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研修講師の売り方5転換|6075億円市場で売れない理由

企業向け研修サービス市場は2025年度に6,075億円まで拡大しました。ところが、研修にお金を出している企業の割合は54.4%で、前回調査よりわずかに下がっています。市場は伸びているのに、買う会社の数は増えていない。これが「研修市場は追い風」と言われながら、現場の研修講師が「売れない」と感じている理由です。

この記事では、研修が売れない構造を公的データで整理したうえで、受注につながる研修の売り方5つの転換を解説します。扱うのは、売る対象・狙う相手・語る言葉・価格の立て方・提供価値という5点です。

志師塾は、士業・コンサルタント・研修講師・コーチといった「先生業」専門のビジネススクールとして、これまで3,295名(2026年8月時点)の先生業を支援してきました。研修講師として法人から選ばれる人と、相場の下限で買いたたかれる人の違いを、数多くの受注現場で見てきています。本記事では、その知見に厚生労働省・矢野経済研究所などの公的データを重ねて解説します。

読み終えるころには、「もっと良い研修を作る」という発想ではなく、売る単位と売る言葉を変えるという具体的な打ち手が見えているはずです。まずは、研修市場で何が起きているのかを数字で確認していきましょう。

では、その「売る単位」と「売る言葉」は、何を基準に決めればいいのか。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーでは、専門性を法人からの依頼に変える順番を、先生業の実例で解説しています。

あなたの経歴のどこが「選ばれる理由」になるのかが見えてきます。

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目次

1. 研修市場は伸びているのに「研修が売れない」のはなぜか

研修市場の4つの数字が示す二極化

研修が売れない最大の理由は、市場の拡大が「新しく買い始める会社の増加」ではなく、すでに買っている会社の1人あたり単価の上昇で起きていることです。つまり、増えたのは買い手の数ではなく、買い手ごとの予算です。

1.1 市場規模は6,075億円、2026年度は6,300億円予測

矢野経済研究所の調査によると、企業向け研修サービス市場は2025年度に6,075億円(前年度比3.7%増)、2026年度は6,300億円が見込まれています(出典:矢野経済研究所「企業向け研修サービス市場に関する調査(2026年)」)。人的資本経営の広がりとAIの普及による育成ニーズが、けん引要因として挙げられています。

ただし、伸び率には注目したいところがあります。2024年度は前年度比4.6%増の5,858億円でした(出典:同調査2025年版)。4.6%→3.7%ですから、拡大のペースはゆるやかになっています。「人的資本経営の流れで研修が売れる時代」という一本調子の読みは、そろそろ一段冷静にしたほうがいいでしょう。

1.2 研修費用を出す企業は54.4%で横ばい、むしろ微減

買い手側の数字を見ると、構造がはっきりします。厚生労働省「令和7年度 能力開発基本調査」では、教育訓練費用を支出した企業は54.4%で、前回調査より0.5ポイント低下しました(出典:厚生労働省「令和7年度 能力開発基本調査」結果の公表)。

直近の推移は54.6%→54.9%→54.4%。およそ半数の企業は、そもそも研修にお金を出していません。そして、その割合は数年間ほとんど動いていません。研修を売る側から見れば、市場の半分は何年アプローチしても扉が開かない領域だということです。

1.3 1人あたり2.0万円に増加|予算は「すでに買う会社」へ集中する

ただ、OFF-JT(通常の業務を離れて行う教育訓練)費用の労働者1人あたり平均は2.0万円で、前回より0.5万円増えています。OFF-JTを受講した労働者は37.3%、能力開発・人材育成に何らかの問題があるとする事業所は80.1%に達します。

この3つの数字を並べると、研修市場の実像が見えてきます。

指標 数値 研修を売る側への意味
市場規模 6,075億円(+3.7%) 全体のパイは拡大している
費用を支出した企業 54.4%(-0.5pt) △ 買う会社の数は増えていない
1人あたりOFF-JT費用 2.0万円(+0.5万円) ◎ 買う会社の単価は上がっている
育成に問題がある事業所 80.1% ◎ 課題は解決されていない

研修市場は、二極化しています。買う会社の中での予算争いに勝てる人だけが、単価を上げられる市場です。だから、やるべきことは「新しい会社を広く探す」ではありません。売り方そのものを変える必要があります。ここから、その5つの転換を具体的に見ていきます。

2. 研修の売り方 転換1:売る対象を「1日の研修」から「成果」へ

研修を成果パッケージに組み替える

研修の売り方の第一の転換は、商品の単位を「研修という実施行為」から「成果が出るまでのプロセス」へ変えることです。買い手の最大の不満は研修の内容ではなく、研修が現場に残らないことにあります。

