「持続化補助金の第20回、前回と何が変わったのか把握できていない」「顧問先にホームページ制作費で提案していいのか分からない」「補助金支援が単発で終わってしまい、顧問契約につながらない」
あなたは今、こんな悩みを抱えていませんか。
小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>の第20回は、これまでの回とは性格が違います。広報費・ウェブサイト関連費の扱い、賃金引上げ特例の判定方法、審査の観点。この3つが同時に変わりました。前回と同じ型で提案書を書くと、顧問先に迷惑をかけることになります。
そこで本記事では、次の内容を解説します。
・第20回の制度概要と、絶対に外せないスケジュール
・前回から変わった3つのポイント(広報費・賃上げ特例・審査観点)
・支援する側=先生業が切り替えるべき「5つの転換」
・補助金支援を単発で終わらせず、顧問契約につなげる設計
・先生業自身が持続化補助金を使う場合の注意点
この記事を読むことで、第20回で何が変わり、あなたの顧問支援の何を変えるべきかが明確になります。そして「申請書が書ける人」から「投資設計ができる伴走者」へポジションを移す道筋が見えてくるでしょう。
1.持続化補助金第20回の全体像|先生業がまず押さえる基本
まず前提を揃えます。ここを曖昧にしたまま顧問先と話すと、後で修正が効かなくなります。
1.1 補助上限と補助率
小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>(第20回)の基本設計は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限(通常) | 50万円 |
| インボイス特例 | +50万円 |
| 賃金引上げ特例 | +150万円 |
| 両特例を満たす場合 | +200万円(最大250万円) |
| 補助率 | 2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4) |
| 申請方法 | 電子申請システムのみ(GビズIDプライム必須) |
(出典:大阪商工会議所ほか、商工会議所地区の公募情報)
ここで先生業として注意したいのが、「最大250万円」という数字だけが独り歩きしやすい点です。両特例を満たすには、インボイス発行事業者への転換と、賃金引上げ特例の要件クリアの両方が必要になります。顧問先に最初から250万円の話をすると、期待値が上がりすぎて後で失望を招きます。
1.2 第20回の名称と類型の混同に注意
持続化補助金は、類型ごとにスケジュールも要件も違います。「創業型」など別の類型と混同したまま話を進めると、締切を勘違いします。
本記事で扱うのは「小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>(第20回)」です。顧問先と話すときも、この正式名称で認識合わせをしてください。
また、過去にあった「卒業枠」「後継者支援枠」は廃止され、「賃金引上げ枠」「インボイス特例」は一般型の特別枠に組み込まれ、「創業枠」は「創業型」として独立したという整理がなされています。以前の枠組みで説明資料を作っている場合は、必ず作り直してください。
1.3 実施期間が長い=伴走期間が長い
第20回で見落とされがちなのが、実施期間です。
・実施期間:交付決定日から2028年3月31日まで
・見積書等提出期限:2028年2月29日(予定)
採択発表が2027年3月頃の予定ですから、そこから実績報告まで1年以上あることになります。これは支援する側にとって重い意味を持ちます。
申請支援だけで手を離すと、顧問先は1年後に「あれ、何を報告するんでしたっけ」と迷子になります。逆に言えば、この長い実施期間そのものが、継続支援の必然性をつくってくれているということです。
2.持続化補助金第20回のスケジュール|実質デッドラインは12月4日

スケジュールの理解が甘いと、それだけで顧問先の申請機会を潰します。ここは数字で押さえてください。
2.1 押さえるべき3つの日付
