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最低賃金55円上げで顧問獲得|社労士の相談導線5型

2026年7月28日、中央最低賃金審議会が示した引き上げの目安は「全国加重平均55円」。目安どおりに各都道府県が改定すれば、全国平均は1,176円になります。この数字を報じるニュースは数百本流れました。ですが、そのうち「では社労士は、この2か月で何をすれば顧問契約が増えるのか」を書いたものは、ほぼ見当たりません。

この記事では、2026年度の最低賃金改定を起点に、社労士が新規の顧問契約を獲得するための相談導線を5つの型に整理して解説します。金額の速報ではなく、「いつ・誰に・どの問いで声をかけ、どうやって単発相談を年次の顧問業務に変えるか」という受注設計の話です。

志師塾は、士業・コンサルタント・講師・コーチといった先生業に特化したビジネススクールとして、これまで3,200名を超える先生業のマーケティングを支援してきました(2026年8月時点)。卒業生3,200名の中には社労士も多数おり、制度改正を入口に顧問契約を積み上げていった実例が蓄積されています。本記事はその知見と、厚生労働省の一次情報を突き合わせて構成しました。

読み終えるころには、あなたの手元に「9月1日までに何を送り、誰と会うか」の具体的な行動計画が残っているはずです。まずは、多くの記事が取りこぼしている前提の確認から始めましょう。

Table of Contents

1. 最低賃金55円上げの正確な中身|社労士が最初に押さえる3つの事実

最低賃金55円上げ|社労士が押さえる3つの事実

相談導線を設計する前に、事実関係を正確に押さえておきます。ここを曖昧にしたまま営業に出ると、経営者から「その数字、うちの県も決まったんですか?」と聞かれた瞬間に信頼を失います。逆に言えば、ここを正しく説明できるだけで、速報記事を読んだだけの同業と差がつきます

1.1 「55円」は確定額ではなく目安である(社労士が真っ先に断るべき点)

厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」(2026年7月28日公表)によると、第75回中央最低賃金審議会が示したのはランク別の引き上げ額の目安です。内訳はAランク54円、Bランク56円、Cランク56円。仮に目安どおりに各都道府県で引き上げが行われた場合、全国加重平均は1,176円となり、上昇額は55円、引き上げ率は4.9%という試算になります。

1,176円も55円も、確定額ではありません。実際の金額は、この目安を参考に各都道府県の地方最低賃金審議会が答申し、都道府県労働局長が決定します。目安を上回る答申が出る県も、例年一定数あります。

この一点を最初に伝えるだけで、経営者の反応は変わります。「うちの県はまだ決まっていないんですね」「では、いつ分かるんですか」。ここから会話が始まる。速報を右から左に流している同業とは、入口が違ってきます。

1.2 前年度は「63円」ではなく「66円」|社労士が間違えやすい数値の混同

ここは特に注意してください。ネット上の解説記事やSNS投稿で、「前年度は63円だった」と書いているものが複数あります。これは誤りです。

年度 目安(審議会が示した額) 実績(実際の改定後の全国加重平均の上昇額)
令和7年度 63円 66円・6.3%
令和8年度 55円・4.9%(試算) 未確定(各都道府県の答申待ち)

63円は令和7年度の「目安」、66円は令和7年度の「実績」。目安を上回る答申が各地で出たため、実績が目安を3円上回りました。この構造を理解していれば、「今年も目安を上回る県が出る可能性がありますよ」と、経営者に先回りした話ができます。

数字の正確さは、社労士にとって単なる几帳面さではありません。「この先生は一次情報を見ている」という判断材料です。顧問先を選ぶ経営者は、そこを見ています。

1.3 労使の合意がない目安である|地方審議会が荒れる構図を社労士は説明できる

令和8年度の目安は、労働者側と使用者側の意見が一致せず、公益委員の見解として各地方最低賃金審議会に示されました。報道によれば、労働者側は75円の引き上げを要望していたとされます。

合意なしの目安であるということは、地方の審議会でも議論が割れやすいということ。目安を超える答申が出るか、目安どおりに収まるかが読めません。この「読めない期間」こそが、社労士に相談が集まるタイミングです。