2.1 業務で活用できたのは31%|研修が「残らない」という不満

研修受講者401名を対象とした調査では、研修内容を業務で活用できたと答えた人は31%。残りの約7割は活用度が低いという結果でした。さらに、約8割の研修で、実施後のフォローが何も行われていません(出典:EdWorks「企業研修と研修効果に関する実態調査」2023年9月/調査主体は研修関連事業者のため、数字はその前提で読んでください)。

この調査には、売り方のヒントになる数字も含まれています。「上司から研修の目的説明が常にあった」人の活用率は82%。研修の前後で現場を動かしているかどうかで、結果が2.6倍(31%→82%)変わるわけです。

同じ傾向は新しいテーマでも起きています。大企業の生成AI研修に関する調査では、4割強が受講者の理解・習得状況を把握できておらず、受講後のフォローが不十分という回答が40.9%ありました(出典:イー・コミュニケーションズ調査)。テーマが新しくなっても、「やって終わり」という構造は変わっていません。

2.2 「1日いくら」で売ると、永遠に「1日いくら」で比べられる

ここで押さえたいのは、売る単位が価格の天井を決めていることです。「1日の研修」を商品にして売れば、買い手の比較軸は「1日いくらか」になります。そうなると、比べられるのは講師の人柄と価格だけです。

志師塾では、断られる理由を「なぜ買うのか/なぜあなたから買うのか/なぜ今買うのか」の3分類・9パターンで洗い出し、提案に先回りして組み込むよう指導しています。研修提案で最も多いのは、このうち「アフター不明」です。受け手は、研修後に自社がどう変わるのかをイメージできていません。だから金額だけを見る。それだけの話です。

2.3 研修を標準パッケージ化する|事前課題・実践フォロー・測定をセットにする

打ち手はシンプルです。研修の前後を商品に含めてしまうこと。

  • 事前:受講者アンケート、現状の可視化シート、管理職への目的共有ミーティング
  • 当日:研修(ここだけを売らない)
  • 事後:実践課題の提出、1か月後のフォロー会、行動変化の測定レポート

「コンサルや研修は毎回カスタマイズだから標準化できない」と言う方がいます。志師塾の考え方は逆です。標準がないと、買い手は何がカスタマイズで何が標準なのか判断できません。標準パッケージを示したうえで「御社向けにここを変えます」と言えるから、追加費用も説明できるようになります。

そして商品づくりの順番は「創って・売って・作る」です。売れるかどうか分からない段階で研修資料を大量に作り込むのは逆。まずプログラムの枠組みを創り、売ってから、中身を作り込む。この順番にするだけで、机に向かう時間が受注に直結します。

ここまでで、研修を「成果が出るまでのプログラム」として設計し直す意味は見えたと思います。ただ、設計を変えても、提案する相手が間違っていれば受注にはなりません。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーでは、誰に向けて何を打ち出すかという前段の決め方から解説しています。

3. 研修の売り方 転換2:狙う相手を「広く浅く」から「予算のある会社」へ

ドアノック商品から顧問・研修へ

第二の転換は、営業対象の選び方です。研修費用を支出している企業は54.4%で増えていません。だとすれば、すでに払っている会社の予算内でシェアを取るほうが、受注の確率は圧倒的に高くなります。

3.1 ターゲットを「支払能力」で選ぶ|小人の設定が単価を決める

志師塾では、理想の顧客像を「小人(こびと)さん」と呼び、具体的に設定してもらいます。その設定条件の第一が、あなたのサービスにお金を払うことができるかです。ここを外すと、どれだけ良い研修を作っても価格を上げられません。

単価を決めているのは、講師としての腕ではありません。誰のどの悩みに当てるかです。志師塾の受講生には、同じ技術のまま単価が8倍になったボイストレーナーがいます。「歌が上手くなりたい人」向けから「営業の話し方で成績が変わる」に訴求を変えて2倍、さらに別のターゲットに当て直して8倍。変えたのは技術ではなく、訴求する相手だけです。

3.2 業務特化戦略とドアノック商品|顧問契約から入らない

法人開拓でよくある失敗は、最初から大きな契約を狙うことです。志師塾が教えているのは、業務特化のドアノック商品から入るという順番です。

たとえば人材採用支援を入口にすると、セミナー講師の依頼→顧問契約→人事制度コンサル・研修へと受注が連鎖していきます。鉄則は「お客さんがすでに払っているお金に乗っかる」こと。採用費・教育費として予算が立っているところに提案すれば、ゼロから予算を作ってもらう必要がありません。