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2026年11月5日 | 申請受付開始 |
| 2026年12月4日 | 商工会議所の様式4(事業支援計画書)発行受付締切(原則) |
| 2026年12月15日 17時 | 申請受付締切 |
| 2027年3月頃 | 採択発表(予定) |
(出典:城陽商工会議所ほか、商工会議所地区の公募情報)
ここで最重要なのが、実質の締切は12月15日ではなく12月4日だという事実です。
様式4(事業支援計画書)は商工会議所・商工会が発行する書類です。これがないと申請できません。そして発行には窓口の対応時間がかかります。11日前が実質デッドラインだと理解して、逆算スケジュールを引いてください。
2.2 GビズIDプライムの取得に10日
申請は電子申請システムのみで、GビズIDプライムアカウントが必須です。そしてこのアカウントは、書面による発行審査で10日程度かかります。
つまり顧問先がGビズIDを持っていない場合、逆算はこうなります。
1.GビズIDプライム申請 → 発行まで約10日
2.商工会議所へ様式4を依頼 → 12月4日までに発行を受ける
3.電子申請 → 12月15日17時まで
初回相談の時点で「GビズIDはお持ちですか」と聞けるかどうか。これだけで支援の質の差が出ます。持っていなければ、その場で申請を促すのが顧問の仕事です。
2.3 顧問先への逆算提示が信頼をつくる
先生業の価値は、専門知識そのものではなく「顧客が動ける形にして渡すこと」にあります。制度の解説だけならAIでもできる時代です。
志師塾では、伴走支援の7ステップとして「顧客理解 → 信頼構築 → 課題特定 → 解決立案 → 目標設定 → 継続実行 → 評価自走」という流れを教えています。補助金支援でも同じです。締切の逆算表を渡す行為は、このうちの「解決立案」と「目標設定」に当たります。相手が動ける単位に分解して渡すこと。ここが信頼構築の起点になります。
志師塾では、士業・コンサルタントをはじめとする先生業の方向けに先生業のためのWeb集客セミナーを開催しています。補助金支援を入口に顧問契約へつなげる導線設計にご関心がある方は、あわせてご覧ください。
3.持続化補助金第20回の変更点①|広報費・ウェブサイト関連費に上限30万円
ここからが本題です。第20回で最も実務に響く変更から見ていきます。
3.1 何が変わったのか
広報費とウェブサイト関連費の扱いが、第19回から次のように変わったと整理されています。
| 経費区分 | 第19回 | 第20回 |
|---|---|---|
| 広報費 | 単体申請可/上限は通常枠の範囲内 | 単体申請不可/上限30万円(税込) |
| ウェブサイト関連費 | 単体申請不可/交付申請額の1/4(最大50万円) | 単体申請不可/上限30万円(税込) |
ポイントは2つあります。
1つ目は、広報費が単体で申請できなくなったこと。これまで「チラシを刷る」「看板を作る」だけで申請していた顧問先は、第20回では別の経費と組み合わせる必要があります。
2つ目は、ウェブサイト関連費の「1/4ルール」が上限30万円という定額に置き換わったこと。従来は「補助金交付申請額の1/4まで」という割合制限だったため、ウェブに使いたければ他の経費も膨らませる必要がありました。
3.2 「厳格化」なのか「チャンス」なのか
この改正について、解説記事の評価は真っ二つに割れています。
・厳格化派:上限30万円が新設され、単体申請もできなくなった。ウェブ投資の自由度が下がった
・チャンス派:1/4という割合制限が撤廃された。他の経費を無理に用意しなくても、ウェブだけで満額30万円を狙いやすくなった
どちらが正しいのでしょうか。答えは「顧問先が使う金額帯によって有利不利が変わる」です。
補助率2/3で計算すると、こうなります。
| ウェブ投資額(税抜) | 補助額(2/3) | 第20回での評価 |
|---|---|---|
| 20万円 | 約13万円 | ◎ 上限内。組み合わせ設計が容易 |
| 45万円 | 約30万円 | ◎ ちょうど上限。1/4制限がない分むしろ有利 |
| 80万円 | 上限で30万円止まり | △ 超過分は自己負担。不利 |
