「行政書士の資格を活かして副業を始めたい」「でも、本当に月10万円くらい稼げるの?」「何から手をつければいいの?」
あなたは今、こんなふうに考えていませんか。
行政書士は、本業を続けながら始められる数少ない国家資格系の副業です。ただ、始めた人のすべてがうまくいくわけではありません。月に数千円で止まってしまう人もいれば、副業から独立して年収一千万円を超える人もいます。この差は、資格の有無でも、努力の量でもありません。「どんな専門家として見られるか」という立ち位置を、最初に決めているかどうかです。
そこで本記事では、次のことを解説します。
- 行政書士の副業のリアルな実態と収入イメージ
- なぜ行政書士は「安売り競争」に巻き込まれやすいのか、その構造
- 副業の始め方5ステップ
- 稼ぎやすい業務と、月10万円を実現する集客の考え方
- 副業を「独立への助走」に変える人がやっていること
この記事を読み終えるころには、「とりあえず登録して案件を探す」のではなく、「どの分野で、誰に選ばれる専門家になるか」から逆算して動けるようになります。月10万円を、ゴールではなく通過点にするための地図です。

1. 行政書士の副業は可能?まず知っておきたい実態
結論から言えば、行政書士の副業は可能です。会社員を続けながら開業することもできます。ただし、いくつか前提があります。
1.1 副業でも「開業登録」が必要
行政書士として報酬を得て業務を行うには、事務所を置く都道府県の行政書士会への登録が必須です。資格試験に合格しただけでは業務はできません。ここが、他の在宅副業と大きく違うところです。
登録時にかかる費用(登録免許税・登録手数料・入会金など)の合計は、おおよそ20万〜38万円。会費は月換算で4,000〜8,000円程度が目安です。ただし、この金額は都道府県の行政書士会によってかなり差があります(入会金の違いが大きい)。最新の正確な額は、登録予定の都道府県会の公式サイトで必ず確認しましょう。いずれにせよ、一定の初期投資が必要になる点は、始める前に押さえておきたいところです。
1.2 行政書士副業のリアルな収入イメージ
副業行政書士の収入は、月0円から30万円超まで、個人差が非常に大きいのが実態です。「資格を取れば自動的に稼げる」わけではありません。案件をどう取るか、どの分野を選ぶかで、結果は大きく変わります。
ここで一つ、はっきりさせておきたいことがあります。月10万円は、行政書士の副業では十分に現実的な目標です。ただ、それを「ゴール」にするか「通過点」にするかで、その後の伸び方がまったく変わります。後半で詳しく触れます。
1.3 副業が向いている人・向かない人
向いているのは、平日夜や週末にまとまった時間を確保でき、自分から営業や情報発信に動ける人です。逆に、「資格があれば依頼が来るだろう」と待ちの姿勢の人は、副業でも独立でも苦戦します。行政書士は、待っていて仕事が来る職業ではありません。
2. なぜ行政書士は「安売り競争」に巻き込まれやすいのか
ここが、他の解説記事にはあまり書かれていない、いちばん大事なところです。
行政書士の主な仕事は、許認可申請や書類作成です。これらは「やるべきことが決まっている作業」に見えやすい。すると何が起きるか。お客さんは「誰に頼んでも同じ」と考え、比べるのは価格だけになります。結果、「建設業許可◯万円」「相続手続き◯万円」と、値段の安さで選ばれる消耗戦に入っていきます。
副業で始めると、この罠にさらにはまりやすくなります。「本業があるから安くてもいい」「実績作りだから」と、つい単価を下げてしまうからです。これをやると、いつまでも「安い書類屋さん」から抜け出せません。
抜け出す道は一つです。「書類を作る人」から「相談できる専門家」へ立ち位置を変えること。たとえば建設業許可なら、「許可を取る」だけでなく「許可を取った後、どう経営に活かすか」まで相談に乗る。相続なら、手続きの代行ではなく「家族がもめないための準備」を一緒に考える。やっていることは同じでも、見られ方が変われば、価格では比べられなくなります。
この「立ち位置を変える」という発想を、最初の段階から持っているかどうか。これが、月10万円で止まる人と、独立して高収益になる人を分ける最大の違いです。

3. 行政書士の副業で稼ぎやすい業務
副業で取り組みやすく、かつ「継続」や「高単価」につなげやすい業務を紹介します。単発で終わる仕事ばかり追うと、毎月ゼロから営業し直すことになります。下の表で全体像をつかんでください。
| 業務 | 報酬の目安 | 継続性・特徴 |
|---|---|---|
| 相続・遺言 | 遺言書作成5〜7万円/相続一式10〜15万円 | 紹介につながりやすい |
| 建設業許可 | 新規12〜20万円(別途法定費用9万円) | ◎毎年の届出・更新で継続案件に |
| 飲食店・古物商許可 | 2〜5万円程度 | 最初の実績作りに |
| 補助金・助成金 | 着手金+成功報酬が多い | 他資格との連携で幅が出る |
