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士業交流会の使い方7型|3ヶ月で紹介10件を目指す動き方

士業交流会に出る回数を増やしても、紹介の件数はほとんど増えません。名刺の枚数と紹介の件数が比例しない理由は、紹介が「会った瞬間」ではなく交流会が終わった後の動き方から生まれるからです。

この記事では、士業交流会を紹介につなげるために、次の内容を解説します。

  • 士業交流会で紹介が生まれない理由と、「紹介1件」の数え方
  • 3ヶ月で紹介10件を目指すための数字の置き方と、月ごとの動き方
  • 出る会の選び方から紹介の記録まで、交流会の使い方7型
  • 紹介料の注意点と、税理士を軸にした士業どうしの組み方

志師塾は、先生業専門のビジネススクールとして3,200名超の士業・コンサルタント・講師・コーチを支援してきました。志師塾が行った仕事獲得経路のアンケートでも、最も多かった経路は「人脈」です。紹介は、今も先生業の仕事を支える太い柱になっています。

読み終えるころには、次の交流会で誰に何を話し、帰ってから何をするかが、3ヶ月分の予定として手元に残っているはずです。まずは、交流会で紹介が生まれにくい理由から見ていきます。

Table of Contents

1. 士業交流会で紹介が生まれない本当の理由

交流会が「意味ない」と言われる3つの場面

士業交流会とは、税理士・社労士・行政書士・司法書士・弁護士などの士業に、コンサルタントや経営者が加わり、名刺交換や情報交換をする場のことです。立食形式、着席形式、勉強会を兼ねた形式などがあり、会費は数千円から数万円まで幅があります。紹介が生まれるかどうかを決めるのは、会の形式より参加する側の動き方です。

1.1 士業交流会が「意味ない」と言われる3つの場面

交流会に否定的な声を集めると、だいたい次の3つの場面に行き着きます。

  • 売り込みの場になっている:名刺を渡した直後にサービス案内が始まり、全員が「売られる側」になる
  • 名刺交換だけで終わる:その場は盛り上がっても、翌週には顔と名前が一致しない
  • 会費と時間に見合わない:毎回違う会に出て、毎回ゼロから自己紹介をしている

このほか、ネットワークビジネスや投資話の勧誘を目的にした参加者が混ざる会もあります。注意:初めて出る会は、主催者の目的と参加者の顔ぶれを事前に確かめてから申し込むのが安全です。

3つの場面は、どれも交流会という場の欠点というより「その場で成果を取ろうとする使い方」から起きています。売り込みたくなるのも、名刺の枚数で満足してしまうのも、1回の参加で結果を出そうとするからです。

1.2 紹介は紹介者にとって「リスク」になる

志師塾では、紹介を「紹介者の信用をお借りして提案する行為」と説明しています。あなたを紹介した相手が期待外れの対応をされたら、恥をかくのは紹介者です。紹介は、紹介する側にとって「リスク」になるのです。

だから、会ったばかりの相手に「いいお客さんがいたら紹介してください」と頼んでも、紹介は出ません。人は、知っている相手の中から信頼できる相手を選んで紹介します。知ってもらい、信頼してもらい、そこで初めて紹介が出る。この順番を飛ばさないことが、交流会を使ううえでの前提です。

逆に言えば、紹介者はあなたの信用をティーアップしてくれる存在でもあります。ゴルフでボールをティーに乗せて打ちやすくするように、紹介者の一言があれば、初対面の見込み客とも最初から話がしやすくなる。開業直後で実績が少ない時期ほど、この「借りた信用」は効きます。

1.3 成果を分けるのは名刺交換から先の設計

志師塾代表の五十嵐も、2009年に独立した直後は仕事がなく、朝から夕方まで誰とも話さない日が続いた結果、夜の交流会で第一声が出なかったことがあります。その後、人との関係性の築き方に着目して動き方を変え、1年間で新規顧客256名を獲得しました。

志師塾では、紹介を増やす道筋を「個を強くする → 紹介者を増やす → 紹介チームを作る」の3ステップで伝えています。交流会は、この3ステップを進めるための入口の一つです。名刺交換はスタート地点にすぎず、紹介の件数を決めるのはそこから先の設計になります。

2. 士業交流会の成果を「3ヶ月で紹介10件」で設計する

3ヶ月で紹介10件の分解(仮置きの目安)

