「研修講師をやってみたいけれど、実績ゼロの自分に依頼なんて来るのだろうか」「研修会社に登録すれば仕事はもらえるらしいが、それで食べていけるのか」「1日30万円なんて、一部の有名講師だけの世界ではないのか」
あなたは今、こんな迷いを抱えていませんか。
そこで本記事では、研修講師としてデビューし、1日30万円という単価帯にたどり着くまでの道のりを、90日という時間軸で5段階に分けて解説します。取り上げるのは次の内容です。
- 企業研修市場の最新データと、いま参入する意味
- 「1日5万円」と「1日50万円」を分けている4つの変数
- 研修会社への登録ルートに構造的な天井がある理由
- 未経験から90日で単価を引き上げる5段階のロードマップ
- 士業・コンサル・コーチが持つ既存資産を研修に転換する方法
この記事を読み終えたとき、あなたは「研修講師になるには何が必要か」ではなく、「自分の専門をいくらで、誰に、どう売るか」という一段深い問いに答えを出せるようになっているはずです。単価は運や知名度で決まるものではありません。設計で決まります。その設計図をお渡しします。
1. 研修講師の市場はいま追い風|2025年度に初の6,000億円超へ
まず、事実から確認しましょう。「今から研修講師を目指すのは遅いのではないか」という不安に、データで答えます。
1.1 企業向け研修サービス市場は5,858億円(2024年度)
矢野経済研究所の調査(2025年8月発表)によると、企業向け研修サービス市場は2024年度に前年度比4.6%増の5,858億円(事業者売上高ベース)となりました。さらに2025年度は前年度比4.6%増の6,130億円と予測されており、市場として初めて6,000億円を超える見込みです。
| 年度 | 市場規模 | 状況 |
|---|---|---|
| 2020年度 | 4,820億円 | コロナ禍で集合研修が中止・延期され底を打つ |
| 2024年度 | 5,858億円 | 前年度比4.6%増 |
| 2025年度(予測) | 6,130億円 | 初の6,000億円超えの見込み |
出典:矢野経済研究所「企業向け研修サービス市場に関する調査」(2025年8月発表)。2025年度は予測値です。
拡大の背景として同調査が挙げているのが、人的資本経営に取り組む企業が増えて教育投資を拡充していること、そして就労人口が減るなかで現有社員の戦力化ニーズが高まっていることです。
採用で人を増やせない。だから今いる社員を伸ばすしかない。この構造は当面変わりません。研修という手段への需要が、経営課題として上から降りてきている状態です。
1.2 eラーニング比率の上昇は、実は追い風でもある
一方で、こんな数字もあります。研修市場全体に占めるeラーニングの割合は、2019年の12.9%から2024年には20.2%へと増加しているという指摘です。
これを聞いて「講師が登壇する場が減るのでは」と感じたかもしれません。ただ、ここは冷静に読んでください。
知識のインプットはeラーニングで足ります。動画で十分な内容に、わざわざ講師を呼んで1日拘束する企業はもういません。eラーニングで代替できる研修から、単価が消えていくのは事実です。
ただ裏を返せば、残るのはeラーニングでは絶対に代替できない領域です。その企業固有の課題を扱うケーススタディ。参加者同士の対話から気づきを生む場。管理職が本音でぶつかるディスカッション。ここには講師が要ります。しかも、動画で済ませられない分、高い費用を払う価値があると企業も判断します。
1日30万円という単価は、まさにこの領域にあります。「テキストを配って読み上げる研修」の延長線上には、絶対に存在しない金額です。ここを最初に押さえておいてください。
2. 研修講師の単価は「1日5万円〜50万円以上」|幅の正体を分解する

ここからが本題です。研修講師の単価は、なぜこれほど幅があるのでしょうか。
2.1 相場を並べると、同じ「1日」でも10倍の差がある
各社が公開している費用相場を整理すると、おおむね次のようになります。
| 依頼形態 | 1日あたりの費用感 | 備考 |
|---|---|---|
| 個人事業主の講師に依頼 | 5万円〜20万円程度 | 直接契約が中心 |
| 研修会社の講師派遣型 | 10万円〜50万円以上 | 企画・運営費を含む金額。講師の取り分は別 |
| 著名人の講演 | 2時間で70万〜100万円 | 知名度が価格の主因 |
