するところから始めます。

Table of Contents

1. 「10年後に人数が減る士業」を語る前に、定義を切る

まだ申し込むほどではない、という段階かもしれません。その場合は先に『先生ビジネス成功の秘訣 無料7大特典』に目を通しておくと、判断の基準がはっきりします。『先生ビジネス成功の秘訣 無料7大特典』を受け取る

10年後の士業人数を推計する4ステップ

この手のランキング記事を読んでいて、いちばん困るのは「何が減るのか」が曖昧なまま順位が並んでいることです。仕事が減るのか、人数が減るのか、収入が減るのか。全部違う話なのに、混ぜて語られています。

先に、この記事の立場をはっきりさせておきます。

1.1 この記事が扱うのは「登録者数」の増減

本記事の「人数が減る士業」とは、各士業の登録者数・会員数が減少する(または減少リスクが高い)士業を指します。AIに仕事を奪われるかどうか、稼げるかどうかの話は、いったん切り離します。

理由は単純で、「AIで仕事がなくなるか」は誰にも断言できませんが、登録者数は各連合会が毎年公表している事実だからです。事実から出発して、その先を推し量る。この順番を守らないと、ただの不安を煽る記事になります。

「AIで士業がなくなるのか」というテーマ自体には価値があります。ただ、それはこの記事の射程ではありません。ここでは、あくまで人の数を追いかけます。

1.2 登録者数と稼働者数は違う、という重要な注意点

もうひとつ、見落としてはいけない前提があります。

税理士登録者数について、会計求人プラスの解説(2026年7月更新)では、登録者数は実際に活動している人数ではなく、登録しているが業務を行っていない人も含まれると明記されています。これは税理士に限った話ではありません。

企業内士業として登録だけしている人、高齢で実質的に引退しているが会費を払い続けている人、資格を持っているが別事業が本業の人。こうした休眠登録が、どの士業にも一定数含まれています。

つまり、「登録者数8万人」と聞いて、8万人の競合がいると思うのは早合点です。実際にあなたと同じ市場で、同じ顧客を取り合っている人は、その数字よりずっと少ない。この点は、ランキングを読む間、頭の片隅に置いておいてください。

1.3 10年後を推計する計算式

「10年後」を語るには、推計の方法が要ります。この記事では、次の考え方をベースにします。

要素 内容 増減への影響
年齢構成 60代以上の比率が高いほど、今後10年の引退者が多い マイナス要因
年間新規登録者数 試験合格者数と実務要件でほぼ決まる プラス要因
受験者数の推移 数年後の合格者数を先取りする先行指標 将来の供給量を規定
制度変更 試験制度、実務要件、需要側の法改正 両方向にぶれる

ざっくり書けば、10年後の人数 = 現在の人数 +(年間新規登録者数×10)−(10年間の引退・死亡による抹消数)です。

この式でいちばん効くのが、実は年齢構成です。平均年齢が55歳を超え、最多年齢層が60代という士業は、それだけで今後10年に大量の引退が確定しています。そこに年間の新規供給が追いつかなければ、純減する。逆に言えば、年齢構成が若く新規供給も安定していれば、人数は減りません。

この記事のランキングは、この2軸(高齢化の度合い × 新規供給の細さ)でスコアリングした結果です。データで減少が確認できている士業を上位に、年齢構成から減少リスクが高い士業を中位に、増加が確認できている士業を下位に置いています。

2. 10年後に人数が減る士業ランキングTOP10【一覧】

減少リスクの3層構造で読むランキング

まず全体像を一覧で示します。詳細は次章以降で1つずつ解説します。

2.1 ランキング早見表

順位 士業 減少リスク 根拠のタイプ
1位 土地家屋調査士 極めて高い 実績データで13年間の減少を確認
2位 海事代理士 高い 母数が小さく専業者が少ない
3位 司法書士(地方) 地域限定で高い 全国は横ばいだが地方の高齢化が深刻
4位 弁理士 中〜高 受験者数の長期減少
5位 不動産鑑定士 合格者数が少なく高齢化が進む
6位 通関士 業務の自動化余地が大きい
7位 税理士(地方・高齢層) 全国では増加 全体は増加も高齢化が突出
8位 行政書士 増加傾向 登録は増えるが廃業も多い
9位 社会保険労務士 増加 11年連続で増加中
10位 弁護士・公認会計士・中小企業診断士 増加 いずれも増加が続く