士業交流会の成果設計とは、参加回数ではなく「紹介が生まれるまでの段階」ごとに数字を置き、どこで止まっているかを見える状態にすることです。数字がないと、交流会に出た手応えだけが残り、何を直せばいいのか分からなくなります。

2.1 先に「紹介1件」の数え方を決める

「紹介が増えた」と言っても、何を1件と数えるかで意味がまったく変わります。名刺をもらったことを紹介と呼ぶ人もいれば、受任した案件だけを数える人もいるでしょう。

この記事では、紹介者を通じて、見込み客との面談(相談の場)が1回設定されたら「紹介1件」と数えます。受任まで含めると、案件の性質や時期に左右され、交流会での動き方を評価しにくくなるためです。受任件数は別の欄で管理します。

起きたこと 紹介1件に含めるか 理由
名刺交換をした 含めない まだ誰にもつながっていない
「今度紹介しますね」と言われた 含めない 社交辞令のまま終わることがある
見込み客との面談日が決まった 含める 紹介者が実際に動いた証拠になる
受任した 別の欄で数える 面談での提案力も含んだ結果になる

もう一つ、あなたが相手に「渡した紹介」も別の欄で数えてください。受け取る紹介は、渡した紹介の後からついてくることが多いからです。これは型4で詳しく扱います。

2.2 3ヶ月で紹介10件を分解する目安表

紹介10件を一つの大きな目標のまま追っても、何から手をつけるかは見えてきません。段階ごとに分けると次のようになります。表の割合は、考え方を示すための仮置きの数字です。志師塾の実績値ではありません。右端の欄にあなたの数字を入れて使ってください。

段階 仮置きの目安 3ヶ月の数 あなたの数字
交流会・勉強会に出る 月2回 6回  
会話して名刺交換する 1回8人 約48人  
1対1の面談(30分ほど) 名刺交換した人の約3割 約15人  
紹介し合える関係になる 面談相手の3人に1人 約5人  
受け取る紹介 1人あたり2件 約10件  

この表で一番高いハードルは、最後の「1人あたり2件」です。出会って数ヶ月の相手から2件の紹介を受けるには、相手の顧客とあなたの専門が重なっていることが条件になります。件数が届かないときは、会う人数を増やすより、顧客が重なる相手に絞る方が効きます。

長い目で見た土台も確認しておきましょう。志師塾の講座では「自分を紹介してくれる人が10人いれば、ビジネスは成り立つ」と伝えています。10人が年に1~2件ずつ紹介してくれれば年10~20件。単価50万円なら500万~1,000万円の売上です。3ヶ月で紹介10件は集中して動いた場合の目標値で、その先に目指すのは紹介してくれるキーマン10人との関係になります。

2.3 1ヶ月目・2ヶ月目・3ヶ月目の動き方

3ヶ月の動きを月ごとに並べると、次のとおりです。

時期 主な動き 月末に確かめること
1ヶ月目 候補の会を3つほど試す/紹介者が口に出せる一言を固める/会った人へ72時間以内に連絡する/1対1の面談を5件 続けて出る会を2つに絞れたか
2ヶ月目 絞った会に続けて出る/1対1を累計10件/紹介し合えそうな相手に「紹介してほしい相手の条件」を伝える/紹介の記録を始める あなたから紹介を1件以上渡せたか
3ヶ月目 少人数の勉強会を共催で1回開く/紹介の結果報告を徹底する/紹介してほしい相手をはっきりお願いする 受け取った紹介の累計と、止まっている段階

1ヶ月目に受け取る紹介がゼロでも、それは設計どおりです。最初の1ヶ月は「紹介してもらう月」ではなく「覚えてもらう月」と割り切ると、焦って売り込む失敗を避けられます。

3ヶ月の目安が見えても、紹介で決まった面談で選ばれなければ、件数は仕事に変わりません。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーでは、紹介やWebで出会った見込み客に選ばれ、相談につながるまでの流れを先生業の事例とあわせて解説しています。

紹介で会えた見込み客に、選ばれる準備はできていますか

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3. 士業交流会の使い方7型の早見表

7型は紹介の3ステップ順に進める

士業交流会の使い方7型とは、志師塾が伝えている紹介づくりの考え方を、交流会の前後で取る具体的な行動に分けて並べたものです。最初に全体を一覧で確認してください。

3.1 7型の一覧

やること 力を入れる時期
型1 出る士業交流会を2~3に絞る 1ヶ月目
型2 同じ会に通い続け、小さな約束を守る 2~3ヶ月目
型3 紹介者が口に出せる一言を作る 1ヶ月目
型4 情報や人の紹介を先に渡す 2~3ヶ月目
型5 1対1の面談で相手の顧客を聞く 1~3ヶ月目
型6 少人数の勉強会を主催する 3ヶ月目
型7 紹介の記録と結果報告を続ける 2~3ヶ月目