ここで注目してほしいのが、「個人事業主の講師に依頼する場合は1日5万円〜20万円程度」という数字です。
つまり本記事のテーマである1日30万円は、個人講師の一般的な相場レンジの上限を突き抜けた水準ということになります。「頑張って経験を積んでいれば、いつか届く」金額ではありません。届く人と届かない人の間に、明確な構造の差があるのです。
2.2 単価を決めている4つの変数
では、5万円と50万円を分けているものは何か。整理すると、変数は4つに絞られます。
変数(a):発注ルート(直請けか、エージェント経由か)
研修会社に依頼する場合、企業が払う金額には講師料に加えてプログラムの設計・運営費が含まれるのが一般的です。この構造上、企業が50万円払っても、講師の手元に50万円が来るわけではありません。実務者のなかには、エージェントや研修企画会社が講師の通常価格より低い金額で仕切り、高い金額で企業に販売しているという指摘をする声もあります。
変数(b):カスタマイズ度
既製プログラムをそのまま実施するのか、その企業のために組み直すのか。オーダーメイド研修や複数回にわたるプログラムでは、費用が高くなる傾向があります。
変数(c):対象階層
新人向けは比較的リーズナブル、管理職向けや高度なプログラムでは高くなる傾向があります。同じ1日でも、誰に向けて話すかで値段が違います。
変数(d):実績・知名度
これは事実として単価に効きます。ただし、書籍を出してブランドを作るような取り組みは、90日では動かせません。
ここが本記事の一番大事なポイントです。4つの変数のうち、(a)(b)(c)の3つは90日で動かせます。逆に言えば、90日という短期でやるべきことは、動かせない(d)を追いかけることではなく、動かせる3つを設計し直すことなのです。
「実績を積めばいつか単価が上がる」という発想では、いつまでも上がりません。上がるのは、ルートとカスタマイズと対象階層を変えたときです。
3. 未経験の入口3ルート|研修会社への登録に構造的な天井がある理由
研修講師としてのデビュー方法は、大きく3つに分かれます。それぞれの特徴と、単価の天井を見ていきましょう。
3.1 ルート1:研修会社への講師登録・業務委託
最も一般的な入口です。研修会社が業務委託形式で講師を募集し、登録後に条件と日程が合う案件を随時依頼する流れになります。会社によっては、初回登壇に向けた個別レクチャーで研修の構成や伝え方をサポートする仕組みを用意しているところもあります。
メリットは明快です。自分で集客しなくていい。会社の看板があるので、実績ゼロでも登壇機会が得られる。運営ノウハウを間近で学べる。
デメリットも同じくらい明快です。単価の決定権が自分にない。案件が来るかどうかも自分でコントロールできない。そしてプログラムは会社のものなので、自分の資産が蓄積しにくい。
入口としては悪くありません。ただ、ここを「ゴール」にすると、1日30万円には構造的に届きません。企業が払う金額の一部しか受け取れない構造だからです。
3.2 ルート2:協会・資格経由の公募案件
何らかの資格を取得して協会の会員になると、協会に届く登壇・講演依頼の案件に自ら手を挙げられる仕組みがあります。
ここで一つ、はっきりさせておきましょう。研修講師に特別な資格は必要ありません。この点は複数のソースで一致しています。ただし、参加者を集めるには専門知識を裏付ける経験や実績が求められるという留保も、あわせて示されています。
資格そのものが仕事を連れてくるわけではないのです。志師塾では、これを「先生業のハマる5つの罠」の一つとして繰り返しお伝えしています。「資格があれば大丈夫」という思い込みです。資格は、スタート位置に立つ切符でしかありません。
3.3 ルート3:直請け(自力での顧客獲得)
そして、Web上の「研修講師になるには」系の記事でほとんど触れられていないのが、この直請けルートです。
企業と直接契約する。あるいは、既存の顧問先やクライアントから研修に展開する。中間マージンがないので、企業が払った金額がそのまま自分の売上になります。
1日30万円という水準は、実質的にこのルートでしか成立しません。
| ルート | デビューのしやすさ | 単価の天井 | 資産の蓄積 |
|---|---|---|---|
| 研修会社登録 | ◎ | △ | △ |
| 協会・資格経由 | ◯ | △ | ◯ |
| 直請け | △ | ◎ | ◎ |