この表を見て、違和感を持った方がいるはずです。「TOP10と言いながら、下半分は増えているじゃないか」と。

その通りです。そして、それがこの記事でいちばん伝えたい事実です。

2.2 素直に「減る士業」を10個並べることはできない

調べた結果、10年後に人数が減ると数字で言い切れる士業は、ほとんど存在しません

doomoの10士業比較(2023年)では、いずれの業種でも大きな減少は見られず、増加傾向にあるのは弁護士・税理士・行政書士・公認会計士・社会保険労務士・不動産鑑定士と整理されています。減少がはっきり確認できるのは、土地家屋調査士くらいです。

ですから、このランキングは「減少が確認できる士業」+「年齢構成から減少リスクが高い士業」+「実は増えている士業」の3層構造になっています。順位が下がるほど、減少リスクは小さくなります。

そして、ここからが本題です。人数が減ることは、あなたにとって本当に悪いニュースなのでしょうか

2.3 順位の見方:減少リスクが高い=チャンスでもある

人数が減るということは、競合が減るということです。そして多くの場合、需要は人数ほど減っていません

土地家屋調査士を例に取れば、2024年4月から相続登記が義務化され、所有者不明土地問題への対応も国策として進んでいます。境界確定や表示登記の需要は、むしろ増える方向です。それなのに担い手は減っている。

これは、供給が細り需要が維持される市場ということです。経済学の初歩で考えれば、1人あたりの取り分は増えます

逆に、税理士や社労士のように人数が増え続けている領域では、人数の希少性では差がつきません。そこでの希少性は、「誰に、何を提供する人か」という定義の鋭さからしか生まれない。志師塾ではこれをポジショニングと呼び、「一点集中・全面展開」という考え方で、ライバル不在の場所を先に取ることを教えています。

「減る側なら競合が減るからチャンス、増える側なら定義の鋭さで勝負」。理屈としては分かっても、実際に自分がどこで名指しされる人になるのかを1人で決めるのは難しいものです。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーでは、士業・コンサルタントが「価格ではなく専門性で選ばれる」ためのポジショニングの決め方を、実際の事例つきで解説しています。

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3. 1位:土地家屋調査士|13年で約1,970人減という唯一の実績データ

土地家屋調査士に見る「減る側」の実像

数字で減少が確認できる、ほぼ唯一の士業です。

3.1 会員数の推移:17,617人→15,650人

公表されている数字を並べます。

時点 会員数 出典
2010年7月1日 17,617人 日本不動産学会誌 第25巻第3号(2011年)
2021年4月 16,141人 土地家屋調査士白書2022
2023年 15,650人 土地家屋調査士白書2024

13年で約1,970人減、率にして約11%。年平均で150人前後のペースで減り続けています。同じペースが続けば、10年後は1万4千人を切る計算です。

※これは単純な外挿による試算であり、後述する需要増要因は織り込んでいません。あくまで「今のトレンドがそのまま続いたら」という仮定の数字として読んでください。

3.2 年齢構成と新規供給:引退が供給を上回る構造

なぜ減り続けるのか。答えは年齢構成にあります。

2010年の調査時点で、会員の年齢構成は60代が最も多く、平均年齢は56歳でした(日本不動産学会誌)。その後も、50代以上が73%以上を占めるという状態が続いています(土地家屋調査士白書2022・2024の引用)。

一方、新規供給はどうか。令和7年度の土地家屋調査士試験は、受験者数4,824人、合格者数489人、合格率10.14%(東京法経学院)。年間500人弱しか増えません。

会員1万5千人、50代以上が7割超、年間新規490人。この3つの数字を並べれば、今後10年で数千人規模の引退が発生し、新規供給では埋まらないことが分かります。純減が続くのは構造的な必然です。