3.2 7型は紹介の3ステップに沿って並んでいる

7つの型は、1章で触れた「知ってもらう → 信頼してもらう → 紹介してもらう」の順番に沿っています。

  • 型1~型3(知ってもらう):会う場所と伝える一言を決め、専門分野を覚えてもらう。志師塾の3ステップでいう「個を強くする」段階
  • 型4・型5(信頼してもらう):先に役立ち、相手の顧客を理解して、紹介し合える相手を増やす段階
  • 型6・型7(紹介が続く):場を主催し、記録と報告を重ねて「紹介チーム」をつくる段階

型1~型3が弱いまま型6の勉強会を開いても、人は集まりにくく、集まっても紹介は生まれにくいままです。順番には意味があります。

3.3 3ヶ月で7型を同時に始めない

7つを一度に始めると、どれも中途半端になります。本業を回しながら交流会に使える時間には限りがあるからです。

2.3の月別の動きと合わせると、1ヶ月目は型1・型3・型5、2ヶ月目から型2・型4・型7を加え、3ヶ月目に型6へ進むのが無理のない順番です。迷ったら、型3の一言から手をつけてください。一言が決まると、出る会の選び方も、1対1で聞くことも決めやすくなります。

4. 士業交流会の使い方 型1~型3:場を選び、覚えてもらう

紹介者が口に出せる一言の作り方(行政書士例)

型1~型3は、士業交流会で「あの分野ならあの先生」と思い出してもらうための型です。どれだけ感じよく話しても、相手の記憶に専門分野が残らなければ、紹介の候補には上がりません。

4.1 型1:出る士業交流会を2~3に絞る

最初にやるのは、出る会を増やすことではなく減らすことです。候補の会は、次の4つの基準で見比べます。

  • あなたの顧客を抱えている人がいるか:中小企業の労務を扱う社労士なら、中小企業の顧問先を持つ税理士や金融機関の担当者が来る会
  • 定例で開かれているか:同じ顔ぶれに繰り返し会える
  • 紹介や案件相談の仕組みがあるか:参加者どうしで相談を持ち寄る時間や、紹介の結果を共有する習慣がある
  • 売り込みの空気が強すぎないか:名刺交換の直後から商品案内が飛び交う会では、信頼を積む前に疲れてしまう

志師塾では、顧客リストを持っている人を「リストホルダー」と呼んでいます。会を選ぶ基準は、あなたの見込み客がすでにお金を払っている先の人が来ているか。ここを押さえておけば、大きく外すことはないでしょう。

交流会以外の選択肢として、講座や勉強会もあります。志師塾のある期の講座では、受講生28名のうち11名が士業でした。数ヶ月同じ課題に取り組む場では、1回の交流会より相手の人柄や仕事ぶりが見えるため、紹介につながる関係が育ちやすいのです。

4.2 型2:同じ士業交流会に通い続ける

単発で参加した会では、ほとんど覚えてもらえません。3回、4回と同じ会に顔を出すうちに、「いつもいる相続の人」「いつもいる労務の人」という覚え方をしてもらえるようになります。

通い続けるうえで大切なのは、小さな約束を守ることです。「次回あの資料を持ってきます」「あの先生を今度おつなぎします」と言ったら、必ず実行する。志師塾の講座でも、紹介すると約束したまま忘れてしまうと、相手にネガティブな感情が残り、次から紹介が来なくなると伝えています。相手は意外なほど覚えているものです。

こうした積み重ねを、志師塾では「信頼貯金」と呼んでいます。一度紹介がうまくいけば、紹介者にとっては紹介先を別の人に変えること自体がリスクです。そのため、次の紹介も同じ先へ流れやすくなります。講座の同期どうしで、卒業から10年ほど経っても紹介が続いているという話も珍しくありません。

4.3 型3:紹介者が口に出せる一言を作る

交流会で自己紹介を聞いた相手が心の中で思うのは、「で、この人は何をしている人なの?」です。この問いに一言で答えられないと、紹介の候補には上がりません。

ポイントは、あなたが言いたいことではなく、紹介者があなたのことを別の人に話すとき、そのまま使える一言にすることです。「誰の」「どんな悩みを」「どう解決するか」に加え、「どんな相談は受けないか」まで入れると、紹介者が迷わなくなります。

