「省力化投資補助金の第8回、いつから動けばいいのか」「補助金の申請支援を仕事にしていいのか、法改正で線引きが変わったと聞いた」「そもそも補助金を切り口に、どうやって受注につなげるのか」
あなたは今、こんなモヤモヤを抱えていませんか。
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業の設備投資を後押しする制度です。補助上限は一般型で最大1億円規模。支援する側の先生業(士業・コンサルタント・講師・コーチ)にとっては、経営者と接点を持つ絶好の入口になります。ところが第8回については、この記事を書いている時点でまだ公募要領が出ていません。しかも2026年1月に施行された改正行政書士法によって、「補助金の申請代行で稼ぐ」という発想そのものが成立しなくなりました。
そこで本記事では、次の内容を整理します。
- 省力化投資補助金 第8回のスケジュールと、逆算した実質デッドライン
- 第8回で「申請できない事業者」を先に外す方法
- 改正行政書士法で明確になった、代行と支援の境界線
- 代行に頼らずに受注をつくる、先生業の5つの型
- 補助金を「商品」ではなく「入口」として使う考え方
- 9月までに何をどの順番で動かすかの行動計画
この記事を読み終えたとき、あなたは「第8回に向けて、明日どの顧客に何を話すか」が決まっている状態になります。制度の解説を読んで終わりではなく、手元のリストが動き出す。そこまでを狙って書きました。
1. 省力化投資補助金 第8回のスケジュールと押さえるべき3つの数字

まず土台となる事実関係を押さえます。ここを曖昧にしたまま経営者に話すと、信頼を一瞬で失います。
1.1 第8回の日程は「8月中旬公募開始・10月中旬締切」
省力化投資補助金の公式サイト(中小機構)には、第8回について次の予定が示されています。
| 項目 | 時期(予定) |
|---|---|
| 公募開始 | 8月18日(火) |
| 申請受付開始 | 9月中旬 |
| 申請締切 | 10月中旬 |
出典:中小企業省力化投資補助金 公式サイト(中小機構)https://shoryokuka.smrj.go.jp/
ここで大事なのは、公募開始の時点では詳細が確定していないということ。公式サイトにも「詳細は後日お知らせします」と書かれています。つまり、いま世に出回っている第8回の解説記事は、ほぼすべて第7回の数字を流用したものです。
先生業として発信するなら、ここで一線を引いてください。「第7回時点ではこうでした。第8回の要領が出たら変更点をお伝えします」と伝える。これだけで、断言する競合よりも信頼されます。数字を断言する人ほど、後から訂正して信用を落とすのです。
1.2 一般型の補助上限と補助率(第7回時点の情報)
第6回・第7回の公募要領をもとにした一般型の概要は次のとおりです。第8回で変更される可能性があるため、必ず要領で再確認してください。
| 項目 | 内容(第7回時点) |
|---|---|
| 補助上限 | 従業員規模別に750万円〜8,000万円 大幅賃上げ特例の適用時は最大1億円 |
| 補助率 | 中小企業 1/2(賃上げ時 2/3) 小規模事業者 2/3 |
| 主な要件 | ①省力化効果が見込まれる事業計画の策定 ②投資回収期間を根拠資料とともに提出 ③3〜5年の計画期間内に付加価値額が増加する計画 ④人手不足解消に向けたオーダーメイド設備等の導入 |
先生業が注目すべきは②と③です。投資回収期間の根拠づくりと、付加価値額が増える事業計画の言語化。ここが一般型の審査の中心であり、経営者が最も苦手とする部分です。
設備を選ぶのはメーカーや商社の仕事です。しかし「その設備を入れると、なぜ生産性が上がり、いくら回収でき、3年後の付加価値額がどう変わるのか」を数字と言葉で組み立てられる経営者は、ほとんどいません。ここに先生業の出番があります。
1.3 GビズIDから逆算すると、動き出しの限界は9月上旬
もう一つ、実務上の落とし穴があります。申請にはGビズIDプライムが必要で、発行までに2〜3週間かかります。