おすすめは、3つを排他的に選ばず、時間差で組み合わせることです。最初の30日は登録ルートで場数を踏み、並行して直請けの土台を作る。90日目には直請け案件が動き始めている。この二階建てが現実的です。
ただ、どのルートを選ぶにせよ、避けて通れないのが「自分の価値をどう言葉にして届けるか」という問題です。志師塾では、先生業の方向けに先生業のためのWeb集客セミナーを開催しています。研修講師として直請けの導線をどう作るか、具体的な進め方をお伝えしています。
4. 先生業が研修講師になるのは「新規事業」ではない
ここで、士業・コンサルタント・コーチとして活動しているあなたに、視点の転換をお願いします。
4.1 すでに持っている3つの資産
世の中の「研修講師になるには」記事は、ゼロから専門を作る前提で書かれています。ただ、あなたが先生業として活動しているなら、話は違います。すでに3つの資産を持っているからです。
- 専門領域:労務、税務、マーケティング、組織開発など、すでに人に教えられるレベルの知識
- 実務事例:顧問先やクライアントの現場で見てきた、生々しいケース
- 既存の関係先:あなたを信頼している顧問先・受講生・紹介者
この3つがあれば、研修は新規事業ではありません。既存サービスの「提供形態を変える」だけです。
1対1のコンサルティングで話していた内容を、1対20の形式に組み替える。個別に説明していた法改正の要点を、90分の講義に整理する。やっていることの本質は変わりません。
4.2 「知りたいもの」を「手に入るもの」に変える
志師塾では、商品サービスづくりの核心として「知りたいものを、手に入るものに変換する」という考え方をお伝えしています。
研修講師の値付けが安くなってしまう人の共通点は、売っているものが「知識」で止まっていることです。「〇〇について学べます」という提案は、極端に言えばeラーニングと競合します。動画のほうが安いので、勝てません。
一方、単価が上がるのは「研修後に何が手に入るか」を成果物として示せる場合です。
| 知りたいもの(安い) | 手に入るもの(高い) |
|---|---|
| ハラスメント防止の基礎知識 | 自社の実例に沿った管理職の判断基準シート |
| 目標設定の考え方 | 参加者全員が書き上げた次期の目標シート |
| 1on1のやり方 | 自部門で明日から使える質問リストと運用ルール |
右側は、動画では作れません。だから講師を呼ぶ意味があり、それに見合う金額が払われます。単価を上げるというのは、話し方を磨くことではなく、持ち帰るものを変えることなのです。
4.3 「なぜあなたから買うのか」に答えられるか
志師塾では、先生業が顧客獲得するために、次の2つの質問に文字で答えられることを起点にしています。
- なぜ、買うのか(絶対価値)
- なぜ、あなたから買うのか(相対価値)
研修講師の場合、後者が特に厳しく問われます。研修テーマは競合が多く、「リーダーシップ研修」で検索すれば何百社も出てくるからです。
ここで効いてくるのが、志師塾で言う「一点集中・全面展開」の発想です。「管理職研修ができます」ではなく「製造業の現場から昇格した新任課長に特化した研修」。この絞り込みが、比較から抜け出す唯一の方法です。
絞ると仕事が減ると思われがちですが、実際は逆です。絞ったほうが選ばれ、絞ったほうが高く売れます。「無競争状態で、顧客から選ばれる、独自の場所」を取ることが、単価を決めます。
5. 研修講師デビュー90日|1日30万円までの5段階

ここから具体的なロードマップです。90日を5つの段階に分け、それぞれで何をやるかを示します。
先にお断りしておくと、この90日は「必ず30万円になる」保証ではありません。30万円を狙える位置に立つための90日です。ここを正直に書いておきます。
5.1 STEP1(Day1〜15)|テーマを「買われる形」に切る
最初の15日は、一切外に出ません。頭を使う期間です。
やること:小人(こびと)を決める
志師塾には「頭の中に小人を飼う」という考え方があります。理想の顧客を一人の具体的な人物として頭の中に住まわせ、あらゆる意思決定をその人基準で行うというものです。
研修講師の場合、小人は二層になります。研修を発注する人(人事部長など)と、研修を受ける人(参加者)です。この二人の顔を、実在の誰かで思い浮かべてください。
- 従業員150名の製造業、人事課長のAさん(45歳)。新任管理職の育成に困っている