  • △「行政書士です。許認可全般をお手伝いしています」
  • ○「建設業の許可を初めて取る一人親方の相談を中心に受けています。建設業以外の許認可は、信頼できる先生におつなぎしています」

後者は範囲が狭く見えますが、聞いた人の頭には「建設業で独立した知人」の顔が浮かぶはずです。「何でもできます」という自己紹介は、紹介者にとって「誰に紹介すればいいか分からない」と同じ意味になってしまいます。

志師塾では、この一言を土台にした話すだけで仕事が増える「1分自己紹介」を、講座で毎回練習しています。1分自己紹介は、交流会でそのまま使える最強のプレゼンツールです。名刺も同じ考え方で、肩書と連絡先だけの自己紹介型名刺ではなく、見込み客が次に取る行動まで書いた「顧客獲得型名刺」にしておくと、会の後につながりやすくなります。紹介をお願いするときの話し方を具体的に組み立てたい方は、紹介を生み出すトークの作り方も参考にしてください。

5. 士業交流会の使い方 型4~型5:信頼を先に積む

30分の1対1面談で紹介につなげる流れ

型4と型5は、覚えてもらった相手から「この人なら紹介しても大丈夫」と思ってもらうための型です。紹介を受け取るより前に、あなたの側から相手の役に立つ動きを始めます。

5.1 型4:紹介を先に渡す

志師塾では、交流会で信頼を得る最も良い方法は「紹介すること」だと伝えています。受け取るより先に渡すと、相手はあなたの紹介の質を身をもって知ることになるからです。

渡せるものは、見込み客の紹介だけではありません。

  • 相手の顧客に役立つ制度改正や補助金の情報
  • 相手が探している別分野の専門家
  • 相手の新しいサービスを試す「最初の利用者」としての協力
  • 一緒に開く勉強会の場

渡し方にも落とし穴があります。志師塾では、GiveよりTakeが多い人を「クレクレ星人」、ボランティアのように動き続けてしまう人を「自己犠牲人」と呼んで注意を促してきました。前者は信頼を失い、後者は時間を失います。渡すのは、本業の範囲で無理なく続けられるものに限りましょう。

なお、ここで渡すものにお金の紹介料は含めません。士業どうしの紹介料には業法や規程の制約があるためです。詳しくは7章で解説します。

5.2 型5:1対1の面談で相手の顧客を聞く

交流会での数分の立ち話では、相手のことは分かりません。気になった相手には、会の後に30分ほどの1対1の面談をお願いします。交流会は入口で、1対1が本番です。

1対1で聞くべきことは、相手の経歴より相手のお客様のことです。

  • どんな業種・規模・地域のお客様が多いですか
  • お客様から専門外の相談をされて、困ることは何ですか
  • どんな方なら紹介しやすいですか

志師塾がこれまで取り上げた事例には、2023年5月に独立したある中小企業診断士が、開業前から1対1のミーティングを500回ほど重ねて人脈を広げ、Web集客を使わずに開業半年で年収1,700万円を超えたケースがあります。講座を終えた後の半年で202名と1対1で話し、1年目で目標年商を大きく上回ってスタッフ採用まで進んだ受講生もいます。

5.3 1対1の面談で「教えたがり病」を出さない

士業は、相手の困りごとを聞くと、つい解決策を話したくなります。志師塾ではこれを教えたがり病と呼んでいます。本来は個別相談で起きやすい失敗ですが、士業どうしの1対1でも起こりがちです。

自分の専門知識を30分話し続けると、相手は「勉強になりました」と言って帰っていきます。感謝はされても、あなたに紹介したい人の顔は浮かんでいません。志師塾が「話すよりも、聞く。」と繰り返し伝えているのは、このためです。

面談の終わりの5分で、紹介してほしい相手の条件を、業種・地域・規模・悩みの形で短く伝えます。「こういう方がいたら、ぜひ教えてください」とはっきり言葉にすることが大切です。紹介は、明確にお願いしないとなかなか出ません。信頼ができた後なら、遠慮せずお願いしましょう。

