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エグゼクティブコーチが年収1000万円を作る5段階

月額10万円の顧問契約で年収1,000万円を目指すなら、必要な顧客は9社です。

100社も1,000人も要りません。ただし、経営者が「この人に任せたい」と決めるまでの道のりは長く、1社目を取る手前で止まってしまうコーチは少なくありません

この記事では、エグゼクティブコーチが年収1,000万円に届くまでの道のりを、次の5段階に分けて解説します。

  • 第1段階:誰の・どの課題かで絞る
  • 第2段階:高単価の商品を設計する
  • 第3段階:最初の3社を取る
  • 第4段階:紹介を仕組みにする
  • 第5段階:支払い主体を個人から組織へ広げる

解説のもとにしているのは、先生業専門のビジネススクール・志師塾が3,200名超(2026年8月時点)の士業・コンサルタント・コーチ・講師を支援する中で見えてきた傾向です。2024年の卒業生アンケートでは平均年商が1,703万円、年商1,000万円を超える人は約半数でした。あわせて、国税庁や中小企業庁の公的データ、コーチの業界団体である国際コーチング連盟(ICF)の調査も紹介します。

読み終えるころには、あなたが次に手をつけるべき段階と、1,000万円までに必要な顧客数がはっきりしているはずです。まずは、年収1,000万円を顧客数に置き換えるところから見ていきましょう。

9社という数字は小さく見えますが、経営者に「他のコーチでもいい」と思われている間は、1社目にも届きません。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーでは、専門性で選ばれる伝え方から顧客獲得までの順番を、先生業の事例で解説しています。

経営者に選ばれる伝え方と、顧客獲得の順番を知りたい方へ

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Table of Contents

1. エグゼクティブコーチの年収1,000万円は何社で届くのか

年収1,000万円に必要な顧客数

エグゼクティブコーチとは、経営者や役員など組織の意思決定者を対象に、目標達成・意思決定・組織づくりを対話で支援する専門家です。相手が経営者なので単価は高く、そのぶん必要な顧客数は少なくなります。

なお、この記事でいう「年収1,000万円」は、コーチング事業の売上1,000万円を指します。原価がほとんどかからない仕事でも、経費や税金を引いた手取りは別の数字です。

1.1 エグゼクティブコーチングの料金相場

コーチング会社や紹介サイトが公開している料金を見ると、経営者向けのコーチングはおおむね次の水準に並びます。公的な統計ではなく、各社の料金表示から見た目安です。

契約の形 料金の目安 特徴
単発セッション(60~90分) 1回5万~15万円 試しやすいが、継続につながりにくい
6か月の期間契約 100万~300万円 成果を出す期間を区切って約束できる
法人向けの月額契約 月30万~100万円 会社の予算で払われる。決裁に時間がかかる

1件の契約が数十万~数百万円になる。これが、エグゼクティブ領域の特徴です。

1.2 年収1,000万円から逆算した必要な顧客数

料金の形ごとに、1,000万円に必要な顧客数を計算すると次のとおりです。

契約の形 1社(1件)あたりの年間売上 1,000万円に必要な数
月額10万円の顧問型 120万円 9社(8.3社)
月額15万円の顧問型 180万円 6社(5.6社)
月額20万円の顧問型 240万円 5社(4.2社)
6か月150万円の期間契約 150万円 年7件(6.7件)
1回5万円の単発セッション 5万円 年200回

月額10万円・月2回のセッションで9社を持つと、月のセッションは18回。週4~5回のペースで1,000万円に届きます。

9社が市場の中でどれくらいの数かも見ておきましょう。中小企業庁の中小企業白書によると、国内の中小企業は約336.5万者(2021年6月時点)で、全企業の99.7%を占めます。9社は、そのうちのごく一握りです。足りないのは市場の大きさではなく、9人の経営者に見つけてもらい、選ばれる理由のほうです。

