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コーチの料金設定|月3万を30万にする5条件

コーチの料金を月3万円から月30万円に上げるとき、磨き直すべきものはセッションの技術ではありません。変えるのは「誰の、どの悩みに当てるか」です。志師塾が支援してきた先生業の中には、持っている技術はまったく変えずに単価が8倍になった人、375倍になった人がいます。

この記事では、コーチの料金設定を月3万円から月30万円の水準へ引き上げるために必要な5つの条件を、順番に解説します。扱うのは次の内容です。

  • コーチの料金が月3万円で止まってしまう構造的な理由
  • 高単価が成立する5条件(ターゲット/ニーズ/選ばれる理由/商品設計/伝え方)
  • 料金表を書き換える前に、90日で何をどの順番で動かすか
  • 実際に単価と契約の形を変えたコーチ・伴走者の事例

志師塾は、コーチ・コンサルタント・士業・講師といった「先生業」専門のビジネススクールとして、これまで3,295名(2026年8月時点)の顧客獲得を支援してきました。卒業生アンケートでは平均年商1,703万円、年商1,000万円を超える割合は約50%。参考までに、国税庁の申告所得税標本調査(時系列統計)では事業所得者の平均所得は約419万円です。この差を生んでいるのは腕の良さではなく、料金設定の設計です。

読み終えるころには、あなたの料金表のどこを直せばいいか、そして次の1件をいくらで提案すべきかが具体的に見えているはずです。まずは、なぜ月3万円から動かないのかを分解していきます。

料金を上げるというのは、値札を書き換える作業ではなく、誰に何を届けるのかを決め直す作業です。ただ、この決め直しを一人でやると、たいてい「相場の少し上」で手が止まります。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーでは、コーチやコンサルタントが価格ではなく専門性で選ばれるための組み立て方を、先生業の実例で解説しています。

「値上げしたいが、どう伝えればいいか分からない」という段階で止まっているコーチの方へ。選ばれる理由のつくり方から解説しています。

先生業のためのWeb集客セミナーを見てみる

Table of Contents

1. コーチの料金設定が月3万円で止まる3つの理由

コーチの料金が月3万で止まる3つの理由

コーチの料金が月3万円前後に集まるのは、技術の差ではなく値段の決め方が3つのパターンに偏っているからです。相場から決める、時間から決める、そして自分の原価を数えていない。この3つを外すだけで、提示できる金額の上限が変わります。

1.1 理由1|コーチングの相場から逆算して決めている

「調べたら1回1万円くらいが多かったので、月2回で2万円にしました」。この決め方が、月3万円の天井をつくっています。相場を基準にすると、あなたの価格の根拠が自分の外側に置かれます。根拠が外にあると、値上げするときに説明できません。説明できないから上げられない。

さらに厄介なのは、相場を見て決めた価格は同じように相場を見て決めた人たちと必ず横並びになる点です。横並びになれば、顧客は中身ではなく金額で比べる。志師塾でいう「他の先生でもいいや」と言われる状態です。コーチングは品質が事前に見えにくい商品なので、横並びになった瞬間、安いほうへ流れます。

1.2 理由2|セッションの「時間」に値段をつけている

60分いくら、90分いくら。この料金設定は分かりやすい反面、あなたの売上がカレンダーの空き枠でしか増えなくなります。時間を売っている限り、単価×稼働時間が売上の上限です。月3万円のクライアントを10名持てば月30万円になりますが、その状態はセッションだけで月20時間、周辺業務を含めれば月50時間を超えます。

もうひとつ。時間売りは、顧客の側から見ると「何が変わるのか」が分かりません。顧客が買いたいのは60分の会話ではなく、半年後の自分の変化です。売っている単位がズレていると、値段の単位もズレます。

1.3 理由3|「ガチ時給」を一度も計算していない

志師塾では、客だしの時給ではなく、営業活動や事務処理まで含めた正味の時給をガチ時給と呼んでいます。月3万円×5名=月商15万円のコーチで試算してみます。

時間の内訳 月あたりの時間 補足
セッション(客だし) 10時間 5名×月2回×60分
準備・記録・日程調整 5時間 1セッション30分換算
集客(SNS・ブログ・交流会・体験セッション) 30時間 新規が切れると売上が止まるため必須
請求・経理・学習 3時間 毎月発生する固定作業
合計 48時間 月商15万円 ÷ 48時間 = ガチ時給 約3,100円