もうひとつ、今年度の目安には見落とされがちな特徴があります。BランクとCランクの56円が、Aランクの54円を2円上回っている点です。これは2025年度に続いて2年連続。目安どおりなら、東京と最低額県との差は203円から201円に縮まります。

ここから読み取るべき実務的な意味は明快です。地方の中小企業ほど、上げ幅が大きく、原資の確保が難しい。そして複数県に拠点を持つ企業は、拠点ごとに上げ幅も発効日も違うという事態に直面します。ここが後述する導線④につながります。

2. なぜ今なのか|社労士が動くべき「2か月の窓」の構造

社労士が使う2か月の窓|4つの日付

最低賃金の改定は毎年あります。それなのになぜ、2026年の8月と9月が特別なのか。答えは、制度スケジュールが偶然にも「相談が発生してから、解決策の申込が始まるまで」の順番で並んでいるからです。

2.1 社労士が使うべき4つの日付とその意味

時期 出来事 経営者の心理状態 社労士の打ち手
7月28日 中央審議会が目安を公表 「また上がるのか」(漠然とした不安) 影響額の試算を投げかける
8月 各都道府県が順次答申 「うちの県はいくらだ」(具体的な関心) 最も相談が入る時期
9月1日 業務改善助成金の交付申請受付開始 「原資をどうする」(行動意欲) 提案を決着させる
10月〜 県ごとに順次発効 「間に合わない」(焦り) 駆け込み対応で信頼を得る

注目すべきは、「困りごとが顕在化する8月」と「解決策の申込が始まる9月1日」の距離の近さです。8月に不安を掘り起こしておけば、9月1日に「では申請しましょう」と自然に着地できる。この順番は狙って作れるものではありません。今年たまたまこう並んでいる。

2.2 「10月から一律で発効」ではない|社労士だけが知っている落とし穴

多くの記事が「10月から適用」と書いていますが、正確ではありません。発効日は都道府県ごとに異なり、2025年度は10月発効が20都道府県にとどまり、11月以降に発効した府県も多くありました

これは実務上、無視できない差です。10月1日発効と11月1日発効では、年間の人件費負担が1か月分ずれます。予算を組む経営者にとって、この1か月は小さくない。

「うちの県の発効日はいつですか」。この問いに即答できる社労士は、それだけで相談相手として選ばれます。執筆時点で確定していない県もあるため、必ず各都道府県労働局の公表情報を直接確認してください。

2.3 「一時的な話題」で終わらせない|社労士が年次業務化する考え方

最低賃金の話題は、放っておけば10月には消えます。ここで単発の相談対応で終わってしまう社労士と、顧問契約に変える社労士の差は、「毎年発生する業務」として設計しているかどうかです。

最低賃金は毎年上がります。ということは、賃金台帳のチェック、時給表の改定、就業規則の見直し、助成金の検討。これらは全て、毎年発生する定例業務です。今年の対応を「今年だけの臨時対応」として単価をつけると、来年また一から営業しなければなりません。

志師塾では、これを「先生ビジネスフレームワーク(SBF)」の考え方で整理しています。無料オファー(影響額の簡易試算)→フロントエンド(有料の詳細診断・助成金申請支援)→バックエンド(顧問契約)→リピート(毎年の改定対応)という商品構成を、最初から設計しておく。目の前の1件を取ることではなく、そこから何年分の売上が生まれるかを先に描くのが、先生業のマーケティングです。

制度改正を入口に顧問契約へつなげる導線は、社労士に限らず先生業に共通する設計です。志師塾の無料セミナーでは、単発の仕事を継続契約に変える仕組みの作り方を、実際の事例つきで解説しています。

無料セミナーで顧客獲得の型を見てみる

3. 社労士の相談導線5型|最低賃金改定を顧問契約に変える設計図

社労士の相談導線5型|顧問化の入口

ここからが本題です。最低賃金改定という同じ出来事を入口に、5つの異なる相談導線を作ることができます。大事なのは、5つ全部をやることではありません。あなたの既存顧客の業種・規模・地域を見て、最も反応が取れる1〜2型に絞り込むこと。