6. 士業交流会の使い方 型6~型7:紹介を仕組みに変える

紹介の記録に作る5つの欄

型6と型7は、個人どうしの紹介を「続く流れ」に変えるための型です。1件ずつの紹介を偶然に任せず、あなたの周りで紹介が回る状態をつくります。

6.1 型6:少人数の勉強会を主催する

士業交流会に慣れてきたら、参加する側から主催する側へ一段上がります。志師塾ではこれを「参加者から主催者へのレベルアップ」と呼んでいます。主催者のもとには参加者どうしをつなぐ役割が集まり、紹介の中心に立てるからです。

いきなり大きな会を開く必要はありません。5~8人ほどの勉強会を、紹介し合える相手と共催する形が始めやすいでしょう。テーマは、共催する士業どうしで共通しているお客様の悩みにします。相続をテーマに税理士・司法書士・不動産の専門家が組めば、それぞれが自分の顧客を誘いやすくなります。

志師塾が紹介してきた例には、交流会に参加し始めた当初はうまくいかず、研究と実践を重ねた末に交流会を3つ・勉強会を7つ主催するようになり、紹介で年間200件の契約を得ているファイナンシャルプランナーがいます。この人はWebマーケティングを学んでいながら、集客にWebをほとんど使っていません。

6.2 型7:紹介の記録をつける

紹介が月に数件を超えると、誰から誰を紹介され、その後どうなったかを記憶だけで追うのは難しくなります。表計算ソフトで十分なので、次の項目を記録してください。

項目 記入例 使いみち
日付 9月12日 間隔が空いた相手に気づく
紹介元 税理士のAさん キーマンが誰かを知る
紹介された方の属性と相談の種類 飲食店の経営者/就業規則 受けやすい紹介の傾向を知る
結果 面談済み/受任 「紹介1件」と受任を分けて数える
紹介元への報告日 9月20日 報告漏れを防ぐ
あなたから渡した紹介 Aさんへ会社設立予定の方を1件 渡す・受け取るの偏りに気づく

記録を続けると、紹介をくれる人が少数に偏っていることが見えてくるものです。その少数が、2.2で触れた「キーマン」の候補になります。近況報告や新しいサービスの案内、食事の誘いなど、関係を保つための時間は、まずこの人たちに使いましょう。

6.3 紹介者への感謝は2回伝える

紹介を受けたときにお礼を言うのは当たり前です。志師塾の講座では、感謝を2回以上伝えることをポイントにしています。1回目は紹介を受けた直後、2回目は面談を終えて結果が出たときです。

2回目の報告は、紹介者が「紹介してよかった」と確かめられる機会になります。1章で書いたとおり、紹介は紹介者にとってリスクです。結果の報告がないと、紹介者はリスクを取ったのに結果が分からないままになり、次の紹介をためらいます。

士業には守秘義務があるので、報告は「無事にお会いできました」「お手伝いすることになりました」の範囲で十分です。相談の中身まで伝える必要はありません。

7. 士業交流会で紹介料を扱うときの注意点

紹介料とは、顧客を紹介してもらったお礼や、紹介したことへの見返りとして金銭をやり取りすることです。一般のビジネスでは珍しくありませんが、士業どうしの紹介では業法や所属会の規程に照らして慎重に判断する必要があります。交流会の解説ではあまり触れられない点なので、先に押さえておきましょう。

7.1 弁護士は紹介料の支払いも受け取りも禁じられている

弁護士は、日本弁護士連合会が定める弁護士職務基本規程の第13条で、依頼者の紹介を受けたことへの謝礼その他の対価を支払うことも、依頼者を紹介したことへの謝礼その他の対価を受け取ることも禁じられています(参考:東京弁護士会 会報LIBRA 2008年2月号)。

交流会で弁護士と紹介し合う関係を作るときは、「紹介料をお支払いします」という申し出自体が、相手を困らせる行為になると知っておいてください。

7.2 ほかの士業も所属会の規程を必ず確かめる

税理士法には第37条で信用失墜行為の禁止が定められており、司法書士・行政書士・社労士にも、それぞれ業法や所属会の倫理規程があります。紹介料について規程がどこまで明示しているかは士業ごとに異なるため、一律に「禁止」「問題なし」とは言い切れないのが実情です。

実務の目安としては、紹介の見返りとして金銭をやり取りする前に、所属会の規程を確認するか、所属会に問い合わせることをおすすめします。紹介の相手が別の士業なら、相手側の業法も関わってくる点に注意が必要です。

7.3 お金ではなく「紹介したくなる感情」で返す

志師塾の講座では、紹介が生まれる感情として、自慢・感謝・面白さ・感動・金銭的インセンティブの5つを挙げています。士業どうしの紹介では、最後の金銭的インセンティブに頼らず、残りの4つで設計するのが安全です。