10月中旬締切から逆算すると、こうなります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 8月下旬 | 要領を読み込む/対象になりそうな顧客を仕分ける |
| 〜9月上旬 | GビズIDの申請(ここが実質デッドライン) |
| 9月中旬 | 設備の見積取得/事業計画の骨子づくり |
| 9月下旬〜10月上旬 | 計画のブラッシュアップ/根拠資料の整備 |
| 10月中旬 | 申請締切 |
この「9月上旬」という数字が、先生業にとって最強の営業トークになります。締切だけを伝えると経営者は動きません。「10月中旬まであるから、まだ大丈夫」と思うからです。そこで「GビズIDに2〜3週間かかるので、動き出せるのは9月上旬までです」と伝える。緊急性が生まれ、経営者の脳が「今」に切り替わります。
志師塾では、人が反応するために必要な要件を「顕在性・重要性・緊急性・簡易性・独自性」の5つで整理しています。補助金というテーマは、この5要件のうち緊急性を作りやすいという点で、先生業にとって扱いやすい題材なのです。
2. 省力化投資補助金 第8回で「申請できない事業者」を先に外す
ここからが実務です。多くの先生業がやってしまう失敗は、対象になるかどうかを確認せずにセミナーを開き、集まった経営者の半分が「そもそも申請できない人」だったという事態。時間も信頼も失います。
2.1 回次による申請制限がある
第7回時点の情報では、次の事業者は申請できません(第8回の要領で必ず再確認してください)。
- 第1回〜第5回公募で採択された事業者
- 第6回・第7回公募に申請中の事業者
つまり、すでに省力化投資補助金を使った顧客、いま結果を待っている顧客は、第8回の対象外になります。「前回お手伝いした会社に、また声をかけよう」という発想が空振りする典型パターンです。
2.2 他の補助金の交付決定回数による制限もある
さらに、過去3年間でものづくり補助金・事業再構築補助金を合計2回以上交付決定されている事業者も申請できないとされています(第7回時点)。
これは実務上かなり重要です。補助金に慣れている経営者、つまりあなたが真っ先に声をかけたくなる「補助金リテラシーの高い会社」ほど、この制限に引っかかりやすいのです。
逆に言えば、狙うべきは「補助金を使ったことがない、人手不足で困っている会社」。ここは競合の支援者もアプローチしていません。
2.3 仕分けが最短の集客になる理由
マーケティングの世界には「1対5の法則」という考え方があります。新規顧客の獲得には、既存顧客の維持に比べて5倍のコストがかかる、というものです。志師塾でも、新規開拓の前に既存リストのアプローチを優先するようお伝えしています。
補助金というテーマは、この法則がきれいに当てはまります。やることはシンプルです。
- 顧客リスト・見込み客リストを開く
- 「過去の省力化投資補助金の採択・申請中」を外す
- 「過去3年でものづくり・再構築を2回以上」を外す
- 残った会社のうち、人手不足が課題の会社に印をつける
- その会社に、9月上旬までに個別で声をかける
これだけです。広告を打つ必要も、SNSを毎日更新する必要もありません。手元のリストを仕分けるだけで、確度の高い見込み客が浮かび上がる。これが補助金というテーマの最大の実務メリットです。
志師塾では、こうした顧客獲得の流れを「集めて・教えて・売る」という3ステップで整理しています。補助金の場合、リストがすでにあるなら「集めて」を省略して、いきなり「教えて」から入れるわけです。
なお、この「集めて・教えて・売る」の仕組みづくりについては、志師塾が開催している先生業のためのWeb集客セミナーで、先生業に特化した設計方法をお伝えしています。補助金のような期限のあるテーマを、単発の受注ではなく継続的な仕組みに変えたい方は、あわせてご覧ください。
3. 改正行政書士法で変わった、省力化投資補助金の「代行」の線引き
ここが本記事の核心です。この点を押さえずに補助金ビジネスを始めると、法令違反のリスクを抱えます。
3.1 何が明確になったのか