なお、女性会員は538人で全体の約3.4%(土地家屋調査士白書2024)。他士業と比べても極めて少なく、この点でも新規参入の裾野が狭い状態が続いています。

3.3 それでも仕事は減らない:相続登記義務化という追い風

ここが重要です。人数は減っていますが、仕事が減っているわけではありません

2024年4月から、相続登記が義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記申請をしなければ、過料の対象になります。所有者不明土地問題への対応も、国土交通省を中心に進んでいます。境界確定、表示登記、筆界特定。土地家屋調査士の専門領域は、むしろ社会的な要請が高まっている分野です。

つまり、需要は横ばい以上、供給は年150人ペースで減少。この構図は、これから独立する人にとっては悪くない環境です。

3.4 「減る側」で生き残る人の条件

ただし、自動的に仕事が回ってくるわけではありません。人数が減る市場でも、選ばれない人は選ばれない。

志師塾で3,200名を超える先生業を見てきて分かるのは、減る市場で残る人は「辞めなかったから残った」のではなく、「名指しで頼まれる理由を作ったから残った」ということです。

土地家屋調査士であれば、たとえば「相続案件専門」「開発許可に強い」「地方の農地転用に特化」といった形で、依頼者の頭の中で第一想起される場所を取る。志師塾ではこれを「頭の中に小人を飼う」と表現します。理想の顧客を1人の具体的な人物として頭の中に住まわせ、その人の悩みだけに答え続ける。抽象的なターゲット設定では、この状態は作れません。

4. 2位〜3位:海事代理士と、司法書士の「地方」という盲点

司法書士|都市部と地方で真逆の10年後

4.1 2位:海事代理士|専業者が極めて少ない

海事代理士は、船舶登記や船員の労務手続きを扱う士業です。登録者数自体が他士業と比べて桁違いに小さく、しかも行政書士や社労士との兼業者が多く、専業で活動している人はさらに少ないのが実態です。

母数が小さい領域は、数十人の引退でも全体比率では大きなインパクトになります。海運業界の集約が進めば、手続き件数自体も統合されていく。減少リスクという意味では、土地家屋調査士に次ぐ位置づけと考えられます。

ただし、これは裏返せば究極のニッチ市場でもあります。「日本一この分野に詳しい」を名乗れる可能性が、他士業より圧倒的に高い。志師塾が「一点集中・全面展開」「ニッチでNo.1」を推奨するのは、まさにこういう領域で効くからです。

4.2 3位:司法書士|全国は横ばい、しかし地方は違う

ここが、多くのランキング記事が見落としている点です。

日本司法書士会連合会の公表データによれば、全国会員数は23,505人(女性4,816人・男性18,689人/2026年4月1日現在)。過去と比べると、平成31年4月1日で22,632名、2022年4月1日で22,907名でしたから、微増トレンドです。

「司法書士は減っていない」。全国の数字だけを見れば、その結論になります。

ところが、地域で分解すると景色が変わります。司法書士白書によれば、平均年齢は54歳、最も多い年代は40歳代で全体の31.5%。ここまでは健全に見えます。しかし同じ資料で、福井県では最多年齢層が70代、一方で東京では40歳代が38%と、地方ほど高齢化が進む傾向が指摘されています。

4.3 「全国平均」で判断してはいけない理由

この地域差は、単なる統計上の話ではありません。あなたが地方で開業しているなら、あなたの商圏では10年後に同業者が半減している可能性があるということです。

地域 10年後の見通し 取るべき戦略
都市部(40代中心) 人数は維持、競争は激化 専門分野の絞り込みで差別化
地方(70代中心) 大量引退で担い手不足 地域内での認知獲得と事業承継

地方の先生にとって、これは脅威ではなくチャンスの側面が大きい。引退する先輩の顧客をどう引き継ぐか、地域でどう名前を覚えてもらうか。10年後からの逆算で、いま何をしておくかを考える価値があります。

4.4 司法過疎という社会課題と、そこにあるポジション

地方の担い手不足は、社会課題でもあります。九州大学の学術リポジトリには、七戸克彦氏による「司法書士の会員数問題と今そこにある危機」(月報司法書士546号、2017年)という論考が収録されており、この問題意識は業界内でも早くから共有されてきました。