3.3 業種を絞ると、紹介が回り始める

「絞るのが怖い」という声は、研修講師からも必ず出ます。ですが、絞らなければ選ばれません。「なんでもやります」は「何屋さんか分からない」と同じです。

志師塾の卒業生で、独立当初から「大家さん専門税理士」として業種特化した方は、顧問先500件・年間セミナー80回以上という規模になりました。興味深いのは、相続税の専門家として打ち出さなかったのに、相続の相談がひっきりなしに入るようになったことです。業種を絞ると、その業種の中で第一想起されるからです。研修でも同じことが起こります。

4. 研修の売り方 転換3:語る言葉を「専門性」から「経営・人事の言葉」へ

専門性の言葉を経営の言葉へ訳す

第三の転換は、提案で使う言葉です。研修が稟議に乗らない理由の多くは、講師が自分の専門性の言葉で語り、買い手が経営の言葉を必要としているというズレにあります。

4.1 人的資本開示で「人材育成方針」が必要になった

2023年3月31日以後に終了する事業年度の有価証券報告書から、約4,000社に人的資本に関する記載が求められるようになりました。必須項目には「人材育成方針」「社内環境整備方針」が含まれます(※制度の詳細は金融庁・内閣官房の資料で最新の内容をご確認ください)。

ところが、2024年3月期の開示分析では「中長期戦略との結びつきが明確でない事例」が指摘されています(出典:大和総研レポート)。方針を書く義務はあるが、それを実行し説明する手段が足りていないということです。ここが研修講師にとっての空き地です。

4.2 「教えられること」ではなく「実行する方針の一行」を語る

提案書の一行目を変えてみてください。

Before(専門性の言葉) 「ロジカルシンキング研修を提供できます」
After(経営の言葉) 「御社が開示している人材育成方針のうち、若手の自律的な課題解決力の育成という一行を、90日で実行する手段です」

同じ研修でも、後者は人事担当者がそのまま社内で説明できます。稟議を通す言葉を、こちらが用意してあげるという発想です。

4.3 効果測定を引き受けて、比較から抜ける

買い手が抱える最大の課題は効果測定です。だからこそ、測定をこちら側の商品に入れると強い差別化になります。

志師塾では、競合と比較されたときの対処として「価格以外の判断基準を教育する」ことを教えています。具体的には、セミナーや提案の場で見極め質問を伝えるやり方です。「研修後の行動変化をどう測るか、御社の場合の設計を見せてください」と発注先に聞くよう促す。この質問に答えられない相手は、提案力が不足していると判断できます。競合の悪口を一言も言わずに、選ばれる位置に立てます。

提案の場で売り込み感を出さずに判断基準を伝える方法は、品位ある営業トークの作り方でも詳しく解説しています。

5. 研修の売り方 転換4:価格を「相場合わせ」から「原資設計」へ

売る単位で変わる研修の価格帯

第四の転換は値付けです。研修講師の単価は、実力ではなくどの単位で売っているかでほぼ決まっています。ここを理解しないまま相場に合わせると、何年やっても単価は動きません。

5.1 個人講師5~15万円という天井の正体

発注支援サイトが公開している相場情報では、研修の講師人件費はおおむね次のように整理されています。

  • 個人の講師:1回5~15万円
  • 研修会社所属の講師:半日10~15万円/全日15~30万円
  • 研修会社のプログラム:営業研修1日35万円~、6日間プログラム190万円~という提示例も

公的な支払基準も参考になります。川崎市の職員研修講師謝礼支払基準では、講師謝礼は1時間15,000~20,000円、研修コンサルタントは半日10万円・全日20万円が限度と定められています(出典:川崎市職員研修講師謝礼支払基準)。「講師として呼ばれる」という売り方には、はっきりした天井があります。

5.2 同じ専門性で桁が変わる|売る単位を変えるという発想

注目してほしいのは、同じ登壇でも、個人の講師として1回5~15万円、研修会社所属の講師の全日研修として15~30万円、研修会社のプログラムになれば営業研修1日35万円~・6日間プログラム190万円~という価格が並立していることです。変わっているのは専門性ではなく、売る単位と売り手の形だけです。

志師塾では、ここを「ガチ時給」という考え方で捉えます。登壇時間の時給ではなく、営業・移動・資料作成・事務処理まで含めた正味の時給です。1日15万円の研修でも、準備に5日かかって営業に3日動いていれば、ガチ時給は数千円になります。これがセルフブラックの正体です。志師塾代表の五十嵐も、年商1,000万円の頃は月400~500時間稼働でガチ時給約2,000円でした。講座化・プログラム化によって時給は10倍に変わっています。