セッション時間だけで割れば時給15,000円に見えます。ところが実際のガチ時給は約3,100円。見かけの5分の1です。志師塾ではこの状態を「セルフブラック」と呼んでいます。代表の五十嵐自身も、年商1,000万円に届いたころは月商約80万円に対して労働時間が月400~500時間、ガチ時給は約2,000円でした。体調を崩したことをきっかけに単価と商品の形を変え、年商3,000万円を超えるころには週3日稼働になっています。

料金設定の問題は「もっと稼ぎたい」という欲の話ではありません。このままの価格では、あなたがクライアントに伴走し続けられないという持続性の話です。

2. コーチの料金を月30万円にする5条件の全体像

月30万円を成立させる5条件

月30万円の継続契約が成立するコーチには、共通する条件があります。志師塾では高額商品が成立する前提として「強いニーズ」「支払能力」「競合に勝てる分野」の3つを挙げてきました。この記事ではそこに商品設計と伝え方を加え、コーチの料金設定に落とし込んだ5条件として整理します。

2.1 コーチの料金設定を決める5条件

条件 内容 これが欠けるとどうなるか
条件1
ターゲット
その金額を払える相手に設定し直す 価値は伝わっても予算が出ない
条件2
ニーズ
売上・お金・人など優先度の高い悩みに当てる 「余裕ができたら」と先送りされる
条件3
選ばれる理由
競合と比較されない独自の立ち位置をつくる 金額だけで比べられる
条件4
商品設計
成果までの道筋をプログラムとして組む 時間売りに戻り、単価が時間に縛られる
条件5
伝え方
松竹梅と判断基準の提示で価格を納得に変える 提示の瞬間に安いほうへ流れる

2.2 「値上げ」から手をつけると失敗する

ここで順番が大事になります。多くの人は条件5(伝え方)から入ります。言い方を工夫して、今のクライアントに値上げを切り出す。これは分が悪い。相手も、悩みも、商品の形も変えずに金額だけ上げると、説明が「こちらの都合」になるからです。

月3万円が月30万円になった受講生の多くは、金額を10倍にしたのではなく、提供する相手と商品を入れ替えています。たとえば志師塾の受講生に、月額5万円の顧問契約を月額30万円に変えた人事領域の支援者がいます。やったことは、人事制度の作業代行から経営課題への伴走へ軸足を移したこと。結果として半年で支援先の退職率が90%減少し、売上が50%向上しました。これは値上げの成功例ではなく、商品を入れ替えた結果の価格です。

2.3 条件は「掛け算」で効く

5条件はチェックリストのように1つずつ加点されるものではありません。掛け算です。支払能力のある相手を見つけても(条件1)、当てる悩みが弱ければ(条件2)金額は出ません。悩みが強くても、同じことを言う人が10人いれば(条件3)比較されます。

逆に言えば、どれか1つの条件が極端に強いと、残りが平均的でも成立します。条件3(選ばれる理由)が尖っていれば、相場より高くても指名で依頼が来る。まずは自分がどの条件で欠けているのかを特定するところから始めてください。

3. 条件1|コーチの料金を払える「小人」に設定し直す

同じ技術で単価が変わった3つの実例

支払能力は「原資」の有無で決まる

コーチの単価を決めている最大の要因は、技術ではなくターゲット設定です。志師塾ではこのターゲットを「小人(こびと)」と呼びます。市場やセグメントではなく、商品を届けるたった一人の理想の顧客像のことです。

3.1 単価を決めているのは腕ではない

志師塾の受講生に、箏(こと)の演奏家がいました。福祉施設で音楽療法として演奏していたときの報酬は、時給800円。その後、訴求する相手の課題設定を変えました。高齢者を「社会的弱者」ではなく「ニコッと笑っただけで周囲が笑顔になる存在」と再定義し、施設側の課題に当て直したところ、1回30万円で依頼が入るようになりました。単価375倍。演奏の技術は、何ひとつ変えていません。

別の受講生はボイストレーナーでした。最初は「歌が上手くなりたい人」向け。それを「営業の話し方で成績が変わる」に変えて単価が2倍、さらに「声が変わると思考が変わり、生き方が変わる」として30代後半の女性に向けたところ、同じ技術のまま単価が8倍になりました。

