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AI事業者GL1.2版|人間監視で作る顧問7手

「AI事業者ガイドラインが改定されたらしいけれど、顧問先にどう説明すればいいのか分からない」
「罰則がないルールを、お金をいただいて支援してよいものか判断がつかない」
「AIに詳しいITベンダーには勝てない気がして、動き出せない」

あなたは今、こんなモヤモヤを抱えていませんか。

2026年3月31日、総務省と経済産業省が「AI事業者ガイドライン」の第1.2版を公表しました。今回の改定では、AIエージェントとフィジカルAIに関する記載が新しく加わっています。ニュースやコラムでは「人間の監視が求められるようになった」という論調が並びました。

そこで本記事では、次の内容を解説します。

・AI事業者ガイドライン第1.2版で何が変わったのか(版・公表日・更新論点)

・「罰則がない」のに、なぜ顧問商品として成立するのか

・人間監視(ヒューマン・イン・ザ・ループ)を実務に落とす考え方

・先生業がそのまま月次顧問にできる「顧問7手」の設計

・競合(ITベンダー・法律事務所)が取りこぼしている空白地帯

・顧問契約につなげるための価格設計と導線

この記事を読み終える頃には、「AI事業者ガイドライン第1.2版」という一見取っ付きにくいテーマが、あなたの事務所の月次顧問メニューに変わっているはずです。ガイドラインの解説記事は世の中にたくさんありますが、それを先生業の商品に翻訳した記事はほとんどありません。そこがあなたのチャンスです。

Table of Contents

1. AI事業者ガイドライン第1.2版とは何か(先生業向けに要点整理)

まずは前提の共有からです。ここを曖昧にしたまま顧問先に話すと、後で信頼を失います。逆に、ここを正確に語れるだけで一気に差がつきます。

1.1 公表日と位置づけ

AI事業者ガイドラインは、総務省と経済産業省が策定しているものです。2024年4月に、それまで別々に存在していた複数のガイドラインを統合する形で第1.0版が策定されました。その後の改定を経て、2026年3月31日に第1.2版が公表されています(出典: 経済産業省「AI事業者ガイドライン」公表ページ、2026年3月)。

ポイントは、このガイドラインが「Living Document(生きた文書)」として位置づけられていることです。技術も社会実装も動き続けるので、文書の側も更新され続ける前提で作られています。実際、例年3月末に改定が公表されてきました。

ここ、顧問商品を考えるうえでかなり大事です。「一度整えたら終わり」ではなく「毎年アップデートが必要」という構造が、政府文書の側にあらかじめ組み込まれているということですから。

1.2 第1.2版で更新された6つの論点

第1.2版の更新は、大きく次のような論点で行われています。

更新論点 先生業から見た意味
AIエージェント・フィジカルAIの追記 定義・便益・リスク・留意事項・事例が新設。今回の目玉
AIによるリスク記載の見直し 顧問先へのリスク説明の材料が増える
主体区分の役割に関する補足・図表更新 「うちはどの立場か」の判定がしやすくなった
学習・データ種類など多義的事項の記載 言葉の定義ズレによる誤解を減らせる
活用を支援する資料・ツールの検討 公式ツールが今後出る可能性。要追跡
国内外の最新動向の反映 海外取引のある顧問先への説明に使える

とくに注目したいのが一番上、AIエージェントとフィジカルAIの追記です。今回のテーマである「人間監視」は、ここに直結します。

1.3 「エージェンティックAI」は次年度以降に持ち越された

もうひとつ、見落とされがちですが商品設計上とても重要な事実があります。

複数のAIエージェントが自律的に意思決定して動く、いわゆる「エージェンティックAI」については、第1.2版では脚注での補足にとどめ、定義やリスクの追記は次年度以降に検討していく想定とされています(出典: 森・濱田松本法律事務所ニュースレター「AI事業者ガイドライン第1.2版」)。

これは何を意味するか。

政府文書の側が「まだ書ききれていない領域がある」と明示しているということです。つまり、顧問先の企業がいま自力でルールを作ったとしても、来年また作り直しになる可能性が高い。この「終わらなさ」こそが、スポット案件を月次顧問に変える根拠になります。

1.4 一次情報にあたる価値(見え消し版という武器)