また、先生業のサービスは品質が見えにくいため、価格そのものが品質の判断基準になります。志師塾では「価格アップ=サービス品質アップ」と伝えています。安い講師は、安いなりの期待しかされません。

5.3 価格の壁は「原資」で外す|助成金と元を取るストーリー

「予算がない」と言われたとき、値引きで応じるのが最悪の対応です。先に考えるのは原資です。企業の人材育成には、国の人材開発支援助成金という制度があります。訓練経費と訓練中の賃金の一部が助成される仕組みで、コース区分ごとに助成率や上限、期限が設定されています(出典:厚生労働省・労働局「人材開発支援助成金」)。助成率・上限額・申請期限は年度ごとに改正されるため、提案に使うときは必ず労働局の最新の要領で確認してください。

そのうえで、志師塾が教えている価格の反論処理が「元を取るストーリーを語ること」です。

「提案額が150万円だとして、一瞬高いと感じたとしても、その結果どれだけ回収できるかを示せば判断は変わります」。研修であれば、離職を1人防いだときの採用コスト、管理職の判断スピードが上がったことによる残業時間の削減、提案の歩留まりの改善。金額に換算しにくい領域でも、削減できる時間を金額に置き換えれば必ず説明できます。

6. 研修の売り方 転換5:価値を「知識の伝達」から「AI・内製に残らないもの」へ

AI・内製に残らない価値の段階

第五の転換は、提供価値そのものです。研修の内製化と生成AIの普及によって、知識を順序立てて分かりやすく伝える部分の価値は確実に下がっていきます。残るのは別の部分です。

6.1 研修の内製化とAIが奪うのは「作業」である

企業が研修を内製化する動機は、コスト抑制、自社業務に即した内容、そしてスピードです。外注すると企画から実施までに数か月かかり、生成AIのような旬のテーマに追いつけません。ただし「教材を作るノウハウがない」という壁があり、実行できている企業は限られます。

矢野経済研究所は2026年に、教育・研修分野における生成AIサービス市場を独立したカテゴリとして調査し始めました(出典:矢野経済研究所プレスリリース)。提供形態そのものが分かれ始めた信号です。

志師塾の見方はシンプルです。AIに奪われたのは「作業」で、「判断」は先生業に残っています。失敗パターンは、残った判断を「チェック」という作業の値段で売ってしまうことです。

6.2 作業代行・アドバイス・伴走|単価が10倍変わる3段階

志師塾では、支援の形を3段階で整理します。

  1. 作業代行:資料を作る、研修を実施する(内製とAIに代替されやすい)
  2. アドバイス:やり方を助言する(情報として検索・AIで代替されやすい)
  3. 伴走:現場の固有事情に合わせて判断し、やり切らせる(代替されにくい)

作業代行と伴走では、単価が10倍変わることもあります。研修講師の生き残り方は、登壇を切り売りすることではなく、育成の成果が出るまで伴走する立場に移ることです。AIを使った研修づくりや収益の柱の立て方については、AIで新しい収益の柱をつくる3つの方法も参考になります。

6.3 前工程へのシフト|「最初に相談される人」になる

もうひとつの打ち手が、志師塾で言う前工程へのシフトです。研修というテーマで比べられると、価格と知名度の勝負になります。そこで、顧客がその前段階で悩んでいることに特化します。

「どんな研修をやるべきか分からない」「育成の計画をどう作ればいいか分からない」「開示する方針をどう書けばいいか分からない」。この段階で相談を受ける立場に立てば、比較されずに本命の研修を受注できます。専門を深く掘るより、全体像を示して最初に相談される窓口になるほうが選ばれる場面は確かにあります。

研修講師としての経験が長い方ほど、この転換は効きます。キャリアの後半での方向転換を考えている方には、50歳からの生き方と仕事の組み立て方も合わせて読んでいただければと思います。

7. 志師塾卒業生の事例|研修の売り方を変えて選ばれた先生業

ここまでの5転換は、理屈ではなく実際の受注で確かめられたものです。志師塾の卒業生インタビューから、研修講師として選ばれるようになった方を紹介します。

7.1 経営経験を言語化して上場企業を含む9社の研修講師へ|佐藤圭さん

美容室経営成長コンサルタントの佐藤圭さんは、美容師として34年、経営者として19年のキャリアを持つ方です。2024年2月にM&Aで会社を売却した後、上場企業を含む9社から研修講師として選ばれています。

佐藤さんが志師塾に来たときの課題は、「自分のサービスの言語化と販促方法が分からない」というものでした。学びの中心はキラーコンテンツ、特にプロフィールの作り込みです。