社会課題があるところには、必ず仕事があります。「その地域で、その分野なら、あの人」という位置を取れれば、人数が減る市場は独占市場に近づいていきます。

5. 4位〜6位:受験者数という「先行指標」が示す減少リスク

ここからは、現時点で登録者数の減少が確認できているわけではないものの、先行指標から10年後の減少リスクが読み取れる士業です。

5.1 4位:弁理士|受験者数の長期減少が効いてくる

弁理士は、特許・商標などの知的財産を扱う士業です。登録者数自体は増加してきましたが、受験者数が長期的に減少傾向にあることが繰り返し指摘されています。

受験者数は、数年後の合格者数を先取りする指標です。受験者が減れば、合格者が減り、数年遅れて新規登録者が減る。この時間差があるため、登録者数の統計に表れるころには、すでに5年ほど手遅れになっています。

知財の重要性が下がっているわけではありません。むしろAI関連の特許出願は増えています。需要は堅調で、担い手の供給が細るという、土地家屋調査士と似た構図が形成されつつあります。

5.2 5位:不動産鑑定士|合格者数の少なさと高齢化

不動産鑑定士は、doomoの10士業比較(2023年)では増加傾向のグループに分類されています。ただし、年間合格者数が他士業と比べて極端に少ないのが特徴です。

年間の新規参入が100人台であれば、高齢層の引退が本格化したときに、供給が追いつかなくなる可能性があります。今は増えていても、10年のスパンで見ると転換点が来る。そういう位置づけです。

5.3 6位:通関士|業務自動化の余地が大きい

通関士は、貿易の輸出入申告手続きを扱う国家資格です。ここは他の士業と少し性質が異なり、業務そのものの自動化余地が大きい点がリスク要因になります。

通関手続きの電子化・システム化が進めば、1件あたりに必要な人手は減ります。貿易量が同じでも、必要な通関士の数は減っていく。この構造は、AIによる代替という議論とも重なります。

ただし、ここでも「なくなる」わけではありません。判断が難しい品目分類、コンプライアンス対応、複雑な貿易スキームの設計。自動化されるのは定型業務であって、判断業務ではない。志師塾のAI伴走士の考え方でいえば、AIは処理の相棒であり、意味の責任者は人間です。数字が出たあとに「これは許容範囲か、危機か」を判断するのは人の仕事として残ります。

5.4 この3士業に共通する構造

弁理士・不動産鑑定士・通関士に共通するのは、専門性が高く、参入障壁も高く、そのぶん新規供給が細いという点です。

参入障壁が高いことは、既に中にいる人にとっては守りになります。問題は、その専門性を依頼者に伝えられているか。専門性が高いほど、その価値は外から見えにくくなります。志師塾では、先生業の商品を「高額・分かりにくい・営業しにくい」の3特性で整理していますが、専門性の高い士業ほど、この3つが全部当てはまります。

6. 7位〜10位:実は増えている士業と、そこでの本当の競争

ランキングの後半は、人数が増えている士業です。減少を心配する必要はありませんが、別の課題があります。

6.1 7位:税理士|82,233人、増加率はゆるやかだが増加中

日本税理士会連合会調べで、税理士登録者数は82,233人(2026年5月末現在)です(会計求人プラス)。令和5年1月末で80,467人でしたから、3年で約1,800人増、年600人ペース。増加率はゆるやかになっているものの、増え続けています。

ただし、税理士業界は高齢化が突出していることでも知られます。この点については、より新しい一次調査での確認が必要ですが、業界内で長く指摘されてきた課題です。全体としては増えていても、地方の高齢事務所が一斉に事業承継期を迎えると、地域によっては担い手が足りなくなる局面が来る可能性があります。