経済産業省の公表ページには、本編と別添に加えて「第1.1版からの見え消し版」が掲載されています。どこがどう変わったかが、そのまま追えるということです。

世の中に出回っている解説記事の多くは、この見え消し版を読まずに、別の解説記事を要約して書かれています。だから「表現が強くなった」「求められるようになった」といった曖昧な言い回しが横行するわけです。

あなたが顧問先に説明するときは、ぜひ原典にあたってください。「二次情報の孫引きで語る専門家」は、AI時代に最も価値が下がるポジションです。逆に、一次情報を自分の目で確認して、顧問先の業務に翻訳できる人の価値は上がります。

2. 罰則がないのに、なぜAI事業者ガイドラインが顧問商品になるのか

ここが本記事で一番お伝えしたいところです。

2.1 まず事実確認:このガイドラインに罰則はない

AI事業者ガイドラインは、法的拘束力のない、いわゆるソフトローです。達成すべき目標を示しつつ、その手段は各事業者に委ねる「ゴールベース」のアプローチが採られています。

ところが、ネット上の解説記事の中には「違反した場合は行政指導や企業名公表の対象になり得る」といった記述を見かけることがあります。これは根拠条文が示されておらず、ガイドライン本体の性質とも整合しません。顧問先の前で使えば、あなたの信用に傷がつくタイプの誤りです。

ここは、はっきり書いておきます。罰則はありません。

2.2 では、なぜ企業は守ろうとするのか

罰則がないのに、なぜ企業はガイドラインへの対応を気にするのでしょうか。理由は3つあります。

理由 具体的にどう効くか
①取引条件になる 大手取引先から「AI利用のルールはあるか」と問われる。答えられないと選定から外れる
②調達要件になる 官公庁・自治体の入札や、上場企業のサプライヤー審査で確認項目に入ってくる
③民事責任の説明材料になる トラブル時に「相応の注意を払っていたか」を示す根拠として機能する

罰金は来ません。でも、取引が来なくなる。経営者にとってはこちらの方が怖い話です。

2.3 罰則がないからこそ、専門家が必要になる

逆説的ですが、ここが商機です。

罰則があるルールなら、条文を読めば「やるべきこと」が確定します。ところがゴールベースのガイドラインは、手段が各社に委ねられている。だから経営者は「うちは何をどこまでやればいいのか」が分からない。

そして、その状態のまま取引先から「AI利用のルールはありますか」と聞かれるわけです。

「取引先やクライアントに説明できる状態」を作ってほしい。これが顧問先の本音のニーズです。ここに、先生業が入り込む余地があります。

志師塾では、この構造を「なぜ買うのか」と「なぜあなたから買うのか」の2問に文字で答えられることが商品設計の起点だとお伝えしています。今回のテーマで言えば、こうなります。

  • なぜ買うのか:取引先・調達先に説明できる状態を作らないと、仕事が減るから
  • なぜあなたから買うのか:ツール導入ではなく、業務の中の「重要な判断」を仕分けできるのは、その業界と法務に通じた先生業だけだから

2.4 顧問先のほぼ全社が「AI利用者」に該当する

ガイドラインでは、主体を「AI開発者」「AI提供者」「AI利用者」に区分しています。

あなたの顧問先の中小企業のほとんどは、モデルを開発しているわけでも、AIサービスを他社に提供しているわけでもありません。自社の業務でAIを使う「AI利用者」に当たります。

つまり、対象は「一部の先進企業」ではありません。生成AIを社内で少しでも使っている会社は、全社が該当します。にもかかわらず、自力で棚卸しや承認フローの設計ができる中小企業はほぼありません。

需要は広く、供給はほとんどない。先生業にとって、これほど分かりやすい市場もそうありません。

なお志師塾では、先生業(士業・コンサルタント・コーチ・講師)の方向けに先生業のためのWeb集客セミナーを開催しています。こうした新しいテーマの商品を、どう見込み客に届けるかを体系的に扱っています。

3. 人間監視(ヒューマン・イン・ザ・ループ)をどう理解するか

人間監視の3階層|AI業務の仕分け

今回の改定でキーワードになっているのが「人間監視」です。ただ、ここは慎重に扱う必要があります。

3.1 なぜAIエージェントで人間監視が論点になるのか

従来の生成AIは、基本的に「聞いたら答える」ものでした。文章を作る、要約する、アイデアを出す。出力を見て採用するかどうかは、必ず人が決めていた。

ところがAIエージェントは違います。目標を渡すと、自分で手順を分解し、外部のシステムを操作して、実際に何かを実行してしまう。メールを送る、システムに登録する、注文を出す。人の目を通らずに外部に影響が及ぶわけです。