※上記は補助率2/3、税込・税抜の扱いは公募要領の定義に従って個別に確認してください。
つまりウェブに20〜45万円で収める顧問先には有利、40万円を大きく超える投資をしたい顧問先には不利ということです。「厳格化された」と一律に伝えるのも、「チャンスです」と煽るのも、どちらも顧問としては不十分です。
3.3 経費区分の移動に注意
もう1つ、実務で事故りやすい論点があります。経費の区分が移動したとされる点です。
・インターネット広告、バナー広告、SNS広告、運用代行費 → ウェブサイト関連費から広報費へ移動したとされる
・自社サイトやECサイト内で使う動画・写真の制作費 → 引き続きウェブサイト関連費
この整理が正しければ、見積書の書き方1つで対象外や減額になり得ます。制作会社から出てきた見積書をそのまま添付するのではなく、顧問が中身を見て区分を確認する。ここは有償支援の価値が最も出るところです。
ただし、経費区分の詳細は必ず公募要領の最新版で確認してください。第20回の公募要領は2026年5月27日に公開された後、7月21日に第8版へ改版されています。5月〜6月に書かれた解説記事は第7版ベースで止まっているものが大半です。
4.持続化補助金第20回の変更点②|賃金引上げ特例の判定が根本転換
これが第20回で最も重い変更です。
4.1 「+50円」の常識が通用しない
従来の賃金引上げ枠は、「事業場内最低賃金が申請時より+50円以上」という分かりやすい基準でした。時給を50円上げればよかったわけです。
第20回では、この判定方式が他の大型補助金と同じ基準へ変更され、要件が厳格化されたと整理されています。有力な整理は、「最低賃金の引上げ額」から「1人あたり給与支給総額の増加率」への転換です。
この違いは決定的です。
| 観点 | 従来(+50円方式) | 第20回(増加率方式とされる) |
|---|---|---|
| 対象 | 事業場内で最も低い賃金の従業員 | 給与支給総額(全体) |
| 計算 | 時給の差額 | 総額の増加率 |
| 必要書類 | 賃金台帳の一部 | 総額の根拠となる資料 |
| 影響 | 1人分の調整で済む | 人件費計画全体の設計が必要 |
+150万円という上限アップは魅力的です。しかし、その代償として数年にわたる人件費のコミットメントを負うことになります。ここを軽く扱うと、顧問先が後で苦しみます。
4.2 具体的な増加率は公募要領で必ず確認
具体的な増加率の数値と、対象従業員の定義については、必ず公募要領(第8版)の該当ページで確認してください。ここを推測や過去の記憶で埋めると、顧問先に誤った説明をすることになります。
実務としては、次の3点を顧問先と一緒に確認する流れになります。
1.直近の給与支給総額(基準となる数字)
2.要件を満たすために必要な増加額
3.その増加を何年間維持する必要があるか
この3つを数字で出したうえで、「それでも+150万円を取りにいくか」を経営者に判断してもらう。これが伴走支援です。
4.3 賃上げ義務が生じるのは特例申請の場合だけ
ここは顧問先の誤解を解くために重要です。
賃上げ義務が生じるのは、賃金引上げ特例に申請する場合だけです。インボイス特例のみの申請や、特例なしの通常申請(上限50万円)には賃上げ義務はありません。
「補助金を使うと賃上げしなきゃいけないんでしょ」と誤解して申請を諦める経営者は少なくありません。ここを整理して伝えられるだけで、支援の入口が広がります。
4.4 判断を押しつけない
志師塾の伴走支援では、目標を押しつけると顧客がクラッシュすると教えています。実際、こんな失敗パターンがあります。
支援者「+150万円取れるので、賃金引上げ特例で行きましょう」
経営者「そうですか、分かりました」(人件費、大丈夫かな…)
→ 数か月後、資金繰りが苦しくなり、支援者への不信につながる
ロジックが正しくても、経営者が腹落ちしていなければ行動は続きません。志師塾では、これを「内的言語化・内的数値化による自己説得」と呼んでいます。数字を自分の言葉で語れる状態にして初めて、覚悟が固まります。