志師塾で繰り返し伝えている「一点集中・全面展開」という考え方です。まず1つの型で成果を出し、そこから横に展開する。5つを同時に薄く撒くと、どれも中途半端になります。

3.1 導線①:影響額シミュレーション型|社労士の入口として最も汎用性が高い

入口の問い:「御社は何人が引っかかりますか。年間でいくら増えますか」

最もシンプルで、最も外さない型です。経営者は「上がる」ことは知っていますが、「自社でいくら増えるか」を計算していません。この空白を埋めます。

進め方

  1. 賃金台帳から、時給換算で新最低賃金を下回る従業員を抽出する
  2. 月給者も時間換算して漏れなくチェックする(ここを飛ばす事業者が非常に多い
  3. 最低賃金に算入されない賃金(時間外手当、賞与、通勤手当など)を除外して再計算する
  4. 年間の追加人件費と、社会保険料の事業主負担増を合算して提示する

ポイントは、「時給の人だけの話ではない」と伝えること。月給者の時間換算漏れは、労働基準監督署の調査で指摘される典型例です。この一言で、経営者の危機感が変わります。

顧問化への接続:賃金台帳の棚卸しは、毎年の定例業務になります。「来年もこの時期にやりましょう」で自然に継続契約へ。さらに、台帳を見る過程で残業時間の管理不備や社会保険の加入漏れが見つかることが多く、そこから業務が広がります。

3.2 導線②:助成金セット型|社労士が9月1日を締切に使える唯一の型

入口の問い:「賃上げと設備投資を同時にやって、最大600万円受け取れる制度をご存じですか」

業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金を引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その費用の一部を助成する制度です。厚生労働省のリーフレットによれば、令和8年度は制度が大きく変わりました。

項目 令和8年度の内容
受付開始 令和8年9月1日
賃上げコース 50円・70円・90円の3区分(従来の30円・45円コースは廃止)
助成上限 一般事業者 最大450万円/特例事業者 最大600万円
助成率 事業場内最低賃金1,050円未満は4/5、1,050円以上は3/4
対象労働者 雇用保険の被保険者かつ雇入れから6か月経過が必要
申請回数 同一事業所は年度内1回まで
注意点 予算の範囲内のため、期間内でも募集終了の可能性あり/自動車は助成対象外に

この表の中で、営業上いちばん効くのは「予算の範囲内のため、申請期間内でも募集を終了する場合がある」という一行です。これは煽りではなく、厚生労働省が明記している事実。「早い者勝ちの制度です」と正直に伝えることが、意思決定を促します。

また、令和8年度から賃上げ対象労働者に「雇用保険被保険者かつ雇入れから6か月経過」という要件が加わりました。パート・アルバイトでもこの条件を満たせば対象ですが、労働者が0人の個人事業主は対象外です。ここを見落として申請すると差し戻されます。事前に確認できる社労士は重宝されます。

顧問化への接続:助成金は計画策定から実績報告まで期間が長く、その間の伴走が自然に発生します。しかも同一事業所は年度内1回までなので、「来年度もまた申請しましょう」という翌年の約束が組み込める。単発で終わらない構造を持った商品です。

3.3 導線③:規程・発効日対応型|社労士の専門性が最も分かりやすく伝わる

入口の問い:「就業規則の賃金条項、いつまでに直せば間に合いますか」

最低賃金が上がると、就業規則の賃金規程、雇用契約書、時給表、求人票。これらを全て見直す必要があります。しかも発効日が県ごとに違うため、「10月1日に一斉に」という単純な話にならない。

チェックリストとして提示できる項目

  • 就業規則・賃金規程に記載された最低額の表記
  • 個別の雇用契約書(時給明記のもの)
  • 求人票・求人サイトの掲載時給(発効後も旧額のままだと問題になる)
  • パート・アルバイトの時給表
  • 特定(産業別)最低賃金が適用される業種かどうかの確認
  • 派遣労働者の扱い(派遣先の地域の最低賃金が適用される