コーチングも構造は同じです。あなたの傾聴力や質問力に値札が付いているのではありません。その力を誰のどんな場面に当てるかが、値札を決めています。

3.2 支払能力は「原資」で確認する

志師塾が高額商品の条件として「支払能力」を挙げるのは、金額の大小の話ではなく原資があるかどうかの話です。原資とは、相手がすでに別の名目で払っているお金のこと。ここに乗れると、ゼロから予算を作ってもらう必要がありません。

相手 すでに払っているお金(原資) 月30万円の現実味
個人(会社員・主婦) 自己啓発費・習い事代 △ 月数万円が上限になりやすい
個人事業主・士業 広告費・外注費・研修費 ○ 売上直結なら成立する
中小企業の社長 顧問料・採用費・教育研修費 ◎ 経費で判断されるため成立しやすい
企業の人材開発部門 年度の教育予算 ◎ 予算枠に乗れば継続もしやすい

企業の教育予算は実在します。厚生労働省の能力開発基本調査では、多くの企業がOFF-JT(通常の業務を離れて行う訓練)に毎年費用を投じていることが継続的に報告されています。採用費や顧問料も同じです。すでに流れているお金の行き先を、あなたに変えてもらう。これが法人開拓の基本的な考え方です。

3.3 個人向けコーチングで高単価が成立する条件

「自分は個人向けだから月30万円は無理では」と思うかもしれません。個人向けでも成立しますが、条件が付きます。その人の収入・キャリア・事業に直結しているときです。

  • 独立したい会社員の、独立準備と初期の売上づくりに伴走する
  • 開業したての先生業に、商品設計と価格設定の壁打ち相手として入る
  • 経営者個人の意思決定と時間の使い方に伴走する

いずれも「自己実現」ではなく「お金の流れが変わる」領域です。個人の自己実現テーマで月30万円を取ろうとすると、支払いの原資が家計から出るため、継続が難しくなります。収入に直結する領域なら、相手にとっては投資の判断になります。

3.4 小人は「1人」に絞る

志師塾では「なんでもやります」は「何屋さんか分からない」と同じだと伝えています。小人を絞ると依頼が減ると思われがちですが、実際には逆です。絞ったほうが、その人の口から出る言葉で書けるようになり、紹介もされやすくなります。

絞るときは、属性(年齢・性別・業種)だけでなく場面まで書いてください。「40代の中小企業の社長」ではなく「40代で先代から事業を継いだが、古参社員との関係に悩み、自分の方針を打ち出せていない二代目社長」。ここまで書けると、条件2のニーズが自動的に決まります。

小人を決め直すと、集客の入口も変わります。発信の媒体そのものよりも「誰に向けて書くか」で成果が変わる話は、開業6ヶ月で月商100万円を実現したInstagram集客のコツでも具体的に紹介しています。

ここまで読んで「自分の小人は誰なのか、そこが決まっていない」と感じた方は多いと思います。実際、志師塾に相談に来るコーチの大半が、技術ではなくこの一点で止まっています。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーでは、自己棚卸しから小人の設定、そして選ばれる理由の言語化までの順番を解説しています。

4. 条件2|コーチングの料金を正当化する「強いニーズ」に当てる

自己実現テーマを成果テーマへ翻訳する

高単価が成立する2つめの条件は、当てる悩みの強さです。志師塾では「なんとなくあればいいかな程度のニーズでは高額化できない」と言い続けています。価格は悩みの深さに連動します。

4.1 「変わりたい」では月30万円にならない

コーチングの相談で最も多いのは「もっと成長したい」「本当にやりたいことを見つけたい」という動機です。本人にとっては切実でも、支払いの優先順位では後ろに回ります。緊急ではないからです。

一方、次のような悩みは後回しにできません。

  • 売上:来月の入金が読めない、新規が止まっている
  • お金:資金繰り、価格設定、利益が残らない
  • 人:採用できない、辞めていく、幹部が育たない

志師塾ではこれを社長の3大お悩み(ヒト・カネ・売上)と呼びます。単価を上げている先生業は、ほぼ例外なくこの3つのどこかに接続しています。中小企業庁の中小企業白書でも、人材の確保・育成や販路開拓は経営課題として繰り返し登場する項目。需要があるところに値段が付く、という当たり前の話です。

4.2 自己実現テーマを成果テーマに翻訳する

では、自己実現やキャリアを扱ってきたコーチは方向転換しなければならないのか。そうではありません。扱う中身は変えず、入口の言葉を変えます。志師塾ではこれを小人のBefore Afterを描き直す作業と呼んでいます。