感情 士業交流会での返し方の例
自慢 紹介者が「あの先生、実はこんな事例を手がけていて」と話したくなる専門性を持つ
感謝 紹介の直後と結果が出たときの2回、お礼を伝える
面白さ 経歴や専門分野にまつわる、人に話したくなるエピソードを持つ
感動 紹介された方の事前期待を超える対応をする

感動は、事前期待を超えたときにだけ生まれます。登記や申請が期限どおりに終わるのは、依頼者にとって「できて当たり前」です。当たり前をこなしても満足にとどまるので、手続きの前後にどんな一手を加えれば期待を超えられるかを考えます。紹介された方が感動すれば、その声は自然と紹介者のもとに届くでしょう。

志師塾自身も、以前に紹介料の仕組みを検討した際、卒業生から「それでは紹介しにくくなる」という声が上がり、学びに使えるポイントを付与する形に切り替えました。紹介する側にとって、「お金のために紹介した」と思われないことは想像以上に大切です。

8. 士業交流会の紹介は税理士との関係を軸に組む

士業どうしの紹介の軸とは、中小企業の経営者から最初に相談を受けやすい士業を中心に据え、その周りに他の専門家を配置する考え方です。多くの場合、その中心にいるのは税理士です。

8.1 経営者の相談相手として最も多いのは税理士・公認会計士

中小企業庁の2020年版小規模企業白書では、経営の相談相手として最も多く挙がったのが「税理士・公認会計士」でした。毎月の記帳や決算を通じて会社の数字に触れているため、労務や許認可、登記の悩みも、まず顧問税理士に打ち明ける経営者は少なくありません。

志師塾が伝えている「先生業の一番の顧客は隣の先生業」という言葉は、この構造を指しています。同業や隣接する士業は、血で血を争うライバルではなく、市場を広げる仲間です。社労士・行政書士・司法書士・中小企業診断士にとって、交流会で最初に関係を深めたい相手の一人が税理士になります。

8.2 社労士・行政書士・司法書士と税理士の組み合わせ例

全国社会保険労務士会連合会の2024年度社労士実態調査の概要資料では、開業社労士の不安の一つに「顧客獲得の難しさ」が挙げられています。顧問先を広く持つ税理士との関係は、社労士に限らず、この悩みへの現実的な打ち手です。組み合わせの例を整理すると、次のようになります。

あなたの専門 税理士の顧問先から出やすい相談 あなたから税理士へ渡しやすい紹介
社労士 従業員の採用、就業規則、労務トラブル 労務顧問先で出た決算や税務の相談
行政書士 建設業許可や飲食店の営業許可などの許認可 許認可を取って開業し、顧問税理士を探している事業者
司法書士 会社設立や役員変更の登記、相続登記 相続手続きの中で相続税の申告が必要になった方
中小企業診断士・コンサルタント 事業計画、補助金の申請、資金繰りの改善 事業計画づくりの中で見つかった税務の相談

表の右側を見ると、紹介が一方通行ではないと分かるでしょう。税理士からの紹介を待つだけでなく、あなたの顧客に税理士への相談が生まれる場面を把握しておくと、先に渡せる紹介が増えます。

もう一点、他の士業の独占業務に踏み込まない線引きは、自己紹介の段階で伝えておくべきです。「その手続きは〇〇先生にお願いしています」と言える人は、相手が安心して紹介できるパートナーとして選ばれやすくなります。

8.3 仕事の流れに沿って「ビジネスユニット」を組む

1対1の紹介関係がいくつかできたら、次は仕事の流れに沿ってチームを組みます。志師塾ではこれをビジネスユニットと呼んでいます。士業の仕事は上流から下流へ流れることが多く、最初に税理士へ入った相談が、行政書士や司法書士へと流れていく。上流から下流までの専門家でチームを組み、全員で上流の入口に見込み客を集めれば、下流の全員に仕事が回ります。

志師塾代表の五十嵐が実際に組んでいた例に、起業支援のビジネスユニットがあります。コーチと中小企業診断士が起業のセミナーを開き、チームの全員がそこへ見込み客を集めました。セミナーから起業した人に資金の相談があればファイナンシャルプランナーへ、ホームページが必要ならデザイナーへつなぐ流れです。