特に派遣労働者は派遣先地域の最低賃金が適用されるという点は、多拠点に派遣している企業ほど見落とします。ここを指摘できると、専門家としての印象が一段変わります。

顧問化への接続:規程の見直しは、一度手をつけると「他の条項も見てほしい」に発展しやすい業務です。ハラスメント関連、育児介護休業、副業規定。今は改正が頻繁で、規程メンテナンスだけで年次の仕事になります。

3.4 導線④:多拠点・地域差型|社労士がニッチでNo.1を取りやすい

入口の問い:「A県とB県で時給が違いますが、どう設計されていますか」

今年度の目安は、BランクとCランクがAランクを2円上回りました。地方の上げ幅が、都市部より大きいということです。地方に工場や店舗を持つ企業ほど、負担が重くなります。

複数県に拠点を持つ企業が直面する論点は、意外に複雑です。

  • 拠点ごとに適用される最低賃金額が違う
  • 発効日も県ごとに違う(10月と11月で1か月ずれる)
  • 同一労働なのに拠点間で時給差が生じ、社内で不満が出る
  • 県境をまたぐ通勤者・転勤者の扱い
  • 本社一括で時給を決めている場合、最高額の県に合わせるか拠点別にするか

これは「拠点別賃金テーブルの設計」という、明確に有償のコンサルティング業務です。手続き代行ではなく設計の仕事なので、単価を高く設定できます

志師塾では、「無競争状態で、顧客から選ばれる、独自の場所」を取るポジショニングを重視しています。「社労士」では競合が多すぎますが、「多拠点企業の賃金設計に強い社労士」となれば、対象は絞られる代わりに、その領域では比較されません。地方に拠点を持つ企業が多い地域なら、この型は一点集中でNo.1を取りやすい領域です。

顧問化への接続:賃金テーブルは一度作ると、毎年の改定でメンテナンスが発生します。しかも拠点が増えれば、その都度相談が来る。構造的にリピートする業務です。

3.5 導線⑤:原資づくり型(価格転嫁)|社労士が経営支援に踏み込む

入口の問い:「上げる原資は、どこから作りますか」

経営者の本音は「上げたくない」ではなく「上げる金がない」です。ここに踏み込めるかどうかが、労務手続きの代行者で終わるか、経営の相談相手になるかの分岐点になります。

今年の答申には、価格転嫁と取引適正化への要望が盛り込まれたと報じられています(※答申本文の項目数については、厚生労働省の答申PDFで直接確認してください)。国も「賃上げの原資は取引条件の改善から」という立場を示している。これは社労士が価格の話をする正当な根拠になります。

提案できる打ち手

  • 取引先への価格転嫁交渉(人件費上昇分の根拠資料を作る)
  • 業務改善助成金による設備投資で生産性を上げる(導線②と連結)
  • 日本政策金融公庫の働き方改革推進支援資金(事業場内最低賃金の引き上げに取り組む事業者向けの設備資金・運転資金の融資)
  • キャリアアップ助成金・働き方改革推進支援助成金との併用検討
  • シフト設計の見直しによる総労働時間の最適化

ただし注意点があります。この型は最も難易度が高く、経営者との信頼関係がないと成立しません。初対面で「価格転嫁しましょう」と言っても響きません。導線①〜③で実務的な信頼を積んだ相手に、次の一手として出す型だと考えてください。

顧問化への接続:原資づくりまで踏み込むと、契約は「労務顧問」ではなく「経営顧問」の性格を帯びます。当然、単価が上がります。志師塾の卒業生でも、手続き代行から入って経営支援に領域を広げ、顧問単価を数倍にした社労士が複数います。

3.6 5型の使い分け|社労士が自分の顧客層に合わせて選ぶ基準

向いている顧客 難易度 単価
①影響額シミュレーション 全業種・パート比率の高い企業 低〜中
②助成金セット 設備投資を検討中の製造・飲食・介護 中〜高
③規程・発効日対応 就業規則が古い中小企業
④多拠点・地域差 複数県に拠点を持つ企業
⑤原資づくり 既存顧問先・信頼関係のある経営者 最高