賃金引上げ特例のような重い意思決定こそ、「どうしてもやり抜かねばならない理由は何ですか」「1年後にうまくいかなかったとしたら、原因は何だと思いますか」といった問いで、経営者自身に語ってもらってください。
5.持続化補助金第20回の変更点③|審査の観点が「客観的事実」重視へ
3つ目の変更は、審査項目の文言追加です。
5.1 追加された文言
第19回は「自社の製品・サービスや強みの把握」「対象市場や顧客ニーズ」に主眼がありました。第20回では、ほぼすべての評価項目に次の観点が明記されたと整理されています。
・売上高・売上総利益の増加を目指すものか
・客観的事実に基づいて目標設定がされているか
さらに新商品開発費については、「テストマーケティングや市場調査を行った結果を踏まえたもの、またはそれらを伴うものが補助対象」という一文が加わったとされています。
5.2 これは先生業にとって追い風
一見すると審査が厳しくなったように見えます。しかし、支援する側から見ると話は逆です。
「客観的事実に基づく目標設定」「テストマーケティング」が制度側から要求されるということは、調査・数値設計という有償支援の必要性が、制度によって裏づけられたということです。
これまで「調査にお金をかける意味が分からない」と言っていた経営者に対して、「制度がそれを求めています」と説明できるようになりました。
5.3 「強みの言語化」から「数字で語る」へ
従来の補助金支援では、経営者へのヒアリングで強みを引き出し、それを文章にすることが中心でした。第20回では、そこから一歩踏み込む必要があります。
| 従来の書き方 | 第20回で求められる書き方 |
|---|---|
| 「地域のお客様に長年愛されている」 | 「リピート率○%、来店頻度は月○回(POSデータより)」 |
| 「新商品で売上を伸ばす」 | 「試作品を○名にテスト提供、購入意向○%を確認済み」 |
| 「売上増を目指す」 | 「売上総利益を○万円増、粗利率を○%改善」 |
右側を書くには、申請の前段階で調査と検証が必要です。ここに顧問の仕事があります。
志師塾では、机上で100点を目指すのではなく、30点でも早く見込み客に持っていって検証する「地上戦の仮説検証」を教えています。補助金の申請書も同じです。きれいな作文を作り込むより、顧問先と一緒に小さくテストして、その結果を数字で書く。この順番が正しいのです。
6.持続化補助金第20回で先生業が切り替える「5つの転換」

ここまでの変更を、支援する側の行動としてまとめます。5つの転換です。
6.1 転換①「制作費ありき」から「投資セット設計」へ
広報費・ウェブサイト関連費は単体申請ができず、それぞれ上限30万円になりました。「ホームページを作りましょう、補助金が出ます」という提案は、そのままでは成立しません。
やるべきこと
・ウェブ・広報以外の対象経費(機械装置、展示会出展、外注費など)とセットで組む
・ウェブ投資を20〜45万円のレンジに設計する(上限30万円を取り切る)
・見積書の経費区分(広報費かウェブサイト関連費か)を顧問がチェックする
顧問への問いかけ例:「ホームページだけでなく、集客した後に何で受けますか。そこに投資すると、セットで申請できます」
6.2 転換②「+50円」から「給与総額の増加率」へ
賃金引上げ特例の判定方式が変わりました。時給の調整では済みません。
やるべきこと
・公募要領で増加率の具体数値と対象従業員の定義を確認する
・顧問先の給与支給総額の現状値を出す
・要件を満たすための必要増加額と、維持期間を試算する
・その負担を経営者自身の言葉で確認してもらう
顧問への問いかけ例:「+150万円の代わりに、人件費を年○万円増やす約束をすることになります。この数字、無理なく回りますか」
6.3 転換③「強みの言語化」から「客観的事実と売上総利益」へ
審査項目に「売上総利益の増加」「客観的事実に基づく目標設定」が明記されました。
やるべきこと
・申請書を書き始める前に、簡易でも市場調査・テストマーケを実施する
・売上高だけでなく売上総利益(粗利)で目標を設計する
・目標数値の根拠(POSデータ、アンケート、テスト販売結果など)を必ず添える
顧問への問いかけ例:「この商品、実際に何人に見せて、何人が『買いたい』と言いましたか。その数字が審査で効きます」