志師塾で学んだ財務顧問の方には、財務の深い知識を持たない状態から始め、月1回訪問・月額15万円の顧問を8件持って、開業1年目に年商1,200万円を超えた例があります。武器にしたのは専門知識の深さではなく、経営者に寄り添う姿勢でした。コーチングと財務顧問は業態が違いますが、経営者向けの仕事は、少ない社数で年商1,000万円に届くという構造は共通しています。

1.3 公的データとICFの調査で見るコーチの収入と競争

「コーチングは稼げない」という声がある一方で、年収1,000万円を超えるコーチもいます。まず国内の公的データで、1,000万円という数字の位置を確かめておきます。

国税庁の民間給与実態統計調査(令和5年分)では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は460万円でした。会社員の給与と、コーチング事業の売上は性質の違う数字です。それでも、1,000万円が平均の2倍を超える水準だという感覚はつかめます。

次に世界の状況です。コーチの業界団体である国際コーチング連盟(ICF)が公表した2025 ICF Global Coaching Studyでは、世界のコーチ実務者は約12万3,000人で、2023年の調査から15%増えました。回答者の54%が、リーダーシップ/エグゼクティブ領域を専門にしていると答えています。コーチの過半数が、同じ「経営者・リーダー向け」の看板を掲げているわけです。

収入の面では、この調査を紹介する海外の解説記事によると、コーチング活動による年間収入の平均は世界全体で約4万9,000ドル、アジアで約3万4,000ドルです。1ドル150円で換算すると約740万円と約500万円になります。為替で動く数字ですが、年収1,000万円は世界平均を上回る水準です。

同じ調査では、59%のコーチが「来年は収入が増える」と予想し、その主な理由に顧客数とセッション数の増加を挙げています。ただ、顧客数を増やす発想だけでは、どこかで時間が足りなくなります。この点は第5段階で扱います。

1.4 件数が少ないほど「1社目」が重くなる

9社で届くということは、1社を取る重みも、1社を失う影響も大きいということです。月額10万円の契約を1社取るまでに、名刺交換、相談、提案、経営者の決断と、数か月かかることもあります。

ここで確かめたいのが、志師塾でいう「ガチ時給」です。ガチ時給とは、セッションの時間だけでなく、営業や移動、資料づくり、事務処理まで含めて計算した実際の時給のこと。セッション単価が5万円でも、1社取るまでに100時間かけていれば、時給は見た目よりずっと低くなります

志師塾代表の五十嵐も、年商1,000万円前後の頃は月の労働時間が400~500時間、ガチ時給は約2,000円でした。年収1,000万円は、売上の数字だけでなく「何時間で作ったか」まで設計して、はじめて続けられる数字になります。ここから、5つの段階を順に見ていきます。

2. 【第1段階】エグゼクティブコーチは「誰の・どの課題か」で絞る

経営者コーチの肩書きを作る5ステップ

第1段階の絞り込みとは、「どんな経営者の、どんな課題を支えるコーチか」を一言で言える状態にすることです。ICFの調査にあるとおり、コーチの半数以上がエグゼクティブ領域を掲げています。看板が同じなら、経営者はコーチを見分けられません。

2.1 「エグゼクティブコーチ」と名乗るだけでは選ばれない

経営者から見ると、「エグゼクティブコーチです」という自己紹介は「経営コンサルタントです」とほとんど変わりません。何をしてくれる人か分からないので、判断は先送りになります。

志師塾では、この状態を「選ばれる理由(キラーコンテンツ)が甘い」と表現します。選ばれる理由が甘いまま、SNSの発信や交流会に時間を使っても、返ってくるのは「他のコーチでもいいや」という反応です。

五十嵐自身、中小企業診断士として開業した直後に資格名を肩書にして、まったく選ばれませんでした。経営コンサルタント、研修講師、ITコンサルタント、Webマーケティングコンサルタントと、1年で肩書を変えて、ようやく仕事が回り始めています。コーチングの資格は面談の場での安心材料にはなります。けれども、資格名や「エグゼクティブ」という言葉は、選ばれる理由の代わりにはなりません。