3.1 相続・遺言関連
高齢化で需要が伸びている分野です。報酬の目安は、遺言書作成だけなら5〜7万円、相続人調査や遺産分割協議書までセットだと10〜15万円ほど(業務範囲や難易度で変わります)。単発に見えますが、家族や知人の紹介につながりやすく、「相談される専門家」になれば継続的に依頼が来ます。
3.2 建設業許可申請
知事許可の新規申請で、行政書士報酬の目安は12〜20万円ほど(別に法定費用の登録免許税9万円がかかります)。そして建設業許可の大きな特徴は、新規許可だけでなく、毎年の決算変更届や5年ごとの更新が発生することです。一度関与すれば継続案件になりやすく、副業でも安定収入を作りやすい。「許可代行」で終わらず「建設業の経営パートナー」を目指せる分野です。
3.3 飲食店営業許可・古物商許可
比較的取り組みやすく、副業の最初の実績作りに向きます。報酬の目安は全国平均で2〜5万円ほど(図面作成などが別料金の事務所もあります)。ここで「丁寧で相談しやすい」と評価されれば、次の依頼や紹介につながります。
3.4 補助金・助成金申請サポート
着手金+成功報酬の形が多く、うまく回せば単価を上げやすい分野です。制度変更が多いので、最新情報を追える人に向いています。中小企業診断士など他資格との連携で、提案の幅も広がります。
業務選びのコツは、「単発の安い仕事」ではなく「継続・紹介・相談につながる仕事」を軸にすること。これが副業を独立につなげる土台になります。
4. 行政書士副業の始め方5ステップ

4.1 ステップ1:本業の就業規則を確認し、必要なら相談する
まず副業が認められているかを確認します。許可制・届出制の会社もあります。トラブルを避けるため、ここは最初に押さえます。
4.2 ステップ2:専門分野と「立ち位置」を決める(最重要)
多くの解説記事は「登録する」を先に置きますが、本当はここが先です。どの分野で、誰の、どんな悩みの専門家になるかを決めてから登録した方が、その後の集客がまるで変わります。「行政書士です」ではなく「建設業の許可と経営を支える行政書士です」と言えるかどうか。立ち位置(ポジショニング)が、集客の前提になります。
4.3 ステップ3:行政書士会に登録する
事務所を置く都道府県の会に登録します。登録までは申請から1〜2か月ほどみておくとよいでしょう。自宅を事務所にできるかは要件があるので確認します。
4.4 ステップ4:集客の入口を1つ作る
最初から複数のチャネルに手を広げる必要はありません。後述するように、まず「選ばれる理由」を固め、そこに合った入口を1つ作るのが先です。
4.5 ステップ5:最初の案件を取り、実績にする
知人・紹介・地域からの小さな依頼でかまいません。1件こなしたら、その経験を発信や事例として「実績化」します。実績は次の依頼を呼ぶ資産になります。
5. 行政書士が月10万円を実現する集客の考え方
ここで多くの記事は「ホームページ・Googleビジネスプロフィール・SNS・士業連携の4本柱」と並べて終わります。ただ、手段を並べる前に決めることがあります。
5.1 集客の前に「選ばれる理由」を固める
道具(HPやSNS)をいくつ用意しても、「なぜあなたに頼むのか」が曖昧なままだと反応は取れません。先にステップ2で触れた立ち位置を固める。「◯◯の悩みなら、この行政書士」と思い出してもらえる状態を作る。これが集客の出発点です。
独立や集客の進め方をもっと知りたい方は、志師塾の先生業のためのWeb集客セミナーで、先生業に特化した集客の仕組みづくりを解説しています。
5.2 そのうえで、入口を作る
立ち位置が決まったら、それを伝える入口を用意します。
- 地域密着のホームページ:対応分野・料金・相談の流れ・あなたが何の専門家かを明記
- Googleビジネスプロフィール:「◯◯市 行政書士」で見つけてもらう。定期的に更新する
- SNS・ブログでの専門情報発信:資格試験対策ではなく「依頼者の悩みに答える」発信に絞る(試験対策の発信はお客さんになりません)
- 他士業との連携:税理士・社労士などと相互に紹介し合う
5.3 月10万円の「内訳」を持つ
「なんとなく月10万円」では動けません。たとえば建設業許可を月1件(数万円)+継続の届出サポート数件、というように、何の業務を何件で10万円なのかを具体的に描く。内訳があると、足りない分をどう埋めるかが見えます。
6. 行政書士副業で気をつけたい注意点
6.1 時間の制約とお客さんへの対応
本業があるぶん、日中の連絡や急ぎの対応が難しくなります。対応可能な時間をあらかじめ伝える、電話代行を使うなど、信頼を損なわない工夫をします。
6.2 本業との利益相反・情報の扱い
本業と競合する業務や、本業で知った情報の扱いには注意します。守秘義務は行政書士の信頼の土台です。
6.3 確定申告と税務
