独立を決めたものの、「開業届はいつ、どこに、どうやって出せばいいのか」で手が止まっていませんか。
開業届は、個人事業主として事業を始めるときの基本の手続きです。この記事では、開業届の出し方・書き方・必要なものを、国税庁の公開情報にもとづいて整理します。
先に要点をまとめます。
- 提出先は、納税地を所轄する税務署
- 提出方法は、e-Tax・窓口への持参・郵送などの送付の3つ
- 提出期限は、事業を始めた年分の確定申告期限まで。ただし青色申告承認申請書は、もっと早い期限がある
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1.開業届とは?正式名称と提出する人
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。国税庁の手続案内では、新たに事業を開始したときや、事務所・事業所を新設・移転・廃止したとき、事業を廃止したときの手続とされています。
提出するのは、新たに事業所得、不動産所得または山林所得を生ずべき事業を始めた方です。手続の根拠は所得税法第229条です。
士業・コンサル・講師などとして個人で独立する場合は、事業所得を生ずべき事業を始めるケースとして、開業届の提出を検討することになります。
2.開業届の提出期限はいつまで?
国税庁は、開業届の提出時期を「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」としています。提出期限が土曜日・日曜日・祝日等に当たる場合は、その翌日が期限です。
ただし、開業届の期限に合わせて動くと、青色申告承認申請書の期限を過ぎてしまうおそれがあります。青色申告を考えている方は、6章の期限を先に確認しておきましょう。
3.開業届の出し方|提出先と3つの提出方法
開業届の提出先は、納税地を所轄する税務署長です。事務所の所在地が納税地と異なる場合でも、納税地を所轄する税務署長以外への提出は不要とされています。
国税庁の手続案内で示されている提出方法は、次の3つです。

3.1 e-Taxで提出する
国税庁は、パソコンからe-Taxソフトで届出書を作成し、e-Taxで提出する方法を案内しています。e-Taxを初めて使う方は、利用者識別番号の取得が必要です。
e-Taxで提出する場合は、本人確認書類の提示や写しの添付は不要とされています。詳しくはe-Taxホームページで確認できます。
3.2 税務署の窓口に持参する
書面で作成した届出書を、税務署に持参して提出することもできます。国税庁の手続案内によると、令和8年10月1日から、全ての税務署で総合窓口の受付時間を原則として9時から15時までとしています。
土曜日・日曜日・祝日と年末年始(12月29日から1月3日)は、執務を行っていません。
3.3 郵送などで送付する
書面の届出書は、郵送などで送付して提出することもできます。窓口に行く時間が取りにくい方に向いた方法です。
なお、国税庁は令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印を押さないこととしています。控えが必要な方は、自分で控えを作って保管し、提出年月日を記録しておくよう案内されています。
当分の間の対応として、窓口で希望した方や、切手を貼った返信用封筒を同封して郵送した方には、受け付けた日付と税務署名を記載したリーフレットが渡されます。
出典:国税庁 令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて
4.開業届に必要なもの・必要書類
開業届を出すときに用意するものは、次のとおりです。
- 個人事業の開業・廃業等届出書(国税庁ホームページからダウンロードできる)
- マイナンバー(個人番号)
- 書面で提出する場合は、本人確認書類(提示または写しの添付)
国税庁の記載要領には、届出書を提出する際には、個人番号の記載と、届出をする方の本人確認書類の提示または写しの添付が必要と書かれています。e-Taxで提出する場合は、本人確認書類の提示や写しの添付は不要です。
出典:国税庁 個人事業の開業・廃業等届出書 記載要領(PDF)
同じ記載要領では、届出書の控えを保管するときは、控えに個人番号を記載しないなど、個人番号の取扱いに注意するよう案内されています。
5.開業届の書き方|主な記入欄
国税庁が公開している届出書の様式をもとに、開業するときに記入する主な欄を整理しました。
| 記入欄 | 書く内容 |
|---|---|
| 提出先・提出日 | 納税地を所轄する税務署名と、提出する年月日 |
| 氏名・生年月日・マイナンバー・電話番号 | 届出をする本人の情報 |
| 納税地・区分 | 納税地の住所と、それが住所地・居所地・事業所等のどれに当たるか |
| 職業・屋号 | 事業の職業名と、屋号(使う場合) |
| 届出の区分 | 開業する場合は「開業」の欄に「1」を記載 |
| 所得の種類 | 該当する所得の種類にチェック(不動産所得・山林所得・事業(農業)所得) |
| 開業・廃業等日 | 事業を開始した日 |
| 開業・廃業に伴う届出書の提出の有無 | 青色申告承認申請書、消費税の課税事業者選択届出書を出すかどうか |
| 事業の概要 | 事業の内容をできるだけ具体的に |
| 給与等の支払の状況 | 専従者・使用人に給与を支払う場合の人数や給与の定め方など |
5.1 「事業の概要」は具体的に書く
様式には、事業の概要を「できるだけ具体的に記載します」と書かれています。先生業なら、誰に、どんなサービスを提供するのかが分かるように書くとよいでしょう。