2.2 小人(理想顧客)を経営者の属性とタイミングで決める

志師塾では、理想の顧客像を「小人(こびと)」と呼び、年齢・業種・悩み・使っている言葉まで具体的に描きます。エグゼクティブコーチの場合、「経営者」だけでは広すぎます。次の切り口を組み合わせると、小人の顔が見えてきます。

  • 業種:建設業、飲食チェーン、IT企業、医療法人など
  • 規模:社員10名前後、30名の壁、100名超など
  • 立場:創業者、二代目・三代目の後継者、雇われ社長、役員
  • タイミング:事業承継の前後、幹部の離職が続いた時期、上場準備、第二創業

たとえば「社員30名を超えて、社長の目が届かなくなった二代目社長」まで絞ると、悩みの言葉も、読んでいる本も、集まる場所も決まってきます。

単価を決めるのは腕ではなく、この小人の設定です。志師塾が紹介してきた事例には、同じ発声の技術のまま、「歌が上手くなりたい人」から「30代後半の女性の生き方」へ訴求相手を変え、単価を8倍にしたボイストレーナーもいます。同じコーチングの技術でも、誰のどの悩みに当てるかで値段は変わります。

2.3 経歴を掛け合わせて「1万人に1人」になる

絞り込みで迷ったら、自分の経歴との掛け合わせを考えます。志師塾が使うニューコンビネーションの考え方では、100人に1人の経験を2つ組み合わせると、1万人に1人の存在になります。

  • 元経営者 × コーチング → 事業を手放した経験を持つ、経営者の伴走役
  • 弁護士 × コーチング → 法律と行動の両面から社長を支える顧問
  • 大手企業のマーケティング職 × 研修 → 若手社員の企画力を育てる講師

この3つは、後ほど紹介する志師塾卒業生が実際に選んだ組み合わせです。経営者は「コーチングが上手な人」より、自分と同じ場面をくぐった人に相談したくなります。

掛け合わせた領域が、志師塾の三つの輪(やりたいこと×できること×儲かること)の重なりに入っているかも確かめましょう。儲かるだけの領域はいつかやめてしまい、やりたいだけの領域はボランティアになります。

2.4 エグゼクティブコーチの肩書きを13文字に落とし込む

絞り込めたら、肩書きにします。志師塾では、肩書きを「あなたの価値を1秒で伝える言葉」と定義し、専門領域+一般名称で13文字前後にまとめることを勧めています。

「コーチ」は一般名称の部分です。その前に、第1段階で決めた相手と課題を置きます。「二代目社長の組織づくりコーチ」「医療法人理事長専門コーチ」といった形です。

一般名称の選び方にも注意が要ります。小人となる経営者が「コーチ」という言葉に距離を感じるなら、「伴走」「右腕」「参謀」など、相手が自然に受け取れる言葉に替えてかまいません。後ほど紹介する岩切宏樹さんが「人生と経営の伴走家」と名乗っているのは、その好例です。

3. 【第2段階】エグゼクティブコーチの商品を高単価で設計する

経営者向けコーチングを高額商品にする3条件

第2段階の商品設計とは、1社から年間100万円以上を受け取れる形に、コーチングを組み直すことです。1回ごとのセッション販売のままでは、第1段階で絞った相手に出会えても、1,000万円までの回数が足りません。

3.1 高額商品の3条件で、経営者向けの領域を点検する

志師塾では、高額商品が成り立つ条件を3つに整理しています。

  1. 強いニーズ・悩みがある:「なんとなくあればいい」ではなく、放置すると困る悩みであること
  2. 高額を支払う能力がある:相手に支払いの余力があること
  3. 競合に勝てる分野である:比べられにくい場所に立っていること

経営者は2つめの条件を満たしやすい相手です。残りの2つを満たすには、社長の3大お悩みといわれるヒト・カネ・売上のどれかに、コーチングの成果をつなげます。

「経営者の内省を深める」だけでは、ニーズの強さが伝わりません。「幹部が自分で決められるようになり、社長が現場から抜けられる」まで言えると、お金を払う理由になります。3条件のどれかが欠けたまま単価だけ上げても、契約は続きません。高額商品がないままでは、どれだけ働いても先生ビジネスはボランティアに近づいていきます。