よくある入口(弱い) 翻訳後の入口(強い)
自分らしい働き方を見つける 社長が現場を離れても回る体制をつくる
部下との関係を良くする 若手の離職を止め、採用コストを減らす
目標達成の習慣をつくる 社長の行動量を増やし、商談件数を倍にする
自信を持って発信できるようになる 価格を上げても断られない伝え方を身につける

右側は、左側を否定していません。やっていることは同じ対話です。ただ、相手が「これは経費で払うべきもの」と判断できる言葉になっています。

4.3 緊急度を上げるのではなく、緊急な人を探す

気をつけたいのは、ニーズを煽って緊急度を作ろうとすることです。不安を煽って契約を取ると、継続率が落ち、紹介も生まれません。伴走型のビジネスで単価を維持するには継続が前提なので、煽りは長期的に損になります。

やるべきことは逆です。すでに緊急である人を探す。事業承継の直後、急成長で組織が追いつかなくなった時期、幹部が辞めた直後、融資を受けて投資を始めた直後。変化が起きた直後の人は、自分で助けを探しています。

4.4 「相談される前の工程」にずれて差別化する

志師塾では前工程へのシフトという考え方を使います。たとえば「人事制度のコンサルティング」は競合が多い領域です。しかし社長はその前段階で「そもそも誰に何を任せるべきか決められない」と悩んでいます。前工程に立てば、比較されずに相談を受け、結果として本命の仕事も受注できます。

コーチングは、もともと前工程に立ちやすい仕事です。答えを出す前の、意思決定そのものを扱うからです。この強みを価格に変えるには、「意思決定に伴走する人」という立ち位置を言葉にしておく必要があります。未経験の領域から伴走型のポジションを作った例は、月15万円の財務顧問を未経験から立ち上げた伴走型アプローチの記事で詳しく紹介しています。

5. 条件3|コーチの料金を比較されなくする「選ばれる理由」をつくる

3つめの条件は、競合に勝てる分野を持つことです。志師塾ではこれをキラーコンテンツ、あるいは選ばれる理由と呼びます。ここが甘いと、Web集客も紹介も営業も、何をやっても空振りします。

5.1 「コーチ」という肩書では選ばれない

志師塾代表の五十嵐は、中小企業診断士に合格して独立したとき、最初の肩書を「中小企業診断士」にしました。結果は、まったく選ばれませんでした。そこから開業1年のうちに、経営コンサルタント、研修講師、ITコンサルタント、Webマーケティングコンサルタントと肩書を変え、ようやく食べられるようになっています。

資格名や職業名をそのまま名乗ると、相手は「で、この人は何をしている人なの?」と考えます。コーチ、ライフコーチ、認定コーチ。これらはすべて、手法の名前であって、選ばれる理由ではありません。志師塾が「資格名を言わない自己紹介」を推奨しているのは、このためです。

5.2 資格を増やしても単価は上がらない

選ばれない原因を「資格が足りないから」と考えて、次の資格を取りに行く人がいます。志師塾ではこれを資格迷子と呼んでいます。資格は信頼の裏付けにはなりますが、それ単体が値段を押し上げることはほとんどありません。

資格そのものの市場価値と、稼ぎ方の違いについては週末副業で月10万円を目指せる資格TOP7と現実でも扱っています。結論は共通していて、資格は入場券であって、価格表ではありません。

5.3 掛け合わせで独自の立ち位置をつくる

では、どうやって選ばれる理由をつくるのか。志師塾がよく使うのは掛け合わせです。1つの要素で日本一になるのは難しくても、3つ掛けると競合がいなくなります。

  • 前職の業界経験 × コーチング(例:製造業の現場を知っているコーチ)
  • 国家資格 × コーチング(例:法律の見通しを示しながら伴走する)
  • 自分の失敗経験 × コーチング。倒れた経験があるから、社長の働き方に踏み込める
  • 特定の成果物 × コーチング(例:90日で企画提案が形になる研修)

志師塾では「成功体験は人のノウハウになり、失敗体験は人の勇気になる」と伝えています。隠したい経歴ほど、掛け合わせの材料になります。実際に、副業時代に顔も名前も出せなかったことを弱みだと感じていた受講生が、「顔も名前も出さずにファンを獲得する方法」という打ち出しに変え、共感から顧客を獲得した例があります。