そして、増えている市場での競争は、人数の希少性では戦えません。「記帳代行と申告書作成ができます」では、8万人の中に埋もれる

6.2 8位:行政書士|登録は増えるが、廃業も多い

行政書士は、doomoの分類でも増加傾向のグループです。参入しやすい一方で、登録したものの案件が取れずに廃業する人も多いという特徴があります。

これは「人数が減る」のとは正反対の状況です。むしろ人数が増えるがゆえに、選ばれない人が淘汰される市場。ここで生き残る条件は、明確です。特定分野に絞り、その分野で第一想起を取ること。

6.3 9位:社会保険労務士|11年連続で増加

社労士の登録者数は44,203人(2021年度末時点)で、2011年から2021年の11年間、増加し続けています(社会保険労務士白書2022年版ほか)。

働き方改革、労務トラブルの複雑化、人手不足への対応。社労士の需要は明らかに拡大しており、それに応じて人数も増えています。減る心配をする必要のない士業です。

ただし、増える市場は同時に競争が激しい市場でもあります。手続き代行だけでは価格競争に巻き込まれる。人事制度設計、組織開発、採用支援といった付加価値の高い領域へ踏み出せるかが分かれ目になります。

6.4 10位:弁護士・公認会計士・中小企業診断士|いずれも増加

doomoの比較では、弁護士・公認会計士も増加傾向のグループに含まれます。中小企業診断士も、登録者数は増加基調が続いています。

この3つに共通するのは、資格取得の難易度が高く、社会的信用も高い一方で、資格だけでは差別化にならないという点です。弁護士1人が「法律相談を承ります」と言っても、他の4万人以上の弁護士と何が違うのかは伝わりません。

志師塾では、「資格を取れば食える」は幻想だと伝えています。資格は受注の必要条件であって、十分条件ではない。必要なのは「受注力」と「満足獲得力」の2つです。

7. 人数が減る士業・増える士業、それぞれの生き残り戦略

ここまでのランキングから、2つのタイプが見えてきました。それぞれで取るべき戦略が違います。

7.1 減る側(1位〜6位):残るための条件は「辞めないこと」ではない

人数が減る市場では、確かに競合は減ります。ただし、減った競合の顧客が自動的に流れてくるわけではありません

引退する先輩の顧客は、廃業と同時に消えるのではなく、別の誰かに引き継がれます。そのとき選ばれるのは、日頃から名前を知られている人です。

やるべきこと 具体的な行動
地域・分野での第一想起を取る 「この地域の◯◯なら、あの人」という認知を作る
同業・隣接士業との関係構築 引退時に「あの人に頼もう」と思い出される関係
情報発信の継続 ブログ・セミナーで専門性を可視化する
単価の適正化 供給が減る市場で、安売りを続ける理由はない

最後の項目は、意外と見落とされます。競合が減っているのに、10年前と同じ単価で受けている。これは市場の変化に価格が追いついていない状態です。志師塾では「ガチ時給」という考え方で、実際にかかっている時間から時給を逆算し、価格設定を見直すことを勧めています。

7.2 増える側(7位〜10位):人数以外の希少性をどう作るか

増える市場では、資格そのものに希少性はありません。希少性を作るのは、「誰に、何を、どのように提供するか」というコンセプトの鋭さです。

志師塾では、事業コンセプトを次の3要素で設計します。

  • 誰に(小人=理想の顧客を1人に絞る)
  • 何を(その人のビフォーをアフターにどう変えるか)
  • どのように(なぜあなたから買うのか=ポジショニング)

この3つに文字で答えられない状態では、8万人の税理士、4万人の社労士の中で選ばれる理由がありません。逆に言えば、この3つが明確になった瞬間、市場は「8万人の競合」から「その領域で数人」に変わります

7.3 どちらにも共通する:「なぜあなたから買うのか」に答えられるか

減る側でも増える側でも、結局のところ問われるのは同じことです。

「なぜ買うのか」「なぜあなたから買うのか」。この2つの問いに、文字で答えられるか。志師塾のマーケティングは、ここが起点です。

先生業のサービスは、高額で、分かりにくく、営業しにくい。この3つの特性があるため、一般的なマーケティングは通用しません。衝動買いさせるのではなく、情報提供を通じて見込み客を教育し、「お願いされて売れる」状態を作る。これを志師塾では「関係型」のアプローチと呼びます。