3.2 月額顧問型と期間契約型の組み合わせ方

エグゼクティブコーチの商品は、大きく「月額顧問型」と「期間契約型」に分かれます。志師塾の言い方では、前者がストック型、後者がフロー型です。

月額顧問型(ストック型) 期間契約型(フロー型)
月額10万~20万円・月1~2回 6か月100万~300万円
強み 毎月の売上が読める 1件の金額が大きい
弱み 1件の金額は小さい 期間が終わると売上が止まる
向く相手 継続して相談相手が欲しい社長 期限のある課題(承継・組織改編など)を抱える社長

おすすめは、期間契約で成果を出し、終了後に月額顧問へ移る流れです。志師塾では、スポット型とストック型の比率を5:5に近づけると収入が安定すると伝えています。スポット型はボーナス、ストック型は毎月の給料と考えると分かりやすいでしょう。

単価を1つに固定せず、段階をつけて組む発想は、補助金支援で支援単価を5段階に分けて設計する方法でも詳しく解説しています。

3.3 標準パッケージを先に決める

1対1のコーチングでも、標準パッケージは必要です。標準がないと、顧客は何が基本で何がカスタマイズなのか判断できません。

パッケージに入れる要素は、期間、セッションの回数と時間、セッション外の連絡手段、事前のヒアリングや診断、終了時の振り返りの5つが基本です。経営者は日中の予定が埋まりやすいので、早朝枠やオンラインへの切り替えを最初から決めておくと、提案の場で迷わせずに済みます。

ただし、教材や資料を作り込むのは売れてからで十分です。志師塾では商品開発の順番を「創って・売って・作る」と表現します。構想を創り、売れることを確かめてから、中身を作る。売れるか分からない段階で分厚いプログラム資料を用意するのは、順番が逆です。

3.4 値付けは「価格の3倍のメリット」を説明できる額にする

値付けの目安は、提示する価格の3倍のメリットを、顧客に説明できるかどうかです。6か月150万円のプログラムなら、450万円分のメリットを語れるか。

幹部が1人辞めずに残る。社長が週1日を現場から取り戻す。承継の時期が前に進む。コーチングの成果を経営の数字に置き換えられれば、150万円は高くありません。説明できないときに足りないのは、価格の安さではなく説明の材料です。

NonaCanvasが2025年10月に実施した経営者向けコーチング実態調査2025では、コーチングを受けた経営者・役員265名のうち43%が「投資額の7倍以上の価値があった」と答えています。受けた本人の主観による評価ですが、経営者がコーチングの効果を金額で捉えていることは読み取れます。

もう一つ、中小企業の社長は100万円以内ならその場で決め、100万円を超えると社内で相談を始める傾向があります。最初の提示を100万円以内に収めるか、超えるなら「単発のセッションは1回10万円」のような比較の基準(アンカー価格)を先に示してから提示するか。どちらで行くかを決めておきましょう。コンサルタントを含めた単価の上げ方は、コンサルタントの年収と高単価で受注する方法の記事も参考になります。

4. 【第3段階】エグゼクティブコーチが最初の3社を取る方法

実績ゼロから最初の3社を取る流れ

第3段階は、実績のない状態から、事例として語れる顧客を3社つくる段階です。経営者は失敗できない立場にいるので、実績のないコーチに100万円を払う判断はしにくい。最初の3社は、広告やSNSより、すでに信頼がある関係から取りにいきます。

4.1 アポ獲得リストは「知人→紹介→新規」の順でつくる

志師塾の講座では、話を聞いてもらう相手を、知人、知人からの紹介、新規の順に10件以上書き出すワークを行います。エグゼクティブコーチなら、次のような関係が出発点です。