新規開拓なら①か③、既存顧客の単価アップなら②か⑤、地域特性を活かすなら④。まず1つ選んで、そこに集中してください。

4. 社労士が導線を「仕組み」にする|集めて・教えて・売る

単発相談を顧問契約に育てる4段階

型を決めたら、次は届け方です。志師塾では顧客獲得の流れを「集めて・教えて・売る」の3ステップで設計します。いきなり売り込むのではなく、情報提供で関係性を作ってから提案する。先生業は高額・分かりにくい・営業しにくいという3つの特性を持つため、この順番を守らないと成約しません。

4.1 集める:社労士が8月にやるべき接点づくり

既存顧客・過去の接点から始めてください。新規開拓より、既存客・休眠客へのアプローチのほうが圧倒的に効率がいい。マーケティングの世界には1対5の法則(新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストの5倍かかるという経験則)がありますが、これは社労士業でも当てはまります。

接点の作り方

  • 過去に相談を受けたが顧問化していない先へ、影響額試算の案内メール
  • スポット業務で終わった先へ、「御社の県の答申が出ました」という個別連絡
  • 紹介元(税理士・保険代理店・商工会など)へ、共催セミナーの提案
  • 既存顧問先へ、「取引先で困っている会社はありませんか」と紹介依頼

紹介依頼については、明確にお願いしないと紹介は生まれません。志師塾では「紹介はもらうものではなく、出すチャンスを狙うもの」と教えていますが、まず自分から紹介を出す。その関係性の上で依頼すれば、返ってきます。

4.2 教える:社労士のセミナーは「顧客獲得型」で設計する

セミナーには2種類あります。情報提供型顧客獲得型。多くの社労士がやってしまうのが情報提供型で、制度を丁寧に説明して「ありがとうございました」で終わる。参加者は満足しますが、契約は生まれません。

志師塾ではこれを「教えたがり病」と呼んでいます。専門知識を持つ人ほどかかりやすい病気です。

顧客獲得型セミナーは、次の4パートで組みます。

  1. 共感:「賃上げの原資が見つからない」という経営者の痛みに寄り添う
  2. 問題定義:「実は月給者の時間換算漏れが最大のリスクです」など、参加者が気づいていない論点を提示する
  3. ノウハウ提供:狭く深く。全部教えるのではなく、1つの論点を深く教える
  4. 次のステップへの誘導:「御社の具体的な数字を出すには個別に台帳を見る必要があります」と個別相談へ

ポイントは「狭く深いノウハウ」です。広く浅く網羅すると、参加者は「だいたい分かった、自分でやろう」となります。1つの論点を深く掘って「他の論点もこのレベルで知りたい」と思わせるのが正解。

セミナーのタイトル例

  • 「最低賃金55円上げ|9月1日までに決断すべき助成金活用の判断基準」
  • 「月給者の時間換算漏れ|労基署調査で最も指摘される最低賃金の落とし穴」
  • 「多拠点企業のための賃金テーブル設計|発効日が県ごとに違う問題への対処」

タイトルには具体性と緊急性を入れてください。「最低賃金改定の解説」では誰も来ません。

4.3 売る:社労士の個別相談は「問題を明確にする場」

個別相談で最もやってはいけないのが、その場でアドバイスを全部してしまうことです。「なるほど、ありがとうございます。自分でやってみます」で終わります。

志師塾が教えている個別相談の6ステップは次のとおりです。

  1. 関係性を思い出してもらう:「セミナーはいかがでしたか」
  2. 個人的な関係を作る:仕事の話の前に、その人自身の話を聞く
  3. 問題点を明らかにすることに合意する:「今日は御社の問題点を明確にすることをゴールにしますが、よろしいですか」
  4. 問題を深掘りする:「なぜ」「他には」「具体的には」を繰り返す
  5. 解決の意欲を確認する:「その問題、本気で解決したいと思われますか」
  6. 選択肢を提示する:「ご自身でやる方法もありますし、私がお手伝いして早く確実に進める方法もありますが、いかがされますか」

3番目の「問題点を明確にすることに合意する」が特に重要です。ここを飛ばすと「で、どうすればいいんですか」と解決策を求められ、答えた瞬間に商談が終わります。セミナーの段階から「個別相談では問題点の整理をします」と一貫して伝えておくことで、この合意が自然に取れます。