組むときのポイントは3つあります。

  • 小さく組む:まずは2~3人から始める
  • 知っている人と組む:型2・型5で信頼を積んだ相手を選ぶ
  • 顧客を共有できる人と組む:顧客を奪い合う関係ではなく、補い合う関係を選ぶ

誰も見込み客を連れてこられないメンバーだけで組むと、「誰が集客するのか」の押し付け合いになります。集客できる人がいない弱者連合は長続きしにくいので、入口を担える人を一人は入れてください。志師塾が士業交流会を開いた際も、参加者の間で最も多く生まれた成果は、法人向けのジョイントベンチャーでした。

9. 士業交流会の紹介をWebで受け止める準備

紹介の受け皿とは、紹介された見込み客が、あなたに会う前後に「どんな先生なのか」を確かめられる場所のことです。ホームページ、プロフィールページ、セミナーの案内ページなどがこれにあたります。

9.1 紹介された人は、会う前にあなたを確かめたくなる

紹介された側の立場で考えてみてください。知人から「いい先生がいるよ」と名前を聞いたら、会う前にその名前を調べてみたくなるものです。そこで専門分野も対応できる相談も分からなければ、紹介者がティーアップしてくれた信用が、会う前に目減りしてしまいます。

反対に、紹介者から聞いた一言(型3)とホームページの内容が一致していれば、見込み客は安心して面談に来られます。交流会で伝えている一言と、Webに書いてある専門分野をそろえること。まずはここから始めましょう。

9.2 紹介者が送れるURLを1つ決めておく

紹介者が「この先生に連絡してみて」と伝えるとき、送れるものがあると紹介の手間が減ります。志師塾の講座で練習する紹介依頼のトークでも、最後に「〇〇に困っている方がいたら、このセミナーのURLを送ってください」と、紹介者に取ってほしい行動まで具体的に伝えます。

送ってもらうURLは、次のうち1つに絞るのがおすすめです。

  • 専門分野と対象のお客様がひと目で分かるプロフィールページ
  • 紹介された方が参加しやすい、少人数セミナーの案内ページ
  • よくある相談をまとめた解説ページ

URLが複数あると、紹介者はどれを送ればいいか迷います。紹介者を迷わせないことは、紹介を増やすための小さくても効く工夫です。

9.3 士業交流会とWebの役割を分ける

志師塾は先生業の集客について、「Webは大切だけど、Webが全てではない。半分Yes、半分No」と伝えています。開業直後の士業にとって、紹介はWebより早く成果につながりやすい手段です。ただ、紹介だけに頼ると、紹介者との関係が途切れたときに仕事の流れも止まってしまいます。

観点 交流会・紹介 Web
得意なこと 紹介者の信用を借りて、早く会える 会う前に専門性を伝えられる
弱いところ 会える人数に限りがある 信頼を得るまで時間がかかる
3ヶ月での役割 面談の数をつくる 紹介された人の不安を減らす

5.2で触れた、講座後の半年で202名と1対1で話した受講生は、Webでの反応も一般的な水準の2~4倍になったと報告しています。人との関係づくりとWebは、どちらか一方を選ぶものではありません。

10. 士業・先生業の紹介づくりに学ぶ志師塾卒業生の事例

ここでは、専門分野の伝え方や仲間とのつながりを見直したことで、紹介や売上に変化が生まれた志師塾の卒業生を紹介します。

10.1 宅建士・松本直之さん:相続・終活に特化して紹介が増え、5ヶ月で売上約1,000万円

松本直之さんは、宅地建物取引士として相続や終活の悩みを解決するコンサルタント・不動産業を営んでいます。サラリーマン時代から相続の仕事に長く携わり、2020年6月に独立しました。

前職時代からつながっているお客様もいたため、当初は「なんとかなる」と考えていたそうです。ところが独立後3ヶ月の売上は約20万円。このままでは家族が路頭に迷うという危機感から、最初は入塾に反対していた税理士の奥様にもセミナーに出てもらい、夫婦2人で志師塾に通い始めました。

講座で気づいたのは、選ばれる理由が明確でなければ売れないということでした。「相続のコンサルをやります」「不動産会社をやります」だけでは、他の専門家と区別がつきません。そこで相続・終活に特化した不動産業という立ち位置を作ったところ、紹介を多くもらえるようになり、10月の入塾から5ヶ月ほどで売上は約1,000万円に達しました。志師塾の仲間とはジョイントベンチャーも始めています。