7.4 10年後から逆算して、いま決めること

10年は長いようで短い。今40代の先生は50代に、50代の先生は60代になります。

そのとき、あなたはどういう状態でいたいか。顧問先が安定して、後進に引き継げる形になっているのか。それとも、まだ毎月の新規獲得に追われているのか。

逆算すると、いま決めるべきことははっきりします。どの領域で名前を覚えてもらうか。それだけです。分野を絞ることは、仕事を減らすことではありません。むしろ、絞ったからこそ紹介が生まれ、指名が来る。志師塾ではこれを「一点集中・全面展開」と表現しています。

8. 志師塾卒業生の事例|「減る・増える」の外側で選ばれる人

人数の増減とは別の軸で、独自のポジションを築いた方の事例を紹介します。

8.1 平真理子さん|自己実現メンタルコーチという独自ポジション

志師塾の卒業生である平真理子(たいらまりこ)さんは、自己実現メンタルコーチとして活動されています。掲げているのは「満足した人生を送りたいあなたに、正しい脳の使い方を教えます」というコンセプトです。

注目したいのは、この肩書きとメッセージの具体性です。「メンタルコーチ」だけでは、世の中に何千人といます。しかし「自己実現」「正しい脳の使い方」という限定がつくことで、誰に向けた、何を提供する人なのかが一瞬で伝わります。

詳しい経緯は、【卒業生インタビュー】満足した人生を送りたいあなたに「正しい脳の使い方」を教えます! ~自己実現メンタルコーチ・平真理子(たいらまりこ)さん~で紹介しています。

8.2 この事例から読み取れること

コーチという領域は、士業のような登録制ではないため、人数の統計すら存在しません。参入は完全に自由で、競合は無数にいます。

そういう市場で選ばれるために必要だったのは、資格でも人数の希少性でもなく、「誰に何を提供するか」の言語化でした。志師塾では、これを「独自力」と呼び、受注力7つの能力の筆頭に置いています。

8.3 人事ビジネスで成果を出した事例も

もうひとつ、成果の数字が明確な事例を紹介します。志師塾の卒業生の中には、半年で中小企業の退職率90%減、売上50%増という成果を実現した人事コンサルティングの事例があります。

詳細は半年で中小企業の退職率90%減!売上50%増を実現した人事ビジネスとは?で解説していますが、ポイントは「手続き」ではなく「経営課題の解決」を売っている点です。

社労士は人数が増え続けている士業です。その中で、退職率という経営指標にコミットする。この立ち位置が取れれば、人数の多さは競争要因になりません。

9. よくある疑問|士業の人数と将来性について

9.1 人数が減る士業を今から目指すのはアリですか

需要が維持される前提であれば、アリです。土地家屋調査士のように、相続登記義務化などで需要が増える方向にあり、かつ担い手が減っている領域は、これから参入する人にとって条件が良い市場です。

ただし、資格を取っただけでは仕事は来ません。取得後にどう認知を作るかを、取得前から考えておくことをおすすめします。

9.2 人数が増えている士業は、これから厳しくなりますか

人数が増えていること自体は、その市場に需要があることの裏返しでもあります。厳しくなるのは、資格だけを頼りに横並びの仕事をしている場合です。

専門分野を絞り、その領域で名前が挙がる状態を作れば、人数の多さは問題になりません。

9.3 登録者数の統計は、どこで確認できますか

各士業の連合会・協会が公表しています。日本司法書士会連合会は会員数データを公式サイトで公開していますし、日本土地家屋調査士会連合会は『土地家屋調査士白書』を、日本弁護士連合会は『弁護士白書』を発行しています。

気をつけたいのは、ネット上の記事は数字の年度がバラバラなことが多い点です。2021年のデータと2026年のデータが同じ記事に並んでいることも珍しくありません。判断材料にするなら、一次情報の年度を必ず確認してください。