4.4 社労士が単発を年次業務に変える言い方

成約後、最後の一手があります。「来年もこの時期にやりましょう」と、その場で次を約束することです。

最低賃金は毎年上がります。今年やった台帳チェック、規程改定、助成金申請。全て来年も必要です。それを「来年またご連絡します」で終わらせると、来年ゼロから営業することになる。

「最低賃金は毎年改定されますので、来年の8月にも同じ作業が必要になります。年間の顧問契約にしておくと、その都度お見積りする手間もなくなりますし、月々の労務相談も含められますが、いかがですか」

この一言があるかないかで、生涯価値が変わります。単発30万円で終わるか、年間顧問36万円が5年続いて180万円になるか。同じ仕事量でも、設計次第でこれだけ差がつきます。

5. 社労士が制度改正で受注するときの注意点

制度改正は営業機会ですが、扱い方を間違えると信頼を失います。3つの注意点を挙げます。

5.1 社労士は「確定情報」と「目安・予測」を必ず区別する

繰り返しになりますが、55円も1,176円も目安の試算値です。「うちの県は◯◯円になります」と断定して、実際に違った場合、その一件で信頼は失われます。

正しい伝え方は「目安ベースではこうですが、確定は各都道府県労働局の公表を待つ必要があります。答申が出次第ご連絡します」。この「ご連絡します」が次の接点になります。

5.2 社労士が煽り営業をすると顧問契約は続かない

「今すぐやらないと大変なことになります」という煽りは、短期的には反応が取れます。しかし煽って取った契約は、煽り続けないと維持できません。

志師塾では「お願いされて売れる」状態を目指すよう教えています。売り込むのではなく、情報提供によって関係性を作り、必要なタイミングで相談してもらう。この状態を作れば、価格競争にも巻き込まれません。

最低賃金の話も同じです。事実を正確に伝え、選択肢を示し、判断は経営者に委ねる。「この先生は嘘をつかない」という信頼こそが、長期契約の土台になります。

5.3 社労士は制度改正ネタを「毎年の資産」に変える

制度改正を追いかけるだけの発信は、消耗します。今年の最低賃金記事は、来年には古くなる。

そうならないために、普遍的な型として蓄積してください。「最低賃金改定への対応手順」というコンテンツを作れば、来年は数字を差し替えるだけで使えます。カスハラ、育児介護休業、女性活躍推進法。制度改正は毎年何かしらあります。改正のたびにゼロから作るのではなく、「改正対応パッケージ」というテンプレートを持っておく。これが商品力です。

志師塾では、これを「知りたいものを、手に入るものに変える」と表現しています。「最低賃金の情報」は知りたいもの。「御社の影響額試算レポートと対応スケジュール表」は手に入るもの。後者のほうが、高く売れます。

6. 志師塾卒業生の事例|専門性を「選ばれる形」に変えた先生業

制度改正を追いかけるだけでは、顧問契約は増えません。大切なのは「なぜあなたから買うのか」という選ばれる理由を作ることです。志師塾の卒業生には、専門性の見せ方を変えることで受注が変わった先生業が数多くいます。

6.1 自己実現メンタルコーチ・平真理子さんの事例

志師塾の卒業生である自己実現メンタルコーチの平真理子さんは、「正しい脳の使い方」を教えるという独自の切り口でポジショニングを確立されました。コーチングは競合が非常に多い領域ですが、専門領域を絞り込み、独自の言葉で価値を伝えることで、比較されない立ち位置を作られています。

社労士にとっても同じ構造です。「社労士」という資格名だけでは、他の社労士と並べて比較されます。しかし「多拠点企業の賃金設計に強い社労士」「業務改善助成金の申請支援に特化した社労士」となれば、その領域では第一想起を取れる。資格ではなく、独自の場所で選ばれる。これが志師塾が伝えているポジショニングの考え方です。

6.2 展示会営業コンサルタント・清永健一さんの事例

もう一人、志師塾で学ばれた清永健一さんは、営業コンサルタントという競合の多い領域で「展示会営業」に一点集中されました。展示会への出展を通じて営業を成功させる方法に絞ることで、展示会出展を検討する企業からは比較されない存在に。独立1年目に年商1,000万円、2年目に年商3,000万円を超えられています。