だからこそ、外部システムや環境に影響を与える行動については、人が確認・承認するプロセスを置くべきだという議論になります。これが人間監視、ヒューマン・イン・ザ・ループの発想です。

3.2 「強まった」と書く前に、原典を確認してほしい

ここで注意点をひとつ。

解説記事の中には「第1.1版では一般的な推奨にとどまっていたが、第1.2版ではより具体的で強い表現に改められた」と書くものがあります。方向感としてはそのとおりでしょう。ただ、その強弱の判断は解説者の読みであって、原文そのものではありません

顧問先に説明する立場なら、ここは押さえておきたいところです。前述の見え消し版PDFで、実際に変わった語を自分の目で確認する。そして「〜が期待される」と書いてあるなら「期待される」と伝える。「義務化された」などと盛らない。

正確に伝えられることが、先生業の信頼の源泉です。ここを守れる人は、AIがいくら賢くなっても代替されません。

3.3 「重要な判断」を仕分ける2つの軸

実務に落とすときの肝は、「どの判断に人を挟むか」を決めることです。全部に人を挟めば安全ですが、それではAIを入れた意味がありません。

仕分けの軸は、大きく2つです。

問い 該当例
権利・生活への影響 個人の権利や生活に直接影響するか 採用の合否、融資審査、保険査定、人事評価
不可逆性 後から取り消せるか 送信済みメール、確定した契約、実行済みの送金

この2軸で業務を並べると、自然と3階層に分かれます。

  1. 全自動でよい業務:社内向け資料の下書き、議事録の整形、データの集計
  2. 人の承認を挟む業務:社外へのメール送信、見積の提示、契約書ドラフトの提出
  3. AIだけで完結させない業務:採用選考、与信判断、契約締結、医療判断、人事評価

この仕分けができれば、顧問先は動けます。逆に言えば、この仕分けこそが、ツールでは代替できない先生業の仕事です。業務の中身と、その業界の慣行と、法的なリスクの三方を同時に見られなければ、線は引けませんから。

3.4 まず自分の事務所に適用する

顧問先に語る前に、あなた自身の事務所はどうでしょうか。

士業事務所も当然「AI利用者」です。AIが作った書面を誰が確認したのか。顧客に送る前の承認は誰が行うのか。その記録は残っているか。

志師塾の講座では「やってみせ、言って聞かせ、させてみる」という山本五十六の教えをよく引きます。自分が先にやっていない支援は、どうしても薄っぺらくなる。逆に、自分の事務所で3か月運用した実感があると、話の説得力がまるで違います。

これは同時に、営業ツールにもなります。「うちの事務所では、こういうシートで運用しています」と現物を見せられる先生と、資料だけ持ってくる先生。どちらに頼みたいかは明らかでしょう。

4. AI事業者ガイドラインを顧問商品にする「7手」

AI事業者GLを顧問商品にする7手

お待たせしました。ここからが本題です。ガイドラインの構造から逆算して、そのまま月次顧問のアジェンダになる7ステップを組み立てます。

4.1 第1手:AI利用の棚卸し(シャドーAIの可視化)

最初にやるのは、実態把握です。誰が、どのツールを、どの業務で使っているかを台帳にします。

ここで必ず出てくるのが「シャドーAI」です。会社が把握していないところで、社員が個人アカウントの生成AIに顧客情報を入れている。中小企業では、まず例外なく見つかります。

棚卸しの項目は、この5つで十分です。

  • 使用者(部署・氏名)
  • ツール名とプラン(法人契約か個人契約か)
  • 使っている業務
  • 入力しているデータの種類(顧客情報・社外秘の有無)
  • 出力の使い道(社内限り/社外に出る)

初回の顧問セッションは、この台帳を一緒に埋めるだけで終わります。それでいいんです。可視化された瞬間に、経営者は「これは放置できない」と気づく。ここで契約の必要性が腹落ちします。

4.2 第2手:主体区分の判定(責任範囲を確定する)