  • 前職の取引先や、独立した元上司・同僚
  • 経営者の勉強会、商工会議所、業界団体
  • 顧問先を多く持つ税理士・社労士・弁護士

いきなり契約をお願いする必要はありません。「経営者向けのプログラムを作っていて、現場で役立つか意見を聞かせてほしい」と頼めば、会う理由が生まれます。

売れるかどうかを確かめる仮説検証を、集客より先にやる。この順番を飛ばして売り込むと、そもそも欲しがられていない商品を押しつけることになります。

4.2 モニター価格は条件をつけて出す

最初の3社をモニター価格で受けるのは有効な手です。ただし、安くするだけのモニターは、実績にも紹介にもつながりません。値引きの代わりに、次の条件を先に合意しておきます。

  • 期間と社数を限定する(例:先着3社・6か月)
  • 終了時に、社名を伏せた形で事例として紹介してよいか確認する
  • 成果が出たら、感想や推薦の言葉をもらう

志師塾自身も、Web集客講座の1期生を1万2,000円で募集し、9人中6人が50万円以上の売上を上げた実績を示したうえで、2期生を9万8,000円にしました。モニターは、値上げの材料を集める期間と位置づけると安売りで終わりません。

4.3 個別相談は「解決策を教える場」にしない

人脈や紹介から相談が入ったら、個別相談で契約を決めます。ここで多い失敗が、良い話をしすぎて「ありがとうございます。一度自分でやってみます」と言われて終わるパターンです。

志師塾では、個別相談を問題点を明らかにし、解決したいという意欲を高める場と定義し、6つのステップで進めます。

  1. 関係性の想起:これまでの接点を振り返る
  2. 個人的な関係構築:現在から過去、未来へと話を聞く
  3. 目的の合意:「今日は問題点を明確にするところまで」と確認する
  4. 問題の深掘り:原因を掘り下げ、他の問題も洗い出す
  5. 本気度の確認:「本当に解決したいと思っていますか」と尋ねる
  6. 選択肢の提示:自分で解決する道と、伴走を受ける道を示す

経営者は、提案されるより自分で選ぶことを好みます。6つめを「提案」ではなく「選択肢の提示」にしているのは、そのためです。独立直後に大型の契約を決めた話し方の組み立ては、独立直後に年額300万円の委託契約を受注した営業トークの作り方でも紹介しています。

4.4 1社目の成果を「Before After」で語れるようにする

1社目が終わったら、すぐに事例としてまとめます。書くのはコーチングの手法ではなく、社長と会社がどう変わったかです。

エグゼクティブコーチングは守秘義務が重く、社名を出せないことがほとんどです。それでも、たとえば「社員40名の製造業の二代目社長。幹部と話す機会が月1回から週1回に増えた」といった書き方で、業種・規模・変化を示せば、次の経営者は自分に重ねて読めます(ここでの内容は書き方の例です)。

この事例が、第4段階の紹介と発信の材料になります。

5. 【第4段階】エグゼクティブコーチの集客は紹介を仕組みにする

第4段階は、知人の輪を使い切った後も、経営者からの相談が途切れない状態をつくる段階です。エグゼクティブコーチの集客では、SNSや広告より先に紹介の仕組みを整えます。

5.1 経営者はメディアより「人の推奨」でコーチを選ぶ

先ほどのNonaCanvasの調査(30~59歳の経営者・役員1,064名が対象)では、コーチングを始めたきっかけとして「組織課題の解決」が42%、知人や経営者仲間の体験談・推奨が28%でした。デジタル・オフラインのメディア経由は、それぞれ約1割にとどまります。

民間企業による調査ではありますが、経営者は課題を抱えたとき、信頼できる人の推奨でコーチを選ぶという傾向ははっきり出ています。発信を増やす前に、推奨してくれる人を増やす。エグゼクティブ領域では、こちらが近道です。

5.2 紹介が生まれる5つの感情トリガー

紹介は、メリットがあるだけでは生まれません。志師塾では、紹介を動かす感情を5つに整理しています。

感情トリガー エグゼクティブコーチでの具体策
自慢 「〇〇専門のコーチ」と、紹介者が人に話したくなる尖りを持つ
感謝 紹介の有無にかかわらず、節目ごとにお礼を伝え続ける
面白さ 経営者同士の雑談で使える、話したくなる考え方や経歴を用意する
感動 期待を上回る関わりをつくる(例:社員が社長の良いところを語る場を用意する)
金銭的インセンティブ 士業などのパートナーと、三方良しになる紹介の制度を設ける