5.4 間口と奥行き、どちらで尖らせるか

立ち位置の尖らせ方は2方向あります。志師塾では、専門を深掘りする奥行きの強みと、相談の入口を広く構える間口の強みに分けて考えます。

比較の観点 奥行き型 間口型(コンダクター)
打ち出し 特定テーマの専門家 最初に相談される窓口
強み 指名が入る、単価が高い 相談量が増え、継続しやすい
向く人 実務経験が深い領域がある 幅広い経験がある、人脈がある
注意点 市場が狭いと枯れる 何屋か分からなくなりやすい

コーチの場合、間口型(志師塾でいうコンダクター戦略)が機能しやすい領域です。専門家を複数つなぐ必要がある相続・事業承継・組織づくりのような場面では、深い専門知識よりも「最初に相談される人」の価値が高くなります。ただし間口型を選ぶなら、最初に相談される理由を明確に言語化してください。そこが曖昧だと、ただの「なんでも屋」になります。

6. 条件4|コーチの料金を時間から切り離す商品設計

4つめの条件は商品設計です。ここを変えないと、料金の単位が「時間」から離れません。志師塾では、商品を単体で考えず商品サービス群として組み立てます。

6.1 セッション単価ではなくプログラム単価にする

月30万円の契約は「1回15万円のセッションを2回」ではありません。半年なり1年の成果に対する契約です。だから提案書に書くのは回数ではなく、到達点と道筋になります。

比較の観点 時間売り(月3万円型) プログラム型(月30万円型)
契約の単位 60分×月2回 6か月で「幹部3名が自走する」
提供物 対話 対話+会議同席+資料レビュー+チャット相談
相手の判断 時間に見合うか 投資として回収できるか
解約理由 忙しくて時間が取れない (成果が出れば継続、出なければ見直し)

志師塾の受講生に、月1回の訪問で月額15万円の顧問契約を8件獲得し、開業1年目で年商1,200万円を超えた方がいます。顧問の更新率は100%。本人は「深い財務知識よりも、経営者に寄り添う姿勢があれば大丈夫」と話しています。訪問は月1回。それでも15万円が成立するのは、売っているものが時間ではないからです。

6.2 「元を取るストーリー」を数字で語る

志師塾では、高額商品を提案するときに元を取るストーリーを語ることを重視します。月30万円=年間360万円。相手にとってはそれ以上のリターンが見える必要があります。

たとえば、こう組み立てます。

  • 社長の時間が月20時間空けば、年間240時間。社長の時間単価が1万円なら240万円分
  • 若手1名の離職を止められれば、採用コストと教育コストの再投資を回避できる
  • 幹部が意思決定できるようになれば、社長が商談に戻れる。商談が月4件増えたら受注はいくら動くか

この試算は、あなたが勝手に作らないでください。相手と一緒に出します。相手の口から「それなら年間1,000万円は違いますね」と出た瞬間、月30万円は高くなくなります。

6.3 フロー型とストック型を5:5で組む

コーチの収入が不安定になる原因は、商品が単発(フロー型)に偏っていることです。志師塾では、フロー型(高額だが安定しない)とストック型(低額だが継続する)を5:5で組むことを目安にしています。スポット収入はボーナス、ストック収入は毎月の給料という整理です。

型 コーチの商品例 役割
フロー型 6か月プログラム、企業研修、ワークショップ 単価が高く、実績と事例を生む
ストック型 月額顧問、月額コミュニティ、動画会員 毎月の土台をつくり、集客の焦りを消す

志師塾自身も、既存コンテンツを使った月額3,650円の動画クラスを運営しています。1年で会員約90名、年間利益は約331万円。投下時間は配信作業などで年間15時間ほどです。さらにそこから本講座へ進む人も出ています。ストック型は、単価を上げるための時間と心理的余裕をつくる装置です。

6.4 順番は「創って・売って・作る」

商品設計で最も多い失敗は、売れるか分からないうちに資料やカリキュラムを作り込んでしまうことです。志師塾では順番を創って・売って・作ると言い換えています。コンセプトを創る、先に売る、売れてから中身を作る。

「完璧な30万円プログラムができたら売る」と考えている限り、永遠に月3万円のままです。先に提案し、相手の反応を聞きながら中身を決めてください。期日が決まれば、必ず作れます。