2026年1月に施行された改正行政書士法では、第19条第1項に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が加わりました。
ポイントは「いかなる名目によるかを問わず」という部分です。これによって、補助金申請書類の作成・提出の対価が、コンサルティング料でも、会費でも、顧問料の一部でも、実質的に報酬であれば規制の対象になることが明確になりました。
ここで一つ、正確に伝えておきたいことがあります。よく「補助金の申請代行が、新たに行政書士の独占業務になった」と説明されますが、これは正確ではありません。行政書士以外が報酬を得て官公署提出書類を作成することは、改正前から禁止されていました。名目を変えて実質的に代行するケースが横行していたため、条文で明確化されたというのが実態です。
「新しく違法になった」ではなく「これまでもグレーだったものが、白黒はっきりした」。この理解で臨んでください。
3.2 電子申請の代理操作も対象になりうる
もう一つ実務家に効く論点があります。電子申請の代理操作についても、独占業務の範囲として条文上整理されたという指摘があります。
これが何を意味するか。顧客のGビズIDを預かって、あなたが代わりに入力・送信する運用は、リスクがあるということです。
「実務では普通にやっていた」という方も多いでしょう。しかし2026年以降、この運用は見直しが必要です。入力するのは事業者本人。あなたは横で画面を見ながら助言する。この形に切り替えてください。
違反時には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金という定めもあるとされています。先生業は信頼が商品です。グレーゾーンで稼ぐ選択は、長い目で見て必ず損をします。
3.3 それでも先生業ができることは、はっきりある
ここで悲観する必要はありません。禁止されているのは「報酬を得て書類を作成・提出すること」です。次のような支援は、引き続き可能とされています。
| できること | 避けるべきこと |
|---|---|
| 経営コンサルティング(課題整理・戦略立案) | 申請書類の作成そのもの |
| 事業計画の策定支援・財務面の助言 | 官公署への提出代行 |
| 制度情報の提供・参考資料の提示 | GビズIDを預かった代理入力 |
| セミナー・研修による情報提供 | 「顧問料に含む」という名目での代行 |
| 採択後の実行支援・進捗管理 | 実質的に丸投げを受ける契約 |
税理士であっても、行政書士資格がなければ書類作成代行は原則できません。ただし認定支援機関として事業計画の策定支援や財務面のアドバイスを行うことは適法とされています。
見比べてみてください。「できること」の側に並んでいるのは、すべて単価が高く、代替されにくい仕事です。書類作成は生成AIが最も得意な領域で、放っておいても価格が崩れていきます。むしろ法改正は、先生業を単価の低い作業から引き剥がしてくれたと捉えるべきでしょう。
志師塾では、AI時代の役割分担を「AIは処理の相棒、人は意味の責任者」と表現しています。書類を整えるのは処理。「なぜこの投資をするのか」「3年後にどうなっていたいのか」を経営者と一緒に決めるのが意味づけです。法改正が線を引いたのは、まさにこの境界だったのです。
4. 省力化投資補助金 第8回で先生業が受注する5つの型

ここまでを踏まえて、代行に頼らず受注をつくる5つの型を示します。型1・型2で母集団をつくり、型3・型4で受注し、型5で継続化する、という階層構造で読んでください。
4.1 型1:セミナー型|期限を武器に母集団をつくる
もっとも再現性が高いのがこの型です。8月下旬から9月上旬に、補助金をテーマにしたセミナーや説明会を開きます。書類を作らないので、法令上のリスクもありません。
ここで気をつけたいのが、志師塾が言う「情報提供型セミナー」と「顧客獲得型セミナー」の違いです。補助金セミナーは、放っておくと情報提供型になります。制度の概要を丁寧に説明し、参加者が「勉強になりました、ありがとうございます」と帰っていく。受注はゼロ。これが典型的な失敗です。