6.4 転換④「締切逆算」から「様式4逆算+GビズID逆算」へ
申請締切は12月15日ですが、実質デッドラインは様式4の12月4日、さらにその前にGビズIDの10日があります。
やるべきこと
・初回相談で必ず「GビズIDプライムはお持ちですか」と聞く
・持っていなければその場で申請を促す
・商工会議所への様式4依頼のタイミングを逆算表で渡す
・混雑を見越して、12月4日よりさらに前倒しで動く
顧問への問いかけ例:「締切は12月15日ですが、商工会議所の書類が12月4日締切です。11月中旬には申請書を仕上げましょう」
6.5 転換⑤「申請支援」から「2028年3月までの伴走」へ
実施期間は2028年3月31日まで。採択発表が2027年3月頃なら、そこから丸1年の実行期間があります。
やるべきこと
・申請支援と実行支援を分けて商品設計する
・採択後の定期セッション(月1回など)を最初から提案する
・実績報告に必要な証憑の管理を、顧問側で仕組み化する
・賃金引上げ特例を使った場合は、給与総額のモニタリングを組み込む
顧問への問いかけ例:「採択されてからが本番です。2028年3月まで一緒に走る形にしませんか」
志師塾では、伴走支援の定期セッションの間隔は1週間〜4週間が目安だと教えています。これより短いと実践できず変容が起こりません。補助金の実行支援なら月1回が現実的でしょう。
7.持続化補助金支援を単発で終わらせない設計
ここからは、先生業のビジネス設計の話です。
7.1 なぜ補助金支援は単発で終わるのか
補助金支援が単発で終わる理由は、はっきりしています。商品が「申請書作成」になっているからです。
申請書を出したら終わり。採択されたら成功報酬をもらって終わり。これでは関係が続きません。しかも成果報酬型は、不採択だと収入がゼロになるリスクを支援者が丸ごと負う構造です。
7.2 「集めて・教えて・売る」の導線に乗せる
志師塾では、顧客獲得の導線を「集めて・教えて・売る」という3ステップで設計します。補助金に当てはめると、こうなります。
| ステップ | 補助金支援での具体策 |
|---|---|
| 集めて | 「第20回の変更点セミナー」「様式4の逆算チェックリスト」など無料オファーでリスト獲得 |
| 教えて | セミナーで「補助金は目的でなく投資の手段」という判断基準を伝える。個別相談へ誘導 |
| 売る | 申請支援ではなく「投資設計+申請+2028年3月までの実行伴走」をパッケージで提案 |
ここで大事なのが、「教えて」の段階で判断基準を見込み客の頭に植え付けることです。
たとえば第20回なら、こう伝えます。
「ホームページ制作だけで申請できた時代は終わりました。第20回は、ウェブと他の投資をセットで設計しないと通りません。そして採択後、2028年3月まで実行が続きます。申請書を代筆するだけの業者に頼むと、そこで放り出されます」
これが判断基準です。この基準を持った見込み客は、単なる代書屋を選ばなくなります。
7.3 「なぜあなたから買うのか」に答える
補助金支援は、参入者が多い領域です。行政書士、中小企業診断士、税理士、コンサルタント、そして補助金専門会社。競合だらけです。
志師塾では、先生業のマーケティングにおいて「なぜ買うのか」「なぜあなたから買うのか」の2問に文字で答えられることを起点にします。
補助金支援で「なぜあなたから買うのか」に答えるなら、こういう切り口があります。
・業種を絞る:「飲食店専門」「製造業専門」など。業種特化で調査データの蓄積が効く
・フェーズを絞る:「採択後の実行支援に強い」「賃上げ設計まで見られる」
・組み合わせる:「補助金+Web集客」「補助金+人事制度」など専門領域との掛け算
とくに第20回は、ウェブ投資の設計が難しくなりました。「補助金の知識」と「Web集客の知識」を両方持っている支援者は希少です。ここは狙い目のポジションでしょう。
7.4 AIをどう使うか
補助金支援でもAIは強力です。ただし使いどころを間違えないでください。
| AIに任せる | 人が担う |
|---|---|
| 公募要領の要点整理・比較表作成 | 経営者の覚悟を引き出す対話 |