次に、その会社がガイドライン上のどの主体に当たるかを判定します。

区分 該当する状態 中小企業での頻度
AI開発者 モデルを開発・学習させている まれ
AI提供者 AIを組み込んだサービスを他社に提供 ときどき
AI利用者 自社業務でAIを使っている ほぼ全社

ここで見落としやすいのが、1社が複数の区分にまたがるケースです。たとえば社内でAIを使いつつ、AI機能を載せたサービスを顧客に売っている会社は、利用者であり提供者でもある。この場合、顧客に対して負う説明責任が一段重くなります。

判定が済めば、参照すべき箇所が絞られます。ガイドライン全体を読ませる必要はありません。「あなたの会社はここだけ読めばいい」と示すのが専門家の仕事です。

4.3 第3手:「重要な判断」の線引き(3階層に仕分ける)

ここが7手の中で最大の山場です。前章の2軸(権利・生活への影響/不可逆性)を使って、棚卸しした業務を3階層に振り分けます。

作業自体はシンプルです。台帳の各行に、こう問いを立てるだけ。

  1. この判断は、誰かの権利や生活に影響しますか?
  2. 間違えたとき、取り消せますか?
  3. 取り消せない場合、どこまで損害が及びますか?

この3問を投げると、経営者の顔つきが変わります。「請求書の送付を自動化しようと思っていたが、金額を間違えたら取り消せないな」と、自分で気づきはじめる。

志師塾では、伴走支援の質問術として「なぜ?」「具体的には?」「他には?」という3つの問いを軸に、本質課題へ到達する技法をお伝えしています。この線引きの場面は、まさにその出番です。答えを教えるのではなく、質問で本人に気づかせる。自分で気づいたルールは守られますが、押しつけたルールは守られません

4.4 第4手:人間監視ポイントの実装(承認工程を置く)

仕分けができたら、「人の承認を挟む」と決めた業務に、実際の承認工程を組み込みます。

ここで決めるべきは4点です。

決める項目 実務での落とし方
承認者は誰か 役職ではなく個人名で決める。「部長」だと逃げが生まれる
不在時の代行者 代行者がいないと、運用開始2週間で形骸化する
承認にかける時間 1件30秒で見られる形にしないと続かない
何を見るか 確認観点を3つに絞る(例:金額・宛先・社外秘の有無)

ここで最も多い失敗は「全部を承認対象にしてしまう」ことです。現場が回らなくなり、1か月で誰も承認しなくなる。ルールが形だけ残って、実態は野放し。これが一番危ない状態です。

だから第3手の仕分けが効いてきます。承認を挟む対象を絞りきることが、結果的に運用を守ります。

4.5 第5手:権限の最小化とログの型づくり

AIエージェントに権限を渡すときの原則は、「必要な範囲だけ」です。

メールの下書きを作らせたいだけなら、送信権限は渡さない。データの参照だけさせたいなら、書き込み権限は渡さない。当たり前のようですが、設定が面倒だからと管理者権限を丸ごと渡している中小企業は珍しくありません。

あわせて、記録の型を決めます。

  • いつ、誰の指示で、AIが何をしたか
  • どのデータを参照したか
  • 誰が承認したか(承認が必要な業務の場合)

難しく考える必要はありません。スプレッドシート1枚で十分です。専用ツールを勧めた瞬間に、話がベンダーの領域に移ってしまいます。先生業が売るのは、ツールではなく「後から説明できる状態」です。

4.6 第6手:契約と責任分担の整備

社内ルールが整ったら、外との関係に目を向けます。

  • 業務委託契約:受託業務でAIを使ってよいか。使う場合の通知義務はあるか
  • 秘密保持契約:受領した情報を外部AIに入力してよいか
  • 利用規約:自社サービスにAIを組み込んでいる場合の免責と説明
  • 就業規則・社内規程:個人アカウント利用の可否、違反時の扱い

なお、AI利活用における民事責任の考え方を整理した手引きが行政から出されているという情報もあります。ただし本記事執筆時点で原典URLの確認が取れていないため、顧問先に案内する際は必ず一次情報を確認してください。「あるらしい」で語らない。この慎重さが、あなたの信用を守ります。