エグゼクティブコーチの場合、「自慢」と「感動」が特に効きます。経営者は、他の経営者に「いい人を知っている」と言えることを喜びます。一方でコーチングは相談内容を明かせない仕事なので、紹介する側が説明しやすい一言の肩書きが欠かせません。第1段階の絞り込みが、ここで効いてきます。

紹介者は、薄い関係の100人より、濃い関係の10人を大切にしましょう。

5.3 士業とのJVで「顧客がすでにお金を払っている先」とつながる

紹介が感情で動くのに対して、JV(ジョイントベンチャー=他社と組んで顧客を紹介し合う提携)は理屈で組む仕組みです。パートナーは、理想の顧客がすでにお金を払っている先から逆算して探します。

経営者がお金を払っている先といえば、税理士、社労士、弁護士、金融機関、経営者の勉強会などです。たとえば税理士事務所の顧問先向けセミナーで講師を務める形(志師塾では「目玉モデル」と呼びます)なら、事務所は顧問先へのサービスを増やせて、あなたは信頼の厚い経営者に会えます。

組む相手には、「数字と税務の相談は先生に、人と意思決定の相談はコーチに」と役割を分けて伝えます。競合ではなく補完の関係だと分かれば、紹介は双方向に回り始めます。

5.4 発信は「課題の名前で見つけてもらう」ためにやる

メディア経由のきっかけが約1割でも、発信が要らないわけではありません。紹介を受けた経営者は、会う前にあなたの名前を検索します。そのとき、ホームページやブログが信頼の裏付けになるかで、面談の温度が変わります。

書くテーマは、コーチングの理論ではなく、小人が検索する課題の言葉です。「幹部が育たない」「二代目 社員がついてこない」「社長 相談相手がいない」。こうした言葉で見つかる記事が、紹介の後押しになります。

対面の場では、交流会での1分自己紹介と少人数のセミナーが効果的です。志師塾が2,917人のデータで検証したところ、フロントセミナーは5~8人の規模が、9~15人の約1.4倍、16~25人の約2倍の成約率でした。経営者向けなら、少人数の勉強会形式が相談につながりやすくなります。

志師塾のWeb集客ロードマップでも、紹介・JV・交流会・名刺代わりのホームページといった身近な集客だけで、年商1,000万円には届くと整理しています。広告を考えるのは、その後です。

6. 【第5段階】エグゼクティブコーチの支払い主体を個人から組織へ広げる

エグゼクティブコーチの契約が組織払いへ広がる段階

第5段階は、契約の相手を「経営者個人」から「会社・組織」へ広げ、1,000万円を安定させてその先へ伸ばす段階です。9社で1,000万円に届いた後、同じやり方で2,000万円を目指すと、必要な時間も倍になります。

6.1 1対1のモデルは年商1,000万円で頭打ちになる

1対1のセッションを積み上げる働き方は、労働集約型です。志師塾では「年商3,000万円は、年商1,000万円の延長線にはない」と伝えています。

エグゼクティブコーチは1回ごとの準備と振り返りにも時間がかかり、経営者の予定に合わせるので枠の自由も利きません。20社、30社と増やせばガチ時給は下がり、1社あたりの関わりも薄くなります。職人型の先生から、仕組みで価値を届けるオーナー型の先生へ、商品の組み方を変える時期です。

五十嵐も、個別の仕事を講座化したことで、ガチ時給が約2,000円から約2万円へ、およそ10倍になりました。

6.2 支払う主体によって、売り方と契約の形が変わる

組織へ広げるときは、まず「誰のお金で払われるか」を整理します。

支払う主体 決める人 契約の形 売り方のポイント
経営者個人 社長本人 期間契約・月額 社長の人生や価値観への共感
会社の経費(社長決裁) 社長本人 顧問契約 ヒト・カネ・売上への効果
研修・人材育成の予算 人事部・役員会 研修・年間プログラム 成果の測り方、他社事例、稟議に通る資料