原因は「教えたがり病」です。先生業は教えるのが好きなので、全部教えてしまう。すると参加者は「自分でできそうだ」と思って帰ります。
顧客獲得型にするには、次の4ステップで構成してください。
| ステップ | 補助金セミナーでの中身 |
|---|---|
| ①共感 | 人手不足の現場の苦しさに触れる。「求人を出しても来ない」「ベテランが辞めたら回らない」 |
| ②問題定義 | 補助金が取れない理由は情報不足ではなく「投資回収と付加価値額を語れないこと」だと定義し直す |
| ③ノウハウ | 狭く深く。たとえば「投資回収期間の根拠の作り方」だけを具体的に見せる |
| ④誘導 | 個別相談へ。「自社が対象になるか、9月上旬までに確認しましょう」 |
③で全部教えないのがコツです。志師塾ではこれを「狭く深いノウハウ」と呼びます。浅く広く教えると満足して帰り、狭く深く教えると「他の部分も聞きたい」という渇望感が生まれます。
そして④の誘導では、個別相談のゴールを先に宣言しておいてください。「個別相談では、解決策をお伝えするのではなく、御社の課題を明確にすることをゴールにします」と。ここを言っておかないと、個別相談の場で「私はどうすればいいですか」と解決策を求められ、答えてしまって終わります。
4.2 型2:仕分け型|リストの棚卸しを提案に変える
セミナーを開かなくても受注できるのが、この型です。第2章で示した仕分けをそのまま提案に変えます。
やり方はシンプルです。既存顧客・見込み客に、こう連絡します。
「省力化投資補助金の第8回が10月中旬に締切予定です。ただ、御社が対象になるかどうかは、過去の補助金の採択状況で変わります。ここを整理しないと、動いても無駄になります。15分だけ状況を確認するお時間をいただけませんか」
この連絡が効くのは、「あなたのために調べます」という他者支援の姿勢が伝わるからです。売り込みではありません。相手の時間を無駄にしないための確認です。
志師塾では、理想の顧客を具体的な一人の人物として思い浮かべる「頭の中に小人を飼う」という考え方をお伝えしています。この連絡文も、リスト全体に一斉送信するのではなく、「あの社長」を一人だけ思い浮かべて書くと反応率が変わります。誰にでも当てはまる文章は、誰にも刺さりません。
4.3 型3:計画策定・伴走型|適法かつ最も価値の高い本丸
ここが受注の本命です。一般型の審査の中心は「省力化効果」「投資回収期間」「付加価値額の増加」。この3つを数字と言葉で組み立てる支援が、あなたの商品になります。
ただし、ここで多くの先生業がつまずきます。「事業計画の策定支援をします」では売れないのです。理由は、経営者にとって何が手に入るのか分からないから。
志師塾では、商品づくりの原則として「知りたいものを、手に入るものに変換する」とお伝えしています。目に見える成果物を示すのです。
| 売れない表現 | 売れる表現(成果物で示す) |
|---|---|
| 事業計画の策定を支援します | 「省力化効果の定量化シート」と「3か年の付加価値額シミュレーション」をお渡しします |
| 投資回収の考え方を助言します | 「投資回収期間の根拠資料(Excel)」を、御社の数字で完成させます |
| 申請のサポートをします | 全4回のセッションで、御社が自分で書ける状態まで伴走します |
3つ目の表現に注目してください。「御社が自分で書ける状態まで伴走する」。これは法令上の線引きをクリアしつつ、価値を明確にする言い方です。書類はあなたが作らない。しかし経営者は完成に到達できる。この建て付けを最初から契約書に落としておきましょう。
進め方は、セッションを複数回に分けるのが定石です。
- 第1回:現状の棚卸し。どの業務に何時間かかっているか、誰がボトルネックか
- 第2回:省力化効果の定量化。導入後の削減時間と、その時間を何に振り向けるか
- 第3回:投資回収と付加価値額の計画。3〜5年の数字を経営者の言葉で語れるようにする
- 第4回:計画書の読み合わせ。経営者が書いた文章を一緒に磨く