7. 条件5|コーチの料金設定を納得に変える伝え方

最後の条件は、価格の伝え方です。コーチングは事前に品質が見えない商品なので、顧客は価格そのものを品質の判断材料に使います。だから志師塾では「価格=価値」「価格アップ=サービス品質アップ」と伝えています。

7.1 松竹梅で選択肢を3つ出す

1つの価格だけを提示すると、相手の判断は「やる・やらない」の二択になります。3つ出すと「どれにするか」に変わります。人は極端を避けるため、真ん中が選ばれやすくなります(極端の回避性)。

志師塾でも松竹梅の価格戦略を導入したことで、単価が1.5倍近く上がりました。コーチの場合は、こう組みます。

プラン 内容の例 価格例(月額)
梅 月1回のセッション+チャット相談 5万円
竹(本命) 月2回のセッション+チャット+資料レビュー+四半期の振り返り合宿 15万円
松 竹の内容+幹部2名のセッション+経営会議への同席 30万円

※金額は設計の考え方を示すための例です。

ここで外せないのが、松を「売れなくてもいい枠」として置かないこと。松が本気で設計されていれば、組織に課題がある会社は松を選びます。月30万円は、松の位置に自然に置ける価格です。

7.2 価格以外の判断基準を先に教育する

価格で比較されたくなければ、比べる物差しを先に渡すことです。志師塾ではこれを「価格以外の判断基準を教育する」と呼んでいます。

  • どんな場面を扱うコーチか(経営判断か、キャリアか、組織か)
  • どこまで踏み込むか(会議に入るのか、対話だけか)
  • 成果の測り方(行動量、離職率、商談件数)
  • 誰の実務経験に基づいているか

この4つを提案前に伝えておくと、相手の頭の中に「この観点で選ぶべきだ」という枠ができます。枠ができてから金額を見ると、金額は条件のひとつに降格します。

7.3 既存クライアントへの値上げの伝え方

既存クライアントの値上げは、順番を守れば荒れません。

  1. 新規から新価格にする(既存は当面そのまま)
  2. サービスを足してから案内する(チャット相談、資料レビュー、同席など)
  3. 案内は3か月以上前に。相手に予算を組む時間を渡します
  4. 続ける選択肢を必ず残す(梅プランへの移行を用意する)

志師塾は、2011年の最初の期が12,000円でした。それが10年あまりで118.1万円になっています。約98倍。この間、やってきたのは「値段を上げる」ことではなく、価格に合わせて中身を厚くし続けることでした。値上げによって、サポートを厚くできる、顧客の本気度が上がる、投資に回せる余力が生まれる。この循環が回ると、値上げは顧客のための打ち手になります。

7.4 提案の場をつくる|セミナーを顧客獲得に入れる

伝え方を変えるには、伝える場が必要です。志師塾の調査では、セミナーを顧客獲得プロセスに入れていた人は、入れていない人に比べて平均的に単価が170%高いという結果が出ています。1対1で説明すると価格交渉になりやすい一方、セミナーでは判断基準から順に伝えられるためです。

なお志師塾が561回・約400時間かけて検証した結果では、集団での案内と個別での案内で成約率の差はわずか0.6%でした(集団23.4%、個別22.8%)。成約率が変わらないなら、時間効率の良い集団形式を選ぶほうが、ガチ時給は上がります。フロントセミナーの最適人数は5~8人というデータもあります(2,917人の実証)。

8. コーチの料金を月3万円から月30万円へ上げる90日の手順

月3万→月30万へ動かす90日の順番

5条件を、実行の順番に並べ直します。いきなり料金表を書き換えず、条件1から条件5の順で動かしてください。

8.1 1~2週目|自分のガチ時給を出す

最初にやるのは計算です。直近3か月の売上と、セッション以外の全時間を書き出し、ガチ時給を出してください。数字が出ると、動く理由が自分の中に生まれます。「なんとなく忙しい」は行動に変わりませんが、「時給3,100円」は変わります。

8.2 3~4週目|小人を1人決め、当てる悩みを決める

既存クライアントと過去の相談者を全員書き出し、最も成果が出た人・最も話が合った人・最も払ってくれた人の3軸で並べます。この3つが重なる人が、あなたの小人です。重ならなければ、「払ってくれた人」を優先してください。支払能力のないところに向けて設計すると、サービスがボランティアになります。