4.7 第7手:年次見直しとインシデント動線

最後の1手が、顧問契約を「継続」に変える鍵です。

やることは2つ。

ひとつは、年次の見直しスケジュールを先に決めること。ガイドラインは例年3月末に更新されてきました。であれば、毎年4〜5月を見直し月として顧問契約に組み込んでおく。「更新があったら連絡します」ではなく、最初から年間カレンダーに入れておくのがコツです。

もうひとつは、インシデント発生時の動線を決めておくこと。AIの出力ミスで顧客に迷惑をかけた、機密情報を入力してしまった。そのとき誰に連絡し、誰が判断し、どこまで開示するか。この動線があるかないかで、初動の速さがまるで変わります。

ここで思い出していただきたいのが、第1章で触れた「エージェンティックAIは次年度以降に追記予定」という事実です。ルールの側がまだ完成していない以上、対応も一度では終わらない。この構造を経営者に丁寧に説明できれば、月次顧問の必要性は自然に伝わります。

5. 7手をそのまま月次顧問メニューに落とし込む

7手を並べたら、次は商品化です。志師塾がいつもお伝えしているのは、「知りたいものを、手に入るものに変換する」という考え方です。「AI事業者ガイドラインについて教えます」では売れません。「何が手に入るのか」を成果物で示すことです。

5.1 12か月のアジェンダ設計例

テーマ 成果物(手に入るもの)
1か月目 第1手 棚卸し AI利用台帳(全社版)
2か月目 第2手 区分判定 主体区分判定書・参照箇所一覧
3〜4か月目 第3手 線引き 重要判断の仕分けシート(3階層)
5〜6か月目 第4手 承認工程 承認フロー図・承認者一覧
7〜8か月目 第5手 権限・記録 権限設定表・記録フォーマット
9〜10か月目 第6手 契約整備 契約条項案・社内規程案
11〜12か月目 第7手 見直し体制 年次レビュー計画・インシデント動線図

1年で一巡し、2年目は更新対応と運用改善に入ります。この設計なら、「毎月何を話すのか」という顧問契約最大の悩みが最初から解決しているわけです。

5.2 価格設計の考え方

先生業がやりがちなのは、初回に全部詰め込んだスポット案件にしてしまうことです。30万円で規程を作って納品。それで終わり。

でも、このテーマの本質は「終わらない」ことにありました。だとすれば、こう組むのが自然です。

  • 初期診断(フロント):棚卸しと区分判定まで。数万円〜十数万円の入り口商品
  • 月次顧問(バックエンド):月3〜5万円×12か月。7手を順に実装
  • 年次更新レビュー:ガイドライン改定への対応。継続の根拠

志師塾では、無料オファー・フロントエンド・バックエンドの3層で商品を設計することをお伝えしています。いきなり月次顧問を売ろうとせず、まず初期診断で入る。台帳を一緒に作って「これは放置できない」と経営者自身に気づいてもらう。そこから顧問の話をすれば、お願いされて売れる状態が作れます。

5.3 見込み客の集め方

商品ができたら、次は集客です。このテーマなら、次の導線が現実的でしょう。

  1. 無料オファー:「重要判断の仕分けシート」を配布し、リストを獲得
  2. セミナー:「AI事業者ガイドライン第1.2版で、中小企業が今やるべきこと」で集客
  3. 個別相談:セミナー後に初期診断へ誘導
  4. 顧問契約:診断結果をもとに12か月の伴走を提案

志師塾ではこの流れを「集めて・教えて・売る」と呼んでいます。いきなり売り込まない。まず情報提供で関係をつくり、判断基準を見込み客の頭に植え付けてから提案する。「高額・分かりにくい・営業しにくい」という先生ビジネスの3特性を乗り越えるには、この関係型のアプローチが要ります。

とくに今回のテーマは、経営者にとって「聞いたことはあるが、よく分からない」状態です。だからこそセミナーが効きます。分からないものは、説明されて初めて欲しくなりますから。

6. 競合が取りこぼしている空白地帯

このテーマで発信している人たちを見渡すと、はっきりした偏りがあります。あなたが入るべき場所も、そこから見えてきます。

6.1 今の発信者は3種類しかいない

発信者 語り口 最終的な着地
AIベンダー・SaaS企業 機能とツールの話 自社ツールの導入
法律事務所 条文と法的リスクの話 法務相談
大手コンサル ガバナンス体制論 大企業向け大型案件