この流れは、志師塾の伴走支援7ステップ(顧客理解→信頼構築→課題特定→解決立案→目標設定→継続実行→評価自走)の縮小版になっています。最終的に顧客が自走する形をつくるのが、伴走支援の要です。
4.4 型4:連携型|行政書士とチームを組む
「それでも書類作成まで面倒を見てほしい」という顧客ニーズは必ず出ます。そのときの答えが連携型です。
行政書士事務所と組み、書類作成・提出は有資格者、要件設計と経営面はあなたという役割分担にします。ダブルライセンスを取得するという選択肢もありますが、第8回の締切に間に合わせるなら連携が現実的です。
志師塾では、こうした協業を「ジョイントベンチャー」として整理し、3つのモデルを提示しています。
| モデル | 補助金支援での使い方 |
|---|---|
| 目玉モデル | 行政書士や商工会の集客イベントに、あなたが「補助金セミナー」という目玉コンテンツを無償提供する |
| パッケージモデル | 「計画策定+書類作成」を一つのサービスとして共同で商品化する |
| 回遊魚モデル | 補助金で接点を持った顧客を、採択後の実行支援であなたに戻してもらう |
連携を持ちかけるときのコツは、相手の本業の売上に貢献する提案をすること。「紹介してください」ではなく「御社の顧客に喜ばれる情報提供を、無償でやらせてください」から入る。リスクを自分が引き受けると、組んでもらえる確率が跳ね上がります。
4.5 型5:採択後・実行支援型|単発を顧問契約に変える
もっとも見落とされ、もっとも単価が高いのがこの型です。
省力化投資補助金では、労働生産性や1人当たり給与支給総額について目標水準が設定されており、未達の場合には補助金の返還義務が生じるとされています(詳細は要領で必ず確認してください)。しかも計画期間は3〜5年です。
ここから何が言えるか。採択はゴールではなく、リスクのスタートです。そして競合の支援者のほとんどが、採択で仕事を終えています。
だから、こう提案できます。
「採択されたあとが本番です。給与総額や生産性の目標を達成できないと、返還を求められる可能性があります。3年間、数字の進捗を一緒に管理させてください」
これは単発の申請支援から、月次の顧問契約への転換点です。志師塾でも、収益を伸ばす鍵はLTV(顧客生涯価値)の最大化にあるとお伝えしています。申請支援を50万円で1回受注するのと、月5万円の顧問契約を3年続けるのでは、180万円の差になります。
しかも顧客側にとっても合理的です。返還リスクを一人で背負うより、伴走者がいた方が安心できる。先生業が「心配されると不安になる、信頼されると勇気が出る」という関わり方をできれば、この関係は長く続きます。
5. 省力化投資補助金を「商品」にしてはいけない3つの理由
ここで一度、大きな視点に戻ります。5つの型を実行する前に、押さえておきたい前提があります。
5.1 補助金は入口。キラーコンテンツは別に持つ
補助金を主力商品にしてしまうと、必ず苦しくなります。理由は3つです。
- 制度が変わると商品が消える。回次・要件・上限は毎回変わり、制度自体が終わることもある
- 期限に振り回される。締切前は激務、締切後は暇。売上が安定しない
- 価格競争になりやすい。「成功報酬〇%」で比較され、単価が下がる
志師塾では、他のライバルではなくあなたが選ばれる理由を持った商品をキラーコンテンツと呼んでいます。補助金は、そのキラーコンテンツへの入口として使うべきものです。
たとえば、あなたの本来の商品が「製造業の現場改善コンサルティング」なら、補助金は経営者と出会うための切り口。「人事制度設計」なら、賃上げ要件の話から本業へつなげる。補助金で入り、本業で継続する。この設計にしてください。
5.2 「なぜあなたから買うのか」に答えられるか
補助金支援は、参入する支援者が多い領域です。だからこそ、次の2つの質問に文字で答えられるかが勝負を分けます。
- なぜ、買うのか(絶対価値)
- なぜ、あなたから買うのか(相対価値)
1つ目は簡単です。「補助金が使えるかもしれないから」。しかし2つ目に答えられない支援者が、圧倒的に多い。