たとえば、「中小企業向けの資金調達・事業計画づくりのコンサルティング、セミナー講師」のように書く方法があります。事業の概要を言葉にする作業は、自分の専門分野を見直すきっかけにもなります。
5.2 給与等の支払の状況の欄
記載要領によると、この欄には届出日現在の給与の支給人員や支払の状況などを記載します。
従業員などに給与を支払う事務所を開設したときは、別に「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を開設の日から1か月以内に提出する必要があります(国税庁 No.2090)。
6.青色申告承認申請書もあわせて確認する
開業届とあわせて確認しておきたいのが、所得税の青色申告承認申請書です。国税庁の記載要領では、新たに事業を開始した年から青色申告をする場合の提出期限が、次のように示されています。

- 1月15日までに新たに事業を開始した場合:その年の3月15日まで
- 1月16日以降に新たに事業を開始した場合:事業を開始した日から2か月以内
出典:国税庁 個人事業の開業・廃業等届出書 記載要領(PDF)、国税庁 No.2090 新たに事業を始めたときの届出など
青色申告には、要件に応じて最高65万円・55万円・10万円の青色申告特別控除があります(国税庁 No.2072 青色申告特別控除)。
開業届と青色申告承認申請書は、同じタイミングで準備すると出し忘れを防げます。
6.1 白色申告でも記帳と帳簿の保存は必要
記載要領の「お知らせ」には、事業所得などを生ずべき業務を行う全ての方は、記帳と帳簿書類の保存が必要と書かれています。所得税の申告の必要がない方も含まれます。
青色申告にするかどうかに関わらず、開業した日から、売上と経費を記録する習慣をつけておきましょう。
7.開業届のほかに確認したい届出
国税庁No.2090は、個人が新たに事業を始めたときの代表的な届出書を一覧にしています。開業届と青色申告承認申請書のほかに、状況に応じて次のような届出があります。
- 青色事業専従者給与に関する届出書(家族に給与を払い、必要経費にする場合)
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(給与を支払う事務所を開設した場合)
- 適格請求書発行事業者の登録申請書(インボイスを発行する事業者になる場合)
同じページには、都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署などにも届出が必要となる場合があると書かれています。自分に必要な届出は、各窓口や税理士などの専門家に確認してください。
出典:国税庁 No.2090 新たに事業を始めたときの届出など(令和8年4月1日現在法令等)
個人事業と法人の違いや、起業までの全体の流れは、次の記事で解説しています。
起業するには何から始める?個人事業と法人の選び方・必要な手続きを7ステップで解説
8.手続きの次に必要なのは「仕事が来る仕組み」
開業届を出しても、それだけで仕事の依頼が来るわけではありません。手続きを早めに済ませたら、誰に、何を提供するのかを決め、見込み客に知ってもらう準備に時間を使いましょう。
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【志師塾の評判】中小企業診断士 清水謙伍さん |講座の進め方、講師と仲間との関係、成果を紹介
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9.開業届に関するよくある質問
9.1 開業届はいつ出すのがよいですか?
期限は、事業を始めた年分の確定申告期限までです。ただし青色申告をしたい方は、青色申告承認申請書の期限(6章)に間に合うよう、開業後早めに準備しておくと安心です。
9.2 会社員のまま副業で始める場合も開業届は必要ですか?
国税庁の手続案内では、開業届の対象者を「新たに事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業の開始等をした方」としています。副業の所得が事業所得に当たるかどうかは、活動の実態によって判断されます。
副業での判断の目安は、次の記事で国税庁の資料をもとに整理しています。
副業で個人事業主になるには?開業届を出す・出さないの判断基準
9.3 開業届の控えはもらえますか?
令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印は押されません。控えが必要な場合は、自分で控えを作って保管し、提出年月日を記録しておきます。
e-Taxで提出した場合は、送信後にメッセージボックスに格納される受信通知で、受付番号や受付日時などを確認できます(国税庁)。
10.まとめ
開業届の出し方のポイントを振り返ります。
- 正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」。提出先は納税地を所轄する税務署
- 提出方法は、e-Tax・窓口への持参・郵送などの送付
- 書面で出す場合は、マイナンバーの記載と本人確認書類が必要
- 期限は事業を始めた年分の確定申告期限まで。青色申告承認申請書は、原則として開業日から2か月以内などの早い期限がある
- 税務署以外の届出は、各窓口で確認する
開業届は、先生業として独立する最初の一歩です。手続きを早めに済ませて、顧客づくりに時間を使いましょう。
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