どれも間違ってはいません。ただ、従業員10〜50名の中小企業に向けた発信がすっぽり抜けています。取締役会もなければ情シス部門もない、社長と経理担当と現場、という会社です。

あなたの顧問先の多くは、まさにこのサイズではないでしょうか。

6.2 志師塾が伝える「AI機能と業務視点の融合」

志師塾の『AI伴走士』養成講座では、「AI機能と業務視点の融合」を原則としてお伝えしています。AI機能だけを語るAIコンサルとの違いは、まさにここです。

ツールの使い方を教えられる人は、これからどんどん増えます。値段も下がります。一方で、「この業界のこの業務で、どの判断に人を挟むべきか」を判断できる人は増えません。業務を知らないと線が引けないからです。

社労士なら人事評価と採用選考、税理士なら請求と与信、行政書士なら許認可書類の作成と提出。あなたが日々見ている業務そのものが、線引きの材料になります。

6.3 AIと人の分業を、そのまま説明の型にする

顧問先への説明で使いやすい整理も紹介しておきます。志師塾では、仕事を「発案・企画・実行・評価」の4フェーズに分け、AIは「処理」の相棒、人は「意味」の責任者という分業モデルをお伝えしています。

フェーズ AIが担う 人が担う
発案 情報収集・リサーチ 意志(何をやるか決める)
企画 たたき台・構成案 判断(Go/No-Goを決める)
実行 文書作成・データ処理 感情(人を巻き込む)
評価 集計・分析・可視化 責任(意味づけし責任を取る)

ここで効いてくるのが、実行フェーズを「作業的実行」と「関係的実行」に分ける視点です。資料作成のような作業的実行はAIに任せられる。けれど、交渉する、励ます、謝罪するといった関係的実行は人にしか担えません。

人間監視の話は、実はこの分業モデルそのものです。「AIがループの回転速度を上げ、人がループの回転方向を決める」。この一言で、経営者は人間監視の必要性を直感的に理解します。難しい条文の話をするより、よほど伝わります。

6.4 とんがりポジショニングで一点集中する

最後にひとつ、大事な視点を。

「AI事業者ガイドライン対応の顧問をやります」では、まだ広すぎます。志師塾がお伝えしているとんがりポジショニングの考え方で言えば、こう絞るべきです。

  • 採用でAIを使い始めた従業員30名規模の企業向け、AI人事判断の人間監視設計」(社労士)
  • 請求・与信をAI化した建設業向け、AI業務の記録と説明責任づくり」(税理士)
  • 補助金申請にAIを使う製造業向け、申請書のAI利用ルール整備」(行政書士)

狭くすると仕事が減りそうに感じますよね。実際は逆です。狭いほど「これは自分のことだ」と刺さり、選ばれる確率が上がります。志師塾が繰り返しお伝えしている「一点集中・全面展開」という考え方です。まず一点で突き抜けて、そこから横に広げる。

7. 志師塾卒業生の事例

新しいテーマで商品を作るとき、いちばんの壁は知識ではありません。「自分にできるだろうか」という自分の中のブレーキです。

志師塾の卒業生に、自己実現メンタルコーチの平真理子さんがいらっしゃいます。「正しい脳の使い方」を教えることで、満足した人生を送りたい方を支援されている方です。詳しくは【卒業生インタビュー】満足した人生を送りたいあなたに「正しい脳の使い方」を教えます! ~自己実現メンタルコーチ・平真理子(たいらまりこ)さん~をご覧ください。

平さんのお話で印象的なのは、人が動けなくなるのは能力の問題ではなく、脳の使い方の問題だという視点です。これは今回のテーマにも、そのまま重なります。

志師塾の伴走支援では、人が前に進むときに働く力を3つに分けて整理しています。

3つの力 中身 今回のテーマでの現れ方
前進力 夢・やる気・使命感 「この分野で第一人者になりたい」
ブレーキ 不安・恐怖・リソース不足 「ITに詳しくないから無理」
習慣 恒常性・無意識のクセ 「今の業務で手一杯」

新しいテーマに踏み出せない先生業の多くは、ブレーキと習慣に足を取られています。でも思い出してください。AI事業者ガイドライン第1.2版は、2026年3月に出たばかりです。誰もまだ、この分野の専門家ではありません。