「研修講師はたくさんいるけれど、会社を立ち上げて経営していた研修講師は稀で、ほとんどいないと言われました」。4店舗・スタッフ20人の組織を運営し、M&Aで売却した実績。この理論と実践の両方を兼ね備えた経験が、選ばれる理由になりました。リーダーシップ、マネジメント、財務、マーケティングと、研修領域も広がっています。

6月に受講を開始し、8~9か月で受講金額を回収。現在は美容室の経営コンサルタント育成講座の開発、ホットペッパーのコンサルタントとの提携による顧問先獲得、求人戦略セミナーと、複数の事業を並行して走らせています。「今やっている事業は全部、既にキャッシュ化されている事業に当てはまっている」という言葉は、転換2で述べた「原資に乗っかる」発想そのものです。

7.2 大企業42年の経験を20代・30代向け研修に絞り込む|矢澤滋人さん

インプレスビジョン株式会社代表の矢澤滋人さんは、サントリーホールディングスに42年勤務し、マーケティング部門で誰もが知る飲料ブランドを多数担当した経歴を持ちます。定年退職後、次世代向けマーケティングコーチとして研修プログラムを提供しています。

矢澤さんの打ち出しは「最短90日間で“刺さる企画提案”がひらめく社員に変身」。受講対象を20代・30代の若手社員に絞り込んでいるのが特徴です。ケースメソッドによる洞察力、アート思考による創造力、インサイト調査による実務接続という3つのメソッドでプログラムを構成しています。

「人間がAIより優れているのは洞察力と創造力であると言われており、それらの力が“ひらめき”を生むと考えています」。AIに代替されない領域を研修の中心に据えた設計です。ここには転換5の考え方が、そのまま形になっています。

7.3 副業から講師業へ|キャリアコンサルタント・南賢造さん

南賢造さんは、NTTグループの人材育成会社でXRコンテンツの開発・コンサルティングに携わりながら、NPO法人の代表理事、キャリアコンサルタントとしての講師業・コンサルタント業という3足の草鞋を履くパラレルワーカーです。

受講中に考えた肩書は「副業パーソナルコンサルタント」。キャリアコンサルタントの資格を取っても自立できない人が多いという課題に対し、自身が副業を持つパラレルワーカーであることを強みに変えました。現在は大学のキャリアデザイン講師や行政主催のセミナー登壇にも活動を広げ、志師塾の講師も務めています。

3人に共通しているのは、持っている経験を変えたわけではなく、誰に向けて何として売るかを変えたという点です。あなたの経歴にも、言語化されていないまま眠っている選ばれる理由があるはずです。志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーでは、その言語化から依頼につなげるまでの道筋をお伝えしています。

8. まとめ|研修の売り方5転換

研修市場は6,075億円に拡大し、2026年度は6,300億円が見込まれています。しかし、研修費用を支出する企業は54.4%で増えておらず、増えたのは1人あたりの予算です。買う会社の中での予算争いに勝てるかどうかが、受注を分けます。

転換 Before After
1. 売る対象 1日の研修 事前課題+研修+実践フォロー+測定の標準パッケージ
2. 狙う相手 やりそうな会社を広く回る すでに払っている会社・予算に業務特化で入る
3. 語る言葉 教えられる専門分野 人材育成方針を実行する手段・効果測定の設計
4. 価格 相場に合わせる(個人講師5~15万円) 売る単位を変え、助成金などの原資と回収を設計する
5. 価値 知識を順序立てて伝える 自社事例への翻訳・現場の判断・やり切らせる伴走

5つの転換は、どれも「研修をもっと良くする」話ではありません。同じ専門性のまま、売り方だけを変える話です。だから、明日からの提案書の一行目から変えられます。

とはいえ、ひとりで取り組むと必ず詰まる箇所があります。誰に向けて何を打ち出すか、その言葉をどこでどう届けるか。ここが決まらないまま提案を重ねても、比較と値引きの土俵から出られません。

同じ専門性のまま、研修の単価を変える

志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーでは、研修を「成果が出るまでのプログラム」に組み替える考え方をお伝えします。あなたの経歴から選ばれる理由を言語化し、依頼につなげるまでの順番も扱います。参加費は無料です。

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この記事について

この記事は、先生業専門のビジネススクール『志師塾』が執筆・監修しています。志師塾は、士業・コンサルタント・研修講師・コーチなど「先生業」の顧客獲得を専門に支援し、これまで3,295名(2026年8月時点)の受講生を輩出してきました。卒業生インタビューを実名・具体数字つきで公開しており、研修講師・法人コンサルタントとして活躍する方の実例も多数掲載しています。

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