ここで効くのが一点集中です。「補助金支援します」ではなく、業種や課題で絞る。
| 絞る前 | 絞った後 |
|---|---|
| 補助金申請の支援をします | 食品製造業の人手不足を、省力化投資で解決するコンサルタント |
| 事業計画の策定を支援します | 介護事業所の省力化投資と、賃上げ計画の両立を支援する社労士 |
| 補助金に詳しい税理士です | 建設業の設備投資を、資金繰りと補助金の両面から設計する税理士 |
絞ると顧客が減りそうに感じますが、実際は逆です。「うちのことだ」と思ってもらえるから、選ばれます。志師塾ではこれを「一点集中・全面展開」と呼びます。まず一点で No.1 を取り、そこから広げるのです。
5.3 Before / After のギャップが単価を決める
もう一つ。補助金支援の単価が上がらない先生業には、共通の特徴があります。「申請書が出せる状態」までしかAfterを描いていないのです。
単価は、Before と After のギャップの大きさで決まります。ギャップを広げてください。
- Before:求人を出しても人が来ない。ベテラン頼みで、社長も現場に入っている。設備投資を検討したいが、資金と根拠がない
- After:省力化設備が稼働し、現場の残業が月20時間減った。浮いた時間で新サービスを立ち上げ、給与も引き上げられた。社長は経営の仕事に戻れた
この After を語れると、価格の話が「補助金の申請料」から「経営が変わる投資」に変わります。補助金の金額を大きく見せるのではなく、経営がどう変わるかを大きく見せる。これが高額力の本質です。
6. 省力化投資補助金 第8回に向けた、9月までの行動計画
最後に、明日からの動き方を週単位で示します。
6.1 週次の逆算スケジュール
| 時期 | やること | 該当する型 |
|---|---|---|
| 公募開始直後 | 第8回の要領を通読。第7回からの変更点だけを1枚にまとめる | 全型の前提 |
| 8月下旬 | 顧客リストを仕分け、対象になりうる会社に印をつける | 型2 |
| 8月下旬 | 変更点まとめを添えて、印をつけた会社に個別連絡 | 型2 |
| 8月下旬〜9月上旬 | オンラインで60分の説明会を開催(顧客獲得型で設計) | 型1 |
| 9月上旬 | 個別相談を実施。GビズIDの申請を促す | 型1・型3 |
| 9月上旬 | 行政書士との連携体制を確認しておく | 型4 |
| 9月中旬〜10月上旬 | 計画策定セッションを回す。書類は顧客が書く | 型3 |
| 申請後すぐ | 採択後の実行支援を提案。3年間の顧問契約へ | 型5 |
6.2 打率より打席数で考える
この計画を実行するとき、必ず断られます。「今回は見送ります」「うちは対象外でした」。ここで止まる方が多いのです。
志師塾では、成果が出ない原因を「打率」と「打席数」に分けて考えます。トークを磨くのが打率、声をかける件数が打席数です。そして初期に効くのは、圧倒的に打席数です。
提案資料を1週間ブラッシュアップするより、30点の資料で10社に会った方が早い。会えば、自分では気づけなかった修正点が見つかります。第8回の締切は10月中旬。磨いている時間はありません。
断られた理由をメモしておくと、それが次の提案の材料になります。断られる理由を事前に潰し込んでおくのが、成約率を上げる最短ルートです。
7. 志師塾卒業生の事例|補助金を切り口にしても、最後は「人」で選ばれる
補助金という制度の話を続けてきましたが、最後にお伝えしたいことがあります。経営者があなたを選ぶ理由は、制度の知識量ではありません。
制度は誰でも調べられます。要領はPDFで公開されていて、生成AIに読ませれば要点も出てきます。それでも経営者が人に相談するのは、「決めきれない」「動き出せない」という、情報では解決しない部分を抱えているからです。
志師塾の卒業生に、自己実現メンタルコーチとして活躍されている平真理子さんがいます。平さんは「正しい脳の使い方」という切り口で、人が本来持っている力を引き出す支援をされています。テーマは補助金ではありませんが、先生業として選ばれる本質は同じです。