志師塾には「心配されると不安になる、信頼されると勇気が出る」という言葉があります。あなたが顧問先に伴走するときも、そして自分自身に対しても、同じです。「危ないですよ」と脅すのではなく、「一緒に整えていきましょう」と信頼を示す。そこから顧問先の当事者意識が生まれます。

8. 実行に移すための最初の3ステップ

ここまで読んで「なるほど」で終わらせないために、明日からの動きを整理しておきます。

8.1 ステップ1:一次情報を自分の目で読む(今週)

まず、経済産業省の公表ページから第1.2版の本編と概要、そして第1.1版からの見え消し版をダウンロードしてください。

全部読む必要はありません。見え消し版で、AIエージェント・人間監視に関する箇所だけを追う。何が加わり、どんな語で書かれているかを確認する。これだけで、二次情報を要約しただけの記事より圧倒的に説得力のある話ができます。

合わせて概要版も見ておくと、顧問先への説明資料の構成がそのまま参考になります。

8.2 ステップ2:自分の事務所で7手を回す(1〜2か月)

次に、顧問先ではなく自分の事務所で第1手から第4手までをやってみてください。

  • 自分やスタッフがどのAIを使っているか台帳にする
  • 自事務所の主体区分を判定する
  • 顧客に出る成果物のうち、AIが関わるものを仕分ける
  • 誰がどう確認するかを決めて、1か月運用する

ここで得られる「実際にやってみて詰まった点」が、そのままセミナーの中身になります。教科書には載っていない話ができるようになる。ここが差別化の源泉です。

8.3 ステップ3:既存顧問先1社で試す(2〜3か月)

そして、既存の顧問先の中から関係の良い1社を選び、無料でも構わないので棚卸しをやらせてもらってください。

志師塾では、机上で100点を目指すより30点でも早く小人(理想の見込み客)に持っていくことをお伝えしています。仮説検証は空中戦ではなく地上戦。実際の顧問先の反応を見ないと、商品は磨かれません。

1社でやってみると、必ず想定外が出ます。「思ったよりシャドーAIが多い」「経営者が想像以上に危機感を持っていた」。その生の反応こそが、次の提案書を強くします。

新規開拓から始めないでください。新規顧客の獲得には既存顧客の5倍のコストがかかる(1対5の法則)。すでに信頼関係のある顧問先の方が、はるかに早く検証できます。

9. 関連記事もあわせて

本記事のテーマをさらに深めたい方は、こちらもどうぞ。

10. まとめ|罰則のないルールこそ、先生業の出番

本記事の要点を整理します。

論点 押さえること
版と公表日 第1.2版は2026年3月31日公表。Living Documentで更新が続く
今回の目玉 AIエージェント・フィジカルAIの追記。人間監視はここに直結
罰則 ない。守る理由は取引条件・調達要件・民事責任の説明材料
人間監視の肝 権利影響と不可逆性の2軸で、業務を3階層に仕分ける
商品化 7手を12か月のアジェンダに。初期診断→月次顧問→年次更新
空白地帯 従業員10〜50名の中小企業向けの発信がほぼ無い

罰則がないから支援する価値がない、のではありません。罰則がなく、手段も委ねられているからこそ、経営者は自分で判断できない。そこに専門家が必要になります。

そして、エージェンティックAIの記載は次年度以降に持ち越されました。ルールの側がまだ完成していない。だから支援も一度では終わらない。スポット案件ではなく、月次顧問に化ける構造がここにあります。

大事なのは、ツールの使い方を語る側に回らないことです。志師塾がお伝えしている「AI機能と業務視点の融合」のとおり、あなたの武器は業務を知っていること。どの判断に人を挟むべきかは、業務を知らなければ決められません。ここはAIにも、ITベンダーにも代われない領域です。

まずは一次情報を自分の目で読み、自分の事務所で7手を回し、既存顧問先1社で試す。この順番で動けば、3か月後には「AI事業者ガイドライン対応の顧問」という商品が、あなたの手元に立ち上がっているはずです。

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※本記事は2026年8月時点の公表情報をもとに構成しています。AI事業者ガイドラインはLiving Documentとして更新が続くため、実務でご活用の際は必ず経済産業省・総務省の公表ページで最新版と原文をご確認ください。

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