研修の予算に乗る場合、単価は研修講師の相場に近づきます。志師塾の把握している水準では、研修会社経由の下請けは1日5万~10万円、直接受注なら1日20万円ほどです。

法人開拓の鉄則は、お客さんがすでに払っているお金(原資)に乗ることです。「コーチングの予算」をゼロから作ってもらうより、すでにある研修予算や採用・定着の予算の中で提案するほうが、決裁は通りやすくなります。

6.3 ドアノック商品で幹部チーム・次世代へつなげる

組織へ入る入口には、ドアノック商品を使います。ドアノック商品とは、特定の業務の悩みに絞った、始めやすいフロント商品のことです。

エグゼクティブコーチなら、「新任役員の最初の90日支援」「後継者と幹部の合宿1回」「管理職の1on1面談の型づくり」のように、社長のコーチングから派生する業務に絞ります。入口で成果が出れば、幹部チームのコーチング、次世代リーダーの研修、社長の月額顧問へと広がります。

後ほど紹介する矢澤滋人さんは、20代・30代社員の企画提案力を育てる研修で企業を支援しています。支援の相手を社長から社員に移すと、お金を払うのは会社になるという好例です。

6.4 前工程に立ち、「最初に相談される人」になる

事業承継や組織改編のように、税理士・弁護士・社労士など複数の専門家が関わるテーマでは、深い専門知識よりも、全体を見渡して最初に相談を受ける立場に価値があります。志師塾はこれをコンダクター戦略と呼び、専門家に相談する前の悩みに特化することを前工程へのシフトと表現しています。

事業承継は、この前工程が大きく開いている領域です。中小企業庁は事業承継に関する資料の中で、2025年までに70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者が約245万人に上り、うち約半数の約127万人が後継者未定になるという試算を示してきました。承継の手続きは専門家に頼めても、「誰に、何を残すか」は社長本人にしか決められません。

社長が「承継をどう進めるか」を税理士に相談する前に、「そもそも自分は何を残したいのか」を一緒に考える。エグゼクティブコーチは、この前工程に立ちやすい職業です。最初に相談される人は比べられにくく、後工程の専門家へ仕事をつなぐことで紹介も戻ってきます。

組織向けの商品に、経営者の少人数勉強会のようなストック型の商品が加わると、1,000万円は毎年ゼロから積み上げる数字ではなくなります。

7. 志師塾卒業生に学ぶエグゼクティブコーチ・経営者伴走の事例

ここまでの5段階を、経営者や企業の支援で道を切り開いた志師塾卒業生の事例で確認します。

7.1 元経営者の経験を肩書きに変えた岩切宏樹さん(人生と経営の伴走家)

岩切宏樹さんは、アパレル事業をはじめ、カルチャースクール、託児所、コンビニエンスストア、EC事業、YouTuber支援事業などを展開してきた元経営者です。急性心筋梗塞で倒れ、ICUで48時間を過ごしたことをきっかけに、長年経営してきた会社を譲渡しました。

現在は、経営者や士業に向けて伴走型の支援を行うライフコーチです。志師塾での学びを通じてサービスを磨き、肩書きを再定義して「人生と経営の伴走家」と名乗るようになりました。

支援の柱の一つが、経営者が仕事を一人で抱え込まないようにする脱属人化です。「もし明日、自分がいなくなったら会社はどうなるのか」という問いは、自身が倒れた経験を持つ岩切さんが語るからこそ、経営者に届きます。第1段階の絞り込みと、経歴の掛け合わせを体現した事例です。

7.2 法律×コーチングを顧問契約に組み込んだ田村優介さん(社長のコーチ弁護士)