設備投資を決断するのは、社長という一人の人間です。「失敗したらどうしよう」「従業員が反発するかもしれない」「借入を増やすのが怖い」。この感情の壁を越えられなければ、どんなに要件を満たしていても申請書は完成しません。
だから、補助金支援でも問われるのは火付け役になれるかです。制度を説明する人はたくさんいます。しかし「社長、やりましょう」と背中を押し、動き出したあとも隣にいる人は、そう多くありません。
志師塾では、伴走支援における先生業の役割を、火付け役・コンサル的・コーチング的・カウンセラー的・マネージャーの5つで整理しています。補助金の場面では、この5つが順番に必要になります。制度知識(コンサル的)だけで戦おうとすると、AIに置き換えられていきます。
平真理子さんのインタビューでは、人の内側にあるブレーキをどう外すかという視点が語られています。補助金支援に取り組む方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。
【卒業生インタビュー】満足した人生を送りたいあなたに「正しい脳の使い方」を教えます! ~自己実現メンタルコーチ・平真理子(たいらまりこ)さん~
8. 関連記事もあわせて
省力化投資補助金 第8回への準備を進めるうえで、あわせて読んでいただきたい記事をご紹介します。
- 省力化補助金第7回|先生業が勝つ提案7型を解説|第7回時点の要件と提案の型を整理しています。第8回との違いを掴むための下敷きとしてお使いください。
- 先生業に特化した「受注できるトーク&文章術」とは?|補助金の提案でも効く、売り込まずに受注につなげる伝え方の基本です。
- 先生業に特化した「受注できるトーク&文章術」の作り方|個別相談やセミナーで使うトークを、自分の言葉として組み立てる手順を解説しています。
- 新事業進出補助金第4回|先生業の獲得術5手|省力化投資補助金の対象外だった顧客に提案できる、別の選択肢としてご覧ください。
9. まとめ|省力化投資補助金 第8回は「代行以外」で受注する
本記事の要点を整理します。
- 第8回は8月中旬公募開始・10月中旬締切の予定。ただし詳細は要領の公表待ちです。第7回の数字を断言せず、注記を添えて発信してください
- GビズIDに2〜3週間かかるため、動き出しの実質デッドラインは9月上旬。この一言が、経営者を動かす最大の材料になります
- 申請できない事業者を先に外す。過去の採択・申請中の回次、他補助金の交付決定回数を確認すれば、手元のリストから確度の高い見込み客が浮かび上がります
- 2026年1月施行の改正行政書士法で、代行の線引きが明確になった。名目を変えても、報酬を得て書類を作成・提出することはできません。GビズIDを預かる代理入力も見直しが必要です
- 受注は5つの型で組む。セミナー型と仕分け型で母集団をつくり、計画策定・伴走型と連携型で受注し、採択後の実行支援型で顧問契約に変えていきます
- 補助金は商品ではなく入口。キラーコンテンツは別に持ち、「なぜあなたから買うのか」に文字で答えられる状態をつくってください
法改正は、先生業にとって追い風です。書類を作る作業は、生成AIによって価格が崩れていく領域でした。そこから引き剥がされ、「なぜこの投資をするのか」を経営者と一緒に決め、3年間伴走する仕事へ移る。この転換を、第8回で試してみてください。
締切から逆算すれば、動けるのは9月上旬まで。まずは顧客リストを開いて、対象になりそうな会社に印をつけることから始めましょう。
補助金を「単発の仕事」で終わらせたくない先生業の方へ
志師塾では、士業・コンサルタント・講師・コーチのための「集めて・教えて・売る」仕組みづくりを、無料セミナーでお伝えしています。制度に振り回されず、継続的に選ばれる導線をつくりたい方はこちらへ。
※本記事に記載した補助上限・補助率・要件等は、第6回・第7回公募時点の公開情報にもとづく参考情報です。第8回の内容は公募要領で必ずご確認ください。また、改正行政書士法の解釈について個別の判断が必要な場合は、行政書士会等の専門機関にご相談ください。