8.3 5~8週目|プログラムを設計し、試験価格で売る

資料を作り込む前に、提案します。現行価格の3倍を目安に、松竹梅の3プランを口頭で説明できる状態まで作ってください。この段階では契約が取れなくて構いません。見たいのは、どこで相手の表情が動いたかです。「そこまでやってくれるんですか」と言われた項目が、あなたの値段の根拠になります。

8.4 9~12週目|新価格で提案し、ストック型を1つ足す

新規の相談にはすべて新価格で提案します。同時に、月額のストック商品を1つ作ってください。月額数千円のコミュニティでも構いません。志師塾のデータでは、既存顧客からの受注コストは新規獲得の5分の1です。継続の受け皿を持つと、新規集客に追われずに単価を上げられます。

時期 やること 対応する条件
1~2週 ガチ時給の算出 現状把握
3~4週 小人と悩みの設定 条件1・2
5~6週 選ばれる理由の言語化 条件3
7~8週 プログラム設計と試験提案 条件4
9~12週 松竹梅で提案・ストック型追加 条件5

9. コーチの料金と契約の形を変えた志師塾卒業生の事例

5条件がどう組み合わさると単価と契約の形が変わるのか。志師塾の卒業生インタビューから3名の例を紹介します。

9.1 法律×コーチングで顧問契約を獲得|社長のコーチ弁護士・田村優介さん

田村優介さんは、池袋を拠点に15年のキャリアを持つ弁護士です。5,000件以上の法律相談、1,000件以上の紛争解決を経験してきました。志師塾に参加したのは弁護士キャリア14年目。それまで主に個人向け案件を手がけており、「1人1回の関わりで終わることが多く、長期的な関係を築きにくい」という課題を感じていたそうです。

たどり着いた立ち位置は「社長のコーチ弁護士」。夢を追いかけている社長の夢を叶えるために、弁護士としての法律知識と心理学のバックボーンを活かし、社長の行動量を増やすというコンセプトです。東京大学文学部で社会心理学を専攻した経歴が、ここで初めて商品になりました。「宝の持ち腐れになっていた心理学の知識が、コーチングという形で活かせるようになった」と話しています。

サービスには、法律相談の無制限対応や本人への直接連絡手段に加えて、月1回のコーチングセッションが含まれます。一般的な顧問弁護士の業務範囲を超えた設計です。志師塾で自身の提供価値を掘り下げ、社長の心に響く詳細な説明資料を作ったことが、顧問契約の獲得につながりました。条件3(選ばれる理由)と条件5(伝え方)が同時に効いた例です。

9.2 42年のキャリアを研修商品に|ひらめき人財育成コーチ・矢澤滋人さん

矢澤滋人さんは、サントリーホールディングスに42年勤務し、マーケティング部門で誰もが知る飲料ブランドを多数担当。グループ会社の経営にも携わってきました。定年退職後、次世代向けマーケティングコーチとして事業を立ち上げています。

打ち出しは「最短90日間で“刺さる企画提案”がひらめく社員に変身」。対象を20代・30代の社員に絞り、ケースメソッド、アート思考、インサイト調査の3つのメソッドで洞察力と創造力を鍛える研修プログラムです。

注目したいのは、商品の単位です。1回いくらのセッションではなく、「90日で何ができるようになるか」という到達点で設計されています。しかも届け先は企業の人材育成。条件1(支払能力のある相手)と条件4(プログラム設計)が噛み合った形です。「考える習慣が不足している」という現場の実感から出発している点も、条件2(強いニーズ)を押さえています。

9.3 自分の経験そのものを価値にした|人生と経営の伴走家・岩切宏樹さん

岩切宏樹さんは、アパレル事業やEC事業など複数の事業を展開する経営者でした。売上や社員、取引先を最優先に走り続けた結果、急性心筋梗塞で倒れ、ICUで48時間を過ごします。その時間が、生き方を見直す契機になりました。

長年経営してきた会社を譲渡した後、たどり着いた肩書は「人生と経営の伴走家」。経営ノウハウを教えるのではなく、経営者自身が「本当に大切なものは何か」を考えるきっかけをつくる仕事です。扱うテーマは、脱属人化による企業価値の向上と、経営者の人生そのもの。

「もし明日、自分がいなくなったら会社はどうなるのか」。この問いは、倒れた経験のある人が投げかけるからこそ重みを持ちます。自身の経験が最大の説得力になるという構造です。志師塾で学ぶ中でサービスを磨き、肩書を再定義しました。隠したい過去が選ばれる理由に変わる、その典型例です。

3名に共通しているのは、技術を足したのではなく、自分がすでに持っていたものの置き場所を変えた点です。42年のキャリア、心理学の学位、倒れた経験。どれも新しく取得したものではありません。あなたの中にも、まだ値札が付いていない材料があるはずです。それを言葉にして、払える相手に届けるところまでを設計したいなら、志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーで、選ばれる理由のつくり方から確認してみてください。

10. コーチの料金設定に関するよくある質問

10.1 値上げしたら、今のクライアントは離れませんか?