田村優介さんは、東京・池袋を拠点とする弁護士です。5,000件以上の法律相談、1,000件以上の紛争解決を経験してきました。

弁護士14年目に志師塾へ参加した当時は、個人向けの案件が中心でした。1人1回で終わる関わりが多く、長く二人三脚で取り組める仕事を求めていたといいます。志師塾の自己棚卸しで、東京大学文学部で専攻した社会心理学が強みになると気づきました。コロナ禍で自身も経営に苦しんだ経験から、同じように悩む社長に伝えられることがあると考え、コーチング資格も取得しています。

こうして生まれたのが「社長のコーチ弁護士」というポジションです。企業顧問のサービスに月1回のコーチングセッションを組み込み、法律相談を回数の制限なく受けられることや、弁護士本人へ直接連絡できることもセットにしました。社長の心に響く詳しい説明資料を作り込んだことが、顧問契約の獲得につながっています。交流会での1分自己紹介から新規の顧客も獲得し、起業したての経営者向けの料金プランも用意しています。

既存の専門知識にコーチングを組み込み、標準パッケージとして顧問契約に乗せた点は、第2段階の見本です。

7.3 大手企業のマーケティング経験を企業研修に変えた矢澤滋人さん

矢澤滋人さんは、インプレスビジョン株式会社代表で、次世代向けマーケティングコーチです。サントリーホールディングスに42年勤務し、マーケティング部門で多数の飲料ブランドを担当したほか、グループ会社の経営にも携わりました。

定年退職後に事業を始め、現在は幅広い業界の企業に向けて、20代・30代社員の企画提案スキルを高める研修プログラムを提供しています。キャッチフレーズは「最短90日間で『刺さる企画提案』がひらめく社員に変身!」。ケースメソッド、アート思考、インサイト調査の3つのメソッドを組み合わせています。

支援の対象を若手社員に絞り、企業が費用を払う研修として形にした点は、第5段階の考え方と重なります。キャッチフレーズに期間の数字と成果が入っている点も、そのまま参考になります。

3人に共通するのは、集客の技術より先に「自分は誰の何を支えるのか」を言葉にしたことです。あなたの経歴も、言葉の置き方しだいで経営者に選ばれる理由になります。その言葉の見つけ方と、顧客獲得までのつなげ方は、志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーで先生業の事例とともにお伝えしています。

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8. まとめ:エグゼクティブコーチの年収1,000万円は5段階で積み上げる

年収1,000万円までの5段階

エグゼクティブコーチの年収1,000万円は、月額10万円の顧問なら9社で届く数字です。約336.5万者ある中小企業のうちの9社であり、必要な顧客が少ないぶん、1社ごとに「選ばれる理由」と「続く理由」を設計できるかが結果を分けます。

段階 やること 使う志師塾の考え方
第1段階:絞る 誰の・どの課題かを一言にする 小人の設定、ニューコンビネーション、肩書き13文字
第2段階:商品設計 1社から年間100万円以上を受け取れる形にする 高額商品の3条件、フロー型×ストック型、価格の3倍のメリット
第3段階:最初の3社 信頼がある関係から事例をつくる 仮説検証、個別相談6ステップ
第4段階:紹介の仕組み 推奨とJVで相談を途切れさせない 紹介の5つの感情トリガー、JV
第5段階:組織へ 支払い主体を会社へ広げる ドアノック商品、前工程へのシフト

まだ1,000万円に届いていないなら、つまずきは第1段階か第3段階にあることが多いはずです。まずは、あなたの肩書きを見た経営者が「自分のことだ」と感じるかどうか。そこから確かめてみてください。

9社に選ばれる伝え方を、事例で確かめたいエグゼクティブコーチの方へ

5段階のうち、多くのコーチが止まるのは「誰の何を支えるか」を言葉にする段階と、最初の顧客を取る段階です。先生業のためのWeb集客セミナーでは、専門性で選ばれる伝え方から、紹介や相談につなげる順番までを、先生業の事例で解説しています。参加は無料です。

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この記事について

この記事は、先生業専門のビジネススクール『志師塾』が執筆・監修しています。志師塾はこれまで3,200名超(2026年8月時点)の士業・コンサルタント・コーチ・講師を支援し、実名と具体的な成果を載せた卒業生インタビューを125本(2026年8月時点)公開しています。

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