清永さんは中小企業診断士の資格をお持ちですが、資格を前面に出していません。資格を前に出すと、同じ資格保有者との比較に巻き込まれるからです。社労士も同様で、「社労士です」より「◯◯に強い専門家です」のほうが、高単価で選ばれます。

最低賃金改定という全社労士に共通するテーマも、切り口を絞れば独自の武器になります。「地方の多拠点企業の賃金設計」「9月1日締切の助成金活用」。絞るほど、その領域では一番になれます。

7. 社労士が今週やるべきこと|9月1日までの行動計画

最後に、この記事を読み終えたあと、実際に何をするかを整理します。

7.1 今週(8月中)の社労士のアクション

  1. 自分の都道府県の答申状況を確認する(各都道府県労働局サイト。答申額と発効日を控える)
  2. 厚生労働省の業務改善助成金リーフレットを熟読する(対象要件・コース・上限額を正確に把握)
  3. 5型のうち、自分が狙う型を1つ決める(既存顧客の業種構成から逆算)
  4. 既存顧客・休眠顧客のリストを作る(連絡先と最終接触日を整理)
  5. 案内文を1本書く(影響額試算の無料オファー、またはセミナー告知)

7.2 8月後半の社労士のアクション

  1. リストへ一斉配信(メール・郵送・LINE)
  2. 反応があった先へ個別アポイント
  3. セミナーを開催する場合は日程を9月上旬に設定(助成金受付開始直後が最も動く)
  4. 紹介元(税理士・商工会等)へ共催の打診

7.3 9月1日以降の社労士のアクション

  1. 助成金の交付申請を順次サポート(予算枠があるため早期着手
  2. 個別相談を6ステップで実施し、顧問契約を提案
  3. 成約時に必ず「来年もこの時期に」を約束する
  4. 10月の発効日に向けて、規程・時給表の改定を完了させる

行動計画で最も大事なのは、完璧を目指さないことです。志師塾では「30点でも早く小人(理想の見込み客)に持っていく」ことを推奨しています。案内文を練り上げてから送るより、まず10社に送って反応を見る。反応が悪ければ直す。この高速サイクルが成果を分けます。

9月1日まで、あと2週間ほど。準備に時間をかけている間に、動ける期間は短くなります。

8. まとめ|社労士は最低賃金55円上げをこう使う

本記事の要点を整理します。

  • 55円・1,176円は目安の試算値。確定は各都道府県労働局。この区別を最初に伝えるだけで信頼が生まれる
  • 前年度は63円ではなく66円・6.3%(63円は前年度の目安)。数値の正確さが専門家の証明になる
  • 相談導線は5型:①影響額シミュレーション ②助成金セット ③規程・発効日対応 ④多拠点・地域差 ⑤原資づくり。全部やらず1つに集中する
  • 9月1日が業務改善助成金の受付開始。50/70/90円コース、最大600万円、予算枠あり。この日を締切として提案を組む
  • 発効日は県ごとに違う。2025年度は11月以降発効の府県も多かった。「10月から一律」は誤り
  • 集めて・教えて・売るの順で仕組み化する。いきなり売り込まない
  • 成約時に「来年も」を約束する。単発を年次業務に変える一言が生涯価値を決める

制度改正は、毎年やってきます。ですから今回の55円上げを、単発の営業チャンスとして消費してしまうのはもったいない。「制度改正のたびに相談が来る社労士」という状態を作れば、営業に追われる働き方から抜け出せます。

そのために必要なのは、専門知識ではありません。専門知識は、あなたはもう十分に持っています。足りないのは、その知識を「選ばれる形」にして、届ける仕組みです。

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※本記事に記載の制度内容は2026年8月時点の公表情報に基づいています。地域別最低賃金の確定額・発効日は各都道府県労働局の公表を、業務改善助成金の詳細要件は厚生労働省の要綱・要領を必ずご確認ください。
主な参照:厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」(2026年7月28日)/厚生労働省「令和8年度業務改善助成金のご案内」

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