型3の「紹介者が口に出せる一言」が、紹介の増加につながった例です。詳しくは松本直之さんのインタビューで紹介しています。

10.2 不動産鑑定士・坂田一郎さん:同期と学び合い、売上200万円増

坂田一郎さんは、新潟県を拠点に活動する合同会社坂田不動産鑑定の代表です。建設関連業界で40年以上の経験を積み、60歳で独立しました。全国に約8,000人いる不動産鑑定士のうち、ドローンの実務に精通した45人のひとりで、国土交通省が定める最上位資格「一等無人航空機操縦士」の保有者でもあります。

独立後は官公庁の案件を中心に実績を重ねつつ、完全な競争原理が働く民間案件の開拓にも挑んでいます。志師塾では、3万字に及ぶ自己分析で自身の核を見いだしたそうです。同期とぶつかり合う「学びの共同体」の中で考えを磨き、見込み客(志師塾でいう「小人」)に寄り添うWeb集客に取り組んで、売上200万円増を達成しました。

同じ期間を一緒に走った同期は、交流会で出会う相手以上に、紹介し合える関係の土台になります。50代以降で独立や働き方を考えている方は、50歳からの生き方を考える記事もあわせて読んでみてください。坂田さんの取り組みは坂田一郎さんのインタビューで詳しく紹介しています。

10.3 行政書士・吉村猛さん:地域での人脈づくりの壁から、同期と高め合う関係へ

吉村猛さんは、大阪市鶴見区を拠点にする吉村行政書士事務所の代表です。2015年に開業し、遺言や相続、在留資格の申請などを支援するかたわら、表現力を活かしたユニークなセミナーも開いています。

開業にあたって決めた方針は「地域に根ざすこと」でした。開業準備の段階から同期合格者の仲間と勉強会を行い、開業後は地域の商店の店主と関係を築いてチラシを置いてもらったり、地域の経営者が集まる場所へ足を運んだりと、人に会う活動を重ねています。しかし、すぐには案件につながらず、資金を切り崩す日々に焦りが募っていきました。

その後、志師塾で講師や高め合える同期と出会い、現在は「遺言×エンターテインメント」という独自の切り口で活動しています。人に会う数を増やすだけでは案件にならず、何を伝え、誰と高め合うかが問われることを示す事例です。詳しくは吉村猛さんのインタビューをご覧ください。

3人の話からは、人に会う数よりも「何の専門家として覚えてもらうか」と「一緒に学び合う仲間」が、紹介や仕事の流れを左右することが見えてきます。あなたも交流会で広げた縁を仕事につなげたいなら、志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーで、選ばれる伝え方と紹介を受け止める集客の流れを確かめてみてください。

11. 士業交流会の使い方7型のまとめ

士業交流会で紹介を得るには、名刺交換の枚数ではなく、交流会の後の動き方を設計することが大切です。この記事の要点を振り返ります。

  • 紹介は紹介者にとってリスク。知ってもらい、信頼してもらい、そこで初めて紹介が出る
  • 「紹介1件」は、紹介者を通じて面談が設定されたときに数える
  • 3ヶ月で紹介10件は、会う人数・面談数・紹介し合える人数に分けて目安を置く
  • 7型は「出る会を絞る」「通い続ける」「一言を作る」「先に渡す」「1対1で相手の顧客を聞く」「勉強会を主催する」「記録と結果報告を続ける」
  • 紹介料は業法・所属会の規程を確かめ、お金以外の感情で返す
  • 税理士を軸に、仕事の流れに沿って士業どうしのチームを組む
  • 紹介された人が確かめるWebの受け皿を用意する

次の交流会の前に、紹介者がそのまま口に出せる一言を1つ書き出してみてください。3ヶ月の動き方は、その一言から始まります。

ただ、一言が決まっても、紹介された人が確かめる受け皿と、面談で選ばれる伝え方がそろわなければ、3ヶ月の動きは面談の数で止まってしまいます。

交流会の紹介を、面談と依頼につなげたい士業の方へ

紹介者が口に出せる一言、紹介された人が確かめるWebの受け皿、面談で選ばれる伝え方。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーでは、この3つをつなぐ集客の流れを先生業の事例で解説しています。セミナーには無料でご参加いただけます。

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この記事について

この記事は、先生業専門のビジネススクール『志師塾』が執筆・監修しています。志師塾はこれまで3,200名超の士業・コンサルタント・講師・コーチを支援し、卒業生の成功事例インタビューを実名と具体的な数字で公開しています。

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