既存クライアントをいきなり新価格にすると離れます。新規から新価格にするのが基本です。既存の方には、サービスを足したうえで3か月以上前に案内し、続けやすい下位プランを残してください。なお、価格を上げると顧客の本気度が上がるため、残った方の成果は上がる傾向があります。

10.2 実績が少ないうちから高い料金を提示していいのですか?

提示して構いません。ただし、価格に見合う約束を必ず守る覚悟が前提です。志師塾は「創って・売って・作る」の順番を勧めています。実績がないから安くする、という発想だと、安い実績しか積み上がりません。安い価格で始めると、そこから上げるほうが難しくなります。

10.3 コーチングの資格は料金に影響しますか?

信頼の裏付けにはなりますが、価格を押し上げる主因ではありません。価格を決めているのは、誰のどの悩みに当てるか(条件1・2)と、比較されない立ち位置(条件3)です。資格を増やす前に、今の資格をどの場面に当てるかを決めてください。

10.4 法人向けと個人向け、どちらから始めるべきですか?

月30万円を狙うなら法人向けが近道です。教育予算や顧問料という原資があるから。ただし法人開拓は、いきなり顧問契約を狙わず、特定の業務に絞った入口商品(ドアノック商品)から入ってください。研修1本、ワークショップ1回、幹部インタビューなど、相手が判断しやすい単位から始めます。

10.5 無料モニターは続けていいですか?

立ち上げ期に実績を作る目的なら、人数と期間を決めて使う価値があります。危険なのは、無期限に続けることです。対価を払っていない相手からは本気の課題が出てこないため、事例としての価値も上がりません。受けるなら「公開できる事例として記事化させてもらう」など、交換条件を明確にしてください。

10.6 月30万円のクライアントは、何人持てますか?

月30万円の伴走型契約なら、3~5件で月商90~150万円です。会議同席などを含めても、月3万円で10名を抱えるより稼働は軽くなります。空いた時間をストック型商品の構築に回せると、収入の土台が安定します。

11. まとめ|コーチの料金設定を決めるのは腕ではなく設計

コーチの料金設定を月3万円から月30万円に変えるために必要な5条件を、もう一度整理します。

  1. 条件1:ターゲット|その金額を払える小人に設定し直す。原資があるかで見る
  2. 条件2:ニーズ|売上・お金・人という先送りできない悩みに当てる
  3. 条件3:選ばれる理由|肩書ではなく掛け合わせで、比較されない立ち位置をつくる
  4. 条件4:商品設計|時間売りをやめる。成果までの道筋をプログラムにする
  5. 条件5:伝え方|松竹梅と判断基準の提示で、価格を納得に変える

5条件はどれも、技術を上げる話ではありません。すでに持っているものの届け先と見せ方を設計し直す話です。時給800円が1回30万円になった箏の演奏家も、同じ技術のまま単価が8倍になったボイストレーナーも、やったことはこれだけでした。

そして料金を上げることは、自分のためだけの打ち手ではありません。価格が上がれば、サポートを厚くできて、クライアントの本気度も上がります。志師塾が価格アップ=サービス品質アップと伝えてきたのは、この循環があるからです。逆に、ガチ時給3,000円のまま走り続ければ、いつか伴走そのものが続けられなくなります。

まずは、あなたのガチ時給を計算することから始めてください。数字が出たら、小人を1人決める。この2つが終われば、料金表の書き換えは自然と決まります。

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この記事は、先生業専門のビジネススクール「志師塾」が執筆・監修しています。志師塾は、コーチ・コンサルタント・士業・講師といった先生業の顧客獲得と商品設計を支援し、これまでに3,295名(2026年8月時点)が受講。卒業生コミュニティでは、単価アップや高額商品の設計に取り組む会員同士が、実践の結果を共有し合っています。

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