- その研修を受ける、現場叩き上げで昇格したBさん(38歳)。部下との関わり方に自信がない
ここまで具体化すると、次の作業が一気に楽になります。
やること:対象階層を決める
ここで変数(c)を動かします。新人向けは比較的リーズナブル、管理職向けや高度なプログラムでは高くなる傾向があるという事実を思い出してください。
デビュー期に新人研修から入るのは、機会が多いという意味では合理的です。ただ、新人研修だけをやり続けると、単価の天井が低いまま固定されます。90日目に30万円を目指すなら、遅くともDay15の時点で「管理職層・経営層に何を提供するか」の仮説を持っておく必要があります。
Day15時点のゴール:「誰に、どんな成果を届ける研修か」を1枚の紙に書けている状態。
5.2 STEP2(Day16〜40)|1日分のコンテンツを設計する
25日かけて、実際のプログラムを組み立てます。ここが最も骨の折れる期間です。
なぜ設計にこれだけ時間をかけるのか。理由は明確です。企業が研修会社に払う費用には、講師料に加えてプログラムの設計・運営費が含まれるのが一般的だからです。裏返せば、設計力そのものが値付けの対象になっているということです。
志師塾の商品開発では、「手順・体系を作る3ステップ」をお伝えしています。研修プログラムにそのまま応用できます。
ステップ1:ネタ出し
自分がその分野で知っていること、経験したこと、伝えられることを、質を問わず全部書き出します。100個を目標にしてください。少なすぎると、次の手順化で行き詰まります。
ステップ2:手順化
出したネタを、参加者が「その通りに進めれば成果が出る」順番に並べ替えます。ここで大事なのは、教えたい順番ではなく、参加者が理解できる順番にすることです。
ステップ3:体系化
手順をグループ化し、1日(6時間程度)の枠に収まる構成にします。座学・ワーク・共有の配分を決め、時間割まで落とし込みます。
この段階で、必ず成果物(参加者が持ち帰るもの)を1つ以上定義してください。記入シート、チェックリスト、行動計画。形になるものがあると、発注側は稟議を通しやすくなります。
Day40時点のゴール:1日分のプログラム案(時間割・ワーク内容・成果物)が完成している状態。
5.3 STEP3(Day41〜60)|実績を作る(無償・低単価も含む)
いよいよ人前に立ちます。ここは単価を追わない20日間です。
志師塾では、机上で100点を目指すのではなく、30点でも早く小人に持っていくことを推奨しています。仮説検証は空中戦(Webやチラシ)ではなく、地上戦(直接会って聞く)でやるのが原則です。
実績を作る具体的な場は、次のようなものがあります。
- 既存の顧問先・クライアントへの無償提供:最も早く、最も質の高いフィードバックが得られる
- 商工会議所・業界団体のセミナー枠:低単価だが公的機関での登壇実績になる
- 研修会社への登録案件:単価は低いが場数と運営ノウハウが得られる
- 同業者・仲間向けの試験実施:忌憚のない意見をもらえる
この期間の目的は、稼ぐことではありません。「アンケート」「受講者の声」「実施実績」という3点セットを手に入れることです。これがSTEP4以降の提案書に載ります。
アンケートは必ず取ってください。しかも「満足度5段階」だけでは足りません。「明日から何を変えますか」「この研修を上司に薦めるとしたら何と伝えますか」といった、営業資料に転用できる質問を入れておきます。
なお、ここで陥りやすいのが、志師塾で言う「教えたがり病」です。せっかくの登壇機会だからと知識を詰め込みすぎ、参加者が消化不良を起こす。結果、満足度が下がる。持ち帰るものを絞ったほうが、評価は上がります。
Day60時点のゴール:2〜3回の登壇実績と、使えるアンケート結果が手元にある状態。
5.4 STEP4(Day61〜75)|カスタマイズ提案で単価帯を上げる
ここで変数(b)を動かします。
オーダーメイド研修や複数回にわたるプログラムでは、費用が高くなる傾向があります。この事実を、提案の形に変換します。
やること:ヒアリング項目を設計する
カスタマイズとは、単に「御社に合わせます」と言うことではありません。相手の課題を、相手が言語化できていないレベルまで掘り下げることです。
志師塾の伴走支援では「なぜ?」「具体的には?」「他には?」の3つの質問で本質課題に到達する技法をお伝えしています。研修のヒアリングでも同じです。
- 「管理職研修をやりたい」→ なぜ今なのか?