会社員が副業で得た所得(売上から経費を引いた額)が年間20万円を超えると、所得税の確定申告が必要です。ここで気をつけたいのは2点。1つは「20万円」は売上ではなく経費を引いた後の所得だということ。もう1つは、所得が20万円以下でも住民税の申告は必要になる点です(所得税が不要でも住民税は別)。経費の記録を最初から残しておくと、後で楽になります。
7. 行政書士が副業を「独立への助走」に変えるには
ここが、この記事でいちばん伝えたいことです。
月10万円に届いたとき、人は二手に分かれます。「副業のままでいい」と現状維持する人と、「これを独立につなげる」と動く人。後者がやっていることは、実はシンプルです。
7.1 月10万円を「ポジションの検証期間」と捉える
副業期間を、「自分の立ち位置が本当に通用するか」を試す実験だと考えます。この分野・この見せ方で依頼が来るなら、独立しても食える見込みが立つ。副業は、リスクを抑えて自分の商品を試せる、またとない期間です。
7.2 「作業」から「相談」へ単価を上げる
書類作成という作業だけだと、単価は頭打ちです。そこに「相談・提案・継続サポート」を足して、顧問契約やパッケージにしていく。建設業の継続サポート、相続の事前対策コンサルなど、続く関係=継続収入を設計します。これが独立後の安定を左右します。
7.3 独立の目安を数字で持つ
「なんとなく軌道に乗ってきたから」では、独立に踏み切れません。「副業の月収がこの水準で、これくらいの期間続いたら独立する」という線を、あらかじめ自分で決めておきます。志師塾では、生活の見通しが立つ水準が数か月続くことを一つの目安にしていますが、必要な金額は人それぞれです。感覚ではなく数字で線を引いておくと、踏み出すタイミングを逃しません。
7.4 AI時代だからこそ「人にしかできない部分」に寄せる
ここは見落とされがちな視点です。許認可書類の作成のような定型作業は、これからAIで効率化・代替が進んでいきます。だからこそ、行政書士の価値は「書類を作ること」から「何をどう申請すべきか判断する」「依頼者に寄り添って相談に乗る」という、人にしかできない部分へ移っていきます。副業のうちから、ここに軸足を置けるかどうか。これが数年後に効いてきます。
7.5 立ち位置を変えて選ばれた行政書士の例
ここで、実際に「立ち位置」を固めて伸びた行政書士の方を紹介します(いずれも志師塾の卒業生インタビューより)。
大西祐子さん|中国語 × 行政書士 × 社会保険労務士
大西さんは、「中国語が話せる行政書士」と早くから名乗り、入管業務がまだ広く知られていない時期からブログで強みを発信し続けた行政書士です。中国語・入管業務・社会保険労務士を掛け合わせ、「中国人経営者の法の伴走者」という独自の立ち位置を築きました。ただ当初は、「ブログがたまたまうまくいっただけなのか、人に教えられる方法なのか分からない」という不安があったといいます。志師塾でビジネスを体系的に学んだ結果、「今の仕事をやめても、新しい商品をつくって同じ流れでビジネスができる」という再現性を持てたと語ります。学びの原点は、自分の強みを掛け合わせて差別化する「二軸戦略」。これはまさに、副業から独立を目指す人が固めたい「立ち位置」そのものです。
(卒業生インタビュー:中国人経営者の法の伴走者・大西祐子さん)
吉村猛さん|遺言 × エンターテインメント
吉村さんは、行政書士の仕事と、もともと続けていた歌やコントの表現活動を「混ぜる」ことで、「遺言×エンターテインメント」という唯一無二の立ち位置を築いた行政書士です。当初は地域で営業しても案件につながらず、資金を切り崩す日々でした。志師塾で自分の経歴を棚卸しし、差別化の授業でこのポジショニングにたどり着きます。卒業後は、コントや歌で遺言の大切さを伝えるセミナーを数十回開催。参加者から「話ばかりではないので分かりやすい」「展開が気になって聞き入ってしまう」と好評を呼び、案件は年々増えて、今では新たに人を雇わないと回せないほどになっているといいます。「誰に頼んでも同じ」と見られがちな行政書士が、立ち位置を変えるだけで「この人に頼みたい」と選ばれる。その好例です。
(卒業生インタビュー:遺言×エンターテインメントの吉村猛さん)
この2人に共通するのは、「行政書士です」ではなく「◯◯の専門家です」と言える立ち位置を持っていることです。副業のうちから、ここを意識できるかどうかで、将来の伸び方が変わります。
8. まとめ:行政書士の副業は「立ち位置」で決まる
行政書士の副業は、月10万円なら十分に現実的です。ただ、そこで止まる人と、独立して高収益になる人を分けるのは、努力の量ではありません。「どんな専門家として見られるか」という立ち位置を、最初に決めているかどうかです。
- 行政書士は「作業」に見られると価格競争に巻き込まれる
- だから「相談される専門家」へ立ち位置を変える
- 副業は、その立ち位置を試す「検証期間」にできる
- 月10万円はゴールではなく、独立への通過点
集客の手段をいくつ覚えても、立ち位置が曖昧なままでは結果は出ません。逆に、ここが決まれば、副業は独立への確かな助走になります。
あわせて読みたい