9.4 AIで士業がなくなるという話とは、どう関係しますか

別の話として整理したほうがよいです。この記事で扱ったのは登録者数の増減であり、AIによる業務代替とは因果関係が直結しません。

ただし、通関士のように定型業務の比率が高い領域では、必要人数が減る方向に働く可能性があります。志師塾では、AIと人の分業を「AIは処理の相棒、人は意味の責任者」と整理しています。情報収集、たたき台作成、データ処理はAIが担い、意志・判断・感情・責任は人が担う。この線引きができている人ほど、AIは脅威ではなく武器になります

9.5 地方で開業していますが、都市部に移るべきでしょうか

一概には言えませんが、地方の高齢化=担い手不足は、見方を変えれば独占に近い状態です。司法書士の例で見たように、地方では最多年齢層が70代という県もあります。10年後、その地域の同業者は激減している可能性が高い。

そこで名前が知られていれば、仕事は集まります。移るかどうかより、いまの地域で第一想起を取る努力をしたかが先に問われます。

9.6 登録者数が多い士業でも、実際の競合は少ないのですか

その可能性は高いです。前述のとおり、税理士の登録者数について「登録しているが業務を行っていない人も含まれる」という注記があります。企業内での登録、実質的な引退状態、別業種が本業のケース。これらを差し引くと、実際にあなたと同じ顧客層を取り合っている人は、統計上の数字よりずっと少ない。

さらに、専門分野を絞れば競合はもっと減ります。「8万人の税理士」ではなく「その分野の数十人」が本当の競合です。

9.7 10年後の人数を正確に予測することは可能ですか

正確な予測は不可能です。この記事で示した数字も、現在のトレンドが続いた場合の試算にすぎません。

試験制度の変更、需要側の法改正、経済環境。どれか一つ変わるだけで、前提は崩れます。予測を当てにいくより、どちらに転んでも選ばれる状態を作っておくほうが現実的です。

10. まとめ|「減るかどうか」より「名指しされるかどうか」

ここまでの内容を整理します。

  • 10年後の人数減少がデータで確認できるのは、実質土地家屋調査士のみ(13年で約1,970人減)
  • 司法書士は全国では微増だが、地方では最多年齢層が70代の県もあり、地域差が大きい
  • 税理士・社労士・行政書士・弁護士・公認会計士は、いずれも増加傾向
  • 登録者数には休眠登録が含まれるため、実際の競合は統計より少ない
  • 人数が減る市場は、需要が維持されるなら1人あたりの取り分は増える
  • 人数が増える市場では、コンセプトの鋭さでしか希少性は作れない

結局のところ、問いは「あなたの士業は減るか」ではありません。「減る側なら、いつ・誰から選ばれる準備をするか。増える側なら、何で名指しされるか」です。

統計を眺めて安心したり不安になったりしても、明日の顧客は増えません。動かせるのは、あなたが誰の、どんな悩みに答える人として認知されるかという一点だけです。

減る側でも増える側でも、10年後に名指しされる人になりたい方へ

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10年後の市場環境がどう変わるかは、誰にも分かりません。分かるのは、そのときに名前を思い出してもらえる人になっているかどうかで、結果が大きく変わるということだけです。そして、その差を生むのは才能ではなく、いま何を決めて、どう発信し続けるかという実務です。

この記事について

本記事は、先生業(士業・コンサルタント・コーチ・講師)専門のビジネススクール「志師塾」が執筆しました。志師塾はこれまで3,200名を超える先生業の顧客獲得を支援しており(2026年8月確認)、卒業生の成功事例インタビューを公開しています。

本記事で参照した主な出典

  • 日本司法書士会連合会「会員数データ」(2026年4月1日現在)
  • 日本不動産学会誌 第25巻第3号(2011年)土地家屋調査士制度に関する論考
  • 『土地家屋調査士白書2022』『同2024』(日本土地家屋調査士会連合会)
  • 『司法書士白書』(日本司法書士会連合会)
  • 『社会保険労務士白書2022年版』(全国社会保険労務士会連合会)
  • 日本税理士会連合会 登録者数統計(2026年5月末現在)
  • 東京法経学院「土地家屋調査士試験」統計(令和7年度)

※統計数値は各団体の公表時点のものです。最新の数値は各連合会の公式サイトでご確認ください。白書等については二次情報経由で確認した数値が含まれます。

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