| 申請書のたたき台作成 | 投資判断のGo/No-Go |
| 面談議事録の作成 | 数字に意味を与える解釈 |
| 想定リスクの洗い出し | 実行が止まったときの立て直し |
志師塾では、「AIは処理の相棒、人は意味の責任者」という整理をしています。AIがループの回転速度を上げ、人が回転方向を決める。この分業が成立していれば、AIが進化するほど支援者の価値は上がります。
実務で便利なのが、言いづらいことをAIに言わせる使い方です。賃金引上げ特例のリスクを支援者が直接指摘すると角が立つ場面でも、「AIに聞いてみたところ、こういうリスクが挙がりました」と第三者の視点として提示すれば、経営者も受け取りやすくなります。
8.先生業自身が持続化補助金を使う場合の注意点
意外と見落とされがちですが、士業・コンサルタント自身も持続化補助金の対象になり得ます。
8.1 従業員数のカウント方法が変わった
第19回公募より、「常時使用する従業員の数」の考え方が変更され、労働基準法第20条に基づく「解雇の予告を必要とする者」を指すと明記されたとされています。これによりパートタイム・アルバイトも原則として含まれることになりました。
商業・サービス業は従業員5人以下が小規模事業者の基準です。先生業の多くは1人〜数名で運営していますから対象になりやすい一方、パート・アルバイトを含めると基準を超えるケースがある点に注意してください。
8.2 自分で使ってから顧問先に勧める
補助金支援をする先生業こそ、まず自分で申請してみることをおすすめします。理由は3つあります。
1.電子申請の手順を体感できる:GビズIDの取得、システムの操作感。実際にやらないと分からない詰まりポイントがある
2.説得力が変わる:「私も第20回で申請しました」と言えるかどうかで、経営者の反応が違う
3.実績報告の重さが分かる:採択後の負担を体験していれば、伴走の設計が具体的になる
志師塾では「見本・信頼・支援」という順序でリーダーシップを説明します。まず自分が見本を示す。だから信頼される。だから支援が届く。補助金支援もこの順番です。
8.3 有償支援の申告について
もう1点、支援者側のコンプライアンスの論点があります。
持続化補助金の様式2には「第三者からのアドバイス」を記載する欄があります。有償で支援を受けた場合の記載方法については、必ず公募要領の最新版(第8版)で該当箇所を確認してください。
ここを曖昧にしたまま支援を続けると、後で顧問先に迷惑をかけることになります。「正しく申告できる支援」であることは、先生業としての信頼の土台です。
9.持続化補助金第20回|先生業のためのチェックリスト

最後に、実務で使えるチェックリストにまとめます。
9.1 情報収集フェーズ
・□ 公募要領は最新版を入手したか(第20回は7月21日に第8版へ改版)
・□ 5〜6月に書かれた解説記事に依存していないか
・□ 第19回の採択結果・採択率を確認したか(公式の採択者一覧ページ)
・□ 賃金引上げ特例の具体数値を要領で確認したか
・□ 経費区分(広報費/ウェブサイト関連費)の定義を要領で確認したか
9.2 顧問先ヒアリングフェーズ
・□ GビズIDプライムの有無を確認したか
・□ 従業員数(パート・アルバイト含む)を確認したか
・□ インボイス発行事業者への転換予定を確認したか
・□ 賃金引上げ特例を狙うかどうか、経営者自身の言葉で確認したか
・□ ウェブ投資の想定金額を確認したか(20〜45万円のレンジか)
9.3 申請準備フェーズ
・□ 逆算スケジュール(GビズID → 様式4 → 電子申請)を顧問先に渡したか
・□ 12月4日(様式4締切)を前提に動いているか
・□ 広報費・ウェブサイト関連費を単体申請にしていないか
・□ 見積書の経費区分をチェックしたか
・□ 目標を売上高だけでなく売上総利益で設計したか
・□ 目標数値の客観的根拠(調査・テスト結果)を添えたか
9.4 採択後フェーズ
・□ 2028年3月31日までの実行スケジュールを引いたか
・□ 定期セッション(月1回目安)を設定したか
・□ 証憑管理の方法を決めたか
・□ 賃金引上げ特例の場合、給与総額のモニタリングを組み込んだか