- 「離職が増えている」→ 具体的にはどの層が、どんな理由で?
- 「入社3年目が辞める」→ 他には何が起きていますか?
ここまで聞けると、提案が「管理職研修」ではなく「3年目社員の離職を止めるための、直属上司の関わり方改革プログラム」に変わります。同じ1日でも、価格の説得力がまったく違ってきます。
やること:単発を複数回に組み替える
1日単発で30万円を提示するより、3回シリーズで合計90万円のほうが、実は受注しやすい場合があります。理由は2つ。1回では成果が出ないと発注側も分かっているから。そして、間に実践期間を挟めば行動変容まで支援でき、成果が見えやすいからです。
志師塾では、これを「Before / AfterのGAPを大きくする」と表現しています。ギャップが大きいほど、価値が上がり、単価も上がります。
Day75時点のゴール:ヒアリングシートとカスタマイズ提案書のひな型が完成し、1件以上の提案を出している状態。
5.5 STEP5(Day76〜90)|直請け導線を作る
最後の15日で、変数(a)を動かします。ここが1日30万円の分かれ道です。
エージェント経由では、企業が払う金額と講師の受取額に差が生じます。この構造がある限り、天井は他人が握ったままです。だから直請けの導線を作ります。
志師塾では、顧客獲得の基本を「集めて・教えて・売る」という3ステップで整理しています。研修講師の場合、これは次のように組み立てられます。
| ステップ | 研修講師の場合の具体策 |
|---|---|
| 集める | 専門テーマでのブログ記事、SNS発信、既存顧問先への案内、紹介依頼 |
| 教える | 無料の公開セミナー・体験会(研修の疑似体験の場) |
| 売る | 個別相談でヒアリング → カスタマイズ提案 → 受注 |
ここで押さえておきたいのが、研修は「関係型」の商品だということです。志師塾では顧客獲得の経路を「衝動型」と「関係型」に分けて説明していますが、数十万円の研修を、初めて見たWebサイトから即決発注する企業はまずありません。
だから順序が要ります。先に情報提供して関係を作り、そのあとに提案する。この2ステップです。売り込みから入ると、先生業としての立ち位置が崩れます。
また、この期間に紹介の導線も仕込んでおいてください。研修は紹介が非常に効く商品です。人事担当者は横のつながりを持っており、「良い講師いない?」という会話が日常的に発生します。STEP3で得たアンケートと実績を、紹介しやすい形(1枚の実績シート)にまとめておきましょう。
Day90時点のゴール:直請けの問い合わせ導線(LPまたは案内資料)が動いており、提案中の案件が1件以上ある状態。
5.6 5段階のまとめ
| 段階 | 期間 | やること | 動かす変数 |
|---|---|---|---|
| STEP1 | Day1〜15 | 小人の設定・対象階層の決定 | (c)対象階層 |
| STEP2 | Day16〜40 | プログラム設計・成果物の定義 | (b)の土台 |
| STEP3 | Day41〜60 | 登壇実績とアンケートの獲得 | 実績の下地 |
| STEP4 | Day61〜75 | ヒアリング設計・カスタマイズ提案 | (b)カスタマイズ度 |
| STEP5 | Day76〜90 | 直請け導線の構築 | (a)発注ルート |
6. 研修講師が単価を上げるときに陥る5つの落とし穴
90日を走るうえで、多くの人がつまずくポイントを挙げておきます。
6.1 「もっと勉強してから」で永遠にデビューしない
先生業に特に多いのが、これです。志師塾では、先生業に求められる能力を「受注力」と「満足獲得力」の2つに分けて整理していますが、多くの方は満足獲得力(腕を磨くこと)ばかりに時間を投じます。
資格を取り、講座を受け、また別の資格を取る。ところが受注力に手をつけないので、いつまでも仕事が来ません。練習より実戦のほうが成長は速いのです。STEP3を後回しにしないでください。
6.2 「安くしておけば依頼が来る」という発想
低単価は麻薬です。研修講師は拘束時間の長い仕事なので、単価を下げると、稼ぐために本数を増やすしかなくなります。すると準備時間が取れず、質が落ち、リピートも紹介も減る。この悪循環に入る人が非常に多い。
志師塾では「ガチ時給」という考え方をお伝えしています。研修当日の6時間だけでなく、企画・設計・移動・資料作成・事後フォローまで含めた総投入時間で時給を計算するという発想です。