・□ 実行支援を有償の商品として設計したか
10.志師塾卒業生の事例|専門性を「支援の形」に変える
補助金支援に限らず、先生業が単発の作業請負から抜け出すには、自分の専門性を「継続的な支援の形」に変える必要があります。
志師塾の卒業生に、自己実現メンタルコーチの平真理子(たいらまりこ)さんがいます。「正しい脳の使い方」を軸に、満足した人生を送りたい方をサポートされています。
平さんが取り組まれたのは、自分の持っている知識を「相手が使える手順」に落とし込むことでした。志師塾で言う「知りたいものを手に入るものに変換する」という考え方です。
補助金支援も同じ構造です。「公募要領の知識」を持っているだけでは商品になりません。それを「顧問先が動ける逆算表」「投資判断の基準」「採択後の実行チェックリスト」という手に入る形に変換して初めて、対価をもらえる支援になります。
詳しくはこちらのインタビュー記事をご覧ください。
▼ 【卒業生インタビュー】満足した人生を送りたいあなたに「正しい脳の使い方」を教えます! ~自己実現メンタルコーチ・平真理子(たいらまりこ)さん~
11.関連記事もあわせて
補助金支援や先生業のビジネス設計について、あわせて読みたい記事をご紹介します。
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・省力化補助金第7回|先生業が勝つ提案7型を解説|省力化投資の提案パターンを7つの型で整理しています
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・先生業は出版しないとダメ、役目だから|専門性を世に出す手段としての出版について解説しています
12.まとめ|持続化補助金第20回は「設計できる支援者」が選ばれる
持続化補助金<一般型・通常枠>第20回の変更点と、先生業が切り替えるべき5つの転換をお伝えしてきました。
要点を整理します。
・スケジュール:申請締切は12月15日17時だが、実質デッドラインは様式4の12月4日。GビズIDには10日かかる
・広報費・ウェブ:単体申請不可、それぞれ上限30万円(税込)。20〜45万円のレンジなら有利、それ以上は不利
・賃金引上げ特例:「+50円」から「給与総額の増加率」へ判定転換。+150万円の裏に人件費コミットがある
・審査観点:「売上総利益の増加」「客観的事実に基づく目標設定」が明記。調査・テストの必要性が制度に裏づけられた
・実施期間:2028年3月31日まで。申請支援で終わらせず、実行伴走まで設計する
そして、あなたが切り替えるべき5つの転換です。
1.「制作費ありき」から「投資セット設計」へ
2.「+50円」から「給与総額の増加率」へ
3.「強みの言語化」から「客観的事実と売上総利益」へ
4.「締切逆算」から「様式4逆算+GビズID逆算」へ
5.「申請支援」から「2028年3月までの伴走」へ
第20回で価値が下がるのは「申請書が書ける人」です。逆に価値が上がるのは、客観的な数値目標と投資の組み合わせを設計し、採択後まで伴走できる支援者です。
ここで思い出してほしいのが、志師塾の「AI・顧客・先生業の三位一体」という考え方です。制度の要約や書類のたたき台はAIが担えます。しかし、経営者の覚悟を引き出すこと、投資のGo/No-Goを一緒に判断すること、実行が止まったときに立て直すこと。ここは人にしかできません。
ただし、どれだけ良い支援ができても、そもそも相談が来なければ始まりません。補助金支援を軸に顧問契約を増やしていくには、「集めて・教えて・売る」の導線を自分で持つことが必要です。
なお、公募要領は改版されます。第20回も2026年5月27日の公開後、7月21日に第8版へ改版されました。本記事の内容も含め、申請にあたっては必ず公式サイトの最新版公募要領で確認してください。制度の一次情報を自分で取りにいく姿勢が、支援者としての信頼を支えます。
※本記事は2026年8月時点の公開情報をもとに作成しています。補助上限・要件・スケジュール等は改版により変更される場合があります。申請にあたっては、必ず中小企業庁および商工会議所・商工会が公開する最新の公募要領をご確認ください。