1日10万円の研修でも、準備に3日かけていれば実質時給は1万円を切ります。この計算を一度やってみてください。値付けの見方が変わります。
6.3 プログラムを標準化していない
毎回ゼロから作っていると、時間が溶けます。「コンサルは1社ごとに違うから標準化できない」と言う人がいますが、それは半分だけ正しい。
共通の骨格を持ち、20〜30%をカスタマイズする。この形が現実解です。骨格が固まっていれば、提案書も早く作れますし、品質も安定します。
6.4 一発勝負の単発研修で終わっている
1日で終わる研修は、成果が見えにくく、リピートにつながりにくい構造です。
単価を上げるなら、研修の前後に何かを挟むことを考えてください。事前アンケート、事後の実践課題、1か月後のフォローセッション。企業側にとっては「やりっぱなしにならない」安心材料になり、講師にとっては契約金額が増える理由になります。
6.5 一人で抱え込む
研修講師は孤独な仕事に見えます。ただ、実際に伸びている人ほど仲間を持っています。
志師塾では「仲間力」を受注力7つの能力の一つに数えています。研修は、自分の登壇を客観的にフィードバックしてくれる人がいないと、成長が止まりやすい。また、専門外のテーマを相談されたときに紹介できる仲間がいれば、企業からの信頼も厚くなります。
7. 志師塾卒業生の事例|コーチから研修・講座へ広げた実践
志師塾には、先生業として自分の専門を形にし、顧客獲得の仕組みを構築していった卒業生が数多くいます。
その一人が、自己実現メンタルコーチとして活動する平真理子(たいらまりこ)さんです。「正しい脳の使い方」を軸に、満足した人生を送りたい方への支援を展開されています。
平さんの取り組みから学べるのは、専門の切り口を明確な一言に絞り込むことの効果です。「コーチングをやっています」では、世の中にいる無数のコーチと比較されてしまいます。ところが「正しい脳の使い方を教える」という切り口を立てると、比較の土俵そのものが変わります。
これが志師塾で言う「尖んがりポジショニング」です。研修講師として単価を上げたいなら、まずここです。テーマを絞り、その領域で誰にも負けない位置を取る。話し方の技術を磨くのは、そのあとで構いません。
詳しくは【卒業生インタビュー】満足した人生を送りたいあなたに「正しい脳の使い方」を教えます! ~自己実現メンタルコーチ・平真理子(たいらまりこ)さん~をご覧ください。専門をどう言葉にし、どう届けていったかの実際のプロセスが語られています。
8. 関連記事もあわせて
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9. まとめ|研修講師の単価は運ではなく設計で決まる
最後に、本記事の要点を整理します。
- 市場は追い風。企業向け研修サービス市場は2024年度に5,858億円、2025年度は6,130億円と初の6,000億円超えが見込まれている(矢野経済研究所、2025年8月発表・予測値を含む)
- 1日30万円は個人講師の一般相場(5万〜20万円)の上限を超える水準。経験を重ねれば自然に届く金額ではない
- 単価を決める変数は4つ。発注ルート・カスタマイズ度・対象階層・実績。このうち前の3つは90日で動かせる
- 研修会社への登録には構造的な天井がある。入口として使いつつ、並行して直請けの導線を作る
- 先生業にとって研修は新規事業ではない。既存の専門・事例・関係先を、提供形態を変えて届けるだけ
- 90日の5段階:テーマを切る(Day1-15)→ 設計する(Day16-40)→ 実績を作る(Day41-60)→ カスタマイズ提案(Day61-75)→ 直請け導線(Day76-90)
もう一度お伝えします。単価が上がるのは、話が上手くなったときではありません。誰に何を届けるかを絞り、持ち帰るものを変え、直接届ける経路を持ったときです。
そして、この3つはすべて「マーケティングの設計」の話です。研修の中身をどれだけ磨いても、届ける相手と経路が決まっていなければ、単価は上がりません。逆に言えば、設計さえ組めば、実績が浅くても選ばれる位置に立てます。
90日は短いようで、集中すれば十分な期間です。今日がDay1です。まずはSTEP1の「小人を決める」から始めてみてください。
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